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粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大阪府議会議員 報酬&定数削減の歴史

大阪維新 首長・議員報酬削減の歴史

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https://twitter.com/haradaryo_net/status/740547572398362624

 

議員報酬任期内3割削減 自民大阪府議団が提案へ - 産経WEST

自民が報酬削減延長案を撤回 大阪府議会 (1/2ページ) - 産経WEST

 

 平成28年6月2日に自民党府議団単独府議会の議員報酬の削減期間について、現職議員の任期満了(平成31年4月)まで延長する条例改正案を、議会運営委員会理事会で他会派に通知。しかしこれは同年6月8日に自民党府議団は撤回します。それを受けて、自民党府議の原田さんが上のツイートをしていました。これについて今回は書いてみたいと思います。

 なぜ、今のこの時期に大阪自民党がこれを仕掛けてきたかというと二つあります。一つは維新の物真似。もう一つは参院選において、「維新が議員報酬の削減案に反対をした」という言質作りです。これ以上の意味はありません。ツイート内にあるように「自民党に改革派のお株を奪われたくないとの思惑が見え隠れ」というのなら、少なくとも本則の30%削減は言ってもらわないと、維新のお株は奪えませんよ? 単純に任期期限まで特例削減を延長するなんて、議員の腹は何も痛まないじゃないですか。この延長が仮に可決されても議員は1円の得も損もしません。それは市民も、得も損もしないという事です。だったら、せっかく大阪自民さんが報酬改正のゴングを鳴らしてくれたので、大阪維新の会府議団は原田さん公称の「改革派」の本家として、議員報酬定則30%削減の条例案を提出してほしいですね。これは来る参院選の為にも必要です。

 

 ここではまず大阪自民がこの時期に、この特例延長条例の改正を提出した不自然さから書いていきたいと思います。

 私は先に「 自民党府議団単独」と強調を入れました。これには意味があります。この特例延長条例ですが、正式な名称を「大阪府議会議員の議員報酬の特例に関する条例」と言います。この条例は議員の報酬を期間で定めて、特例で(現行なら30%ですが)報酬(月給)を削減をするという条例になっています。期限が定まっているので、その期間終了までに期間を延長する条例改正が必要なんですね。それがないと議員の給料は期限切れの瞬間から定則に戻り、30%削減分の給料が増えることになります。この条例は通常、一年間を期限として施行されています。今回はこれを大阪自民が単独で任期期限一杯までの延長にしようという訳です。しかしこれは非常に不自然な話なんですね。だってそれまでの特例延長条例の改正案は各派共同(維新、自民、公明等)で提出していたんですから。しかもこの期限延長は、昨年の平成27年12月22日に改正がされ、本年平成28年4月1日から1年間の期限延長をされたばかりです。だから報道にあるように「「今年度は始まったばかり。今議会での提案は時期尚早」と反対意見が出た。」という事になるんです。ぶっちゃけ今の時期に出すなら昨年の12月の延長時に、大阪自民が出した今回の改正案を出していればよかったんです。それを夏の参院選が迫ったこの時期に敢えて大阪自民が単独で提出した理由はと言えば、参院選での宣伝に使う以外ないでしょう。

 

「維新は議員の報酬削減に反対したー」

 

 これが言いたいだけです。原田議員のツイートを見ていればよくわかります。だから6月2日に議会運営委員会の理事会に通知をして、6月7日には撤回しているんです。こんなの只のポーズですよ。本当に大阪自民がこの特例延長条例改正案を提出する気があるのなら、最悪、撤回せずに次の議会に持ち越せばいいだけの話です。「改革派」として大阪自民がやる気があるのならね。そしてこの6月10日に終わる五月定例会の6月7日に撤回してるのもミソです。五月定例会は6月10日で閉会ですから、維新が対案を出す暇もないし、会期の余裕もない。要するに維新に議会の場で反論をさせずに自民はやり逃げしたという訳です。本当に大阪自民がやる気があるのなら、五月定例会の最初に出しておけばいいんです。

          府議会 平成28年五月定例会日程

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 次の議会は9月定例会で参議院選後ですしね。というか期限を延長する事にどれだけの意味があるのかと。改正案を出さないで済むだけの話です。逆に言えば、その期間は議員報酬の改正について維新から出ることを牽制するという意味合いもあるんですよね。「延長に維新は賛成したのに本則の改正案を出すとはどういう事だ?合意違反だ!」こんなところでしょうね。まあ、今回の件は最終的に報酬について話し合いをする第三者委員会か特別区委員会を設けるんでしょうけど。維新にはさっさと特例ではなく、本則(給料の制度値)を30%削減する条例改正案を次の9月定例会には提出してほしいと思います。折角、大阪自民さんが議員報酬削減のゴングを打ち鳴らしてくれたんですから、このリングには乗るべきです。言い出しっぺの大阪自民も逃げないでしょうしねw

 大阪自民のおおさか府連会長の中山衆議院議員もなんやかんやディスカウント維新をやってますな。まあこういう流れの一つが今回の大阪自民が報酬特例延長条例という訳です。橋下さんや吉村市長に盛大にカウンターを食らっていますけどねw

pixls.jp

 

 

 では、ここから本筋の話、大阪府会議員の報酬及び定数の歴史について書いていきたいと思います。ここでは①報酬の変遷、②特例の変遷、③費用弁償の変遷、④定数の変遷という形で追っていきたいと思います。

 

① 府会議員の報酬の変遷

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 上の表が昭和56年から現在に至るまでの大阪府会議員の報酬の変遷になります。現在(平成28年6月時点)での府会議員の総報酬はおよそ1210万円。これは昭和60年前後とほぼ同額という事ですね。私はこの額は「失われた20年」で民間給与の変動がほぼない日本ですから、これは自然なことだと思っています。まあそれでも1980年代後半から1990年代初頭のバブルに合わせて給与はガンガン上がってたんですね。そして最終的には平成4年に現在の月額報酬の制度値、定則93万円になっています。この時が最高値で年間総報酬額は、1584万円です。その後、平成9年と平成14年に3%と5%の特例削減が期間一年で実施されています。これはノック・太田知事がバブル崩壊後の経済状況に合わせて、特例で削減をしているので議会もお付き合いしますよって所のものです。

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 (平成23年8月29日 大阪府特別職報酬等審議会 特別職の報酬及び給料の額等について(答申及び意見具申)

  この時期の知事(横山ノック太田房江)ですが、月額報酬のカット率は5~8%ということですね。これに合わせて議会も3~5%を削るよという事です。ただ知事のカットの方は期末手当もカットをしています。月額のカット自体は橋下さんになってから30%という数字になりますけど、この点は評価したいと思います。議員報酬の特例カットは月額報酬のみで期末手当(ボーナス)は満額貰えますから。そして報酬を10%あげる調整手当も廃止しました。これは報酬を単純に1.1倍するっていう結構すごい手当でした。この手当で単純に月給の一割が上がってたんですよね。ただ、この手当の廃止と同時に月額報酬の特例カットも廃止しているので、ほぼ手取りの収入は変わってないんですけど。太田知事時代の特別職報酬等審議会の答申で調整手当を廃止したというだけではありますし、その答申も報酬に関しては現行据え置きと非常にぬるかったですけどね。これは太田知事と橋下・松井両知事の特別職報酬等審議会の諮問文と答申書を見れば一目瞭然です。(文末に参考資料としてリンクを張っておきますので、興味がある方はご参照ください。)

 そしてこの特別職報酬等審議会は知事が特別職(知事・議員など)の報酬がどうあるべきかを諮問し、その答申により、報酬を変更します。平成23年に橋下さんが議員及び知事などの報酬について審議会に諮問し、平成23年8月29日に答申がありました。この中で知事の報酬は131万円にするべきという答申があり、これは松井知事により改正が行われています。(橋下さんの時にできなかったのは答申三か月後に大阪市長選があったためです)その後、松井知事時代の平成27年の特別職報酬等審議会により知事の退職金は廃止の方向性が打ち出されます。この答申後の知事報酬の改正で松井知事の2期目の退職金は完全に廃止になり、松井知事の総報酬額は太田房江知事の約半分になりました。 

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 (松井大阪府知事の4年間の給料は、太田知事の半分 - 粉屋の大阪to考想

 

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 この平成23年度の議員報酬については、以下の額の特別職報酬等審議会からの答申がありました。

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 上が答申の内容を基にした総報酬額の計算、下が現行のものになります。答申では議員の月額報酬は75万円とされていましたが、現行ではこの改正は行われていません。なぜ行われていないかというと、特例でカットされているかというのが一つと、その間、大阪府議会では議会の定員総数とその選挙区での定員数で維新と自民他で大戦争をしていたからです。これについては後述しますが、その定員数の議論が決着をみるまでは議員報酬については一時棚上げにしていたんだと思います。議員報酬を政争の具にして、定数についてある会派が有利に図らない為ですね。

 

② 議員報酬特例カットの変遷と維新の「身を切る改革」について

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  上の表が府会議員の報酬の特例3割カットが行われた流れになります。まず最初に何があったか?平成20年の7月臨時本会議において当時、大阪府知事であった橋下さんが、「知事等の給料等の特例に関する条例制定の件」を提出します。これは大阪府知事の月額報酬を30%を特例でカットする内容になっています。当時の前知事、太田房江知事の時代に知事の月額報酬のカットは、地域手当を廃止したのと同時に特例カットも廃止されていました。橋下さんはこれを復活させ、しかもカットの割合を8%から30%に大きく拡大しました。そしてこの7月臨時本会議において、橋下さんは大阪府の公務員の給料などに関しても様々な条例の制定、改正を行っています。

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大阪府議会/平成20年7月臨時会議案審議結果

 この時に知事の旅費規定も改正しています。詳しくは後述しますが、これにより舛添さんのように大阪府知事が海外旅行でファーストクラスの飛行機には乗れなくなりました。端的にいうと職員並に引き下げています。そういったようにまず知事の報酬、待遇面の様々な部分の引き下げを行いました。それに合わせて公務員一般職の給与、待遇、手当、旅費、退職金などの様々な部分にメスを入れています。

 

 ここでちょっと本題から逸れますが、維新の「身を切る改革」について私の考えを書きます。維新の身を切る改革は、特別職である知事、議員の報酬などの待遇を大きく引き下げ、それにより公務員の民間と比較して高い報酬の部分を適正化しようというものです。政治家が報酬をこれだけ削るから、公務員の方も削ってくれということですね。そしてそれにより生まれた財源により、様々な府政(市政)改革を行うというのが本旨です。とにかく公務員の給料を下げるというものではありません。維新にとっても府民・市民にとっても公務員は敵ではありません。公務員は中立の存在であり、公を担保する存在です。しかし、その給与が民間と比較して高い部分がある(もしくはあった)。これを是正しようというのが維新の身を切る改革です。大阪府においても、役職は下でも年功序列で、年下の上役よりも年上の部下の方が給与が上という不自然なシステムでした。また大阪市での背広代を手当てで出すなど一時期大問題になったものです。しかし、そういった手当や給与システムはおそらく最初は政治家の善意から始まったと思うんです。昔は公務員は安月給の代名詞でした。そういった低報酬を救う為に手当や給与システムが出来たと思うんです。でもそれが時代を経て利権化し、手当・給与システムを自分たちに有利にするために、公務員の労組が集票マシーンとして市長の応援をする。それにより自分たち公務員の報酬を引き上げ「させる」。これの繰り返しで、ここまで利権化したと私は考えています。維新の身を切る改革はこれらの野放図な給与体系の是正であり、修正です。そしてそれが本来の政治の役目でもあります。再分配、再構築こそが政治の役目であり、維新はそれを忠実にこなしています。ただ、維新が目指している公務員給与はあくまで民間給与と比較しての適正化であり、「公務員の給与を最低賃金にするぞー」と言ってるわけではありません。維新の改革に身を切る改革が必須なわけでもなく、現状において必要であるからしているだけで、恒常的な政策ではないっという認識は必要だと思います。公務員給与が適正化された後にさらに削るっていうのはまた違う話ですからね。

 あと、これらの公務員給与改革については大阪維新の会大阪市会議員の井戸 正利さんのブログに詳しいのでリンクを張っておきます。 

blogs.yahoo.co.jp

 

  

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 さて話を戻します。平成20年の7月臨時会本会議において、橋下さんが7月1日に自身の給料を特例で30%を引き下げる条例案を提出し、これは原案可決をされ施行されました。そしてこの臨時会で、議員の報酬の15%を特例カットの条例が可決されました。この議員側の条例が提出されたのは7月22日です。条例案の提案趣旨説明は当時は自民党所属であった現大阪維新の会の浅田均議員です。(次の参議院選挙でのおおさか維新の会の候補予定者です。)この議案は臨時会冒頭に提出されたわけではなく、7月22日提出でその日に採決をされ、可決をしています。ちなみに臨時会閉会日の7月23日に橋下知事提出の議案は原案可決をされています。ここで重要なのは提出日です。臨時会冒頭7月1日に橋下知事が知事の報酬の大胆なカット条例を提出。議会側はそれに追随して自身のカットを7月22日に提出したという訳です。知事の半分の15%ですけどね。これは太田知事時代に知事が報酬カットをしたら議会側もカットするというのと同じ構図です。先程、維新の身を切る改革について少し触れましたが、これは特別職である知事・議員と一般の公務員だけの話ではありません。知事と議会・議員の関係でも成り立つ話です。まず知事が「身を切る」ことにより、議員に「身を切らせる」事を迫る。知事と公務員が身を切るのに、議員側が身を切らないわけにはいきませんからね。そしてこの構図はこれ以降も続き、大阪市会でも全く同じ構図で身を切る改革は遂行されていきます。維新が大胆に身を切る提案をし、それに大阪自民などが「これで勘弁してください」と維新案より緩い条例案を出して、それで条例成立という流れです。またこの構図は次の費用弁償でも同じです。ただ議員定数は違い、あれは選挙により議会の過半数を採り、公約実現のために一気にやりました。それについては後述をします。次はこの議員の特例カットが15%から30%になった流れを見てみましょう。

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  この30%特例カットが決まったのは平成23年の2月定例会でした。これにさかのぼる平成22年4月1日に「大阪維新の会大阪府議会議員団」が設立。同年4月19日に政治団体「大阪維新の会」が創設されました。そしてこの2月定例会におおさか維新の会がぶつけた条例が「議案提出一号 大阪府議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例一部改正の件」。本則を30%下げるという条例案でした。先に述べたように特例カットは期間限定の報酬カットですし、期末手当については満額支給です。しかし本則である報酬の制度値を変えてしまうと、本則×係数×月数で計算される期末手当も連動して下がります。もし維新案通りに可決されていたのなら、大阪府議会の議員報酬の総額は以下の表のようになっていました。 

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 現行の大阪府議会議員の総報酬額1210万円と比較して、仮に本則30%カット後に特例カットを廃止したとしても、本則30%カット後は1081万円と130万円ほど下がっていました。またさらに本則カット後に特例カットを併用した場合は847万円になり、およそ360万円ほど下がったことになります。さすがにこれは嫌だったのでしょうね。全会派が慌てて対抗案をそれぞれ提出し、一つの条例に5つの改正条例案が出るという面白い事態になっていました。さすがにこれを話し合うのは、通常の委員会では難しいので、これらの5つの条例改正案を審議するための特別委員会が設けられました。

【 平成23年3月議員報酬・定数等に関する特別委員会-03月03日−01号 】

 上の委員会で各案について協議が成されました。この委員会では維新を代表して、当時の松井府議(現大阪府知事)が出席をしています。松井さんの議員時代に興味がある方はご覧ください。最終的には維新案と他3案は否決され、民主案が可決されたのですが、民主案では特例を30%カットにして、併せて政務活動費の特例カットの延長も出していました。維新と自民は政務活動費の延長は別に協議して今回は、報酬のみに絞るという立場でした。自民、公明も同じく特例30%カットでしたが、公明は政務活動費のカット率を15%から50%にしようという条例案を提出。共産は維新と同じく、本則30%カットを提出しました。維新が共産が単独で提出した条例案に賛成をしたというのはこれが唯一なんじゃないかなぁ。(そんなこともないかもですけど)

 最終的には無難な民主案に落ち着いたわけですが、なぜこれらの案を各派が提出してきたかというと、第17回の統一地方選挙が迫っていたからです。この頃の大阪維新は結成されたばかりで弱小でした。とはいえ数々の補欠選挙を勝ち、橋下知事をトップに据え、注目度は鰻登りの時機です。よってその大阪維新が出してきた本則カットの条例案を単に否決してしまえば、統一地方選挙で維新に宣伝に使われ、民意を失い、選挙戦が厳しくなります。これを嫌がったんですね。それで3月3日に30%カットを可決したわけですが、この波は大阪市会に波及し、こちらは特例カット20%が自民・公明・民主提案で3月16日に可決されています。時間が空いてるのは府議会の動向を見ていたからです。大阪市会も構図は同じで、維新が30%カットを先に出してそれを否決。でも選挙が迫る。それで渋々下げましたっていう形ですね。しかしこの形、どこかで見たことありますね。そうです。今回の記事の冒頭に書いた大阪自民の特例延長条例案の提出がそれです。提出して否決されたことを選挙の宣伝に使う。まんま維新の猿まねですね。ただ仏彫って魂入れずとはこの事で、大阪自民は身を切ることができないんですよね。本則5%を下げる条例案も出せないんです。大阪自民の府議団で意見がまとまらないんでしょう。形だけの自称改革派だから魂が入らない。滑稽な上にかわいそうですね。ああいう政治パフォーマンスが通用したのは昭和までなんですよ。今のネット時代に情報は溢れてるんです。情報を整理すれば、舞台裏どころか役者が何を考えているかまで筒抜けなんですよ。哀れなもんです。

 

③費用弁償の変遷 

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 費用弁償について書きます。費用弁償とは単純にいえば交通費です。ただこの「交通費」に日当やらなんやらついてくるので、よくわからん話になるんですよね。そしてこの交通費は府内の「旅行」にも支出がされていました。府議会が開催され、府会議員が自宅から府議会に行くのも「旅行」なんですよね。だから「日当」が出るんです。今、舛添さんで話題の東京都議会では未だにこの費用弁償があり、議会に出席すれば日当一万円が支出されています。

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 さて、これが可決された7月臨時議会ではこの費用弁償の条例改正と先程述べた月額15%の特例カット、そして政務調査費(現、政務活動費)の特例15%カットの3本の条例が制定・改正が行われました。これらの条例の提案趣旨説明者が浅田均議員であるのは維新支持者として誇らしいですね。この費用弁償ですが、浅田議員の提案趣旨説明は以下のようになります。少し長いですが、全文を引用します。

 

◆(浅田均君) 議員提出第一号議案から第三号議案につきまして、提案者を代表いたしまして一括して提案理由を御説明いたします。
 本府の財政状況は、極めて厳しい状況にあり、財政健全化への取り組みは重要かつ緊急を要する課題であります。
 本府議会といたしましても、この財政危機打開に向けて積極的に取り組む姿勢を示すため、以下の三件の議案を提出するものであります。
 まず、第一号議案は、大阪府議会議員の報酬の特例に関する条例の制定でありますが、平成二十年八月一日から平成二十三年四月二十九日までの任期中、期末手当を除き大阪府議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例第二条の規定にかかわらず、議員の報酬を同条に定める額からその百分の十五に相当する額を減額するものであります。
 次に、第二号議案は、大阪府政務調査費の特例に関する条例の制定でございますが、これにつきましても、平成二十年八月一日から平成二十三年四月二十九日までの任期中、大阪府政務調査費の交付に関する条例第三条及び第四条の規定にかかわらず、会派及び議員へ交付する政務調査費をこれらの規定に定める額からその百分の十五に相当する額を減額するものであります。
 最後に、第三号議案は、大阪府議会議員の報酬及び費用弁償等に関する条例の一部改正であります。これにつきましては、本会議や委員会に出席したときなど、府の区域内を旅行したときの費用弁償の支給を廃止すること並びに府の区域外を旅行したときの費用弁償について、日当の支給を廃止するとともに、宿泊料のうちの夕食及び朝食相当額を減額するものでございます。
 以上の三件の議案につきまして、提案の趣旨を御理解いただき、議員各位の御賛同をお願いする次第でございます。
 なお、この三件の議案につきまして御議決を賜りました後には、知事におかれましては、これにより生ずる削減効果額は通年ベースで約三億五千万円になりますが、今後、財政再建とあわせて府民福祉の向上のために有効に活用していただくことを切に要望しておきます。
 以上でございます。

平成20年 7月 臨時会本会議-07月22日−08号 )

 

 費用弁償のところから抜粋すると、「本会議や委員会に出席したときなど、府の区域内を旅行したときの費用弁償の支給を廃止」「府の区域外を旅行したときの費用弁償について、日当の支給を廃止するとともに、宿泊料のうちの夕食及び朝食相当額を減額」ということですね。府内については議会に出席するのに日当は支払わない。府外は知事の旅費規定を準用することになるので、職員並になるって所ですね。 

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 そしてこの費用弁償でも月額報酬の特例カットと同じ構図です。まず、知事が先に旅費規程の改正条例案を提出し、それを議員が後追いで費用弁償の改正案を提出をする形ですね。身を「切らせる」改革です。

 

府議会の議員定数の変遷

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 大阪府議会の議員定数の変遷について書いていきます。大阪府議会では平成21年10月26日の改正まではその定数は112ありました。それが平成21年10日26日の改正で、109に改正がされます。理由は一票の格差で、尾市、東大阪市及び大阪市平野区の三選挙区の定数をそれぞれ一減して計3議席を減らしています。そして平成22年4月19日に「大阪維新の会」が創設されます。平成22年10月27日に大阪維新は定数を109から88にする改正案を提出しますが此れは否決。そして翌年の平成23年3月3日に今度は107で挑戦しましたが、これも否決。当時の維新の議席数は27名でしたからなかなか難しい状態でした。しかしその状況が変わります。平成23年4月1日の第17回統一地方選挙です。この選挙で大阪維新は、府議会57/109、大阪市会33/86、堺市議会13/52と総数103議席と大躍進を遂げます。そして20011年6月4日の「議員定数削減の変」を迎えます。

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 平成23年4月10日の統一地方選挙府議会の過半数を取った大阪維新の会府議団は、公約である議員定数の削減を目指します。

 

平成23年5月23日 議員提出第6号議案
大阪府議会議員の定数及び選挙区並びに各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例一部改正の件

平成23年5月23日にこの改正案がおおさか維新から提出がされました。内容は議員定数を109から88にするもので、21議席の削減をするものです。これの採決は6月4日の深夜に維新、みんなの党、無所属クラブ以外の各派が議場にバリケードを築き、採決阻止をするという凄い状況になりました。

youtu.be

 ではこの「議員定数削減の変」を時系列で追っていきましょう。

 6月3日にこの定数改正の条例は審議がされました。同日、「第一号議案 大阪府議会大阪府域における新たな大都市制度検討協議会設置条例制定の件」も大阪維新から提出をされていました。これはを大阪における大都市がどうあるべきかを検討協議する協議会です。ここで検討されたことがその後の都構想、大阪府大阪市特別区設置協議会へと繋がっていきました。

 

大阪府議会/大阪府議会大阪府域における新たな大都市制度検討協議会

大阪維新の会大阪府議会議員団の見解

 上記のその検討協議会の大阪府のHPと大阪維新の会の結論になります。

 

平成23年 5月定例会本会議第四号 六月三日(金)

◯議員出欠状況(出席百九人 欠席〇人

 

 この第一号議案大都市制度検討協議会設置条例については維新以外の公明党自民党民主党の各派は閉会中の継続審査を求めますが、本会議にて第一号議案を閉会中継続審査とすることは否決されました。公明党自民党民主党議員団はこれを受け、議会を退場。この後、議会は延会されますが、それに至るまで退場議員団は入場しませんでした。退場後、この第一号議案は採決をとられ、賛成多数で可決をされました。この後、議事の都合により暫時休憩となります。


午後七時五十七分休憩

 

この間、バリケード突破。

 

午後十一時五十分再開

 

再開後、府議会浅田議長から会期延長を議題とし、これに異議なしとなり、6月4日まで定例会を一日延長することが決定されました。

 

午後十一時五十一分延会。

 

 平成二十三年六月四日(土曜)午前零時一分開議。

議員出欠状況(出席六十一人 欠席四十八人

 

浦野靖人府議(現衆議院議員 おおさか維新の会)から「議員提出第6号議案 大阪府議会議員の定数及び選挙区並びに各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例一部改正の件」の提案趣旨説明があり、その後に採決。賛成多数をもって可決をされ、大阪府会議員の定数は88となりました。

 

 午前二時五十五分閉会

 

 深夜の三時に至ろうという時間に条例案は採決をとられ、可決をしました。

 私は維新のこの行動を支持しますが、これが後を引き、様々な軋轢を生みます。浦野議員の提案趣旨説明の中にもあったのですが、維新案では一票の格差についてかなり大きなものになっていました。

 

 本提案についても、前回と同様に、一票の格差の拡大など他会派からの反対意見があろうかと思います。現在の格差は最大二・二〇倍、本提案による格差は最大二・八八倍となります。この一票の格差については、総定数の削減とともに解決していくべき重要な課題であると十分認識しております。

平成23年 5月 定例会本会議-06月04日−05号

平成23年 5月 定例会本会議-06月03日−04号

 

 一票の最大格差が2.2倍から2.88倍まで開いていたんですね。そしてこの可決から半年後の平成23年3月12日に大阪自民の方から、選挙区の区割り及び定数の配分についての改正案が提出されます。この条例改正案は継続審議になったんですが、これの内容を協議するための「議員の定数及び選挙区並びに各選挙区において選挙すべき議員の数に関する特別委員会設置」が可決、設置されます。この特別委員会でいろいろ協議されたわけですが、結局、最終的に結着が付くのは平成26年9月25日まで待つ必要があります。この間、平成26年3月24日に平成23年提出の議案の採決が行われ、記名投票で53:50(維新反対)で可決をされます。そしてその二か月の5月29日に維新の区割り案を提出しましたが、記名投票で50:53で否決をされます。そのさらに4か月後の9月25日に維新、自民、民主、公明の共同で提出をした区割り案の条例が採決をされ、最終的な解決を見ます。長いですね。ほぼ三年近くかかってる計算になります。

 そしてこの三年近くの間、議員報酬の特例延長についてはどうなっていたかをみましょう。平成23年3月3日に30%のカットで条例が改正され、一年が経過する最初の平成24年2月23日に平成二十四年四月一日から平成二十六年三月三十一日までの2年間の特例延長が行われています。通常、一年の期間をとっていたのが二年になったのは、選挙区の区割り定数について議論をしている間は、議員報酬についてどこかの会派が政争に使い、自派に有利な展開をさせないためのものだったと思われます。 

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 平成26年3月24日に自民提出の区割り案は可決をされています。これで一定、区割りに関しては解決を見たという事で、平成26年3月24日に2回目の延長が行われていますが、この時は一年の延長になっています。その後、延長は重ねられていますが、全て一年の延長です。

 そしてこういう流れを見ると、大阪自民が任期一杯の特例延長を出してきた今回の不自然さもご理解がいただけると思います。特例の延長で複数年を出した時もありますが、それには理由がありました。大阪自民の理由は何でしょう?複数年を出す理由はないんですよね。維新の方にしてみれば、特例はあくまで特例であり、特段の理由もなければ一年でよく、その間に議員報酬については各派間で検討をし、本則を下げる方向性ですから。大阪自民が任期一杯の特例延長をしたいというのは、平成23年8月の特別職報酬等審議会の議員報酬月額75万円の答申を無視するものです。その点だけでも出す理由はなく、また大阪自民が出したという事は答申を無視し、自分たちの議員報酬を引き下げられたくないという逃げでしかありません。よって、大阪維新の会には今後の9月定例会に向けた、本則の削減条例案の提出を期待したいと思います。

 

以上でこの稿を終わります。

 

 

 <参考資料>

[図解]大阪維新~チーム橋下の戦略と作戦~ 単行本(ソフトカバー) – 2012/8/31 大阪維新の会(政調会) (著), 上山 信一 (監修),

 

大阪府/大阪府特別職報酬等審議会

大阪府/特別職報酬等審議会開催状況(平成23年度以前)

知事131万円、議員75万円の回答のあった審議会のHP。

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/4840/00023240/tousin.pdf

 答申全文。これは知事、議員などの特別職の給与水準を考える上で素晴らしい資料です。興味ある方は是非全文をお読みください。

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 太田知事時代はこんだけw

 

 平成22年10月18日  議員提出第1号議案

大阪府議会議員の定数及び選挙区並びに各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例等一部改正の件

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11080/00056901/IMG.pdf

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 平成23年3月1日 議員提出第6号議案 大阪府議会議員の定数及び選挙区並びに各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例等一部改正の件

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/12202/00067552/23030206.pdf

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 おおさか維新の会初期メンバーの貴重なサインw

 

  平成23年5月23日  議員提出第6号議案

大阪府議会議員の定数及び選挙区並びに各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例一部改正の件 

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/13321/00074983/gian060306.pdf

 

 

大阪府議会/大阪府議会大阪府域における新たな大都市制度検討協議会

大阪維新の会大阪府議会議員団の見解

 

府議会、議員報酬及び定数削減の歴史

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