粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大都市制度(特別区設置)協議会 第11回概要 ~ 協議会廃止の動議を出したよ、やっちゃったね花谷ちゃん回 ~

大都市制度(特別区設置)協議会(以下協議会)の第1回(平成29年6月27日)から最終回までの各回の議事録及び資料を纏めていきたいと思います。

 今回は11回目(平成30年5月28日)、「((1)副首都・大阪にふさわしい大都市制度≪特別区(素案)≫について(2)その他」になります。 内容は第10回に続いて第9回の事務局の特別区案についての委員側から事務局への質問回パート2になります。なる予定でしたが、自民さんの自爆動議が出てゴロっと変わりますw

大阪府/第11回大都市制度(特別区設置)協議会

 

今回は第9回の特別区素案の説明への委員側からの質問回でした。維新の委員の質問が終わった後に自民の花谷委員から動議が出るわけですが、それは維新の質問があるのでそれを先にやってから自民の動議について触れます。しかし大チョンボだよなぁ、自民の動議ってば。

 まず維新の徳田委員からの質問になります。徳田委員は特別区長、総合区長、行政区長の予算の権限について、それぞれ実施することになる事務の予算額で比較をするための質問をされました。結論としては以下になります。

 

裁量が及ばない義務的な事業費などを含めた予算の比較では、現行24行政区960億円に対して、総合区は1.3倍程度の1,250億、特別区は7.5倍強の9,370億円となるとのことです。つまりマネジメントできる金額、予算ともに現行の1.3倍程度が総合区の権限ということになります。特別区は7.5倍とのことでした。また、厳密な比較ではないですが、現行の24行政区長、総合区長、特別区長がマネジメントできる財源という意味では、当協議会でも、今日もこれまでも説明があったとおり、現行24行政区長の241億円に対して、総合区長が1.2倍、281億、特別区長は使途を特定しない一般財源という点では6,766億円がマネジメントできる財源と言え、特別区長は現行24行政区長の28倍、総合区長の24倍の財源をマネジメントできることになります。以上から、特別区長は制度上、より大きな権限を有します。総合区が現在の庁舎などを増やさずに行う1.3倍ほど一歩前進のそういう改革に対して、特別区長はより大きな権限を有して身近なところに予算を増やすという点で、特別区長の権限が、現行はもちろん、現行の1.2、3倍ほどの総合区とも比べ物にならない大きさであることを予算額で把握でき、ますます特別区の意義を確認して、具体的な設計が必要との思いを強くした

 

 特別区長、総合区長、行政区長の予算の権限について具体的な数字を出して、比較した結果、特別区長が一番いいねっていう結論ですね。

 

 次に特別区の区名称について質問されています。第1区の東西区ですが、維新は第一区の市民を対象に、4月下旬、2,500人以上を対象とした電話調査を行い、その結果、全体のうちトータルで7割以上が、淀川区が望ましいとの回答した。したがって、維新としての意見表明の場において、東西区という事務局の名称案を淀川区に変更するよう提案したいとのことでした。そのあと新庁舎建設に関するコスト低減、候補地調査を進めるべきという提案がありました。

 

 次に維新の横山委員です。ちょっと長いけどいい質問なので全文載せます。この「問い」こそが政治だと思います。

(横山)「広域機能の一元化について、特に大阪市が担っている広域機能に焦点を当てて順次ご質問いたします。
大阪市は、非常に充実した行財政の能力を生かして、鉄道や道路などの広域インフラ整備、観光振興や産業振興、大学や病院などの広域的な事務事業を実施することで、大阪の都市の発展を牽引してきたところは、誰もが認めるところだと思います。しかし、かつて府と市の連携不足により、本来であればもっと効果的に発揮できた大阪の強みを十分生かせなかったため、我々は都構想により制度的に広域機能を一元化し、大阪の成長を実現していきたいと主張しているところです。ただ、広域の一元化に伴い、権限と財源が府に奪われるであるとか、特別区の住民は税の二重負担になるといった批判的なご意見もあります。都構想は、統治機構改革、行政の仕組みの再編であり、税の納付先やサービスの提供主体は変わっても、住民に余分な負担を強いるようなものではありません。こういう観点で、確認も含めて、以下質問してまいります。
大阪市域では、大都市地域として、一般的な市町村とは異なる高度な行政需要が生まれ、同時に相当な税収があるからこそ大阪市は広域インフラ整備、観光振興や産業振興などの広域的な事務事業を行っていると思いますが、大阪市はどのような考え方で市域外にも効果が及ぶこのような広域的な事務事業を行っているのか、また関連して、大阪市の地域特性についてどのような認識を持っているのかあわせて伺います。」

(事務局)「大阪市の地域特性といたしまして、大阪市域は人口や企業が高度に集積しており、社会資本整備などの大都市特有の行政需要と税収が一体的に備わっている大都市地域というふうに認識しております。大阪市は、こうした地域特性の中で大都市地域における基礎自治体として、広域的な事務事業については市域の都市機能、都市魅力を高めることによって地域住民の利便性を向上させるとともに、市内の企業活動を活性化させる、こうしたことにより大阪市の発展を目指して取り組んでいるものでありまして、ひいては大阪全体の成長や安全安心にもつながるものと考えております。」

 

 続いて幾つか質問があるのですが

(横山)「府へ移管された広域事務に対して、特別区の区民が財政調整財源の形で税を負担することになり、これは税の二重負担になるとのご意見がありますが、こういったご意見に対してどのような認識でしょうか。お伺いします。」

(事務局)「現在、大阪府は府域全体、大阪市は市域全体の発展という観点から、それぞれの財政負担のもとで広域的な役割を担ってございます。特別区設置後は、この間ご議論されておりますビッグプロジェクトのように、市域の発展といった観点で大阪市が実施しております事業を大阪府に承継するとともに、これに対応して必要な財源を大阪府に配分するというのが今回の制度設計でございます。その際、事業の担い手が変わるものの、負担の観点などが変わるものではございませんので、二重に負担するということになるものではございません。納税者である大阪市民から見ましても、納税先は変わるものの、大阪市に対して負担しております税額と、特別区の区民として特別区及び大阪府に負担することとなる税額に変わりはございません。

 

 前回の最後の方に書いたことと重複するんですが、やはりこの点をもう少し掘り下げて欲しいんですよね。支出する税額に変わりがないことはわかるんですが。次の住民投票ではここが争点の一つになると私は考えています。

 

 というわけで本日の道化師、もとい汚役の花谷委員のご登場です。

花谷「現在、大阪府大阪市は2025年の国際博覧会の大阪誘致に向けて、国、経済界と連携し誘致活動を展開しています。知事、市長においても、地元開催都市の首長として、国内外でのプロモーション活動に取り組まれています。では、大阪万博が実現した場合、その開催に向けた準備事務について、大阪側の窓口は、会場候補地がある特別区、今、東西区という名前がありますけれども、そちらも担うことになるんですか。事務局にお伺いします。」

(事務局)「準備事務に係る地元自治体としての窓口は、特別区設置後は、基本的には大阪府へ一元化されるものと考えてございます。特別区は、会場候補地がある自治体といたしまして、府と連携し、誘致決定後の開催に向けた地域の機運醸成やホスト自治体としての役割を担い、万博の成功に向けて協力していくことになると考えてございます。」

 

この後、「大都市制度(特別区設置)協議会の廃止申入れに関する動議」が花谷委員の方から出されます。

 

 (花谷)「配付していただいてますけれども、今の答弁ですね、要は、特別区が設置されれば、大阪側の窓口は府に一元化されるという答弁でした。現在、大阪市政令市だからこそ万博誘致において府とともに大阪の窓口として活動できているということがわかりました。今市長は、知事と手分けをしてアフリカ諸国を初め各国へプロモーションされていますが知事ならともかく、大阪市の廃止を主張している市長が、その市での開催を働きかけているというのは自己矛盾です。廃止を主張されている市長から働きかけを受けても、何ら重みも感じないし、特別区が大阪側の窓口になり得ないというのであればなおさらです。大阪万博を実現するためには、知事も市長もさらにトップセールスを続け、私たち議員も超党派でサポートしていかないといけない中で、地元で、開催地の大阪市をなくすという再び市民を分断するような議論をしている場合ではありません。大阪万博を一致団結して実現させるためにも、不毛な議論はやめにして、法定協議会を廃止すべきと考えます。法定協議会の廃止を申し入れることを求めて、ここで動議を提出いたします。なお、この後、公明党さんと共産党さんの質疑もありますので、この動議は次回の法定協議会で採決をしていただいて結構ですので、よろしくお願いいたします。」

 

 何を言ってるのやらって感じなんですが。この辺の反論は吉村大阪市長や松井さんがされているので後に譲りますが、動議を出しておきながらなぜ次回の採決なのやら。しかも公明・共産の質疑があるから後でいいよ、って自分たちが出す動議の重みを考えてもおかしな理屈だと思います。「結構です」はないよな、結構って。

 で、その後動議の内容を読み上げるんですが気になる部分をピックアップします。

 大都市制度(特別区設置)協議会の廃止申入れに関する動議

 大阪市の廃止・分割を主張し続けるのであれば、市長が大阪市への万博誘致を呼びかけるというのは自己矛盾であり、市長にかわり、知事だけで元ミラノ市長のような活動を行わなければならないことにもなります。

 

 花谷さんの質問での事務局答弁に特別区の役割は「特別区は、会場候補地がある自治体といたしまして、府と連携し、誘致決定後の開催に向けた地域の機運醸成やホスト自治体としての役割を担い、万博の成功に向けて協力していくことになる」とあります。ホスト自治体=大阪市なんだから、今回のBIE総会での松井知事・吉村大阪市長の市長の役割を特別区長が担うだけだと思うけど。

 

 大阪市の廃止・分割や特別区の設置が不要であることは、前回の住民投票で決着済みであるとともに、住民投票後は我々自民党も協力して改革を進めてきた結果、特別区設置による財政効果も提示できなくなっています。

 

 これって都構想がいかに有効かって言ってるようなもんです。でさ、君ら大阪自民は前回 、財政効果なんてないって言ってたんじゃ・・・。どういう「特別区設置による財政効果」があったのか、それはどれぐらいの数字なのかをちょっと大阪自民に聞いてみたいねw

 

 その後、この動議に関して会長預かりにするという事で話は進みそうになったんですが(代表者会議でそういう感じの話になってたんでしょうけど)ここで松井知事・吉村大阪市長から「待った」が掛かります。

 

(今井会長)
この件に関しましては会長預かりとさせていただきます。
(松井委員)
会長、ちょっと。
(今井会長)
松井委員。
(松井委員)
これ、今日、今協議会がこの後まだ質問者が残る中で動議が出てきたので、これ動議ですから、次の協議会という時間稼ぎをするのではなくて、本来なら今すぐに採決を求めるのが筋だと思います。この後質問される方も、協議会の動議が通ればその人たちに失礼ですから。これ、一度ここではっきりさせていただきたい。動議が出たんですから採決をお願いしたいと思います。
(今井会長)
ほかご意見ございますか。
吉村委員。
(吉村委員)
今、僕がやってる万博誘致活動が自己矛盾かのように言われたので、ちょっと指摘させてもらいますけれども、今大阪市は広域事務をやってます。それで役割分担をやろうというのがこの特別区設置の目的。これが自己矛盾だというのであれば、今大阪市がやってる大学含めて全ての広域事務が僕がやってるから自己矛盾ということになる。そんなばかなことはありませんので、ちょっとここは撤回してもらいたいぐらいですけど、ただ、こうやって動議が提出されたわけですから、これは市長だけじゃなくて市議会に対してもそうですからね。市議会だってみんなで広域事務を今やってるわけです。それに対する否定にもつながりますから、こんなことされるようでは、この動議採決してもらいたいですね。

 

この後、公明の八重樫委員から「自民さんは質問の後でと言ってるので次回でええんちゃうの」というような発言がありますが、松井知事がこれに対して「八重樫委員のこれからの質問すら否定するような動議なんです。これはやっぱり質問者が全て終わったならまだしも、これから協議書の中身、設置するための中身の議論をしようと、そのための質問と答弁がこれから行われようとしてる前に、これはもう必要ないじゃないかという動議が出てるわけですから、これははっきりさせたほうがいいと思います。」と仰ってます。その通りで、なぜ質問者が居り、その質疑が終わってから次回の採決でいいというのなら、協議会の最後に自民は動議を出すのが最低限の筋です。最後に吉村大阪市長の次の発言で代表者会議に入り、協議会は休憩になりました。

 

(吉村)「これ動議を正式に提出されてるわけですのでね。不毛な議論だというふうに言ってるわけですから、代表者会議で決めるとしても、今自民さんが撤回されるんだったら別ですけれども、撤回されないのであれば、ちょっとここは中断して代表者会議をやって決めてくださいよ。やってることすら無意味だと言われてるわけですから。おかしい。」

 

代表者会議後に再開されました。

(今井会長)「それでは、休憩前に引き続き再開いたします。

 先ほどの代表者会議では、特にこの動議について持ち帰り、慎重に検討したいという強い声がございました。若干時間いただきたいという声が強くございましたので、次の機会、次の法定協を早急に開いて、その場での動議の件について採決を図りたいというふうなことで代表者会議は決まりました。この件について何かご意見ございますか。
松井委員。」

 

 「強い声」ねぇ。結局ね、大阪自民って何度も同じことをするんですよね。大阪会議でもそうだったし、大阪市会での地下鉄民営化でもそうです。大阪会議の時は条例を出したときにまさか維新が賛成するとは思ってなかっただろうし、地下鉄民営化の時も自民側が出した条件を一つを除いてすべて、吉村大阪市長が飲むとは考えてなかったでしょう。維新にカマシたらカマシ返されて逆アップされるっていうのをいい加減学べばいいのに、というか墓穴掘る癖は直した方がいいと思います、大阪自民は。結局、この動議を出したのも、「仕事してまっせ」的な所も大きいんだと思うんですよね。アピールのためっていう部分が多いわけですよ。そういう姑息な目的で適当な手段をとるからいつも維新に逆手に取られてるわけですが。

 で、その後の流れとしては松井知事から「動議は本来は、一番最初に審議して態度を決めるということが一般的な議会の運営の規則」「だから動議を、次回採決するなら動議を取り下げるか、動議の採決するのが当然」という意見が出されます。それに対して花谷委員はごにょごにょ意見を言ってますが、維新の横山委員から「今日採決されないのであれば、今日は取り下げるべき」という提案に対して会長が「他に意見は?」と言っても花谷委員は何も言わんと地蔵に。その後、会長のまとめとしては、

 

(今井会長)「ほかどうですか。
このまま硬直した状態になりますので、この件については代表者会議で方向性をとにもかくにも先ほどまで議論しましたので、その方向で取扱いさせていただきたいと、そう思います。ただ、先ほど横山委員からもありましたけど、本来的には、動議が出されるということは、本当は即座に、あるいは速やかにその可否を決めるということが本筋だというふうなご意見もあります。したがって、次の法定協を早急に、この件に関して早急に開くということで各会派のご意見、態度表明が必要だと、若干時間が欲しいということのご意見ございましたので、それを踏まえまして早急に次の日程を決定していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、いいですか。
吉村委員。
(吉村委員)この後、質疑をこのまま続けるということなんですか。
(今井会長)そういうことです。
(吉村委員)じゃあ動議を提出します。今回のこの動議自体がそもそも議論を続ける意味がなくて、これはもうやめるべきだという議論ですので、この動議が出された後に、さらにそれを前提とした質疑を続けること自体おかしいと思いますから、まずその結論が出ない限りはやらないという動議を提出します。

 

 この返しこそ、吉村さんの本領だなぁ。

「自民の動議についての採決がされない間は質疑を続けるべきではないという動議」

 筋は曲げない。やるいうんやったらやろうや、的な。こういう返しは私は本当に好きですw

 

 で、この吉村さんの動議の後、代表者会議が再び開かれ休憩。再開後に吉村さんの動議に対して「異議なし」となり、会長の方から「次回の日程についてはできるだけ早急に調整いたしたい」ということで協議会は閉会になりました。

 

 今回の感想を書くと一言で、大阪自民は動議を出すことだけが目的なんですよ、本当に。誰に対してのアピールなのか知りませんが。まあ本当に採決を取れば、勝てると思ってた可能性もありますけど。その場合は次回の結果を見ても公明さんに梯子を外されたってことになりますが。結局、選挙とかね、住民投票の時に「我々、自民は協議会廃止の動議を出した。なのに維新はフジコフジコ」って言いたいだけなんですよね。でもまぁ、自民側にも焦りはあると思うんです。住民投票が延期をされて、自民側に万博やIRが維新の追い風になるという認識があるんでしょう。であるのならば延期は正解だったってことです。普通に考えて自民がこの局面で動議を出す政治的な理由はありません。今まで通り、普通にぼーっと座ってるだけの方が維新にとってはダメージがでかいですから。動いてくれてありがとうってとこです、大阪自民に対して思うことは。まあこの後、協議会の流れがどうなるかはわかりませんが、松井知事・吉村大阪市長の政治家としての力量が試される局面であるのは確かです。

 

以上で終わります。