粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

花谷自民府議が大阪会議にトドメを打ったので第三回で大阪会議は終了です

2015年9月28日に開かれた第3回大阪会議の概要について解説します。

大阪府の会議資料

大阪府/第3回大阪戦略調整会議について

・大阪会議準備会議2回目

第3回大阪会議-準備会議 2015-9-28 - YouTube

・大阪会議代表者会議一回目

第3回大阪会議-代表者会議 2015-9-28 - YouTube

 

 この代表者会議での花谷議員の発言で大阪会議は完全に死にました。理由は後述します。

 

 上は大阪府の会議資料と第三回に開かれた大阪会議の動画になります。

 第三回大阪会議は本会議の前に準備会議が開かれ、その後、本会議が開かれる予定でした。しかし、準備会合が紛糾し、とりあえず代表者会議の規約案は了承。その後、直ぐに本会議を開きました。

資料1-1   大阪戦略調整会議の運営について(案)
資料1-2   代表者会議設置規程(案)

 上の二つの案件を本会議で了承後、本会議は休憩、直ちに第一回代表者会議が開かれました。しかし、この代表者会議も紛糾。何も決まらず、時間切れで代表者会議を打ち切りになりました。そして本会議が再び開かれ、閉会の宣言をされ、第三回大阪会議は終了しました。概要としてはこうなります。ではまず、準備会議からお話をしていきたいと思います。

 

 まず、準備会議ですが、9月24日に開かれた第一回の準備会議で決まった件の確認から入りました。

第三回大阪会議の代表者会議の概要 - 粉屋の大阪to考想

 この第一回準備会議では、以下の二件が決まっています。

 ・会長は、その所属する自治体の投票権を持つ

 ・代表者会議設置規定が決定。

  内容としては、第一回の準備会議で第6条の規定が

(議事の決定)第二回準備会議資料から

第6条 会議の議事は、構成員の意見を聴いて、会長が取りまとめる。取りまとめにあたっ ては、全会一致を原則とする。

(議事の決定)正式に決がとられた条文
第6条 会議の議事は、構成員の意見を聴いて、会長が取りまとめる。取りまとめにあたっては、全会一致を原則とする。

 

 

 あと会議冒頭で橋下市長から、会議資料の代表者会議設置規定第7条が入ってることに対し、異議が入り、これは削除になります。上記の二件は、このあとの大阪会議本会議で了承されます。

 

 この準備会議は代表者会議設置規定の第2条で紛糾します。

代表者会議設置規程 (役割)
第2条 会議においては、会長による大阪会議に係る議事の整理に資するため、次に掲げる事項について、協議・調整する。
(1) 大阪会議の会期(期間及び日程)
(2) 議題の選定
(3) 議題の協議順位
(4) 議題の協議方法
(5) その他会長が必要と認める事項

 

 紛糾した理由ですが、第2条は大阪会議の会期やその議題の選定、協議順位を決める条文です。これをどう取り扱うか、決めるのかで維新と非維新で意見が割れました。意見としては以下のようになります。

 

維新: 結論を出すための会議。そのために会期を設定し、各議題の答申日(採決日)を設定し、その火に結論を出す。その為には2条の項目の全てを決めないといけない。

維新:議題を審議することに意味がある。

 

 こんな感じですね。維新の立場を説明すると、「いきなり議題を本会議に出した時、大阪会議条例4条(大阪会議の協議事項)に適したものかを代表者会議においてスクリーミングしないと会議運営の妨害が大きくなる。」ということです。大阪会議がだらだら議題の提案だけで終わるような会議にしたくないということですね。

 非維新の立場は花谷府議の発言を纏めると「議題の提案を本会議ですれば府民全般に何を各会派が問題にしているかわかる」ということらしいです。そういうのは各会派、各党は選挙の時に公約にしてるでしょうに。ていうかHPに書いてないの?問題にしてること。って感じですね。

 

橋下市長、松井知事 代表者会議後 囲み取材 2015-9-28 - YouTube

 上記は第三回会議の終了後の囲み取材の動画です。この中で橋下市長は、大阪自民は仕事をやっているというアリバイ工作のために議案提案をしたいのだと言ってますがはっきりそうだとわかります。結局、結論が出ず、準備会議を正式な代表者会議にして引き続き協議することだけが決まり、本会議の了承後、正式な代表者会議が開かれました。

 

 次にこの代表者会議の話をします。ここで、まず第二条の(1) 大阪会議の会期(期間及び日程)が決まります。3議会の日程を考え、

 会期 :12月17日までとする。

 答申日:10月9日まで 他の議案に関してはそれぞれの問題の軽重により、答申日(会期までに先の10月9日を含めて三回程度設定)を決める。

 上記の二つは異議がなく、全会一致で決まりました。答申日というのは採決を取る日ということで解釈は間違ってません。延々と審議のための審議をすることを避け、採決により結論を出すためにこれを設定します。

 (2)~(4)について協議していくわけですが此れが何も決まりませんでした。問題としては、維新は「本会議に議題を提案する前に(2)~(4)を決める。決めないのであれば、議題提案後の代表者会議で決まらない場合、会長に議事整理権を渡し、一任する。この会長への一任はこの件に限り有効とし、満場一致で代表者会議の了承を取ってほしい」ということでした。非維新は「会長に議事整理権を渡すのはおかしい。満場一致は原則。まず本会議で議題のプレゼンをし、本会議後の代表者会議で(2)~(4)を決めればよい」というものです。維新としては本会議後の代表者会議で(2)~(4)を決める担保として、満場一致が得れない場合は会長の議事整理権による一任を求めました。維新の考え方には間違いはありません。非維新が言うように本会議後の代表者会議で(2)~(4)を決めるのであれば、会長一任をしてもいいわけです。本会議後の代表者会議で決めるという意思があるのならね。ないからそれは拒否するわけです、非維新は。非維新が言うように会議が進行したら、本会議後の代表者会議で又何も決めずに散会して終わりになるだけです。

 

 以上のような形でこの会議は何も決まらず終わったわけですが、この会議で大阪自民の花谷府議は重要な発言を二回しています。それを紹介します。

 

 ① 大阪会議の目的についての花谷府議の見解

第3回大阪会議-代表者会議 2015-9-28 - YouTube(29分35秒~)

 花谷府議

  「大阪会議の目的は、市議会や府議会に出てきた議案を諮問するのではない。
   大阪会議で決まったことについて、市長や知事がそれに基づいた議案を

   作って議会に出してねっていうのが目的。」

 

 これなんですけど、これはえらい発言ですよ。大阪会議の条例は、可決する前に一度、修正案を出しています。この修正案は、いくつか修正点がありましたがこれの10条(協議結果の取り扱い)の修正が問題でした。

協議結果の取扱い)

第10条

市長は、市会の定例会の都度、大阪会議の協議状況について報告するとともに、 大阪会議で合意又は決定された事項については市会に必要な議案を提出し、その議決 を求めるよう努めなければならない。

4 前項の協議が整ったときは、市長は、改めて市会に当該事項の実現に向けた議案を 提出するものとする。

 

 赤字が修正点です。第1項は追加されたもので、第4項は削除になります。「その議決を求めなければならない」が、「その議決を求めるよう努めなければならない」になりました。これにより、首長に対する強制ではなく、努力義務になったと大阪自民は言っています。第4項は、「改めて」が削除されました。これも強制するものではないというところを考えてのことだと思います。第10条は、多くの指摘を議会で受けてきた部分で、首長の専管事項の侵犯と言われてきました。大阪自民は首長の大阪会議の協議結果への尊重義務や努力義務として規定していると言ってましたが、それに対して文言を変えることで対応したということです。

 (大阪自民の大阪戦略調整会議ってどやねん?<その3 修正案> - 粉屋の大阪to考想より)

 

 この辺の修正は、首長の議案提出権の侵害と言われ、総務省の方からも注文が付いた部分です。(2015年3月10日 衆議院 予算委員会第二分科会 一般質疑 大阪会議条例案の違法性、放送法と政治的中立性

 

 よって、大阪自民は条例を修正して大阪会議を成立させたわけです。しかし花谷府議の発言は、首長に対して大阪会議の決定に従って、議案を提出(予算を提出)しろといってるわけで、首長の専管事項である議案提出権の侵害です。

 私は大阪会議というのは、地方自治における首長と議員の二元代表制を破壊するものだと考えています。大阪会議の目的は、大阪の「国会」を作ることがその目的であり、ある意味、議院内閣制への移行を指向したものだと考えています。勿論、これは現行の地方自治法及びその理念に反しており、大阪会議の違法性が指摘される部分でもあるわけです。そのために大阪自民はこの大阪会議の条例を修正したわけですし。よって花谷議員の発言は公の場で言ってはいけない公然の秘密を暴露したことになります。何を考えてるんだろう、この人? 自民党が修正したことにより「グレーですよー」っていってるのを思いっきり「黒です」と言い切ったんですよ、これ。訳が分からない・・・。

 大阪会議の条例案というのは、一回目の提出の時、そして大阪会議の前身の大阪広域戦略協議会の条例の提案趣旨説明者は花谷府議でした。この時の自民府議団の政策・条例を立案する政調会長も務めていましたし(今は幹事長)つまり大阪会議はこの花谷府議が作ったんです。その人がこれを言うって本当に有り得ない。この発言一つで大阪会議を違法再議に掛けれるんじゃないかと思えるぐらいに問題発言です。議事録に残っちゃいましたからね。

 あとこの発言の趣旨を簡単にまとめると「議員が決めたことを首長がやれ」って言ってるのと一緒なんですよね。二元代表制において有り得ません。

 因みに維新の考える大阪会議は以下のようになります。

「大阪会議は意見を集約する場で、最終決定は議会が採決を取る」

3自治体が議題に対してどういう考えを持っているかを表明する場、ってとこですかね。

 あと花谷府議の冒頭発言の「大阪会議の目的は、市議会や府議会に出てきた議案を諮問するのではない。」もおかしな発言です。大阪市議会と府議会に共通の内容で出ている問題は大阪会議で議案に取り上げられるのは何らおかしな点はありません。

  

 ② 花谷府議が代表者会議の満場一致規程を破ったこと

 

第3回大阪会議-代表者会議 2015-9-28 - YouTube(1時間3分28秒~)

 

 大阪会議の会期を12月17日に満場一致で決めました。これは決定事項です。しかし、ここで花谷府議は「嫌です」の一言で、ひっくり返しました。これが本当に代表者会議でひっくり返ったのかわかりませんが、ひっくり返ったのならもう大阪会議は何も機能しません。これは全会一致で決まったものも後で拒否すれば無くせるという、悪しき前例を作ったことになります。何を代表者会議で決めようが、会議の最後に拒否を宣言すればすべてがひっくり返る。そんなの会議でも何でもありません。

 ここまでの議論の過程で仮に維新が100%、悪いとしましょう。しかし、この花谷府議の発言と行動はあり得ません。この代表者会議は既に本会議で承認され、規程も定まっている正式な会議です。よって満場一致で決まったことは最大限、尊重する義務がその参加者にあります。それを率先して破ったのは花谷府議です。花谷府議は「満場一致は規程で決まっている」というのを振りかざして維新側との議論に対抗していますが、その満場一致の規程を一番軽視して踏み潰したのは花谷府議です。本当に有り得ない。例えば会期の決定を拒否するのならするで手順を踏んで拒否すればいいんです。しかし「嫌です」の一言で拒否っていうのも駄々っ子かと。議会人としてあり得ない。

 これ、次回の代表者会議の冒頭で花谷議員が詫びを入れて発言の撤回をしないのなら、もう本当に大阪会議は死にます。大阪自民の前回の欠席で大阪会議は死に体になりましたが、これが本当のトドメです。代表者会議は会議の運営を司る会議です。これが全く機能しないのなら大阪会議の開催も行えません。よって、これから大阪会議が開催されることがなかった場合の全責任は花谷府議個人になります。これはもう本当にはっきりしています。どうするつもりなんだろう?

 

 最後にこの会議を見て思ったのですが、自民の副会長が色々提案してて確かに一理ある部分もあるのです。何を提案していたかというと、本会議でとりあえず議題の提案をしてもらって、そのあとすぐに本会議は散会して閉じる。その後、代表者会議を開いて諸々(2)~(4)の事項を決めようといってるのです。が、維新はそれを担保しろと言ってるんですがそれが理解できなかったようですね。で、この維新の求めは不当でも何でもありません。提案するのなら、維新に議題の優先順位を与えることを約束すればいいだけだったんですけどね。それは維新側に加担しすぎだろうと思われるかもしれませんが、維新側の提案は答申日が10月9日で速やかに審議を要求しています。他の委員の提案にそういったものが無ければ別段、先に回すことは可能なんです。勿論審議する本数など議論しなくてはいけない部分もこの後にありますが、突破口は簡単に作れたのになとは思います。

 

 まあこの大阪会議の一番の問題点は、この大阪会議を作った大阪自民自体がこの大阪会議がどういった形で運営されるべきなのか?という考え自体がないことですね。それがあるのであれば大阪会議の規約や代表者会議の規定でこんなに時間を取られることもなかったわけですし。というか大阪会議で審議する議題もあるのかどうかさえ疑問に思ってしまいます。