粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

妊婦検診にみる維新以前の政令市大阪市の豊かな財源と強い権限を活かした住民サービスの一例

 さて、今回は妊婦検診という制度を通して、橋下さんが大阪市長になる以前の大阪市、平松市政以前の時代の大阪市でどう運用されていたのかを見てみたいと思います。

 

都構想反対派の言い分に次のものがあります。

 

大阪市の豊かな財源と強い権限を活かした住民サービスは

 特別区になると低下する」

 

 私は特別区になっても、現在の住民サービスが特別区になって低下するとは考えていません。しかしそこはそれ、反対派の方々も言い分のあるところでしょう。まあ未来のことですしね?一定の数字のある資料があれば未来予測は可能ですが、それを良しとしない皆さんはおられます。そこで今回は過去の大阪市、確定された過去の政令大阪市の豊かな財源と強い権限に裏打ちされた住民サービスの充実ぶり?を妊婦検診から見ます。

  

 さて、妊婦検診とは何か?

 正確には妊婦健康診査といい、妊婦さんの健康を守るために検診を公費負担により行うことが目的とした検診です。妊娠の届出を役所に行ったら、母子健康手帳の交付とともに、妊婦健診を公費の補助で受けられる受診券がもらえます。その検査内容は国が決めており、都道府県、市町村の事業費の負担の在り方や検診の内容は紆余曲折ありましたが、現在では市町村がその事業を実施しています。 

 

 

  橋下大阪市長の時に無償化した平成24年度の妊婦検診の市長ヒアリング資料(平成24年度予算こども青少年局)が次のものになります。橋下さんは平成23年12月19日市長就任していますので、市長就任の最初の予算になりますね。

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 57,540円から99,810円に一気に橋下さんは拡充をしています。

 妊婦検診は自由診療ですから、診療費はそれぞれの診療所、病院で違います。しかしこれでは公費負担額を決めても自己負担が出ます。公費負担額が10万円で診療費が15万円なら5万円の自己負担になります。それで各自治体の多くはそれぞれの自治体にある病院・診療所などと委託契約を結んで価格を決めています。大阪市では一般社団法人大阪府医師会と契約を締結しており、大阪府医師会に所属する産婦人科、また、所属していない医療機関については個別での委託契約をしているのが現状です。よって、大阪府下のほとんどの医療機関大阪市が決めた負担額で妊婦検診を受診でき、結果として無償化が実現されています。そして大阪府内はもとより、神戸市を除く兵庫県内、奈良県内、滋賀県内、京都府内の各医療機関でも同様に受けれます。また、全国津々浦々の各病院でも妊婦さんから申請があれば同様の委託業務契約を結んでいます。よって平松市政のときは99810-57540=42270円、4万円以上を妊婦さんは自己負担をしてたことになります。受診券方式、補助券方式でも変わりますが割愛します。

 平成21年~24年、29年のが以下の表になります。

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 次に都道府県別でみたいと思います。厚生労働省の「妊婦健康診査の公費負担の状況にかかる調査結果について」を参考資料とします。

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平成22年調べでは大阪は断トツの最下位ですね。平均、上位と比較したときに5万円くらいは大阪府民は損をしていた計算になります。その分は自己負担になりますから。税金は他地域と変わらないわけで、都市部の物価高も考えるとかなり損をしていたことになります。

都構想反対派の議員さん方に聞きたいのですが、豊かな財源のあるはずの政令市、その中でも最大クラスの大阪市がなぜ全国最下位レベルだったんでしょう?反対派議員一人づつ聞いて回りたいですね、ほんまに。以下、23年以降のものを貼っていきます。

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 各都道府県別のもので市町村の詳細はわからないものの、平成22年と平成30年を比較しただけで見えてくるのは大都市政令市だろうが一般市町村であろうが、市町村長(首長)の政策次第という所が見えてきます。東京、神奈川が平成30年になっても公費負担額が低い傾向が続いていますが、大阪では一気に最下位から平均より上になってますからね。そして住民サービスにおいて「豊かな財源」というものは存在しないという事です。「豊かな財源」という名の予算額の大きさは意味がなく、それが住民サービスの充実を約束はしません。市町村長の明確な政策の方針、政治による分配の実現によってのみ住民サービスは拡充されます。維新以前の大阪、東京、神奈川より妊婦検診に限って言えば、他の地域の方が住民サービスが充実をしていると言えます。これがなぜかを我々は問うべきです。なぜ維新以前の大阪では妊婦検診は最下位だったのか。財源では大阪より「貧しい」はずの他地域で実現できていたのに大阪が出来なかったのは何故か。政令市がない県もあります。逆に政令市の有る県でもできていた県はあります。そして負担額の差額はどこに消えていたのか?結局、他の予算に流用されていたからです。妊婦検診において市町村の負担は義務ではなく自由裁量の部分があり、他に流用されていました。流用されていたのは同じ局(部署)のものなので、子供関連には使われていましたけども。

 私は都構想反対派の議員に求めます。政令大阪市が豊かな財源と強い権限を持ちながら妊婦検診の公費負担額において全国最下位、それも断トツの最下位だったのは何故か?また逆に大阪市が行えていた政令市だから行えていた住民サービスを教えてください。私はそんなものはないと考えています。

 

 以上でこの稿を終わります。