粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大阪自民川嶋議員200億円経費増大ファクトチェック② ~補稿編~

pankoya.hatenablog.com

 

都構想 各党がNHK番組で論戦|NHK 関西のニュース

昨日の「かんさい熱視線」で法定協議会を構成する各党の議論を聞いていて考えたことや下記に提示する川嶋議員のツイートも含めてちょっと書いてみたいと思いました。ので前回の補稿的な感じで、今回は書いてみたいと思います。

 ① 川嶋さんのツイートへの返信

 

 前のブログを投稿した日の晩にツイートされとるんですが、まあええですわ。「教えやがれ下さい」とか最後にブログで書いたからツイートしてくれたのかしらん?冗談やけどw。で、ここで画像を付けられてるんですがそれがこれ。

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長い! まあええけど。

で、まあ書いていきますが、まず資料1。

これは前回の私のブログを読んでくださいってとこですね。

 結論を書くとこの引用している地方制度調査会で用いられたこの資料は確かに特別区を設置することにより毎年の経費増として800~200億円の基準財政需要額が増えることを示しています。しかし、同時にこの資料は特別区設置による府市統合効果で、200億円の経費減ができる。よって特別区移行による経費増はないという結論の資料です。よってこの資料を出してくること自体がおかしい。もう一つ言えば画像内で「24区案で200億円~800億円の基準財政需要額が不足することが示されています。」と書いていますが、単純計算では800億円経費が増えるが、普通に考えれば200億円程度の経費増になるというのが資料の説明です。だから800億円を書くのも数字を提示する態度としておかしいんですよね。200億円だけです、書けるのは。実際、資料にも赤丸のすぐ下にそう書いてあるし。「24区案で」と付けたのは川嶋さんの最後の良心かもしれませんが。この資料は現在の24区を特別区にしってしまえ!タラリラリラリ~♪というトンデモ資料なんですよね。現行の大阪市内24区を全て特別区にしたら幾らかかるかという。最初の叩き台以前に最大MAX特別区移行にかかるのはおいくら億円?の試算なんです。それを持ち出すのは本当に不誠実。計算の前提条件が違いすぎますからね。なんや大阪自民は大阪市内に24個の特別区を作りたかったんかいな?まあそしたら現在の大阪市会議員の選挙区はそのまま特別区に移行されるけどもさ。まさかね。

 

② 独自試算の意味の無さ

資料2と3で川嶋議員が基準財政需要額を「独自試算」されていますが意味ないんですよね。その意味の無さを以下に示します。

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大阪市:大阪における特別区の制度設計 (…>大都市制度>特別区の検討状況)

 

上の画像は大阪市特別区における経費増をあらわした表です。イニシャルコスト(初期費用)で241億円。ランニングコスト(毎年増える経費)として30億円ですね。これがファクトになります。で、これを基に先の資料1の経費増200億円で私が独自試算します。24特別区に移行する際に200億円の経費増なのだから今回の4区案なら24/4で1/6になる計算としたら、

200億円/6=33.3億円

今回のランニングコストの試算の結果とほぼ同じですね。大阪市は優秀ですね。さすがです。

 

とかも書けるんです、こういう数字の使い方って。この独自試算に意味あります?なんもないですよ。先の資料の経費増800億円~200億円の算出した条件と今回の住民投票における条件は違うんですよ、当たり前だけど。

 それ以前に「独自試算」って何の意味もないんです。なぜ意味がないかというとこの私が出した計算は誰のチェックも受けていないし、チェックを受けてもチェックを受けた人間が公的に立ち位置を証明出来て、かつその人間が所属する組織がこの独自試算の正しさを担保して公表しないと試算の数字には価値はありません。

 例えば私のこの独自試算を賛成派の中でも数字に強いペーター(@peter19740308)さんに検証をお願いして正しいと言って貰いました。でもそれって公的には何の意味もありません。ペーターさん個人の能力は疑い有りません。でもそれが例えば大阪市に「ペーターさんが正しいと言ってるねん」と言っても取り合ってもらえません。当たり前です。それが維新の議員でも同じです。維新が政党として正しいと公表して、特別区設置協議会などの公的な協議の場で大阪府、市の人間が「この数字は正しい」で後日、私の数字を公表すれば、これは公認された数字にはなります。有り得ないけど。

 で、大阪自民の川嶋大阪市会議員が提唱するこの独自試算も同じです。同じように何の価値もないんです。川嶋議員自身は「基準財政需要額みたいなややこしい計算、ようわからん。素人やもん」と御謙遜されていますが、それはそれは大変詳しいんでしょう。おそらく専門家です。でないと何百万人の命のかかるこんな住民投票に適当な数字を提示してビラに書いてまいたり、討論会で数字を出すなんてことは、普通の精神では出来ませんからね。でも、それでも意味はないんです。市会議員の肩書も意味はありません。その独自試算に意味はないんです。なぜならその「独自試算」を検証した公的な立場のある組織、ないし個人の証明、担保がないからです。

 大阪府市が学校法人『嘉悦学園』(東京)に委託し、平成30年7月に公表された調査で都構想が実現すれば『10年間で最大約1・1兆円』の歳出が削減できるという試算が出ました。(’【都構想いろはQ&A】(7)特別区の経済効果は?「最大1・1兆円」歳出削減 - 産経ニュース) この数字が正しいかどうかの議論はおきます。

mainichi.jp

 

 

 

大阪都構想の制度移行から10年間の経済効果について、大阪府大阪市は8日、5515億~1兆1511億円としてきた効果額を最大で387億円縮減すると発表した。効果額を試算した報告書で使用したデータなど94カ所の誤記載が確認され、報告書を訂正した。誤記載の判明は2月に続いて2回目で、訂正箇所は計約130カ所になった。

 「10年間で最大約1.1兆円」としてきた効果額の試算について、府・市副首都推進局の担当者は「大きな方向性に変わりはない」と説明している。

 

 色々、訂正などはありましたが最終的に上記のように大阪府市の立場としてこの試算を否定していません。よってこの数字は公的に大阪府市に担保されており、住民投票という公の活動で使うことが出来ます。でも自民の独自試算にはそれがない。公的な検証過程を経ていないんです。この嘉悦学園の報告書も特別区設置協議会や有識者会議などを経てその数字の正しさを検証する過程を経ているんです。

 

www.sankei.com

 

 この過程を経ていない数字を住民投票で使うのは有り得ない暴挙です。これが許されるなら維新は「都構想になったら法人税収1000兆円になります。大阪市民、府民どころか日本国民の税金の全てを都構想で賄えます。明日から府民税、市民税、所得税、消費税、社会保障関連。全て0%にします。だから都構想に賛成をしてください。その根拠は維新が独自試算しました。だから大丈夫です」と演説したり、ビラに書いてもいいことになります。そんなは絶対におかしいし、できません。当たり前です。なのになぜ自民の独自試算は許されるんです?昨日の「かんさい熱視線」で共産党の山中・大阪市議団団長は「共産党がビラなどに書いている200億円は共産党が独自試算しているもので218億円。財政に詳しい人が計算した」とか言ってましたけど、そんなのは何の意味もないんです。(川嶋理論の200億円から降りたのかな。川嶋さんの数字を使えばいいのにw)その財政に詳しい人が国の現役の基準財政需要額を計算している役人だったとしてもです。その「財政に詳しい人」が所属する省庁がその数字を記者会見でもして公表したら意味はありますよ、その数字は。でも計算過程どころかその218億円の内訳すら提示できてないのが現状です。

 独自試算を出すにしても特別区設置協議会などに出してあくまで議論の試案として出すのなら別に問題はないんです。それをビラなどで数字を公表するのであればそれに伴う政治的な責任をどうとるのかという話になるんです。自民党でも共産党でも独自試算をしたのならその責任は全て両党が持つ話です。両党が独自試算に意味を持たしたいのなら住民投票が賛成多数で可決して、結果としてその独自試算の経費増がなかった場合、どう政治的な責任を取るんです?独自試算を出すのは自由ですよ。自由は誰にでも保証はされます。出したいのなら出せばいい。でもその責任は?もし独自試算の経費増がなかった場合、両党は解党して、大阪府下の全議員は辞職して、本部、支部、議員の政治団体の資産の全てを自治体に寄付できますか?そこまでやれるほど、その数字に責任を持てますか?もてないでしょう?持てるというのなら記者会見をすればいい。でもできないんですよ、当たり前やけど。公的機関の専門的な知識がある人間が担保した数字じゃないんだから。川嶋議員が大阪自民の議員全員を集めて、「私の数字を信じてくれ。だから辞職を掛けてくれ」と説得できます?絶対できないでしょう?これはそういう話なんですよ。

 だからどこの学者様だろうが、議員様だろうが「独自試算」には意味はありません。特別区設置協議会や審議会(学者で言えば学会)など公的な組織が公的な場所を作った場で公的な立ち位置(議員など)の協議の結果、採択され、この場合で言えば大阪府、市が正しいものとして公表した数字のみが住民投票では使えるし、それ以外の数字を使うのであればその責任はその政党が持たなければなりません。だから今回の川嶋議員が出した独自試算による基準財政需要額の増加の数字には何の価値もありません。その数字に価値を持たす過程も経てない蹴れば、公的な機関による担保もありません。そんな数字を日本の与党である自民党の機関紙に掲載をするのは暴挙であり、自民党本部がこれをどう考えるのか、菅首相に聞きたいところです。ほんまに。


③ 大阪市特別区基準財政需要額の推定

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 まあこれが川嶋議員の言いたい事なんでしょうね。シンプルに答えると次になります。

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 特別区4区の合計基準財政需要額 = 現在の大阪市基準財政需要額+ランニングコスト増加分30億円

 

 上になります。今の大阪市基準財政需要額に30憶円足せば事足ります。以上です。

 単純に増加する経費を足していけばいいわけですからね。基準財政需要額とは平たく言うと国がその自治体になんぼ交付金を支給するかの計算に使う数字で国が算定します。だから本来の意味での基準財政需要額の純増として30億円が増えるわけではないですが、4特別区の経費増としては年間30憶円というのが大阪府市の公表した数字です。よって特別区移行に関する経費増、基準財政需要額の増加分としての認識はこれで間違っていません。だから前ブログにある討論会での維新の横山議員の説明は間違ってないんです。国も交付金は4特別区大阪市として計算した形で基準財政需要額は計算して交付金を支給しますし、だから大阪府に一回入れて財政調整する意味合いもそこにあります。

 

④結論

 

 大阪自民も共産党も独自試算の数字を使うのは止めるべきです。止めないのであればその数字が間違っていた場合の政治的な責任の取り方を公表しなければなりません。独自試算をする自由を行使するのは自由ですが、その責任を取ることは公人である議員であるなら当然のことです。

以上です。

 

(粉屋の独自試算によると、補稿と言いながら前回より30%ぐらい文字数が多い)

 

川嶋理論の詳細を知りたい方は下のnoteをご参照ください

ペーターさんの詳細な解析があります↓

note.com

 

蛇足

蛇足で言えば、基準財政需要額を計算して貰えなかったとか自民、共産は言ってるけど、「話し合い」を特別区設置協議会でしてこなかったからやろうに。「話し合い」って何かというと「交渉」なんです。自分の要求を相手に伝えることではないんです。それ話し合いではなくてただの要求でクレクレなんです。相手方に何かを要求する交渉をするのであれば相手が望むものを相手に渡さないといけないんです。要求したのにしてくれなかったって子供の使いじゃあるまいし。4桁報酬貰う議員様の言葉とは思われないです。要求したものを得れなかったのなら要求した人間が無能ってだけですよ。それだけの話です。