大都市制度(特別区設置)協議会(以下協議会)の第1回(平成29年6月27日)から最終回(は、まだですけども)までの各回の議事録及び資料を纏めていきたいと思います。
今回は9回目(平成30年4月6日)、「(1)副首都・大阪にふさわしい大都市制度について(2)その他」になります。 内容は協議会事務局から特別区(素案)に関する修正案の報告、総合区案の報告がありました。
会議の冒頭で、協議会の事務局から、区名案及び町名案についての説明がありました。
①特別区の名称は、方角・位置を基本としつつ、区域を包括し、簡潔でわかりやすい名称案とする考え方で案を作った。
②具体的には、現在の住居表記が大阪城を中心としていることから、大阪城を中心とした方角・位置を示すものとした。
③特別区の名称案として第一区から順に東西区、第二区が北区、第三区中央区、第四区南区という事務局案になった。
ということです。具体的な特別区名については腐るほど書いたので、まあ割愛します。
次に町名ですが、
①現在の行政区の名称は、地域の歴史などを踏まえ長年使用されてきたものであり、住民にとって愛着があることから、その取扱いには十分配慮する必要があり、一定のルールに基づいて町名に反映する
②新たに設置する特別区の名称と現在の町名の間に、現在の行政区名を挿入することを原則とする
③例外1 北区・中央区については現在の行政区名と同一となることから、西区については方位と混同されやすいことから、現在の行政区名を挿入しない
例)北区 池田町→北区 「北」池田町→北区 「方角と混同しやすいので無し」池田町
例外2 行政区名と町名が連続する場合は、現在の行政区名を挿入しない
例)住之江区 住之江→中央区 「住之江」住之江→中央区 住之江
という感じですね。まあ方角が付くとわかりにくいですし、同じ名前が町名に続くのもわかりにくい話です。
続いて特別区の本庁舎をどうするかですが、
① 市が現在保有している庁舎の活用を前提として、既存の大阪市本庁舎及び現在の24区役所を候補とすること
② 新庁舎の整備については、民間ビルの賃借や、新たに建設するといった手法も含めて、設置準備期間に検討する
④ それ以外の区は現在の区役所庁舎に点数をつけて選定
第一区(此花区・港区・西淀川区・淀川区・東淀川区) 淀川区役所
第二区(北区・都島区・福島区・東成区・旭区・城東区・鶴見区) 大阪市役所本庁舎
第三区(中央区・西区・大正区・浪速区・住之江区・住吉区・西成区) 西成区役所
第四区(天王寺区・生野区・阿倍野区・東住吉区・平野区) 阿倍野区役所
まあ妥当な感じですね。前回の五区案の庁舎は
北区(都島区、北区、淀川区、東淀川区、福島区) 大阪市役所本庁舎
南区(平野区、阿倍野区、住吉区、東住吉区、住之江区(咲洲・南港地域除く)) 阿倍野区役所
中央区(の西成区、中央区、西区、天王寺区、浪速区) 西成区役所
資料1 大阪における大都市制度の制度設計案 P.27~ と 副首都・大阪にふさわしい大都市制度《特別区(素案)》(追加資料) 2 特別区本庁舎の位置)
上の表は前回の協議会の第15回目の資料と今回の資料での各行政区の庁舎の採点結果をまとめた表になります。空欄があるのは市役所本庁舎と同じ特別区区割りになってるところは点数出しが行われていない(公表されてない?)ためです。まあ点数を眺めてると何となく面白い。この点数自体は前の5区と今回の四区での人口重心の違いや採点方法の違いからも(その特別区での人口重心とかもあるので)点数自体のいい悪いはあまり意味はありませんが、まあそれでも何となく面白く感じます。西成の点数の上がり方とかすごいですね。
採点方法は
①人口重心 からの距離
②現区役所間公共交通利用所要時間
③他地域からの来訪者数
この3項目で、前回と今回は同じ形で評価しています。ただ点数のつけ方は今回はかなり細かいつけ方をしていますね。前回はその特別区に5区あったとしたら上から5点、4点、・・・、1点みたいな乱暴なつけ方をしてましたが、今回は一番上を5点とするのは同じですがそれぞれの実数に従って配分するような形で、きめ細かい評価方法を取っていますね。まあ③他地域の来訪者数が前回と同じなのはしょうがないかな。
次に特別区の選挙区の話になるわけですが、
① 特別区の全部を一つの選挙として選挙を行うことが原則
② 但し、大都市地域における特別区の設置に関する法律施行令では、特別区設置協定書に選挙区及び各選挙区の議員定数を定めることができる規定があうので、特別区に複数の選挙区を設けることも可能
①が基本的には原則になります。②のような形で市町村内に複数の選挙区を持つ例というのは全国的に少数(群馬県高崎市・福岡県飯塚市など:市町村合併における特例的な措置として、合併後初の選挙のみ旧市町村を選挙区と設定。 北海道伊達市:飛び地などの地理的な事情により恒久的に複数選挙区を設定)し。ただこの②が案外、都構想の住民投票において重要なファクターになるかもしれないので私は注目をしています。現在の都構想に反対する議員の多くは私見ですが、この選挙区が変わる事が反対する私的な理由の一つだと思っています。特別区になると現在の選挙区である行政区が複数で合わさるので単純に選挙区が数倍の広さになるわけです。当然、選挙費用もかかるようになります。選挙ビラなども数倍を配らなければならなくなりますから、印刷費等も数倍になります。しかも特別区の議員になると報酬も現在の大阪市会議員の3割減になります(まあ予定ですが。ここも重要なポイントですね)広域・基礎行政権限を大阪市が持ち、その議会の議員であるから現在の大阪市会議員が大阪一の報酬です。基礎行政のみの特別区になれば、広域分の報酬減は当然です。仕事がその分、なくなるわけですからね。
話は進んで議員定数と議員報酬の話になるわけですが、ここで事務局は3つのパターンと参考1つの4案を提示しています。
① 近隣中核市である豊中市、高槻市、枚方市、東大阪市、尼崎市、西宮市、この6市の平均を基礎とした議員定数
② 全国の中核市の中で議員一人当たりの人口が1万4,438人と最大である八
王子市をモデルに試算
③ 東京特別区の中で議員一人当たりの人口が1万8,067人と最大である
世田谷区をモデルに試算
前回の資料とこの辺の数字はあまり変わりませんね。前回は近隣5市と比較していたのですが、この時は豊中、高槻、東大阪、尼崎、西宮市の5つです。今回は豊中市、高槻市、枚方市、東大阪市、尼崎市、西宮市の6つで数字を出していますね。枚方市を今回は加えて数字を出しています。前回の法定協である「大阪府・大阪市特別区設置協議会」の第1回が平成25年2月27日で、枚方市が特例市から中核市へ移行したのが、平成 26 年4月だから前回は入れてなかったんでしょう。
(上記は前回のもの。資料リンク先は先に挙げた15回と同様)
次は大阪府と特別区の事務分担の修正です。前回の第8回協議会で、府と特別区の事務分担について変更の報告がありました。これは国との調整(協議)により変えた項目と検討中だったものが確定した点の2点を踏まえ、事務分担(案)を変更。したということになります。区割り案は決定された試案B(4区B案)を基に修正を行ったという事になります。
続いて中身の方ですが、河川事業の一部の事務分担(案)が特別区から大阪府に変更したので、その分の特別区の職員数が50人減少。大阪府から特別区への移管職員が30人減ったためですね。それに伴い大阪市から大阪府への移管職員数は10人増加と。大きな修正点ではありませんね。財産・債務についての河川事業関連の変化は以下。
財産・債務についてですが、第8回での水道事業及び工業用水道事業の事務分担が大阪府に決定決定されたのを受けて変更されてますね。変更項目としては公営企業(4会計)(⾃動⾞運送事業(バス)、高速鉄道事業(地下鉄)、水道事業、工業用水道事業)です。府に決定した理由としては第8回の資料から引用すると
・これまで大阪市水道事業が培ってきた大規模事業体としてのノウハウ等の活用
・大阪市域を含めた広域水道の基盤強化
・国において都道府県の役割強化に向けた水道法改正を予定
というところです。工業用水道事業に関しては「水道事業と一体的に事業を実施していることから、水道事業とともに、大阪府の事務として整理」ということです。変更されたものが以下になります。
金額的には大きな額ですが、水道の府への一元化は既定路線ですから単純に数字の修正というところです。他には河川事業の一部変更に伴い、財政調整財源が「修正前の特別区79.2%、大阪府20.8%から、修正後は特別区79.0%、大阪府21.0%へ変更」となっていますが、事業が特別区から府へ移ったのでこれも変更点として意味はないです。同様に特別区側の職員数減少に伴い、特別区設置によるイニシャルコストや庁舎設置などで微減などがありますが、割愛します。
「大規模プロジェクトに係る財政的な影響について」ということですが、特別区が設置されるまでの大規模プロジェクトにより、府と特別区の財政調整に影響が出ないか?という点をシュミレーションをしたものです。事務局の結論としては、
「特別区・大阪府の通常の役割分担における歳出の変動には、配分される財源と自主財源をマネジメントしながら対応することが基本とした上で、幅を持って見る必要があるものの、現時点の試算では大規模プロジェクトが大阪府の収支に多大な影響を及ぼすとまでは言えない状況であり、大阪府と特別区の財政調整の配分割合は変更しないことを基本とすべき」
という立ち位置ですね。個人的にはその通りと考えています。
以上で事務局(役所)側の説明は終わり、協議会委員からの質問に移りました。
冒頭、河﨑委員の方から「今日示されたのは案ということなので、区名にしても今後の議論で変えることは可能かどうか」という質問がありました。これに対して、吉村大阪市長は「行政案として今回特別区の名称も含めて提案した。最終的に決定するのはこの法定協議会なので、特別区の名称も含めてここで議論して決定」ってことでお答えしてます。
他に質問がないこともあり、事務局からの総合区についての説明がありました。総合区の説明自体は協議会の最初の方でもしてるのですが、それに様々な追加修正を加えて副首都推進局として成文化したものの説明になります。個人的に総合区にも興味は持って居ますが、ここであまり詳しく書いても記事の趣旨から逸れそうなので割愛します。個人的な興味を持った点をいくつか書こうかとも思ったのですが、成文化した、以上のものにも読めなかったので。
以上で終わります。