日本維新の会:目指せ法案100本提出 その28 原発再稼働責任法案② (原子力災害対策特別措置法の改正)
日本維新の会が秋の臨時国会で100本の法案を提出します。これらの疑問に思った事やこれはいい、と思う点を書いていきます。基本的に維新の資料を見ただけで書くので、勘違いもあろうかと思います。その点、ご指摘頂ければ幸いです。
第28回目は原発再稼働責任法案②(原子力災害対策特別措置法の改正)です。
1 原子力発電所の所在する地域ごとに設置されている地域原子力防災協議会は、原子力災害に関する地域防災計画(避難計画を含む。以下「地域防災計画」という。)の作成支援という重要な役割を担っているが、その組織については、防災基本計画に記載があるのみであり、法律上の位置付けが不明確である。
2 地域防災計画の作成については、原子力災害の特殊性も踏まえ、原子力の専門家である原子力規制委員会の関与が必要である。
維新のこの法案改正における背景は上の通りです。防災基本計画に地域原子力防災協議会は記載されているのみで法の位置づけが無い。これを法定化してその機能をはっきりさせようというものです。
ここの緑色の「地域原子力防災協議会」の位置づけをはっきりさせようという事ですね。この協議会は、実用発電炉が設置されている地域それぞれに地域原子力防災協議会を設置(13地域)されています。
それぞれの協議会に作業部会を設置。その作業部会の主な構成メンバーは、原子力災害対策重点区域に入る道府県をはじめ、内閣府、関係機関など。地域防災計画や避難計画の充実化に向けて、地域ごとに課題を検討します。
協議会の活動として、避難計画の策定支援・確認に加え、①防災訓練の実施、②訓練結果からの反省点の抽出、③更なる計画等の改善を追加し、各地域の原子力防災対策の継続的な充実・強化を実現する改善のサイクル(PDCA)を導入などです。下は高浜地域での課題になります。
維新案ではこれに加え、自治体の防災会議に対して原子力規制委員会からの助言・勧告を行い、防災会議は原子力規制委員会に報告することを義務付けます。
私はこの改正案には賛成です。きっちり法定で位置付けるのはいいことでしょう。また原子力規制員会と相互連絡を各防災会議と取れる形にするのはいいことだと思います。
この原子力規制員会ですが、福島の事故以降改編がなされました。
(原子力規制員会パンフレットより)
日本の原子力規制の問題点は内閣府の原子力安全委員会と経産省の資源エネルギー庁下の原子力安全・保安院がダブルチェックをする体制という推進、規制両面の縦割り行政でした。これは2007年にもIAEAの方から「規制機関である原子力安全・保安院の役割と原子力安全委員会の役割、とくに安全審査指針策定における役割を明確にするべきである」と勧告を受けていました。余計なお世話で蹴りましたけど。
しかし、2011年(平成23年)3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故では問題が露呈します。原子力発電を推進する「資源エネルギー庁」と規制する「原子力安全・保安院」が同じ経済産業省の中にあるため、同じ人間が省内の異動によって推進と規制を往復する人事交流が漫然と行われ、規制対象である電力会社に天下りした退職者が規制行政に干渉するなど、規制機関がその機能役割を果たしていなかったことも原因の一つと考えられています。この反省に基づき、環境省に新たに外局として原子力規制に関わる部署を設け、原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会等、原子炉施設等の規制・監視に関わる部署をまとめて移管することが検討されました。(原子力規制委員会 (日本) - Wikipedia)
その結果、原子力災害対策指針の策定等、原子力防災に関する技術的・専門的立場からの事務を一元的に担う組織として、平成24年9月に設置された原子力規制員会にそれ等の組織を統合し、事務局として原子力規制庁が作られました。また、平成26年3月1日には、独立行政法人原子力安全基盤機構が原子力規制委員会に統合され、その業務が移管されました。
(環境省_平成26年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第2部第6章第9節 原子力の安全の確保)
この原子力規制委員会が本当にきっちり動いているのか、国会議員さん達にはしっかり調査をして欲しいですね。また同じことの繰り返しは御免です。
<参考>
原子力委員会 新大綱策定会議(第13回)原子力規制庁について
環境省_平成26年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第2部第6章第9節 原子力の安全の確保
環境省_望月大臣記者会見録(平成27年3月20日(金)8:58 ~ 9:15 於:環境省第1会議室)
環境省_「原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律(案)及び原子力安全調査委員会設置法(案)」の閣議決定について(資料配付)