前回の住民投票で維新が都構想の本を出さなかったことは敗因になるのか?
③ についての堀江氏の指摘。「本を出版していれば、大阪都構想の住民投票は成功していた」と言うもの。住民投票の広報・PR活動は原則制限が無い中、テレビ・ラジオ・ネット・紙媒体、そしてやはり有効だったのは、タウンミーティングと街頭活動等々であろう。
— 東国原英夫 (@higashi_kokuba) 2016年3月24日
橋下さんと堀江さんのテレビの対談で、堀江さんが「本を出版していれば、大阪都構想の住民投票は成功していた」と言ってたそうです。これに対して東さんが反論してるんだけど、これは東さんが間違いです。本の影響力というものを舐めすぎてる。
私はあの住民投票の時機に、都構想の制度を賛成の視点から語る本がなかったことは敗因の一つだと考えているからです。
大阪維新は2012年の8月に大阪維新とは何か?その政策、そして都構想についての解説本を出版しています。私はあの住民投票の時にこれと同じ形の本を出さなかったことは大阪維新の大失敗だと考えています。そして今もないことを懸念しています。あの大阪元市長、平松邦夫も住民投票の時機に本を出版しています。
例えば住民投票の時に都構想の制度の情報を求め、本屋に行ったとしましょう。自治体関連の本は大きな本屋にいかないとほとんどありません。そういった大型書店の自治体の棚がどういう状況だったか? 藤井先生をはじめとした都構想反対派が書いた本で書棚は埋まってたんです。賛成からの立場で書いた本なんて一冊あるかどうかです。だから中立的な人が都構想の本を求めた時、反対側からの情報しかありませんでした。賛成側からの意見を求めても賛成側からの本、例えば堺屋太一先生、上山信一先生、佐々木信夫先生の本などはほぼありません。またこの先生方が書いた本は都構想の理念や大阪の政治的な問題を書いた本であり、都構想の制度を直接的に解説した本ではありません。最近の上山先生の本で次の本があります。
この本は大阪における維新の改革や大阪の政治状況について書かれたもので、非常な良書です。都構想にも触れてますが、都構想の制度自体について深く切り込んだ本でありません。
翻って反対派の本を見てみましょう。
上のリンクは、アマゾンで「都構想」で検索した結果です。上のお三方を除けばほぼ全て反対の意見から書かれたものです。(関係ないのも含まれとりますが)
私が知ってる範囲で都構想に中立・賛成で書かれた本は10冊前後です。都構想の制度についてのみ書かれただけの反対側の本だけでも30冊か、それに近い数があります。逆に都構想の制度のみに絞った本で賛成側のものは0です。週刊誌レベルのものも入れれば反対側の本数は50を超えるでしょう。圧倒的に賛成側の情報量が足りないのが現在の状況です。
そこで維新側に提案したいのですが、今からでも遅くないので前回の都構想の制度に絞った詳しい本を出版するべきです。住民投票後の維新の住民投票意見交換会で浅田さんが「私が大阪府・大阪市特別区設置協議会の会長をしていたのを知っている人?」とアンケートをとってました。(大阪府・大阪市特別区設置協議会は、住民投票における特別区設置要諦所について話し合った協議会です。)まあほとんどおられません。であるのならば、協議会でどういった都構想の内容が話し合われたかを書くべきなんです。例えば、区割りはこの複数案からどうして決定案に決まったのか?特別区間の財政調整はなぜこの形を採用したのか?そしてそれらの制度について深く掘り下げた考えを本にて示すべきです。大阪市が全戸配布した都構想の制度について配ったパンフレットがありました。あれは概略として非常にまとまっており、判りやすい内容でした。しかしあれ以上の情報がなかったのが、住民投票における大阪市民の状態だったという認識を維新は持つべきです。
これがなぜ住民投票が終わった今でも必要かと考えてるかというと、住民投票では消極的な理由で反対した一定層がいるからです。反対派が言っていた「わからないなら反対を」ってやつですね。そういう一定層は自分の中にある都構想への疑問が解消できないから反対に票を入れたのです。であるのならばそれに対しての解答を維新は用意しなければなりません。今のうちにその「答え」を与える事により、消極的な反対をした層を賛成側にひっくり返しておくべきです。そして賛成票を入れた層の強化もするべきです。それが本という形での出版によらなくても、例えば維新のHPに掲載するとかでも構いません。そういう答えを用意することが、次の住民投票への大事な布石になると考えています。
あと大阪維新で「住民投票検証チーム」を作って、報告書を纏めたそうですがそれも開示するべきです。全ての情報を開示できないのならできる部分だけでもするべきです。意見交換会で検証チームの結果を聞きました。
「よく理解できなかった」
反対した人たちはそう考えたそうです。逆に言いますがそれを聞いたこちらとしても、検証結果として「よく理解できなかった」です。なぜそれが結論になったのかの道程が全く示されていませんから。前の住民投票での敗北を維新は総括して、それを支持者に示すべきです。でないと支持者もあの敗北をどう総括すべきか纏めようがありませんから。反対派が悪い、維新側も説明しきれなかったという理由だけ集めても仕方ないんです。どの点が「よく理解できなかった」のか?どこを問題にしてるのか?を大阪維新が分析して示してほしいと思います。
結局、維新支持者は維新が発信する情報に飢えているんです。そこを埋めて欲しいなという想いを最後に書いて、この稿を終わります。