維新が考える次の都構想はこれだ!
ということを推測してみます。
総合区めぐり公明が不快感 市長に /大阪 (毎日新聞2016年3月2日 地方版)
「総合区」設置の是非を住民投票で問いたいとする吉村洋文大阪市長に、公明党市議団の明石直樹幹事長は1日、「我々の意図するところとは全く違う」と不快感を示した。吉村市長と前日面談したことを明らかにし「総合区の検討も始まらないうち、方向性を打ち出すのはおかしい」とくぎを刺したという。
公明が導入を目指す総合区は、市を特別区に再編する大阪都構想と違い、政令市のまま行政区の権限を強める制度だ。吉村市長は都構想の修正案作りを担う「副首都推進局」で総合区も検討すると表明。さらに2月25日の会見で、特別区と総合区の賛否を同時に問う住民投票ができないか検討するとした。
同局の設置条例案は大阪維新の会と公明の賛成多数で1日可決されたが、明石幹事長は「賛成したのは総合区を議論するため」としている。【平川哲也】
(アンダバー・強調は粉屋)
上のニュースは毎日新聞の地方版に書かれていた内容です。ここでは公明党が総合区に関して不快感を示したという報道ですが、それはどうでもいいです。ここで重要なのは吉村市長が「特別区と総合区の賛否を同時に問う住民投票」を検討していることです。ここから維新の今後の都構想へのアプローチが見えてきます。前回の否決により、別のアプローチが必要なのかという思いがありました。それで私も住民投票に至るまでのアプローチを考えていました。しかしどれもメリットとデメリットを考えた時に満足できるのものではありませんでした。しかし、この特別区・総合区の同時住民投票(以下、同時住民投票)というアプローチは、非常に洗練された政治手法として素晴らしい案だと考えています。これを考えた政治家は天才です。
よって今回は私の考えを最初に3つ提示した後に、同時住民投票を維新がどう考えているかの私の推測を書いてみたいと思います。
A案 府全域での「政令指定都市の是非」住民投票+ 大阪市下で特別区設置住民投票
A案は府下全域で、大阪府下の自治体に政令市が必要かどうかを判断する諮問的な住民投票を行います。これの賛成を受けて、大阪市において前回と同様の特別区設置住民投票を行うというものです。これは最初の住民投票は大阪府民全体を対象にして、大阪市、堺市という政令市が大阪府において必要かどうかを判断する住民投票です。なぜこれが必要と私が考えているかは私の先の住民投票の総括をお読みください。
要約は、都構想が否決された理由の一つとして、私は都構想が住民から直接の賛成は得ていないからと考えています。大阪市長・府知事のW選挙の勝利により都構想の賛成を得たという維新の錯誤が、敗因の一つと考えています。あれはあくまで、特別区設置協定書の作成に対する賛意というのが私のスタンスです。よって、「政令指定都市の是非」住民投票という直接選挙により、都構想に対する住民の賛意を諮る。これが特別区設置住民投票における勝利のための必要条件だと考えています。私が提示している「政令指定都市の是非」自体は、維新の都構想に対する直接の判断ではありません。それは特別区設置住民投票で行います。そうではなく、現在の大阪府の自治制度が十分機能しているか?それを阻害しているのは政令指定都市制度ではないのか?という判断を住民に迫るのが、この「政令指定都市の是非」住民投票の意味になります。要するに大阪府と大阪市のそれぞれが広域行政権限を持っていることに対する是非を問うことになります。この住民投票が賛成多数になれば、大阪府において大阪市、堺市が政令指定都市として存在することはならんということになります。単純にいえば広域行政は大阪府に一元化しろ、ということです。よって、総務省、大阪府、大阪市、堺市はその大都市制度の変更を迫られる形になります。ここで維新の都構想による特別区設置の住民投票を行い、都構想を実践するというのがA案になります。
A案のメリット・デメリットを次に示します。
メリット:
1.府全域で「政令指定都市の是非」住民投票を行うことにより、都構想への賛意の地域毎のばらつきがわかる。大阪の都市制度は改革すべきという人の割合がはっきりわかるので、その後の都構想、特別区設置住民投票にも賛成の空気が醸成される。また都成立以降の特別区編入への障壁が下がることが期待できる。
2.特別区設置住民投票が都構想自体の否決という側面がなくなる。仮に否決されても、都構想自体には賛成という結果は得ているので、単純に特別区設置協定書の内容が悪いから否決と捉えれる。その場合、特別区設置協定書の内容を刷新して出直しという形になる。
3.「政令指定都市の是非」については賛意を得ているので、広域行政の府への一元化は争点にはならない。特別区設置住民投票の争点は、大阪市を特別区に再編することのみにできる。これにより、説明の労力が減り、住民投票時の住民への説明理解がより深まることが期待できる。
デメリット:
1.府全域で「政令指定都市の是非」住民投票を行うことにより、有権者が前回の住民投票より当然、拡大する。よって住民説明の労力、デマの拡散への対処のリソースが膨大になる。また住民投票にかかる費用も多額になる。
2.「政令指定都市の是非」住民投票で否決された場合、都構想自体が終焉する。
3.「政令指定都市の是非」住民投票が可決された場合も地域により反対が上回った地域では、特別区への編入が困難になる。
メリット・デメリットを整理するとデメリットが上回るのが今の私の判断です。特にデメリットの1については致命的かもしれないと考えています。メリット自体は非常に魅力的だとは考えているのですが、現実的にこれを実施するときの障壁の高さには躊躇を覚えます。
前回の特別区設置住民投票を二分して、二回に分けた住民投票をできないかと考えてみました。都構想は、二つの主題に分かれます。大阪市の広域行政権を大阪府に一元化するのが一つ目。二つ目は大阪市の基礎行政権を5つに分割する(大阪市を5つの特別区に再編)ことです。この二つが主題になっています。では、これをそれぞれ住民投票に掛ければいいのではないか?と言うのが目的になります。
まず、A案の大阪における「政令指定都市の是非」住民投票を行うかどうかはオプションとしておきます。まずこれをやって(もしくはやらずに)今回の2分する住民投票を行います。
住民投票をどう行うかですが、まず、広域権限の為の住民投票を行います。住民投票で問うことは「大阪市の政令市の停止」です。この住民投票で賛成多数になれば、大阪市は政令市を返上することになります。これにより、大阪府における広域行政権は一元化されます。次に特別区設置の住民投票を行い、賛成多数になれば都構想の実施になります。
B案のメリット・デメリットについて以下。
メリット:
1.住民投票を二回に分けることにより、1回あたりの住民投票の住民説明への労力が半減される。これにより、より深い理解を住民に伝えることができる。
2.最悪、2回目の特別区設置住民投票が否決されても、広域行政の一元化は達成される。府と市の二重行政の解消のみを目的とするなら有りかもしれない。
デメリット:
1.住民投票が二回行われるので周知期間を合わせても選挙期間が相当長くなる。
2.二回の住民投票を行うので、単純に選挙経費が二倍になる。
3.メリット2で書いたように1回目は可決、二回目の住民投票は否決という事態が出る。この場合、大阪市は政令市を返上して中核市になる。中核市になると大阪市は現在の24区の行政区としては持てない。(行政区は政令指定都市でのみ制定可能な行政区分)基礎自治体としても多くの権限が失われるので、相当な行政機構の変化が多くなる。本来、必要がない無駄でかつ後ろ向きな改革に金を使うのはバカらしい。立法してこの場合、政令市としての行政区を中核市に残すという法律なりを作れば回避できるかもしれない。が、正直、意味が無いものと考えている。
メリットとデメリットを並べてみましたが、B案に関しては純粋なメリットとして、住民投票に対する住民理解の深化以上のものは無いように思います。デメリットが大きすぎると判断しています。
C案 大阪市が政令市を返上
B案の亜種になります。C案は現在の特別区設置投票を行う形ではなく、都構想を別アプローチで実質的に成立をさせる方法の提示になります。
まず、大阪市が政令市を返上します。これは中核市が政令指定都市移行を行う手順の逆を行えばいいかと思います。政令指定都市が中核市になる例は未だ無いので、法的には無理がある面もあるかと思います。が、それは一旦横に置いて続けます。
熊本市が政令指定都市に移行した際の手順の逆を行います。
大阪市と大阪府で「中核市移行府市連絡会議」を立ち上げます。ここで協議をして、それを意見書に纏め、大阪市議会と大阪府議会でそれぞれ議会の承認を得ます。その政令市から中核市への移行の意見書を総務省に提出します。それに総務大臣の認可を出して、大阪市は府に政令市を返上します。これで二重行政の解消、広域行政の一元化は成立。これには住民投票は必要ありません。なぜかというと、大阪市民にとって損得がないからです。広域行政を大阪市がしようが、大阪府がしようが同じサービスを受けれるのが制度の前提だからです。そして実際に無い。仮にあればそれは現行の政令市のシステムがおかしな話になります。堺市が政令指定都市になったときも住民投票はありませんでした。堺市民が堺に住む大阪府民として、堺市民に係る広域行政権限を堺市に移行するだけの話ですからね。簡単にいえば大阪府の堺市に係る広域権限と財源をぱこっと外して堺市につけるのが政令市移行です。だから府と堺市の双方が同意したという意見書があれば政令市移行はOKになるわけです。
政令市を返上して中核市になった大阪市をどうするかですが、これは5つの中核市に分割します。大阪市が分割案を策定して、住民投票により決めます。政令市移行と違い、住民投票が必要なのは市民の財産を分割するからです。よってそこには住民による認証が必要になるので、住民投票が必須になります。これで一応、制度上は都構想もどきができます。C案は都構想と言いつつ、都にはなりません。しかし、広域の一元化と適切な規模の基礎行政自治体にはなれますので、都構想の目的とするところは達成できます。
これのメリット・デメリットですが、橋下さんが知事時代に都構想の研究のために作った大阪府自治制度研究会が取り纏めた都構想の原案・研究があります。ここに大阪市の分割案があるのでそれを引用します。
(大阪にふさわしい 新たな大都市制度を目指して ~大阪再編に向けた論点整理~ 大阪府自治制度研究会 最終とりまとめ P.37~)
メリットとしては、現行法の一部を改正位で出来るので、まあ楽と言えば楽なやり方です。デメリットとしては、大阪市から分割された各中核市間の財政格差が出ることですね。税収入も違いますから。北は黒字、南は赤字になりますし。赤字分は地方交付金で是正はされますが、黒字はそのまま中核市が持てるので(東京と同じ不交付団体)結局、日本全体でみた時はトータルコストで損になると思われます。現在、国から渡される地方交付金総額が増大にすることになるということです。大阪に住む人間の一人としてはメリットかも知れないとは思うものの全国的に見て不公平感はありますね。あとこれができるなら都構想はもうできてるよというのもありますので、個人的には?がついています。しかし、この観点から見ると大阪市でまとまってることって大阪市民としては損なんじゃなかろうか? 維新の議員さん辺りが、特別区五区案を中核市にしたときの地方交付金総額と現在額を比較して、どう違うのか?もしくは違わないのかを検証してほしいなぁ。素人じゃどうやったって無理だし。
話がちょっと逸れましたが以上が、私が考えたABC三案になります。どれもメリットデメリットがあり、私としてはA案がこの中では最良になると考えています。では次に維新が現在考えているのではないかと私が推定している案、I案について書いてみたいと思います。
では現在維新が考えていると思われる案について、私の推測を以下に書いていきます。
まず、これを書く前に大阪の公明党について書くことが本稿では必要条件なので、長くなりますが書きます。公明党は最近、方針を転換し、大阪における大阪維新の政策に協力的です。公明党が賛成に転換したので、副首都推進本部の推進局も設置が決まりました。他、統合案件などでも賛成に転じています。付け加えるのなら特別区設置協定書住民投票の時も公明党は表立っては中立で、自主投票に任せました。なぜでしょうか?理由は簡単で、松井知事・吉村大阪市長のW選挙に維新が勝ったからです。今回のW選挙で維新は勝ちましたが、政治状況としては変化はありません。橋下さんから吉村さんに大阪市長が変わっただけですから。しかし、公明は態度を変えた。これは何を指すのかというと、先の住民投票での否決は、大阪自民・共産をはじめとした反対勢力の集票能力に負けたわけではなかったということです。W選挙の結果を合わせて検討すると、その反対勢力の集票能力に疑問符が付いたということです。特別区住民投票の結果は僅差でした。この結果は、現在の大阪市民が正しく特別区設置協定書を判断した結果の否決であったということです。より具体にいうとW選挙の結果から反対勢力の集票能力があくまで限定的なものでしかなかったと、少なくとも公明党はそう判断したということです。つまり公明党は次の統一地方選挙において、大阪府議・大阪市議の選挙において維新が議会の過半数を単独で取る、ないし維新・公明で過半数以上を維持すると判断したと考えています。公明党というのは票読み、集票能力は非常に高い。しかしその票が限られる政党です。よって公明党が単独で議会を制することはありません。永遠の二番手以下が公明党です。彼らが議会に政治的な影響力を持つには、その集票能力により、その時の第一党に票で恩を売り、その見返りを求める事だけです。現在の国政の状況がまさにそれですね。よって、現在の大阪の公明党は完全に大阪自民を見限り、維新側についたというのが私の判断です。表立った発言・行動はしないでしょうけど。ただ次の統一地方選挙において維新が市議会・府議会で単独過半をとれば、公明は何の影響力を持てません。であるのならば、その前に恩を売っておくのが最上の戦略です。現在の公明党の維新の政策に対する賛意はこの行動原理を元に考えればよく見えてきます。ただ私は公明党は信用していません。実際、公明党も維新の政策に賛成しても注文は付けています。しかし公明党が維新に対して政治的影響力を保持しつつ、維新が過半をとれる勢いを維持し続けられれば、公明は賛成側に居続けるでしょう。以上の考えを踏まえて、公明は今後、維新の政策に賛成、ないし協力的であるという前提で以下を書いていきます。
現在、維新は総合区の検討について言明しています。理由としては、住民投票の否決を受けて、なお特別区のみの推進は維新の独断専横とみられる向きがあるからです。よって次の住民投票を目指す上で、大阪市の制度の現状維持ではなく、制度改革が必要と考える維新外の政党、対立軸が必要になります。 そこを公明党が総合区を掲げて担保しているのが大阪市の現在の政治状況です。公明党がそこを担保するのは先に挙げた理由からです。逆に大阪自民が総合区を提唱しても、実質的な制度設計に入らない理由は対立軸とならないようにしているためです。それにより都構想を推進させないためですね。単に無能で総合区の制度設計ができないからかもですが。
次の大阪市の制度改革案を維新が特別区、公明が総合区で争うわけです。しかし、総合区は大阪市、維新側でも検討されています。本来は公明が出す総合区案と維新の特別区案の対立になるはずです。しかし、双方の案を維新が策定する。ここがミソですね。維新が考える総合区案に公明が注文を付けることはあるでしょうし、あるでしょうが。
特別区案に関しては、前回の住民投票での特別区設置協定書から大きな変化はないと思います。区割りや区名の決定などのプロセスには細かな変更は必要でしょうが、その制度設計自体に大きな変更はないでしょう。それほど完成度は高かったからです。では総合区案をどうするかというと、実質的に都構想と同じ効果が得られる形にすると考えています。ではどうするのかというと都構想は基本的に二本立てで設計されています。大阪府と大阪市の広域行政の一元化と大阪市の特別区五区の再編成です。これを大阪市を残したまま実行すればいいんです。
橋下市政における大阪府・市の広域行政は、大阪府知事と大阪市長が参加する府市統合本部という形で便宜的に疑似一元化がされていました。知事と大阪市長が同意した広域政策を広域行政の司令塔として府市統合本部が機能し、その事務局である大都市局が大阪府及び大阪市の役所に指示を送っていました。これにより府市の広域行政の一元化が行われていました。自民党の国会議員さんも、現状で機能しているんだから都構想は必要がないと言ってた位に良い制度でした。であるのならば、この府市統合本部をさらに広域行政の一元化を進めた形で条例で定めます。そして府市統合本部Ver2として制度化するのです。橋下市政であった府市統合本部は、首長が定める規則によって成立していました。それは議会が定める条例で制定されていなかったので、存在としては不安定なものでした。首長が変われば廃止される可能性が有るんですね。よって議会が定める条例により、首長が変わっても府市の広域行政の一元化された体制が崩れないようにする事が目的となります。
維新を支持する人間としては一部二重行政を認めることになります。府市統合本部Ver2で作られた政策は、それぞれ府議会・大阪市議会での採決が必要になりますからね。ただそれは必要経費として認めることとします。この府市統合本部Ver2はその制度設計をする上でかなり困難が伴うと思います。現行で広域行政を限りなく現実的に統合するやり方になるので。ただ現行法の改正も必要はなく、制度設計の難易度が高いだけではあるので実現は可能だと考えています。
次に特別区五区の再編成、基礎行政にかかわる部分になります。これは単純に都構想における五区案を総合区案として導入します。大阪市の24の行政区は五つの総合区に再編します。総合区区長は選挙による公選、ないし準公選とします。また総合区区議会相当として、区常任委員会を設置します。この制度は総合区を設置する自治体に設置義務はありませんが、議会相当として検討はされています。この区常任委員会は総合区が管轄する選挙区の市会議員議員が議員相当として委員になります。総合区の権限は法改正も視野に入れて、特別区に渡される権限を全て移行させます。勿論それに伴う予算及び人員も全て大阪市から総合区に移管します。大阪市役所に残るのは都構想で大阪府に移管されるとした広域権限とその人員・予算、あと特別区間の財政調整だけにします。実質的に大阪市から基礎行政権限は取り外していまうということになります。
大阪市と府の広域行政は大阪府知事と大阪市長の2頭制にし、大阪市の基礎行政は五人の総合区長が担当する形になります。これにより実質的に都構想を導入した大阪都の形を実現することができます。私は維新が考える総合区案はこれだと思っています。
特別区案と総合区案で同時住民投票が行われ、仮に総合区案が大阪市民の賛成多数で可決されたとします。しかしこの案であれば、実質的に都構想が実現します。特別区案より経費はかかる形になりますが。人は現実のすべてが見えるわけではなく、多くの人は見たいと思う現実しか見ません。都構想が良い制度と考えても現行制度と比較し、躊躇をします。よって、都構想が実質的に導入された政治を見せ、理解させることが必要です。特別区案が否決されても、総合区案で大阪市が無理なく運営できる現実を見れば、それよりなおよい特別区制度への移行もスムーズにいけるようになります。3度目の特別区住民投票で、大阪都への移行はできるでしょう。
維新支持者からもこんなややこしい総合区案は必要がないという意見があるかもしれません。まあ実際、維新がこういう事を考えているかはわかりません。あくまで私の推測です。しかしこういう形の総合区案にしないと維新にとって何ら政治的メリットはありません。単に総合区が行政区の合区に過ぎないようなものを維新は求めません。維新が求めるのはあくまで都構想です。であるのならば総合区案もそれに近い形にしないと維新支持者、有権者に対する説明ができません。あと公明が受けんだろうっていう意見もあるかもしれん。しかし公明は五区案に対してごねるでしょうけど最終的には了承するでしょう。公明は比例が強いんです。だから5区案特別区(総合区)の大選挙区は公明にとっては議席伸ばせる選挙制度になります。公明は票割れをせずに票数を揃えれる政党ですから。だから先の特別区設置協定書も公明は議会で賛成をしたんです。特別区での選挙に勝てる公算が公明にはあったからです。公明が総合区案を初期から推進してたのも、合区前提だからです。選挙区が広がり、定員が増えるのは公明にとって大歓迎ですから。
この状況に持っていけば、維新の負けはありません。総合区案、特別区案のどちらを大阪市民が選択しても最終的に大阪都への移行になります。この状況を作るには公明の自主的な協力が必要です。しかし彼らがこの「リング」から降りることはありません。降りれば統一地方選挙後に何の政治的影響力も持てませんから。後は維新が出す総合区案と公明が出す総合区案で、どこまで維新案が押し通せるかです。最初に上げたニュースで公明党が不快感を示したのもその辺の牽制ですね。公明党としては次の統一地方選挙までに同時住民投票をやる必要があります。統一地方選挙後に維新が過半をとれば、総合区案なんて放り投げて、特別区案一本で維新はいきますから。維新としても首長の任期 もありますから、統一地方選挙まで同時住民投票を待つつもりはないでしょうし。そこいらを維新がうまくやってくれることを期待しつつ、本稿を終わりたいと思います。