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粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

民主党・維新の党 合併の表と裏を考えてみた

 

 今回は民主党維新の党の合流について書いてみたいと思います。

 

 2月26日に3月の合流で民主党維新の党の合流が正式合意が行われました。

www.yomiuri.co.jp

 民主党の岡田代表と維新の党の松野代表は26日、国会内で党首会談を行い、3月に両党が合流することで正式に合意した。

 衆参両院で計150人規模となる。両党は新たな党名や綱領の検討に着手する一方、夏の参院選に向けて他の野党にも合流を呼びかけ、野党勢力の結集を図る。

 民主党を存続政党とし、維新は解党手続きを経て合流する。同時に民主党議員も大半がいったん離党し、新たな名称の民主党に再入党する。合流後の代表は岡田氏が引き続き務める。

 

 上記のような形で民主党が新党を作って党名も変更して、そこに維新の党も入って合併すると。野合だなんだ、民主党に議員一人だけ残して100億持ち逃げとか話題になっています。

 今回の合併がどういう風に行われるのかを考えてみたいと思います。そこから民主党が、如何に今回の合併でリスクをとらずに戦おうとしているのかを書きたいと考えています。(私の理解している範囲で以下書きますので、間違いがあればご指摘お願いいたします)

 

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 報道の方では上のような感じで新党への流れが説明されています。現民主党に一人を残して、新党へ残りの民主議員が移動、維新の党が解散して新党へ合流という感じですね。で、この1人議員が残って管理する現民主党に100億残すって、なんだこりゃ?というのが現状です。なんでこんなめんどくさいことをしているんでしょうか?もっと簡単な方法もあります。今回のように民主と維新の二つの政党が合併・分割するパターンは、次の4つがあります。

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総務省|VIII 政党の解散、合併、分割等

 今回、報道されている合併の方法は2番目の「存続合併」の亜種になりますね。本来でいえば、最初の「新設合併」にするべきです。これが一番わかりやすいですから。民主党維新の党がそれぞれ解散して、新しい新党(以下、新民主党)を結成する。なぜこれが今回出来ないのか?

 この4パターンで今回の合併方法を説明すると、現民主党から新民主党が「分派」して現民主党から「独立」します。で、この新民主党維新の党が解散して「存続合併」して合流することになります。これで何か意味があるんでしょうか?手続き的には非常に煩雑です。でもこれで得られるメリットは民主党にはあります。

 

 維新の党の分裂騒動はご記憶に新しいと思います。すったもんだして2015年12月8日におおさか維新の会と維新の党は次の合意をします。

  

維新合意事項・骨子
 1、執行部側と大阪系は野党再編に互いに協力
 1、維新の党は円満解散
 1、維新の党は野党再編時まで現党名の使用を継続
 1、必要経費の清算後、政党交付金の残金を全て国庫に返納
 1、一般党員から集めた党費は全て返還

 

 上の処理が終わってないんですね、維新の党は。実際、2016年度の政党交付金の支給は次のようになっています。

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政党助成法に基づく政党の届出(平成28年1月1日現在)の概要

 上の表は政党助成法に基づく政党の届け出の今年度版です。ここで維新の党には得票数の明記がありますが、維新の党から分裂した「おおさか維新の会」と「改革結集の会」は「-」になっています。政党交付金はその政党の得票数により、交付額が算出されます。

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総務省|IV 政党交付金の額の算定と交付手続

 よって、この状態であれば「おおさか維新の会」と「改革結集の会」には今年度の政党交付金は支出されず、維新の党にその全てが行くことになります(勿論、実際支給される段では何らかの手を打つ、もしくは合意形成が成されていると思いますが)要するに維新の党は「清算」がされていないので財政的なリスクがあります。こういったリスク回避の面でも新党で合併はリスク軽減になります。例えば負債もってこられたりとかしても「民主党の本体」には傷がつきません。また合併後に分裂とかもあるかもしれませんからね。野党の結集を民主党は新党で目指すそうです。有象無象の野党を入れる袋としては新党を立ててそこに放り込むのは、民主党としては悪くありません。これなら民主党の財政リスクは短期的にはありませんから。

 民主党の支部などの問題もあると言う報道もあります。確かに今年の夏には参議院選挙が控えていますし、そういった混乱を避けるために現民主党を1人党として支部共々温存するのは一分の理はあります。(でもそれなら合併するなよというそもそも論になりますが。)しかし分裂後の維新の党も支部数はかなりあります。合併すればその支部は新民主党の所属になりますから、支部云々は理由にはならないはずなんですけどね。結局、野党の結集を民主党は叫ぶものの、民主党の勢力をそのまま温存する事を優先しています。合流するほかの野党に干渉されないように民主党本体を隔離してるんですよね、これ。他には現民主党で党名変更をして維新との合併だと、「看板のつけ替え」って言われるのが嫌だというのもあるでしょう。よって新党を作って、民主党リセットという意味もあるとは思います。(意味があるとは思えないけど)結局、今回の1人党で現民主党を温存するというのは民主党にとってはメリットがありますが、本当の意味での合併することに対する民主党の覚悟・本気度というものはないと考えます。安全地帯を作って、リスクを負わずにやろうとしているという風にしか見えません。

 

 では、政党交付金に絞って改めて、今回の民主党の合併劇を見てみましょう。合併手順は前述した通り、次の二段階です。

 

 ① 民主党から新民主党が「分派」して現民主党から「独立」

 ② 新民主党維新の党が解散して「存続合併」

 

 ①の段階では、現民主党から新民主党が「分派」するので、本年度の国から新民主党への政党交付金の支出は「0」になります。一切、政党交付金は新民主党へは支給されません。

 「0」です。

 

 なぜこういうことになるかというとA党で立候補して選挙後にすぐにB党へ移る議員が出るのを予防するためです。例えば自民党で当選してすぐに民主党に移られたら、自民党は選挙費用・議員の数など丸損になります。特に比例で選出された議員は移籍自体を法律で、できにくいようにされています。

 

 説明を続けます。②の段階で維新の党と存続合併をします。この場合、維新の党に所属する議員の得票数を分裂前の得票数から按分しただけの政党交付金が国から新民主党に支給されます。(維新の党解散後は「おおさか維新の会」と「改革結集の会」にもそれぞれ按分されて入ることになります。)昨年度の維新の党の政党交付金総額が26億円ちょいなので、概算で議員数から考えると半分の13億円程度が入ることになると思います(所属議員の得票数により変わるので多少の増減をします)この13億円が新民主党政党交付金の年間総額になるでしょう。えっ?と思われるかもしれません。昨年度の民主党への年間政党交付金総額は76億円オーバーもあります。このお金がどこに行くかというと1人党になる現民主党にそのまま入ります。そう、たった一人の現民主党に76億円が入ります。「分割」であれば現民主党、新民主党に議員の得票数に応じて今年度の政党交付金は入りますが、「分派」の場合は新民主党は「なし」になります。「分派」は昨年度の維新の党の分裂騒動の時に「おおさか維新の会」が分派した側になったことでご理解できると思います。おおさか維新の会へは分裂後に国から政党交付金は入っていないはずです。

 では、これで新民主党は政党として運営できるのか?という疑問が出るわけですが、できます。単純に現民主党から新民主党へお金を動かせばいいだけです。

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 政治資金規正法のあらまし 総務省

  総務省政治資金規正法の寄付の制限についての表です。政党から政党には何の制限もありません。政党から政党へ移し放題で金を移動できます。(政治資金団体経由でもいいですし)基本的に通帳を通していればOKです。というわけで、新民主党に移行した後は現民主党は新民主党の金庫になるという訳です。維新以外に新民主党に合流してくる野党は新民主党に彼らの党の政党交付金と資産を捧げるだけになるんだけどなぁ。からっけつの維新の党以外で合流する野党はあるんだろうか?

 次にこの状態がいつまで続くかですが、今年の夏の参院選まででしょうね。この選挙までは現民主党の党首が新民主党の代表になるそうですし。政党交付金には「基準日」というものがあります。これは1月1日を基準日としてこの日に政党としての要件を満たし、総務省政党交付金請求の届けを出して初めて政党交付金を受け取れます。よって、今年の3月中になると思いますが、分派して立党する新民主党政党交付金を受け取る要件を満たしていません。この基準日は一月一日以外に選挙後にも設定されています。選挙後は議員が入れ替わりますから、その得票数に応じて改めて政党交付金額が算出されて、各政党へ支給されることになります。(でないとその選挙後に初めてできた新党は政党交付金を受け取れないという事態になります)この選挙後の基準日に合して、現民主党を解散させて、新民主党に「存続合併」して合併は完了になると思います。まあそのままにする可能性もあるかもしれませんけど。あと何故、この時期に合併するかですが参議院選挙もあるでしょうけどこれも政党交付金絡みです。政党交付金の額が決定されるのが4月1日(1日が休日の場合は10日前後)だからです。だから3月中に合併作業は完了したいんですね。4月に入っても合併が完了していないと維新の党に支払われる政党交付金がおおさか維新の会などと合算計算になります。そうなるとややこしい手続きになります。だから3月中です。それだけの理由でしょう。以上が表の理由です。

 仮に新民主党に各野党が合併してきて野党連合のようになったとします。それで夏の参議院選挙で負けたら、新民主党内の民主党派閥(ややこしい)は1人党の現民主党に復帰するんじゃないのかなぁ?民主党は夏の参議緯線選挙までの限定政党と考えてるのかもしれません。試験的と言ってもいいかもしれません。まがり間違って夏の参議院選挙で新民主党が勝てば、現民主党を新民主党に合流させてという二股じゃないのかな?そんな覚悟で勝てるほど選挙は甘くないと思いますが。

 

www.sankei.com

 

 では裏の理由を書いてみたいと思います。

 合併騒動の後、すぐに民主党から一人の離党者が出ました。これに関してはどうこうありません。これを上げたのは、今回、1人党に政党交付金を始めとした民主党の資産を全て預ける理由が、現民主党からの離党者が出るのを防ぐためだからです。先に書いたように二つの党が合併するのなら新設合併が単純であり、簡単です。なんか100億円を持ち逃げとか言ってる人もいますが基本的に政党が存続する限り、政党交付金を国庫に返還する必要はありません。例え、党の名称や理念が変わったとしてもです。(道義的にどうこうはありますけど。解党して次の党を作らないのなら、返還の必要はあるでしょうけどね。)今回、新設合併をしないのは民主党から離党者を出さない為です。新設合併で現民主党が解散することになります。これに合わせて分割を同時に行えば、諸々の手続きはあるにせよ、現民主党が持つ政党交付金及び資産を分割した新民主党Bに渡さないといけなくなります。「維新の党と合併なんて嫌じゃー」で、数十人レベルで分割(分裂)騒動が起きるのを防ぐために「分派」という手順を踏むのが裏の理由だと私は考えています。金(資金)を質にとっておけば、分裂しようにも先立つものがなくて出来ませんから。しかも合併後は金庫として現民主党は1人党になる訳ですから、新民主党に移動した執行部以外の議員は何の権限も1人党である現民主党に持ちません。仮に参議院選挙で新民主党が惨敗して「党を割って出る!」となっても新民主党にあるお金はせいぜい旧維新の党(もしくはこれ以降に合併した各野党)から入ってくる政党交付金+資産が少々残ってるだけです。新民主党の金庫は空です。1人党である現民主党の金庫は潤沢になるわけですけどね。これでは党を割ろうにも割れません。だから参議院選後に仮に分裂騒動が起きたら、現民主党と新民主党の合併は延期されることもあるかもしれませんね。そうなったら、政党交付金以外の民主党の資産は分裂しても受け取れません。「分派」して無理やり党を割っても、彼らには一銭も年内に政党交付金が支払われることはありません。彼らの政党交付金は選挙後の基準日で再算出された額が新民主党に入りますから(去年のおおさか維新のようになる訳です)。今回の比例選出の鈴木議員の離党届も「民主党は離党届を受理せず、除籍(除名)処分とする方向」なのもこのためです。民主党内の私的な処理である除籍はしても、公的な離党届は受けない。なぜなら離党届を受けると1人分の政党交付金が減っちゃうからです。離党届を受けないのであれば、鈴木議員の政党交付金民主党に入ります。

 

 結論としては、今回の合併劇は金を人質に現民主党執行部が民主党内での権力、求心力を高めるだけのものでしかありません。もう一つ言えば、合併してくる民主党以外の野党の金で夏の参議院選挙を戦うという点もあります。全く出さないわけではないでしょうが、1人党の現民主党から出る金は民主党議員にのみ使われるんじゃないかな? 野党結集を謳いながらも内実はバラバラになるのが、今回の合併劇だと思います。

 民主党執行部は政党名を変えるのを下から突き上げられてたんでしょう。地方議会の民主党は名前を変えていってますから、いよいよ国政もってとこです。よってそれを飲む代わりに現民主党執行部が金=実権を握るってことなんでしょうね。もしくは民主党現執行部の面々がお互いに信用できないので中立として、1人党に全てを預けて抜け駆け離党ができないようにしたか・・・。さすがにそこまでは、と思いたいとこです。そういうわけで維新の党との合併もある意味、方便でしかなく、単純に人を増やす以上の意味はありません。維新の党は選挙の時に民主党に尻を持ってもらう以上の合併する理由は無いですし。民主党維新の党の合併協約「民主党と維新の党の確認事項」の中に何ら実効的な政治関連の文言が一つないのもこれが理由です。中味は合併をどう進めるかだけです。こういうのは「名を替えて実を取る」というのかな?民主党内でしか通用しない理屈ですけどね。

 しかし、今回の合併劇からも民主党内での執行部の求心力が落ちており、分裂含みであることが容易に推測できます。そんな泥船にワザワザ乗る維新の党の皆様におかれましてはご苦労様というか因果応報というか。まあニヤニヤしながら見物させてもらいたいと思います。乗らざるを得ないんでしょうけど。こんな状況だから、参議院選挙に合わせての衆議院の解散、同日選挙も囁かれてるのかなぁ。私自身、現在のおおさか維新がどれほど議席を伸ばせるかには疑問もあります。(支持を伸ばしてる感触はありますけど)やったら自民大勝で終わると思います。共産も含めて野党はぼろ負けでしょう。やられたら新民主党は一気に海底へ沈没するでしょうけどw それで分裂だーってなったら執行部だけで1人党である現民主党に戻ってウハウハってとこなんでしょうかね?まあ分裂するほど議席を持てるのかという疑問もありますが。

 

 蛇足で。夏の参議院で衆参同日選挙ですが可能性はあると思っています。安倍政権としてはおおさか維新の会が制御可能な範囲で議席を伸ばして、改憲勢力として自公維で2/3取れると判断したら躊躇なくやってくるでしょう。またおおさか維新の会が強い選挙区は自民党内で安倍政権に対立している派閥の議席が多いです。だからそこを減らしてもトータルの議席数で選挙前から微増してればいいやで、やってくる可能性もあると思います。