粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

堺市政・原山公園再整備運営事業にみる「古い政治」と「新しい政治」の定義

 今回は現在、堺市役所が進める「原山公園再整備運営事業」について書いてみたいと思います。以前に利晶の杜とてんしばを比較することで、堺市役所と大阪市役所における「箱物」の作り方・考え方の比較をしました。

pankoya.hatenablog.com

 てんしば回では、大阪市役所と堺市役所の民間活用と役所のお金、いわゆる税金の使い方に対する考えの違いについての比較でした。目的は役所が税金を使うことによる営利施設における利潤への考え方、公共に対する考え方の差を浮き彫りにしたつもりです。今回は、「原山公園再整備運営事業」における堺市役所の税金の使い方を通して、維新が言う「古い政治」「新しい政治」とは何か?を書くのが目的となります。前置きがちょっと?長いですけども。

 

 

原山公園再整備運営事業とは何か?

 

 原山公園再整備運営事業の内容についてまとめたいと思います。

 この事業は泉ヶ丘にある泉ヶ丘プールが、近畿大学医学部の移転に伴い、泉ヶ丘プールの土地をそれに使われることになりました。

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 その為、泉ヶ丘プールの再整備(移転・建て替え)が必要になったために行われます。再整備先として、泉北高速鉄道栂・美木多駅に隣接する原山公園内に新プールを移転することとなりました。 移転理由は以下。

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【理 由】

泉ヶ丘駅周辺に移転した場合、近畿大学医学部等の移転により、慢性化している交通渋滞 がさらに悪化する。

・原山公園は最寄駅からの距離が約 300mと近く、利便性が良い。

・原山公園では近年のプール利用者(約 12 万人)に対応可能な敷地規模が確保できる。

・栂地区センターとその周辺の賑わい創出に寄与できる。
 

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 この原山公園で、泉ヶ丘プールに代わる屋外プールと、ため池の上にデッキを作っての駐車場、あと屋内施設としてはプール併設のいわゆるフィットネスクラブを作る、便益施設としてカフェを作るってところが、事業内容になります。

 

 ここでプールの内容とか触れるのは本来の目的ではないのですが、触れておきます。色々おかしいんです。現泉ヶ丘プールの敷地面積は、約2.4ha(内、管理棟建築面積約1,700m2)です。原山公園での新プールである計画時点で屋外プール は、敷地面積約 1.3ha(内、管理棟建築面積約2500m2)と広さが半減します。これの理由としては、

 

・近年のプール利用者数(約 12 万人)に適した施設となるよう規 模を縮小

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したためです。平成27年泉ヶ丘プールの利用者は10万人くらいですね。まあ実際のところは移転する原山公園の敷地の広さとか予算の関係とかなんでしょうけど。狭くなる代わりに、

 

・泉ヶ丘プールで人気の高い流水プールと幼児用プールを踏襲し、 新たな魅力として起伏を利用したスライダーを設置

 

します。で、このスライダーを設置した理由は、新プールには何が欲しいか?で、二日間にわたって、泉ヶ丘プールに来園した300ちょいの人からアンケートをとって、新プールに欲しいものの一番がスライダプールだったからです。

 

・・・・。

 

 いや、事業計画ってそんな適当に決めていいの?ほら、採算性とか需要予測、集客性とかさ。しかもこのアンケートをどう取ったかわからないんだけど、どうせ「次の9つのうちから選んでください」って感じのアンケートでしょうに。

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これ、アンケートの結果なんだけども。そら、この中から選べっていわれりゃスライダープールになるんじゃない?結論ありきでアンケート取ってるようにしか思えんし、逆にわざわざアンケートを取る必要もあるのかと。まあ理由付けなんでしょうけども。

 今の泉ヶ丘プールの料金が以下になります。

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 大人で510円、小学生200円と。まあ市民プールならこんな感じでしょうね。

新プールの料金設定が以下。

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原山公園再整備運営事業の実施方針等を公表します(平成28年11月22日) 堺市

添付資料6 利用料金

 これは事業方針で堺市役所が求めている料金ですから、実際にこの金額になるかはわかりません。事業主体の運営会社の考えもありますから。その辺、公開もされていませんし。でも落札時には決まっているでしょうし、今回の堺市役所の仕事の進め方からして、役所の求める通りの値段設定はしていると思いますけども。

 この料金ですが、普通に考えて、大人900円と510円から倍近く上がって、プールの広さは半分になって、人が来ると堺市役所は思っているんでしょうか?有り得ないでしょ、普通に。新プールの水面積(泳ぐとこ)も10,000平方メートルって書くと広そうに感じるけど、100メートル×100メートルだよ?実質、新プールの広さは泉ヶ丘プールの4割程度。で、値段は倍近く。もう作ることは決まっているから人は来てほしいけど、リピータ率は低いよ、絶対。

 フィットネスクラブも、業務内容の詳細はわからないんですが、広さは3800m2くらいですか。フィットネスクラブとしては並くらいなのかな。

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原山公園再整備基本計画(案)

屋内プール900m2だから、25メートルが8ないし10レーンくらい?

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添付資料8 備品リスト

 堺市役所がこういう備品を置けっていうリストから。最大人数が屋内プールが420人で、ジムも420人かな。値段設定が以下です。

 

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 この価格って、公園近辺で一番高いフィットネスクラブに合わせたか、ちょい下ぐらいのようです。利用時間はちょっとわからないけど。この後、契約金とか堺市役所の在り方について書いていきますが、ここで言いたいのはこれを公園でやる意味って何かあるの?ってことです。しかも堺市役所が。これ、完全に営利施設ですよ。公園でやる必要ないやん。てんしばの時も「公園でこういう営利施設はどうなんだ?緑地の破壊!」みたいなことを言われてましたが、この原山公園の整備事業は完璧に営利施設です。てんしばにグダグダ言ってた人たちはこれに文句を言えよと本当に思います。話を戻しますが、公園でやる必要性が全くない。市民の憩いの場である公園を潰してやる事業じゃないでしょうに。コンセプト自体が公園でやる必然性が全くない。やるやらないの必要性は置いたとしても、公園じゃなくて別の場所でやれることでしょうに。ぶっちゃけ公園の隣に土地を買って、フィットネスクラブを作ればいいだけ。実際、ため池の上に作る駐車場以外にも土地を取得して駐車場の整備もしますしね。この原山公園再整備運営事業の予算とは別の予算で。そういったところに作ればいい。これって公園を再整備する補助金が国から出るからとにかく公園に作りました。それだけの理由ですよ。そして泉ヶ丘近辺ってそれなりにフィットネスクラブもあるんですよ?近辺のそういう民業を官業で圧迫するだけです。これで潰れるフィットネスクラブとか出たら、「栂地区センターとその周辺の賑わい創出に寄与」っていう目的を損なうだけだと思うんだけど。意味が分からないよ、本当に。堺の発展を考えてるのかしらん、この事業。要するに国の予算を分捕ってくるだけのものでしょうに。

 

 さて、ここまで長々、書きましたがここからが本題です。

 この事業の入札額は47億996万1千円です。

事業契約の内容を公表します(平成29年9月13日) 堺市

堺市役所が設定した入札予定価格は47億1000万円で、3万9000円下をくぐったってことですね。入札額の設定が凄いですね。まるで事前に知っていたみたい。で、今回のこの事業に応募したのは1社です。繰り返します。1社です。その1社が入札に応募して、堺市PFI事業検討委員会による事業者選定を通過して、正式に堺市役所と契約したのが現状です。

 現在、建設業はかなり好況を呈しており、仕事を選べる業界です。でもね、50憶近い事業の募集をスルーするほど仕事がないわけではないでしょう。応募しても蹴られるだけ。応募しても経費損になるからスルーしてるだけのようにしか見えません。まあこれは私の邪推ですけどね。で、入札を入れた会社が真にこの事業に適しているかを堺市PFI事業検討委員会が選定しています。その結果が以下。

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事業者選定過程及び審査講評を公表します(平成29年8月17日) 堺市

 Ⅱ入札価格に関する事項は、予定入札価格と実際の入札価格はほぼ同値ですから最大点になっています。事業内容の評価としてはⅠの提案内容に関する事項になります。これを見ると点数としては 1978/3750 ですから、事業評価として100点満点で50点ちょいってことですね。まあでも1社しかないから合格って話です。意味あるんかな、この検討委員会。で、50点評価の事業に堺市民は47億を税金から出すわけです。堺の人口は最新の推計人口で834,842人。赤ん坊からご老人まで堺市民一人当たり5641円を出すわけです。大多数の堺市民はそのプールには行かないのにね。というようなことを言い出すと堺市の全区にプールが1個づつ出来たりするんですよね。かつての大阪市の24区それぞれにプールが一個づつあったみたいに。

 

 次にこの事業の平成29年度予算要求シートを見ます。

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(平成29年度当初予算 予算要求シート

 債務負担行為が平成29年~平成51年まで47億4100万円で切られています。債務負担行為というのは堺市のような自治体は単年度、1年ごとに予算を作ります。しかし複数年度に事業が渡る場合、債務負担行為として予算を複数年度分、纏めて押さえてしまうというものです。この事業でプール他を作っての供用開始日(オープン日)は平成 32 年 7 月 1 日 を予定しています。そこから20年間(平成51年まで)、契約を取った運営会社がプール他の公園運営事業を担います。それらの管理も込みのパッケージ契約なんですね。

 

 この原山公園再整備運営事業の堺市役所における初のPFI事業です。

 

PPP/PFIとは
PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法です。
民間の資金、経営能力、技術的能力を活用することにより、国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供できる事業について、PFI手法で実施します。
PFIの導入により、国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供を目指します。
我が国では、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)が平成11年7月に制定され、平成12年3月にPFIの理念とその実現のための方法を示す「基本方針」が、民間資金等活用事業推進委員会(PFI推進委員会)の議を経て、内閣総理大臣によって策定され、PFI事業の枠組みが設けられました。
英国など海外では、既にPFI方式による公共サービスの提供が実施されており、有料橋、鉄道、病院、学校などの公共施設等の整備等、再開発などの分野で成果を収めています。

(PPP/PFIとは : 民間資金等活用事業推進室(PFI推進室) - 内閣府

 

実際、PFIというものが分かりにくい(私もあまりわかっていないw)のですが、利晶の杜を例に挙げると以下のようになります。

 

利晶の杜の計画がスタートして、

1.基本計画の策定

2.建物の設計・施工

3.展示物の設計・製作

4、建物が完成した後の管理・運営(指定管理者による運営)

大まかに分けると次の4つに分かれます。こういった各工程毎に利晶の杜では堺市役所が応募をかけ、入札を行いました。その落札した会社が適切な会社か、能力があるかを審議会などで判断をして、発注を行うという流れです。例えば2の建物関連で言えば、建物の設計、建物自体の施工、電気や水道関連など多岐に渡る入札があります。それらをこまごま一回づつ、堺市役所がやっていたわけです。しかしこの堺のPFI事業ではこれらを一括して1社が行います。今回この事業を47億で契約した1社がこれらの1~4、全ての工程をパッケージとして、堺市役所に成り代わって行うわけです。堺市役所としてはPFI事業者選定の1回の入札で済みますし、その後の工程もいくらかの確認などはあるもの堺市役所の作業工数は大幅に少なくなります。その分、人件費等の費用削減を行ったというのが堺役所の立場になります。では実際、今回のPFI事業でどれだけの費用削減を行ったかを堺市役所の資料から見てみます。

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原山公園再整備運営事業に係る客観的な評価の結果について

47億のうちPFI事業の範囲は43億3847万円(純粋な公園部分の整備等を47億から引いているのでしょう)で、堺市役所がやったら51億かかるけど、PFI事業を採用したら8憶浮いたよ。この8億は堺市役所の手柄だ!っていうのが堺市役所の言い分ですね。いや違うだろうと。これは堺市役所が如何に無駄が多く、不合理な組織であるかというだけの話ですよ。自分たちが無能だと言ってるのと同義です。じゃあ利晶の杜の事業費37億円はPFI事業でやっていれば同様に15%前後は減っていたのか?っていう話にもなるんです。(そういうのを堺市議に議会で突っ込んでもらいたいんだけど。やってたら御免なさい)実際のところ、なんでこういう形になるかというと日本のPFI事業には「削減率」っていうものがあるんです。ここでいう15.7%の縮減率っていうやつです。民間にやらせたら公的機関がやるより安い。いや安いはずだ。その前提で役所の試算から一定の削減率を掛けた額を出して、民間に投げるんです。それだと受ける会社も儲からんだろうという話にもなるんですが、この試算も膨らますだけ膨らましてるんでしょう。これは推測ですけどね。実際、この事業の当初予算は36億円でした。なんでそれが50億以上になるんです?ウォータースライダーやフィットネスクラブも予算を膨らませるために付け加えたのでは?最近、建設費で言われる資材・人件費高騰で上がったとかいうかもしれませんが、この事業自体計画から入札に至るまで3年もかかっていません。その間にそれだけ上がるわけもない。本当に堺市役所の仕事というものは理解ができません。じゃあ逆の話で、このPFIで8億浮いたとします。にしてもこの事業全体の諸々の計画や先ほど挙げた、堺市役所がした場合の51億の算定とかは外部の企業にやらせています。その仕事の対価は2億8500万円也。浮いたのは5億ってことになります。どんどん減るなw

民間手法導入調査及び実施支援業務」に係る公募プロポーザル選定結果について 堺市

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原山公園再整備基本計画(案)を策定しました

 

 最後に纏めます。

 

 古い政治とは何か?

 

 第一に公益事業ということで「儲けない」という立場を役所がとること。

 今回の事業は屋外プールにフィットネスクラブ。完全に営利事業です。でも儲けない構造にする。なぜなら役所のする公的な仕事だから。それは、この事業の収益をどうするかにも顕れています。「原山公園再整備運営事業入札説明書」でこの事業での事業者収入は、次のように定められています。

 

(9) PFI 事業者の収入
① 施設整備業務に係る対価
公園施設の施設整備業務に係る対価は、事業契約においてあらかじめ定める額と
し、一時支払金により市が PFI 事業者に支払う。なお、本事業では、市が国土交通省による社会資本整備総合交付金の交付を受け、これを原資に施設整備業務に係る対価を PFI 事業者に支払うことを想定している。

② 運営等業務に係る対価
公園施設の運営等業務に係る対価は、事業契約においてあらかじめ定める額とし、運営等業務の期間にわたり市が PFI 事業者に支払う
都市公園の利用料金
PFI 事業者は、公園条例で定める額の範囲内において、公園施設の利用料金を自らの収入とする。
クラウドファンディング等による寄附
PFI 事業者は、本事業において自主的努力により低廉かつ良質な公共サービスの提供を行うことを前提とし、クラウドファンディング等による寄附を原資として本事業のサービスの向上に資する施設整備や運営等業務に充当することができる。
(10) 収益還元
PFI 事業者の収入が提案時想定を大きく上回った結果、当初期待した以上の事業収益を享受できる場合、その一部について、市への利益還元又は公園への再投資により市若しくは市民に還元を求める。なお、還元の実施及び方法については、事業者の提案による。
(11) 便益施設事業者の収入
便益施設事業者は、自らの提案により、本事業の目的に合致する範囲において、便益施設を整備し、その施設を利用した便益施設事業を実施する。便益施設事業は、便益施設事業者が独立採算にて実施するものとし、その収入は便益施設事業者の収入とする。

 

 ここに書いてあることを要約すると、建物を建てるのは市が国から金(予算)を引っ張ってくるのでこれで建てる。毎年の運営費は堺市の予算から払う。プールやフィットネスクラブの収入は事業者がとっていい。儲かったら市にも頂戴ね。いくらにするかは事業者が決めていいよってことです。民間の投資なら普通、投資に対してこれこれのリターンを出す、っていう話をまとめますよ。あげた利益の20%とかそういう話になります。でもそういうのはない。利益を上げたとしたら自主的に収める額を決めてね、っていうのが堺市役所の定めるところです。こんなあほな話はありません。営利事業ですよ、これ?事業者と堺市役所間での質問の場が複数回あり、その質問から収益関係の該当部分を抜粋したのが以下です。

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 入札説明書等に対する質問・意見(参加資格関係以外)への回答(その1)

収益還元

事業者:

収益還元については、あくまでも事業者からの提案によるものであり、収益の状況に
よって市側から求めてくるものではないと解釈してよろしいでしょうか。

堺市役所:

ご理解のとおりです。

 

 いや、これは本当にない。例えばね、大阪市が管理をしていた大阪城は現在、民間に委託され、運営をされています。これって毎年固定納付金として年2億2600万円を市に納め、さらに一定以上の収益の中から歩合で支払う仕組みです。なんでこういう形になるかというと、大阪城の運営は儲かる営利事業だと大阪市役所は考えているからです。儲かるんだから当然、想定以上に委託した民間事業者が儲かった場合の大阪市への分配も考えます。でも堺市にはそれがない。なぜなら儲からない仕組みで作るからです。儲からないから、分配も想定していない。だから事業者のさじ加減でいいよ、っていう話です。端からこの事業が営利事業であるにも関わらず、儲けがないと堺市役所は認識しているから、こういう話になるんです。だから次の質問にも堺市の回答はこうなるんです。

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入札説明書等に対する質問・意見(参加資格関係以外)への回答(その3)

 

 ここに書いてあるのはプールやフィットネスクラブの大規模修繕に関しては、事業者ではなく、堺市がその費用を持つということです。おかしいでしょう?普通、事業者がそういうのを持つのが当たり前です。事業計画にもそういうのは組み込みますよ、民間なら。でもここではそうではない。なぜなら儲からないから。大規模修繕費を積み立てる儲けなんて出ない。その前提に立つからこういう回答になるんです。そしてPFI事業という民間活用が主旨の事業であるにもかかわらず、民間である事業者は自らの資金を使うことはないということです。本来、公的機関が民間活用というのなら民間のお金を公的な仕事に引っ張る事を言うんです。そして民間の知恵と技術を使って、サービスの向上、効率化を行う。それが民間活用です。しかし全ての経費は公が持つ、堺市が持つというのが堺市役所です。これは「④ クラウドファンディング等による寄附」にも見えます。 クラウドファンディング云々言ってますが、要するに事業者は自分の懐からこの事業に新規投資をすることはない、必要ないってことですよ。

 例えば、これがてんしばなら違います。てんしばは近鉄がやってますが、それらの投資・管理運営費は全てが近鉄持ちです。他にもイベントをしたり、新規でてんしばに投資を入れるのもすべて近鉄の負担です。これが当たり前だと思うんです。大阪市が土地を出して、そこで民間に事業をさせているんだから。そこで事業者は儲けるべきだし、儲けるのならそれに纏わる投資は全てその事業者が出して然るべきです。ちょっと蛇足で書くと、てんしばで年間3000万円のお金を近鉄大阪市に支払っています。まあ賃貸料みたいなもんですね。で、契約は20年です。3000万×20年で6億です。大阪市がてんしばをする際に動物園の公園側の門を作り直したり、道路やトイレを直しました。これらの費用は5~6億ちょいです。つまりほぼほぼ大阪市役所は、てんしばをロハ、ただで作ったということです。大阪市民の税負担はゼロ。こういうのが私は民間活用だと思っています。じゃあ大阪市は儲けも何もないやんってことになりますが、直接的には万年赤字の天王寺公園の赤字が消えました。天王寺公園事業に従事していた公務員は新規事業の立ち上げ、別事業に配置転換してより充実した住民サービスを大阪市民に提供することが可能になります。また、てんしばでカフェやレストランなど雇用が新たに発生しました。これによる従業員からの住民税やカフェ等の法人税で市税収入もアップです。てんしばの成功により、天王寺周辺の地価も上がるでしょう。地価が上がれば固定資産税も上がります。それらの税収アップは新たな市民サービス拡充に充てれます。いい事ずくめです。話し戻して。

 

 結局、この儲けないという姿勢で赤字を包み隠す、公共性があるから儲けなくてよい。そういった理由で箱物行政を続ける姿勢を私は古い政治と断じます。PFI事業にせよ、利晶の杜の指定管理者制度にせよ、民間を使ってるとは言っても、実質的に公がやっていた仕事をそのまま民間が同じ形で仕事をしているだけです。堺市役所の公務員がやってきた公共事業としての性格は変わっていなんです。PFI指定管理者制度を使ってても仕事の構造自体が何も変わっていない。これが「古い」んです。公の仕事で民間活用するなら、それは営利事業にならないといけないんです。公共事業を営利事業として形を変えながら、しかしその事業の公共性を保つ。それが公が行う民間活用というもので、維新の「新しい政治」の神髄はそこにあると私は考えています。

 

 第二にですが、この上記で出てきた国からの補助です

 

(9) PFI 事業者の収入
① 施設整備業務に係る対価
公園施設の施設整備業務に係る対価は、事業契約においてあらかじめ定める額とし、一時支払金により市が PFI 事業者に支払う。なお、本事業では、市が国土交通省による社会資本整備総合交付金の交付を受け、これを原資に施設整備業務に係る対価を PFI 事業者に支払うことを想定している。

社会資本整備総合交付金

社会資本整備総合交付金に関して知りたい方は上記のリンクを読んでください。何を私が問題にしているかというと、こういう交付金補助金はいくらでもあります。だから補助金の種類が問題ではないんです。問題は国自体にこういった交付金補助金に流行りがあることです。その時の政府がその時の政治課題に対して、予算を付け、それを地方自治体が得ようと思えば、それに沿った、阿った政策を地方自治体はとるんです。例えば、地震があれば、広域避難所が要る。それの整備に補助金だ。保育所が足りない。ならその整備に補助金だ。これらが悪いわけではないんです。問題の根源は、本来は必要でもないのに、そういった交付金補助金目的で箱物を作ることなんですよ。例えば広域避難所として十分整備されている公園にそういった予算を取ってきて、野球場を作る。保育所や幼稚園が耐用年数に達していなくても、国から予算が付くから建て直す。(例として挙げてるけど、これらも堺市ではやっていることです)これこそが古い政治です。実際にその地域で切実にプールが必要なら話は別です。でも、国の政策によってどういった行政課題で予算が出るかを判断して、そのためにその地域の行政課題をでっちあげて、国から予算を取ってきて箱物を作るのは違うんですよ。本来、公園に屋外プールやフィットネスクラブを作る必要はないのに、公園を整備する国の予算が出るから公園にプールやフィットネスクラブを作るんです。だから日本中に無駄な箱モノが溢れるんです。需要がないのに、国の予算を引っ張ってくるために、その地域に需要もないのに供給計画・事業をつくって、国から予算を引っ張ってくる。そして予算を引っ張ってきた首長は評価される。なぜならその予算を分配され、それで食っている人達がいるからです。これは箱物に限るものではありません。医療・福祉・全ての地方行政にあります。このシステム、構造自体を変えないといけないんです。この政治形態こそが古い政治であり、維新を支持する人間の敵です。維新の言う「古い政治を壊す。新しい政治を創る。」は、この古い構造を変え、新しいシステムを作るということです。

 

というわけで長々書きましたがこれで終わりです。以下、参考URL。

 

参考URL:

原山公園 堺市

PFI事業はなぜ儲からない(三井ufjリサーチ&コンサルティング

PPP/PFIとは : 民間資金等活用事業推進室(PFI推進室) - 内閣府

堺市が審査講評などを公表、原山公園PFI | 新・公民連携最前線 PPPまちづくり

 

妊婦検診の実際の運用で詳しい人いないかなぁ