粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

「政権奪取論」 ~粉屋なりの国政維新の政権奪取論~

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 今回は、橋下徹著「政権奪取論 強い野党の作り方」(以下奪取論)を読んで、色々刺激を受けたので、粉屋なりの国政維新の政権奪取論について書いてみたいと思います。よって今回の記事は奪取論の書評とかそういうものではありません。書くなら感想文レベルになるしw 面白かったところは最後に雑記的にちょいちょい書きはしたいですが。なので、奪取論の詳しい内容の解説・説明はしませんので、奪取論既読者向けの内容になっています。以上を踏まえて以下お読みください。

  結論から書くと、私は日本維新の会(以下国政維新)は自公との連立を諮り、自公維での与党を形成するのが日本政治において最善の道だと考えています。「おまえもか」とか「あほかい」とか言われるかもしれませんが、割と昔からこう考えています。維新が単独与党になればそれが支持者にとって最善かもしれませんが、それは不可能です。少なくとも現状では。ではなぜ以下、そう考えるに至ったかについて書いていきます。

 私は日本の政治には政党が対立する政策での違い、対抗軸、分断といってもいいかと思いますが無いと考えています。だから奪取論で言う所の政権交代というのは政権を握る政党が交代しても実際の政策は実質的に何も変わりません。「維新が政権を取ったら、身を切る改革をして公務員改革、教育無償化を実現していくだろ!」っていう声もあるでしょう。教育無償化で話をすると、維新が政権を取れば100%の無償化にするでしょう。自民は60%。民主が40%、他諸々って感じですが、結局のところ、違いというのは、そこのさじ加減の違いだけが各党の政策の違いにしかなりません。それはとても大事な違いではあります。でも私が言う政策の違いというのは、教育無償化政策を0%にするという政策を掲げる政党はないという事です。介護保険を廃止する。消費税を廃止する。年金を廃止する。国民保険を廃止する。私はこういった政策をしたいとは思いませんが(年金・介護保険についてはちょっと思ってますが。恩恵も受けてますけどね)こういったことを訴える政党というのは日本に無いわけです。日本の政治の方向性を全く異質のものに変えてしまう政策を訴える政党はないんです。自衛隊で言えば、共産はあーだこーだ言ってますが、前回の衆議院選挙での党首討論で「連立政権の一翼を共産が担うところになったら自衛隊はどうするの?」って聞かれたら返答としては歯切れの悪いものしか出さないわけです。だから民主党政権交代も「出来の悪い自民党だったね」というだけです。

 私は日本政治というものは、「日本政治」というふわっとした方向性、政策、空気といっていいかもしれませんが、そういったものが上にあり、それに対して各政党が修正案を出して、選挙で競うというのがその形だと思っています。だからアメリカのように選挙で国の方向性そのものが、ガラッと変わることはありません。その中で自民党の立ち位置というのは与党と野党が一緒になったもの、と考えています。奪取論にある「自民党というのは、政治信条やイデオロギーに拘らずに、融通無碍に多様な意見を取り込んで」いけるのは与党と野党が自民党の中で一体化してるからです。だから最終的に党としての意見が「一本化」するのも自民党という「国会」で審議された結果だから、一本化されるんです。よって橋下さんが支持をする大きな与党と野党による政権交代可能な二大政党制というのは、日本で定着することはないと考えています。なぜなら二大政党制というのは自民党の中に内包されており、そこで完結してるからです。

 そして民主党というのは何かというと私の考えは、「日本政治」が生み出した自民党からの膿です。表現が汚くて申し訳ないですが。そして彼らが一度政権を取り、下野した時点で、彼らの歴史的役割は「日本政治」において今まで通りの概念の「野党」の立ち位置しか残されていません。

  だから日本で橋下さんや吉村さんの言う強い野党は生まれ得ませんし、再編もありません。仮に再編をしてもそれは万年野党の社会党、ないし民主党の亜種になるだけです。そして野党に素晴らしい人材や政策が生まれてもそれは自民党が吸収しちゃいますしね。なにせ「与党と野党が一体化」した政党ですから。自民党が最近、教育無償化を声高に言ってるのがそれですね。維新の政策が「日本政治」のお眼鏡に適えば、自民党は柔軟にそれを奪ってきます。だから本来の意味での与党と野党での政策の違いは生まれません。全て、自民が与党の立ち位置で先に飲み込んでいきますから。

 

 そんな中で、自民から維新が政権を奪取するにはどうすればいいか?冒頭に戻りますが私は維新は与党の連立に入り、政権の一翼を担うことが最短コースだと考えています。奪取論にあるように維新の魅力は実行力です。それは知事・市長を取り、大阪府庁、大阪市役所の行政権を握ったことであり、各議会の維新議員がそれの後押しをしてきた事。そこから維新の政策を実行して、有権者に政治の果実を味合わせてきたこと。それこそが維新の魅力であり、力の根源です。だから国政でも同じことをしないと国政維新の支持は伸びません。

 中に入って何をするかですが、とにかく大臣ポストを一つとる。今の維新の衆参の数なら今の自民党内でもそこそこの派閥の数に匹敵します。だからとれるでしょう。そしてそれはどれでもいいわけではなく、総務省の大臣席です。この大臣席を維新の指定席にすること。これが大事です。大臣席が無理でもとにかく総務省関連の枠を取る。そこで成果を出して次の選挙に繋げる。これを繰り返し行って、維新の大臣指定席を増やしていくこと。例えば文科省とかね。地方制度改革に必要な席、維新の政策に必要な席を戦略的にとっていき、これを維新の指定席にしていく。つまり各省庁を維新の領土にしていく感じですね。私はこれしかないと思っています。そこから自民党とは違う行政の結果を有権者に示していき、国会内での国政維新の議席数を増やしていく。ゆくゆくは自民・維新による二大政党の連立政権こそが日本政治において最も適した、安定した形になるだろうと私は考えています。要するに現在の自民党に内包されている「与党」と「野党」の見える化ですね。奪取論にある自民党内部での話し合いを国会の場に引きずり出す。その為に維新は「与党内野党」の立ち位置を確立する。ゆくゆくは逆転することもあるでしょうし。逆転したら今度は自民が「与党内野党」になるわけです。そして「与党内野党」こそが本当の意味での「与党に緊張感を与える野党」になると思っています。

 ここで色々問題はあります。まず自民が受け入れるか?ですが、自民は現状議席はたんまり持ってるのでその必要性はないように見えます。しかし現状の安倍政権の至上命題は改憲です。それをする上で議席数もそうですが、賛成する党の数も割と重要な要素になります。そこが付け目であり、可能性は十分あると思っています。高く売るなら、前回の衆院選での希望失速前が一番高く売れたでしょうけど。(言いたいことは山ほどありますが置いておきます)何より維新の政策は、制度改革であり、規制改革です。ここは自民が不得意の分野であり、そして維新の得意分野です。自民にとっての汚れ仕事は維新にとって票を獲得するための票田になります。だからお互いWinWinの関係は築けると思っています。色々あるだろうけど。そして公明党ですが、こちらも反対はしないでしょう。自民と一対一で対峙するより、複数で対峙する方が公明が持つ議席の影響力は増しますしね。彼らは自身の議席数以上に議会での影響力を増すことが中・短期的な目標ですから目立った反対理由はないはずです。で、次に選挙ですが、これはガチでやります。「連立組んでるのに?」という向きはあるでしょうが、「選挙は別」でやるんです。お互いの政党が与党としてどういう成果を残したのかを有権者に訴える。そこでの切磋琢磨してきたお互いの成果を有権者がどう評価するかで、次の与党内での構成を変えるという考え方ですね。これが一番、政治家に緊張を持たせれるし。私はこれが一番シンプルでいいと思っています。部活で言えば、普段は友達だけど、試合で当たれば敵。終わればノーサイド。って感じです。で、地方政治ですがこれは別でやります。国政での連立と地方政治は関係なし。それだと連立の意味はないように思えますが、あくまで国政のみの連立です。地方政治には持ち込まない。これは維新の党是とも合致しますしね。国政と地方の役割分担ですから、維新は。国政と地方は関係なしっていうのは維新の理屈からは何も矛盾はしません。大阪自民にとってもその方がいいでしょうしw 矛盾するようなら地方支部は全て切り離して政党化すればいいし。私はこっちの方が好みなんですけどね。各地方支部(地方政党)の代表が国政維新に集結するみたいな感じですが。 で、最後に有権者ですが、まあ特に大阪で受け入れられるかですが、まあ問題ないんじゃない?っていうのがバクっとした感想です。まあこの辺は感想ですが、数字取れるわけじゃなし。まあ大阪の政治風土は反お上的な所があり、それが吉本芸人の政治家を数多く生んできた素地でもあるのですが。(彼らを否定してるわけではありません。)でもその辺は維新の数々の改革により払拭されてきた感もあるように思ってますし。都構想ウォークに行ったときにでも濃い人たちに今回の感想は聞いてみようと思ってますがw

 

 というわけで私なりの今の政権奪取論です。歴史のIFは意味がないとは思ってますが、維新の最初の国政選挙の後に自民・維新で連立を組んでいればとかは思いますね。そうすれば今頃、都構想はというか大阪都は成立してただろうし、ひょっとしたら今頃、橋下総理が誕生してたかも。少なくとも橋下官房長官はいけたのでは?その次こそは、とかは夢想します。

 

 最後に奪取論の雑感ですが、政治を考える上でとても良い教材です。組織論として読んでも面白い。橋下さんが実際にどういう政治をしてきたか、そして役所での組織運営をしてきたかだけでも、とても良いコンテンツに仕上がっています。実際、当時の大都市局とかの人とか喋ったり、姿観てるだけでも「あ、この人、出来る人だわ」って感じでしたしね。私は橋下さんの数々の改革を高く評価してる人間ですが、それもこれもやっぱり組織運営の妙があってこそです。結局、なんだかんだいって「人」なんです。人をどこにつけるかというポストのうまさこそが橋下さんの真骨頂だと思っています。でないとあれだけの改革、というか仕事量こなせてませんしね。それに比べて堺の役人の議会答弁は・・・。まあ金周りの人はさすがに有能そうだな、この人は思える人をつけてるんですが、特に文化観光局のってまあそれはええかw イエスマンばかり揃える組織はやっぱりだめですよって所で今回は終わります。

 

蛇足:

橋下さんの奪取論内での維新の失敗理由を4つ程挙げておられますが、5つ目を挙げておきます。

 

⑤ 太陽の党、結の党と合併したこと

 

 奪取論(P72)で「政策と理念の一致に拘ってしまった」って書いてるけど、逆で拘らなさ過ぎたから、失速したのよね、国政は。私からしたらこの二つの合併は太陽の方は億単位の借金を押し付けられてトンずらされただけだし、結の党は〇万円の持参金で合併してきた相手に〇億円の慰謝料を払って離婚した結婚詐欺のようにしか見えんしね。なんかメリット有ったんだろうか、この二つの合併は。政党としてね。まあ虎さんが入ってくれたからイーブンとかは思うけどもさ。「政策と理念の一致に拘ってたら合併できなかっただろうね、両方とも」とは思いまする。知らんけど。