粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大阪自民川嶋議員の主張する3000億円経費増大についてファクトチェックしてみた①

 

 

 

 

 今回のこの件について書いてみたいと思います。

 

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osakar.jp

 

上記は自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団の川嶋広稔・北野妙子・前田和彦の三名の大阪市市会議員が作られているサイトからになります。自民党の都構想をした場合に

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3000億円の経費の増大というとこですね。ここで200億円/年×15年間とあります。この200億円の算出根拠は何なの?というとこが問題です。

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画像には「※自民会派独自試算による」とありますが、なんなの?それはってとこですね。×15年間とさらにありますが、なんで15年間なのかはわりと謎ですが、それは置いときます。

 

youtu.be

 

シアターセブンさん主催で開かれた都構想での賛否両陣営による公開討論会での自民党川嶋市会議員の42:20~の発言を要約したものが次になります。

 川嶋議員の主張としては

 

 前回の住民投票の時に特別区基準財政需要額大阪市役所は算出して200億円という数字を出しているのに今回は出していない。だから川嶋議員本人が仮定ではあるものの200億円という数字を算出した。今回この基準財政需要額を役所側が算出しないのはおかしいじゃないか、

 

という事ですね。

川嶋さんが提示している資料は平成24年11月7日第30次地方制度調査会第23回専門小委員会の「【資料7】大阪府市統合本部提出資料PDF」のP.5にあるものです。

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赤枠は粉屋が入れてます。この部分ですね。「24区再編で約200億円から800億円」「工夫を反映した場合のコスト増は約200億円」で、この200億円を川嶋議員は今回の住民投票における特別区移行の際に大阪市から増える基準財政需要額としたという事ですね。基準財政需要額が増える=支出がそのまま増えるというわけではありませんが、川嶋議員は「経費の増大」という事で主張されているので増えるものという認識でこの稿は話を進めて行きます。平たく言うと4つの特別区合計で200億円の支出が増えるという意味で川嶋議員は言っておられるということです。で、その基準財政需要額の中身は以下のフリップにあるようなものです。川嶋議員が推測して川嶋議員本人が数字を算出したという事です。今回はこのフリップについては触れません。

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www.weblio.jp

 

では、これが事実がファクトチェックを行っていきましょう。

 

① この200億円の数字の出所

 

 まずこの数字の出所ですが、平成24年9月26日(水)第30次地方制度調査会第20回専門小委員会の資料「【参考資料5】第6回大阪にふさわしい大都市制度推進協議会(平成24年9月10日)資料1(抜粋)PDF」にあるのが以下の資料になります。

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 まず、この資料ですが何かというと 「大阪にふさわしい大都市制度推進協議会」という大阪府の協議会での第6回資料に使われたものです。この協議会は前回の住民投票で都構想について話し合いが行われた協議会です。大都市法が制定された後は、大都市法で定められた法定の特別区設置協議会を設置できるようになったので、そちらに移行し、この協議会は廃止されました。本格的な議論の前の前段階の協議会という位置づけでいいかと思います。ですからここで話し合われていたのはあくまで本格的な議論の前、試案以前のものでした。この資料も 財政調整制度について初めての話し合いが協議会で行われたときの資料です。P.8で述べられているのはまだ区割りの話もできてない状態だったので、とりあえず大阪市の行政区24区のすべてが特別区になった時を想定した無茶なシュミレーションです。特別区移行するに際し、最大費用を役所が見積もってみたということですね。この数字を川嶋議員は使ってるわけで、この時点でもうおかしいわけです。今回の住民投票特別区4区なわけで、24区の計算という事は普通に6倍ってことですからね。単純に経費が6倍になるわけではありませんが、まあおかしいなって話です。特別区4区で増える基準財政需要額を見積もれよ、ということですね、今回で言えば。それを役所がしてくれないというのが川嶋議員の主張ですがそれは追々、説明していきます。

 

②この資料の続き

 

 この資料では24区全てを特別区にすると800億円ぐらい増えるけど、最適化していけば200億円程度になるでしょうということを書いています。確かに200億円、基準財政需要額は増えると書かれています。

 この資料には続きがあります。

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上が次のページになるのですが、200億円の支出は増えますが、府市統合効果により200億円の経費削減が見込め、さらに効果額の上乗せも可能とあります。つまり、

 

 (200億円支出が増える) - (府市統合による削減効果200億円)= ±0円

 

支出が増えた分は削減効果でプラマイ0になるとこの資料は謳ってます。特別区移行に際して、収支に穴は開かないという事であり、追加の財源の用意は必要ないんです。この資料が正しいかどうかはここでは問題にはなりません。川嶋議員はこの資料を正しいものとして、この資料の数字を採用しているわけです。であるならば200億円の経費増大はないという資料を基にしている川嶋議員の主張はこの時点で崩れたという事であり、自民が主張する3000億円の経費増大はそもそもで最初から存在をしない、根拠はなかったという事です。

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というわけで、上の数字はフェイクです。 

 

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上のは10ページのコスト増加への対応となります。川嶋議員の主張が仮に正しくて、経費が増大してもそれは統合効果により相殺できるというのが役所の考えになります。

 

以下は第6回の大阪にふさわしい大都市制度推進協議会のページになります。参考までにリンクを貼っておきます。

warp.da.ndl.go.jp

 

 ③基準財政需要額って結局どうなん?

 

 動画の方で川嶋議員は「国の方は府市合算方式なので基準財政需要額が増えてもそれを賄うことはしない。それは言われてからこの資料を出さなくなった」と仰ってるのですがこれもフェイクです。これは平たく言うと、大阪府及び大阪市が国から貰う交付金額の総額(=府市合算)が特別区になって支出が増えても(基準財政需要額が増えても)交付金を増やさないよと国が言っているという事です。当たり前で、動画内で川嶋議員が仰ってるように我がで制度変えて、国に金寄越せはないやろというのが国の立場です。で、それに対して大阪府及び大阪市はどう考えていたかというと以下になります。

 第23回の資料(P.9)が以下になります。

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特別区の設置によって、国や他の地⽅⾃治体の財政に影響を及ぼさない。
現⾏の都区合算制度と同様の仕組みによる交付税算定を基本とする。

 

川嶋議員が採用している資料に書かれている通り、最初から合算方式で考えていることが明記されています。だから川嶋議員の発言はフェイクです。

 

第20回(p.14)の資料が以下

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東京都区制度では、”一体算定”の方式がとられていることから、特別自治区域全体を一の市町村とみなす“一体算定”を軸として検討
→ “一体算定”とすることで、現行の交付水準程度となり、所要交付税は増えない
 

 大本の資料でも同じことが書かれています。

 

 そもそもで、府市で一体算定、府市合算方式をするために特別区制度を採用しているんです。合算しないのであれば、分市でいいんですよ。大阪市を四つの市に分ければいい。大阪A市、大阪B市、大阪C市、大阪D市でいいわけです。でもそれだと国から4つの市に払う交付金の総額が激増してしまう。国の支出が増えて財政に悪影響を与える。だから4つの特別区を一つの自治体とみなして、財政調整を行う現行の財政調整になってるんです。この事実を知らないわけはないんですよ、川嶋議員は。そして大阪自民党は。

 

 で、大阪自民の主張する数字の4340億円のうち、3000憶円が消えて、残り1340億円やけどこれも実際どうなんよ?大阪自民党はこの計算式を公開しないといけない。4340億円のうち7割方、フェイクの数字なんだから検証する意味もないけどね。どういう理屈か知りたいから公開してください。あとなんで15年総額で計算してるのかもわからんので理由を教えやがれ下さい。家のローンが15年なんですか?マジ、わからん。

 

以上でこの稿を終わります。