粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大都市制度(特別区設置)協議会 第4回概要 ~特別区設置のコストと財政シミュレーション~

大都市制度(特別区設置)協議会(以下協議会)の第1回(平成29年6月27日)から最終回(は、まだですけども)までの各回の議事録及び資料を纏めていきたいと思います。

 今回は4回目(平成29年11月9日)、「(1)副首都・大阪にふさわしい大都市制度≪特別区(素案)≫ ・特別区設置に伴うコストについて (2)財政シミュレーションについて」になります。 

 大阪府/第4回大都市制度(特別区設置)協議会

 

 委員からの意見は辻淳子委員(維新)からありました。

 

(辻(淳)委員)
ご説明ありがとうございました。今説明をいただきました資料の中の財政シミュレーション、17ページからの改革の効果額なんですけれども、これは市長と知事が緊密に連携をとってこられた結果の、生まれた効果だと思います。でもそれは都構想効果のほんの一部にすぎないというふうに思ってます。数字で例えば分かりやすく示す、そういうことも含めまして、本来の制度改革がめざす効果の本質、これが住民の皆さんに正しく伝わるような、そういう必要があるのではないかと思います。

(松井委員)
今、辻委員からいろいろ話がありました。要は広域の行政が、これまでの大阪は府市それぞればらばらだったと。でも、橋下市長が就任をされ、僕と今吉村市長とで、これが一元化になってさまざまな広域の新しい事業、これがやれることになりました。今は人によって成り立ってるわけですけど、これを制度化しようというのが今回の大都市制度を変えるという大きな意義ですから、今辻委員が言われたような、そのような効果が数値化できるのかどうか。これを数値化しようと思うと、なかなか、学者の先生だとか有識者の皆さんに数値化方法も含めて対応していただかなければなかなかできませんので、それができるかどうかということを関係部局に指示しまして検討させてもらいます。

 

 辻委員の質問現行の府市連携での効果を数値化して示せないかってことですね。それに対して松井知事は数値化方法も検討するよってところです。

 

 ・・・バレット (@Barrettm95sp) | Twitterさん、雇えばええんじゃないかな。

 

  まず特別区設置に伴うコストについて見ていきたいと思います。使う資料は以下の二つです。

4.財政調整(案)(前回) 

資料1 (追加資料)特別区設置に伴うコスト(今回)

 

① 特別区導入コスト

f:id:pankoya:20180311122916p:plain

特別区移行に伴うイニシャルコスト(導入費用)は4区案で302~561億円。6区案で346~768億円。ランニングコスト増が4区案で39~48億円/年、6区案で52~62億円/年の増加が見込まれるってところですね。前回の5区案でイニシャルコストが300~470億円。ランニングコストが60~90億円/年ってところです。現状4区案Bで決まりのようなので、今回の4区案Bと5区案で比較してもちょっとイニシャルコストが割高になってますね。

 イニシャルコストの内訳をみていくと「システム改修費」が前回は約160~330億円。今回は182億円となってますね。大幅に下がってるようにも見えるんですが、これは前回の160億円は今の大阪市の基幹システムを改修して5つの特別区で共用するという形で160億円ということですね。5つの特別区でそれぞれ独立させたシステムにした場合は、330億円かかると。よって今回の182億円は大阪市の基幹システムを改修して使うということで増えてはいるものの、まあまあ範囲内かなと思います。「庁舎整備経費」が今回は建設案で359億円。これは新庁舎を立てた場合ですね。賃借案では109億円。これは民間ビルなどを借りてそこを庁舎にするってことです。前回の庁舎整備費は125億円でこれは賃借案でした。なので今回の109億円と比べると若干今回は経費を下げた形になってますね。システム改修+庁舎整備経費の前回トータルが160+125=285憶円。今回が182+109=291憶円。この辺でトータルでは変わりません、って感じにしてるみたいですね。

 

~ 全然閑話でない閑話休題 「区名問題」 ~

 この回に関係ないですが、区名問題について書きます。区名は次の回でも引き続き書きますが、ここでは「特別区成立以降に区名は住民、ないし特別区長(議会)が望めば変更できる」ってことについて書きます。こういう説明を前回でも橋下さんや今回は松井さんも説明してるようです。でもはっきり言います。これは嘘です。嘘が言い過ぎなら本当ではありません。現実的に無理だもの。もしやるのなら住民が署名するなり、特別区長がそれを公約に掲げて当選すればできるでしょう。そう、できることはできる。でも誰がするんですか?そんなこと。特別区移行後、1か月で区名変更とかできると思いますか?単純に役所内の経費だけでも膨大ですよ。看板から名刺、書類に至るまで全部やり直しになるんですよ?そしてここで上げたシステム改修。特別区のシステムは大阪市のシステムを改修して使う予定です。私はこういうシステムを専門にはしていませんが、区名変更のようなシステム全体にかかわるような変更は相当大変だと思っています。他の3区も連動して使ってるシステムを大規模に変更するんですから、他の3区との折衝だけで相当大変ですし、補償も大変です。だって移行時はシステム止めないといけないし、新システム移行後に問題ないかのチェックも業者はもちろん、役所の人間もでてこないといけませんからね。で、今回、特別区移行での改修費は182億円の試算ですが、1/10でも20億近くかかるわけです。5%としても10億。ほかに先ほど言った役所内の事務類の名称変更やら、看板変更。億単位です。そして民間の住所変更。そら何十年かに一回ならみんなも不承不承でもやるでしょうが、変更して数か月、数年で変えられたらたまったもんじゃありません。特別区域外も全部住所変更しないといけません。そして民間でのそういった経費はいくらになるか見当もつきません。

 そういった困難を乗り越えて、区名に異議のある区は何十年か後には区名の変更はできるでしょう。それはどこの市町村でもやってます。でもそれをさして、「特別区移行後に変更できる」ってのはやっぱり嘘ですよ、本当に。「東西区」私のツイッターのTL内では大不評だし、私も大批判をしています。当たり前だけど、何も考えてなさすぎです、これ。前の湾岸区は不評だったのは湾岸区域の一部だし、中にはいいねと思う人もいたでしょう。そして湾岸区区域以外でそれほどこれが不評だったとも聞きません。でも今回の東西区は大阪市中で不評が出ますよ。だってなんも維新は考えてないと思われるもの、この東西区。「10秒で考えたん?」って言われますよ。まあ東西区を考えた人たちは色々考えてると思いますよ、時間をかけてね。でもダメです。センスなさすぎ。結局、区名って色々な物を内包(住民不安のはけ口、もっとも単純な反対理由、郷土愛他諸々)してますが、単純に言えばこれは都構想という品物の包装紙みたいなもんなんです。包装紙の良し悪しで中身を判断するなっていう意見はあるでしょうが、やはり包装紙、というか見かけというのは大事ですよ。この場合の見かけというのは考えた形跡であり、時間です。東西区にそれを感じられるかというと感じられないもの、本当に。で、東西区という名を聞いたときにそういった時間を使って考えたようには思われない。イコール、「維新って都構想の中身について本当に考えてるの?」って思われるんです。だから私は東西区に大反対です。これ一つで住民投票で10ポイントは賛成票が下がると思ってますから。でもあの4つの区名で今回の住民投票は戦うことになるでしょう。特別区設置協定書は仮称での区名は受け付けませんから、今までの協議会からの流れからしてそうなります。維新が賛成して、公明は保留、自民・共産反対で維新のみの賛成多数であの区名で本決まりです。次の協議会で決まるんだから時間はない。だからあの区名に不安を覚える人は早々に反対のメールなりなんなりで意思を表明した方がいいですよ、本当に。勝てるわけがない。 

 というか大阪市域の特別区名に東西南北を使う理由がわからないんですが、私は。大阪府大阪市は中心に位置しています。そして最終的に大阪市の周辺市は最低限特別区になると私は考えています。大阪市単体で考えれば4つの特別区に東西南北を使う合理的な理由もあるでしょうが、大阪府全体で考えた時、大阪府の中央に位置する4つの特別区に東西南北を使うのはナンセンスです。だって中央にあるんだから、大阪府の。だから大阪「市」ではなく大阪「府」のどこに位置しているかで特別区名はつけるべきです。東西南北をつけるのならね。これ以上は長くなり過ぎなんで次に譲りますが(まだ書くことがあるのかw)正味、区名については維新はもっと考えて行動してほしい。まあ区名報道自体が何かの仕掛けであるのかもしれませんけども。実のところ、そうであってほしいなぁ、と思う粉屋ではあります。

 

② 特別区ランニングコスト 

f:id:pankoya:20180311132401p:plain

前回

f:id:pankoya:20180311132439p:plain

今回

ランニングコストの内訳をみると今回のコスト計算はかなり詳細にやれてますね。まあ一回、住民投票の本番があったわけでより精査できるってことで当たり前ですね。前回よりかなり安く(2割以上)は上げれそうな感じです。

 

③ 府市再編による効果

 次に都構想反対派大好き、府市再編による効果(AB項目関連の効果見込額)です。都構想によってこれだけ効果額が出るよってやつですね、と行きたいところですが、基本的に載せているのは特別区の長期財政の予想とかです。まあこれは成り立つから個人的に興味はありません。成り立たなければ案としては纏まってませんから。

資料2-1 財政シミュレーション(一般財源ベース)

 

f:id:pankoya:20180311141335p:plain

f:id:pankoya:20180311141344p:plain

f:id:pankoya:20180311141351p:plain

 辻委員が意見として挙げていた部分ですね。これらのAB項目の改革分で住民投票からこっちの吉村・松井体制での府市連携でかなりそのうちの効果額を達成してますよって感じの資料になってます。こういった資料をさらに広範に纏めて、実際のところ、これらの改革をやっていなかった場合の大阪府市の損失額や住民投票が前回可決されていれば、これらの改革の効果額にどれだけ上乗せができたのかとかは個人的に興味があるところです。

 

では今回は以上で終わります。