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粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

日本維新の会:目指せ法案100本提出 その25 歳入庁設置による 業務効率化等推進法案 (歳入庁の設置による内国税並びに労働保険料及び年金保険料等の 徴収に関する業務の効率化等の推進に関する法律案 〔新規立法〕)

維新100本法案

o-ishin.jp

 日本維新の会が秋の臨時国会で100本の法案を提出します。これらの疑問に思った事やこれはいい、と思う点を書いていきます。基本的に維新の資料を見ただけで書くので、勘違いもあろうかと思います。その点、ご指摘頂ければ幸いです。 

 

第25回目は歳入庁設置による業務効率化等推進法案(歳入庁の設置による内国税並びに労働保険料及び年金保険料等の 徴収に関する業務の効率化等の推進に関する法律案〔新規立法〕)です。長いw

 

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 この法案はシンプルなものです。 維新の立法趣旨は下のようなものになります。国税庁厚生労働省日本年金機構の歳入に掛かる部分、税金と年金などを歳入庁として一元化して、業務効率・徴税能力を上げましょうというものです。欧米などでは当たり前にある制度です。私はこの法案に賛成です。

 

 <立法の背景・趣旨>
国税並びに労働保険料及び年金保険料等の徴収等に関する業務がそれぞれ異なる主体により行われているところ、当該業務の効率化、これらの納付を行う者の利便性の向上及びこれらの納付の状況の改善が課題となっている。
→ 政府は、当該業務を一元的に行う歳入庁を設置し、当該業務の効率化の推進等を図る必要がある。

  

 この法案は過去幾度か出されています。最近でも維新の党時代にも提出がされています。現在でも衆議院第189回で出された分が現在も審議中です。民主党も政権を取る前から法案を作ってたんだから政権取ったときにやってりゃいいのにって、それが出来てたら、下野してないか。 

民主党アーカイブ | 歳入庁設置法案を野党3党共同で衆院に提出

民主・維新・生活の野党3党は6日、「歳入庁の設置による内国税並びに労働保険料及び年金保険料等の徴収に関する業務の効率化等の推進に関する法律案」(歳入庁設置法案)を共同で衆院に提出した

  

 この法案の詳細ですが、上のリンクの資料を使って説明をしていきます。ほぼ同じ内容ですので。違う点は後述します。 

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 基本的な部分は同じです。特徴としてはまず設置。内閣府に歳入庁を設置するという点です。ここが面白い点ですね。それぞれの管轄する省庁から切り離して、内閣の府の外局としておくという事です。例えば国税庁財務省の外局ですから、財務省の力を一定削ぐことにもなりますし、金の入りの最上流を内閣府で抑えれますから、政治側の権限の強化にも繋がるでしょう。政治主導強化が狙いでもあるのでしょうね。業務としては徴収業務の一元化。定員は国税庁の定員に近い最小限にすること。この定員も国会では結構に揉めていて、日本年金機構は旧社保庁から移管されたわけで、国家公務員だったのを全員、分限免職して民間へ移行したわけです。それをまた国家公務員に戻すのか?とかは争点になっていました。その他の検討事項としては、地方公共団体の徴収業務を肩代わりして委託できる制度とか結構、面白い内容となっています。そしてこれらを一元化するメリットですが、足立さんが動画内で仰ってるように国税庁の把握する事業所数と日本年金機構の把握する事業所数が違うと言った点があります。徴収において不公正が発生しているのを改善しようというとこですね。この辺の改善で税収自体が数兆レベルで変わるという試算もあります。

youtu.be

 維新の党時代と今回の日本維新の会が提出した法案の大きな違いは次の一点です。細かい文言の置き方は違うところはありますが、それは割愛します。

 

第七条 政府は、厚生年金保険、健康保険その他の社会保険の制度に関し、被保険者等に係る負担の公平を図るため、標準報酬月額等の上限の廃止を含めたその在り方、被用者に係る保険料率等の統一を含めたその在り方等の見直しについて検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 

  日本維新の会の法案は6条からなっており、旧民主党共同提出案にある第7条は削除しています。年金の算定方法に係る部分だと思うんですが、それは別個で議論をしようというのが維新の考えなのかな。それなら削るのは妥当だと思います。

 

 この歳入庁法案で、近々に審議をされていた内容を衆議院の議事録から見ると、どうも安倍内閣はこの歳入庁に否定的です。否定的な理由としては、国税庁やそのほかの徴収に係る組織の把握している法人数の違い等は、現在の体制のもとで関係省庁との連携を強化する。それで、法人の把握、また突合させるペースを向上する事で解決をするというのが政府の立場です。また歳入庁に関して、内閣官房副長官及び関係省庁政務官による検討チームが取りまとめた論点整理において、さまざまな問題点の指摘が有る。そして年金保険料の納付率向上等のためには、保険料徴収の基本的な考え方を整理して、そして必要な対策を講ずることが重要であり、組織を統合して歳入庁を創設すれば問題が解決するものではないと結論をしています。これの具体的な内容は、国民年金保険料と国税の徴収対象は重なりが小さい。そういった状況で歳入庁を創設して徴収を一元化したとしても、国民年金保険料の納付率向上への効果は限定的ではないか。あるいは、日本年金機構の職員は現在非公務員であり、歳入庁を創設する場合には、現在非公務員が行っている業務を公務員に行わせることになることから、公務員人件費削減の取り組みや行政改革の取り組みとの関係で問題が生ずるのではないか。また、年金保険料は、被保険者の将来給付と結びついている点で、税と基本的な性格が異なっており、その性格の違いから、制度的な違いがあるため、これらの納付折衝を同一の滞納者に対して同時に行うのは実務上問題が生じるのではないか。そうした問題点の指摘もあり、あるいは、さらにその前提として、納付率向上にはそれ以前として必要な対策があるということで、年金保険料の納付率向上等のためには、保険料徴収の基本的な考え方を整理し、必要な対策を講ずることが重要であり、組織を統合して歳入庁を創設すれば問題が解決するものではないという立場です。まあ大阪自民の言う「都構想やる前にやることやってから」的な言いわけですね。問題がはっきりしているんだから、統合するときに同時に問題を解決をすればいいだけだろうと思いますが。

 

 その内閣官房副長官及び関係省庁政務官による検討チームが歳入庁について取りまとめた内容は以下のものになります。

年金保険料の徴収体制強化等に関する論点整理

  歳入庁の問題点についての論点は4つあります。

(1) 年金保険料と税の徴収対象
日本の年金制度は「国民皆年金」の理念の下、収入のない者も強制加入される点で諸外国にない制度である。納付率の低い国民年金の第 1 号被保険者には、個人事業主、無職の者、臨時・パート従業員、家族従事者などが含まれるが、国税庁の推計では、このうち国税庁が確定申告により継続的に所得情報を把握している者は約 8 分の 1 である。
国民年金保険料の徴収対象と国税の徴収対象との重なりが小さい中、歳入庁を創設して徴収を一元化したとしても、国民年金保険料の納付率向上への効果は限定的ではないか。

 

 仮にここで言うように歳入庁が、国民年金の納付向上への効果が薄くても、その徴収するデータを共有して運用できれば、歳入庁の組織としての効率は歳入庁の方が上がると私は考えます。というかやるからには納付率向上が出来る手を打てよ、と単純に思います。

 

(2) 行政改革等との関係
日本年金機構の職員は、現在非公務員であり、歳入庁を創設する場合には、現
在非公務員が行っている業務を公務員に行わせることになることから、公務員人
件費削減の取組や行政改革の取組との関係で問題が生ずるのではないか。
また、国民年金保険料は、一件当たりの徴収額が少額で滞納者数が多数である
ことから、仮に歳入庁に十分な人員の手当てが行われない場合には、国民年金
険料の納付率向上に資さないばかりか、徴税能力まで低下するおそれもある。

 

 これもそうで、単純に組織内部の話なんだから効率よく動ける制度にしなさいってだけですね。

 

(3) 年金保険料と税の基本的な性格の違い
金保険料は、被保険者の将来給付と結びついている点で、税と基本的な性格が異なっており、その性格の違いから、優先徴収権や時効等についても制度的な違いがある。同一の滞納者に対して、将来給付と結びついた年金保険料と税の納付折衝を同時に行うのは実務上の問題が生じるのではないか。
また、すべての徴収職員について、保険料と税に関する法令・通達をはじめとする幅広い知識を習得させ、高度な専門性を確保することは難しいのではないか。

 

 「同一の滞納者に対して、将来給付と結びついた年金保険料と税の納付折衝を同時に行うのは実務上の問題が生じるのではないか。」

 これおかしな話で、現状で言えば、税と年金の双方の滞納者は国税庁と年金機構からの双方から督促がくる話で、形としては何の違いもありません。歳入庁から督促を出すならそれが一通になるだけで、事務手続き上も歳入庁の方が簡素になるだけの話でしょうに。督促状の印刷や郵便代一つ、事務手数も半分になって、それだけ支出が減るんだから、この点だけでも歳入庁の方がメリットがあると判断できます。

 最後の全ての徴収職員に保険料と税の双方を習得させて、高度な専門性を確保する必要性はそもそもで有りません。それぞれにエキスパートを作ればいいんです。この辺はお役所感覚ですよね。異動が多く、様々な職務につけるから両方の能力がいるっていう考え方なんでしょうけど、専門化すればいいんです。それだけの話。共有出来る部分は共有化し、どうしても分離する部分があれば組織内で分離しておけばいいんだけです。銀行も今は保険業務もやってますけど、保険と従来の銀行業務をそれぞれ通暁している人は多くはないでしょう。そしてそれぞれに部門として分けてやっています。でも一つの銀行内で保険屋と銀行屋で完全に分離しているわけではなく、業務として重なる部分は効率化をして上手くやってるでしょうに。それを役所でもやればいいだけです。

 

(4) 関係部局の切り離しによる影響
徴収業務の執行機関である歳入庁を独立した組織とし、制度の企画立案を行う行政機関から切り離すことは問題があるのではないか。例えば税については、税制の企画立案は執行現場で把握された実態を踏まえるとともに、執行部局も税法の趣旨を踏まえた統一的な解釈・運用を行う必要がある。
また、年金保険行政においては、適用や徴収と記録管理を含む給付業務との接続が必要であり、また、税務行政においても、課税(税務調査等)と徴収について密接な連携が不可欠である。例えば年金においては、被保険者資格の変動が頻繁に生じており、それを適時適切に把握することができなければ、間違った保険料等での徴収が発生するリスクが高まる。

 

 税についてあれこれ書いてますけど、そんなもん、今と何が変わるんだって話です。執行現場で企画を立てるのか?って話です。そういうのは紙に統計として纏めた数字を元に企画を作ってるんでしょ?っていう話です。そして執行部局も税法の趣旨を踏まえてやるでしょ?。なんだ、国税庁を切り離されたら財務省は歳入庁と口も利かなくなるの?年金の方もそうなんですけど、適宜適切な把握ができないって、そういうシステムにしなければいいだけの話です。これが出来ないっていうのなら、今でもそういう事はできてないっていう話になるだけですから。行革で縦割りを容認してどうするんだって話です。

 

 本当にちゃんとこの検討チームは検討をしたのでしょうか?具体的な歳入庁の制度設計にまで踏み込んだ検討はしてないですよ、これ。なんとなく法律の条文を読んで感想を書いてみました位のもので、これを安倍首相が歳入庁を否定する答弁の論拠にさせていたらダメです。そこら辺、もっと国会議員さん達には追及をして欲しいと望みます。維新にはこれまでの国会質疑とは違う切り口で、この問題には切り込んで頂きたいですね。

 

<参考>

歳入庁の創設について~中間報告後の検討を踏まえた整理~
平 成 2 4 年 6 月 1 2 日社会保障・税一体改革関係5大臣会合

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標準報酬制の概要と掛金等への影響

被用者年金の一元化について 厚生労働省年金局年金課 平成27年11月30日

年金保険料の徴収体制強化等のための検討チーム

 

衆議院会議録情報 第186回国会 予算委員会 第6号

第6号 平成26年2月12日 事業所数の違いなど詳しい

衆議院会議録情報 第186回国会 内閣委員会 第17号

 第17号 平成26年5月9日  加藤内閣官房副長官の年金保険料の徴収体制強化等のための検討チームの答申内容の説明