粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

10月28日の小池都知事会見にみる東京都都庁内の勢力争いと小島PTの異常性

小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成28年10月28日)|東京都

 

10月28日に行われた小池さんの会見と10月25日の市場問題プロジェクトチームについてちょっと書いてみたいと思います。

 まず小池さんの会見から、豊洲関連を見てみたいと思います。

 

5 豊洲市場の地下空間の問題について

【知事】それから、これは来週の、11月1日(火曜日)に臨時会見を開くというお知らせでございます。何の会見かといいますと、豊洲の問題であります。豊洲市場の地下空間については、これまで、先月末、9月30日に、都庁内で自己検証報告書を公表させていただきました。「いつ、どこで、誰が盛り土をしないことを決めたのか」といったような点について、十分な解明に至らず、私も、これは空気の研究をしているみたいだという話をしておりましたけれども、それに続いての報告書でございます。
これまでの様々なメモであるとか、残っている様々な会議録、これらを精査いたしまして、その原因を究明して、改めて報告をするように、事務方に指示をしていたところでございますけれども、この調査結果につきまして、報告を、私が受けることとなっております。より絞った形で、いつ、どの時点で誰がどうしたということについての、その報告書を11月1日、皆様方には臨時会見として、ご説明をさせていただくことといたします。
ということで、私の方から、都民の皆様方にご報告する点は、以上でございます。

 

 10/1に臨時会見を開いて、自己検証報告書に関して二回目の報告を行う。そしてこの会見で豊洲新市場に関連した都幹部の首を飛ばすような感じになりそうです。これに関しては次の報道がありました。

 

www.sankei.com

 調査では22年11月から23年10月にかけて、盛り土をしない方針が固まったと認定。当時の部長以上の責任ある立場として、市場長経験者だった岡田至氏(退職)、現副知事の中西充氏、ナンバー2の管理部長だった現五輪・パラリンピック準備局長の塩見清仁氏ら計8人を特定した。

 

 中西副都知事を中心にその時代の関係した局長ほかの首を飛ばすっていう事ですね。

 

 今回の小池さんの本当の目的は、副都知事の席になるのかとも思います。小池流の都政改革のバロメータとしては現在の副知事の席の4つ。これをいくつ小池さんの指名する人間で取れるか、東京都の役人以外を座らせることができるかが判断材料になるように思います。今は全員、東京都の役人ですからね。副都知事は議会の承認は要りますが、本質的に豊洲の問題から副都知事の席を取りにきてる。それによる都政の完全なコントロールを小池さんは目指している。というのもこの問題における一つの観方になるのではないかと考えています。

豊洲新市場 専門家会議における提言と検証の違いと豊洲問題の纏め - 粉屋の大阪to考想

 

 9/24に書いた自分の記事ですけど、小池さんの目的は副都知事の席と書きました。実際、これで小池さんの指名する人、ないし民間から中西副都知事の後任を指名できれば小池さんとしてはしてやったりにはなります。しかし、こうはならないでしょう。現状の豊洲新市場にしても、オリンピックの会場問題にしても、あれらはそれぞれに「公益」を看板にしていますが、実際のところは都庁内の領土争い、ポスト(役職)争いです。次の図は、副都知事の主管している局を示すものです。

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東京都副知事について

 安藤副都知事が「中央卸売市場」を主管をしています。これは数十人の大異動があった10月15日の人事異動で、11/1に異動される?中西副都知事から安藤副都知事に権限が移されています。この10月15日の人事異動では岸本さんが中央卸売市場の市場長から降ろされ、2階級降格で総務局理事になります。降任の市場長は産業労働局の次長がなっています。これは敗戦処理って感じなのかな?移転のタイミングで市場長は交代をされるでしょうからね。この新しく市場長に就いた人の前のポストは中西さん主管の産業労働局次長の席でした。この席には、安藤さん主管の建設局の総務部長が後任に入っています。そして今まで空席だった「東京都技監」の席を安藤さん主管の都市整備局がとります。部長、課長級の異動を見ると安藤さん主管の建設局、都市整備局から中央卸売市場のそれぞれのポストに新しく就いてることが見て取れます。

人事異動(平成28年10月15日付)東京都総務局人事部人事課

 個人的な見方ですが、今回の豊洲市場では安藤副都知事一派と中西副都知事一派での派閥闘争、権力闘争だと思っています。まだ終わってはいないですが、誰が得をしたかというと安藤副都知事一派ですから。これらを安藤さん個人が絵を描いたとは思っていません。ぶっちゃけ安藤さんは番頭さんで、それの後ろにいるのもまた組織だと思っています。外郭団体で座っている「OB」の方々のご意向ってところなんじゃないですからね? 豊洲新市場も山ほど外郭団体は作られるでしょうし。そういったポスト争いだったというのが私の結論です。現状の東京都は3つの副都知事が争っている、いわば三国志の状態なんでしょう。副都知事は現在の4つの席がありますが、4つ目のはオリ・パラでの臨時の席みたいなもんですし。三国志では魏、呉、蜀の三国が争っていたわけですが、魏が安藤副都知事、呉が川澄副都知事、蜀が中西副都知事です。魏が蜀に攻め込んで、中央卸売市場という領土(ポスト)を取ったというのが一連の動きでしょう。その中で小池さんの役割は、魏が蜀に攻め込む大義名分を与える事です。三国志でいえば、漢帝国の天子さんの役どころが小池知事です。小池さんが会見で「豊洲市場は安全ではない。移転延期じゃー」を旗印に、蜀に対して魏が「奇襲攻撃」を掛けたのが構図だとみています。その時の中央卸売市場を主管しているのは蜀である中西副都知事です。だから移転延期に対して何の準備も小池さんはできてないし、その移転延期理由も弱いんです。でも大義名分は民衆(有権者)がなんとなく納得できる理由であれば良かったんです。私は、今回の豊洲市場における小池さんの判断でおかしな点を以下に指摘しました。

 

 1.事業の継続性、市場改善策を豊洲市場の移転延期の判断材料にした妥当性

 2.地下水モニタリングを移転延期の判断材料にした科学的な根拠と政治的妥当性

 3.豊洲移転を建設協議会で諮らずに築地の人達の判断を得ていない事。

小池都知事の豊洲移転延期決断における行政手続きの不備と東京都の盛土に関する自己検証報告書の問題点 - 粉屋の大阪to考想

 

 移転延期を普通にやるのなら1~3のことはクリアできるんです。多少時間はかかりますが。特に3は建設協議会で築地の人達に最低限の報告をしてからします、普通は。了承は取れなくてもね。そして、平成28年度9月の東京都の補正予算平成28年度9月補正予算(案)について|東京都)で、豊洲移転延期における築地市場の方々への補償も予算に含めます。ちゃんと補正予算で補償費も込めるから、安心してくださいっていう説明を築地の人にするのが普通です。なんもないですからね、この11月になろうとしている今も。こんな補償は予備費とかで出来る額ではなく、数十億レベルでかかるんですから最低、手付程度としても10億程度は予算化をするでしょう。なぜそういった事をしなかったかというと、一連のことをするには中西副都知事を通してないとできないからです。中西さんが中央卸売市場の主管でしたからね。だから私は「奇襲」と書きました。

  纏めると、私は小池知事に都政の改革は期待しません。ただ「改革」自体はあるでしょう。中西副知事一派に関係する外郭団体は統合されていくと思います。敵方を潰す。それだけの都政改革になるでしょうね。しかし安藤副知事一派の方の外郭団体、天下り先は温存をされるでしょう。維新が大阪でやった外郭団体に対する統廃合は、まさしく統廃合で大阪にとって意味のない外郭団体の廃止をガンガンしていきました。しかし東京都での同様の改革は統廃合を看板にしながら、実際は統合のみで予算・人員の規模は温存しつつ、トップの顔だけを変えていく(外郭団体の名前を変えるだけの)作業になるでしょう。そしてそのトップの顔は、中西派から安藤派に変わるだけです。大阪でいえば平松市政です。あのときも市政改革はしたとか言われていますけど、実質的には自分達と関係の薄い外郭団体を統合していって数を減らしただけです。そしてそれらの団体の名前を変えただけの数合わせですからね。小池都政でもおそらくそうなるでしょう。なぜそういうかというと首長と役人が結託をして、改革はできないんです。改革をするのなら次の類型になると思います。

 

1、役人の派閥の一派に肩入れをしてその上に乗り、独占させる(小池・平松型

2、役人の派閥を分散させて統治する(石原型)

3、役人の派閥解体を目指す(猪瀬型)

4.自分の政策を通させる代わりに役人の派閥に関して関知をしない(舛添型)

5,役人の人事権を握ることで、新たな首長直轄の派閥を作る(維新型)

 

 印象含むって感じですけど、こんな感じじゃないですかね。5の維新では、役所内に中央組織(府市統合本部、現副首都推進本部)を作り、そこで人事権を掌握し、役所を動かす形です。私はこれが最善だと思っています。石原さんも猪瀬さんを使って、それに近いことをしようとしました。あまり上手くはいきませんでしたけども。猪瀬さんはその辺をやりたかったとは思うんですけど、ああいう風になっちゃいましたので残念です。そして1の小池・平松型が上手くいかないのは、結局、役人のいう事を最後は聞かされるからです。力が強くなりすぎて、制御が出来なくなるんですよね。

 私が小池さんに対して疑問を持っている点で、出馬時に「然るべき人に相談をした」というのがありました。これについてはその後の続報はありません。誰に出馬の相談をしたのかという点が疑問なんですが、「然るべき人」には安藤さんも入っていたんじゃないかと思っています。安藤さん個人と小池さんが知り合いだったとは思っていませんが、「然るべき人」と相談した時に安藤さんも付いてきたんじゃないかと思っています。小池さんが都知事に成って、議会も回せない、役所も回せないでは何もできませんからね。そこで都庁の大番頭である安藤副知事が後ろに付いてくれるというのであれば都政は回せます。小池さんが都知事選に出馬する際に「崖から飛び降りる覚悟」って言ってましたけど、最低限、命綱はつけてた。それの命綱の一つが安藤さんなんじゃないかと思っています。まあでも、こういう事をすると、知事のイスも都庁にとって交換可能なパーツの一つにしかならんから色々難しいと思っています。支持率が落ちたら放り投げられるだけで、「俺知らね」になるだけですから。

 最後に10/4に書いた記事ですが、以下の考えは今も変わりません。小池さんは一日でも早く、移転のロードマップを発表するべきです。

 

 小池さんは現在、無敵モードです。無敵モードというのは現時点(もしくは基準値オーバーが出る少し前)なら、移転をする決定、また移転白紙をしても大した傷にはならず、得るものの方が大きかったでしょう。でも今回、実際に地下水に基準値オーバーが出たことで、その無敵モードも終焉です。終焉は専門家からの見解が出た時点になるでしょう。それ以降はなるべく早く、豊洲の問題を収束することです。でないと政治的な勝ち分をすべて吐き出してなお足りない、という状況に小池さんは陥ると考えています。そういった意味では、橋下さんの言う「予算に注力した方がいい」というTwitterでの意見は正鵠を得たものになるでしょう。

 ぶっちゃけ言えば、小池さんは豊洲市場で移転延期・白紙で二股をかけていたと思います。最初の頃はね。それも移転延期・再開の方に重点は高かったと思っています。また実際に地下水から基準値オーバーが出るとも思ってなかったんじゃないのかな。ある意味、危険な火遊び的な面もあったのではと邪推しています。でも今回、基準値オーバーが出たことで、小池さんの首長としての政治家の能力が試されます。出なければ「安全確認ができた」で逃げれたんですけどね。豊洲の件は、小池さんの判断のみで移転延期を決めたわけですから、移転延期、白紙化、双方ともに小池さんは傷を負います。しかしそれを差し引いて勝ち分は残るうちに、さっと手仕舞いをして欲しいですね。来年の2月に移転ぐらいの短期決戦でいかないと、結構に厳しい政治状況になるように思います。

小池都知事の豊洲移転延期決断における行政手続きの不備と東京都の盛土に関する自己検証報告書の問題点 - 粉屋の大阪to考想

 

市場問題プロジェクトチーム | 東京都

 市場問題の2回目にサクッと二つ、触れておきます。一つ目は佐藤委員発言の意味と二つ目は日建設計の最後の発言です。

 

 1つ目の佐藤委員の発言ですが以下のものになります。

 

youtu.be

 

第2回豊洲市場問題PT会議での佐藤尚巳氏の発言「事実と違う表現を用いて都民の方に 誤解を与える解説をした。 それが専門家としてやるべきことなのかと 非常に疑問を感じました。」第一回の発言も含め佐藤氏の発言を何故マスコミは伝えないのか!? - 目が覚めて思うこといろいろより引用)

(動画1時間27分より)

佐藤尚巳氏】
先ほど高野さんが問題を解りやすくするためにモデルをゆらしてご説明をされました。
そこの写真出して頂けますか。

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豊洲市場PT会議 資料


この絵の中で先程ですね、ここの土がなくなった時にこうゆれると揺らしましたね。
(下段右端の図を指す)

実際、日建設計さんの計算でもこの部分はですね、(地表面からの深さ)4メートルの中で僅か(横へ)0.5ミリしか動かない。

(建物と地表面との離れた部分の幅を指す)

今川さんの説明の書類の中でも1.3ミリしか動かない。


この模型の中で実際にそのものを説明するとしたら、寧ろこれなんですよ実際ね。
(下段左端の図を指す)

動くということを説明するのは確かにこれ(下段右端の図)かもしれないけど
現実はこれ(下段左端の図)なんです。それをあなたはパフォーマンスをして皆さんの前でやってのけた。これについて私は非常に残念です。事実と違う表現を用いて都民の方に誤解を与える解説をした。それが専門家としてやるべきことなのかと非常に疑問を感じました。


ということは、あなたの主張される・・・・


(司会代理に途中で強く遮られる)

 

 上のような流れなわけですが、ニュアンスについては動画をご覧ください。PT側で日建設計を追求する立場である、構造設計の専門家として出席をしていた高野さんの説明について、佐藤委員が怒ったという状況です。なぜ怒ったのかというと、地震が起きた際の地下構造の挙動計算で、今川さん?が地下構造の部分について再計算をした結果は1.3mmでした。日建設計の計算では0.5mmでした。よって、地下構造物の4mのサイズでみたとき、双方の数字は計算誤差の範疇だったんです。だからPT側として日建設計を追求する立場である高野さんの説明は左図、地下構造物は「固定」であるという形で説明をしないとおかしな話になるわけです。それを右側の「自由」として説明をしてしまったことに対して、構造設計の専門家の説明として事実と違う表現を用いたという事です。高野という人が専門家として数字が読めてない、もしくは数字を敢えて無視しているということです。この佐藤委員の発言を私は全面的に支持します。可笑しいんだもの、この高野って人。最初の説明でも、何で地下構造部に対して周囲の土の拘束を検討していないのか?とか聞いてるんだもの。地下構造物の周りの土は普通、こういう構造計算では要素として加味をしません。それは豊洲新市場みたいな埋立地以外の土地でもそうです。あんな何十万トンもある建物で周囲の土に地震軽減の効果を期待するってこと自体がおかしな話です。私は最初にあの第2回のPTを聞いていて、まずこの高野さんの発言で引っ繰り返りましたもの。普通、ああいう豊洲新市場の建物を考えるときは土は消します。土は無い物として考えるんです。地下何十メートルの岩盤から無数の杭が立ち上がり、それが地下構造のケーソンに繋がって、その上に建物が載っているんです。アメリカのグランドキャニオンの峡谷の底に無数の何十mかの柱を立ててその上に4mの板状の構造物付けて、その上に豊洲新市場が載ってると想像してください。高床式住居がありますが、あんなようなもんです。

 

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豊洲新市場 専門家会議における提言と検証の違いと豊洲問題の纏め - 粉屋の大阪to考想

 だから計算をする上では、土は空気と同じものと考えて考慮しません。土の状態で条件も変わりますし、仮に土に軽減効果があったとしても、それは計算外の部分にしておけば、プラスになるわけでそれは安全側にもなります。だから計算に考慮をしてないのか?で私は引っ繰り返ったわけです。機械でもこんな考え方はしませんよ。強度として期待できないものを考えるなんて。逆にマイナスの効果で土を考えることはあってもプラスの効果で考えることはありません。だって数値として定量化が出来ないもの。本当にどういう経緯でこの高野という人はあのPTに追及側として呼ばれたのか?そこからして不明なんです。PTには構造設計の専門家も委員として参加してますからその人が質問をすればいいわけですし。それなら、あんなアホな質問をしないでしょうけど。この高野という人が今までに作った建物を知りたいです。

 

 

 二つ目なんですが、この会議の最後に日建設計がPTに対して安全の合意を求めました。要するに我々日建設計の構造計算は安全であると日建設計とPT側で合意をしたという結論を求めたという事です。当たり前ですね。でないと日建設計は何のために参加をしたかわかりませんから。

(先の動画2:11:25~)

 ここで日建設計は、法に則って設計をしている、そのことをこの場で確認をして欲しい。我々の最後の結論に反論があるなら危険性をPT側で証明して下さいと言っています。高野さんがごにょごにょ言いますが、日建設計側に全否定されました。で、PT側の構造設計担当の森高委員が、日建設計の構造設計の思想は聞きました。繰り返しになりますが、日建設計が設計の責任を負うという立場で安全を宣言されている。私もそれに同意をします、と言い、合意がなされました。よって構造設計において豊洲新市場は何も問題がないという事がPTにおいて確認をされました。

 この日に合意が取れなかったら、おそらく日建設計は話をする場を法廷に移したと思います。その場合、被告席に座らされるのは東京都とPTの委員になるでしょう。それぐらい強い調子で日建設計側は怒っています。これも当たり前です。日建設計としたらここで設計の安全に疑問符を付けられたら、相当な賠償金を食らいます。勿論、その設計は東京都も同意をしていますから100%被る訳ではないでしょうが、会社がこけるこけないレベルの被害になるでしょう。日建設計が用意をした資料を見ても数百万レベル以上の金を掛け、法務や取締役会で今後の方針も確認をしていると思っています。遊びじゃないんですよね。だからあの場にいた日建設計側の人達は設計の代表者ですが、そこまで強く言えるんです。合意を取って来い、取れなかったら後は会社で引き受けるぐらいのことは言われてたと思っています。だから構造設計の専門の委員もすかさず同意をしたんです。言い方は悪いですが逃げたわけです。そりゃ逃げますよ。日当数万レベルの仕事で、そんな法廷の争いに巻き込まれたくないわけですし。だから高野さんやこの問題で色々ガセのようなことを流している森山委員も、合意に異議を差し挟まなかったんです。まあ終わった後にツイッター森山さんは色々、言ってましたけどね。だったら第3回で第2回の合意をひっくり返しにかかればいいわけですが、それはしないでしょう。それをしたら森山さん一人で日建設計と戦うことになりますから。これはそういう話です。何ともつまらん会議だったというのが私の思う所です。

 普通、こういう設計に対して異議を出す場合、その数がたった3つって所からしてどうしょうもないなというのが私の考えです。しかも会議中に旗色が悪いもんだから、他の委員から質問・疑義を募ってるし。設計の規模からして普通、数十から数百の疑問を出しますよ。それぐらいの数を争わないと反証側は勝てませんもの。私は今回、PTで疑問が出された疑問の内容は学士レベル以下と判断をしています。HPで見て疑問に思ったことを素人がぶつけました、ぐらいです。レベルが低すぎます。豊洲新市場を調べて私が思うのは、豊洲新市場というのは汚染対策もそうですし、建築の問題もそうなんですが、その全てにおいて過剰に品質を求めすぎているんです。だから本来、攻めるのなら、その過剰品質を攻めるべきです。豊洲新市場は安全ではないというのではなく、安全過ぎだろうという立場で攻めるのが本来あるべき追及の姿だと思っています。

 

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 例えば耐震強度ですが、法定で必要なのは1倍ですが、東京都はそれを上回る1.25倍。しかし実際に設計された強度は1.34倍です。1.27倍くらいで充分でしょ?っていう話なんですよね。これが1倍の強度を東京都に求められて、設計した強度が1.07倍ならわかるんです。余裕を見越してっていう考え方ですから。将来的な拡張性も必要ですし、それぐらいの余裕を見ないと設計なんてできません。安全なら安全なほどいいというのは普通の考えですが、それには金の問題を無視した無責任な態度です。一概には言えませんが、強度を上げる費用は上げる強度の二乗でかかります。強度を2倍にするには経費は2^2で4倍になります。今回の設計を法定の強度から言えば、1.34^2=1.80倍かかることになります。東京都が求めたものと比較しても、1.25^2=1.56倍ですから0.24倍、東京都が求めたものから多く日建設計の設計内容では掛かることになります。数字としては0.24ですが、建築費は2000億を超える物件ですから、これで数百億は変わります。ここで挙げた数字自体に意味はありませんが、豊洲新市場の建物の建設費が990億円から2752億円へと3倍に急膨張しました。実際、この辺の過剰設計も上げた要因の一つになってるんじゃないかと思っています。資材の高騰などを理由にされていますが、それでも3倍はないでしょう。だから予め余裕を十分以上にとってるのに、そこからさらに設計の余裕を取る理由。勿論、日建設計にはこれに対して合理的な理由を持っているでしょう。だったらそこをなぜか?と追及するべきなんです。1.25から1.34に数字を上げて、建築費がいくら変わったのかを追求するだけでも結構面白いと思います。でもそれはPTでは出来ない。なぜなら、豊洲新市場は安全ではないことを立証することがPTの、そして小池さんの目的だからです。おかしいんですよ、本当。佐藤委員の発言を遮った理由についても私は理解をできません。あのPTの人選自体に疑問を持っている部分が私にはあります。

 

 あと蛇足の蛇足で地下水管理システムについて書いておきますが、あれも問題はありません。問題は出るでしょうが解決できる話です。だってあの程度の規模の地下水管理システムなんて、今でもあちこちにあるんですから。大阪でいえば関西国際空港。あそこの地下水管理システムの方がよほどに大規模です。豊洲新市場の地下水管理システムは日本でも初めてのものとか言われてますが、それは何が初めてかというと、汚染対策も併用してやるシステムとしては日本で初めてというだけの話です。現行で、敷地全体に対する地下水の排水はできているんですから、後はそれをどう調整するかだけの話です。それだけの話なのであまり深刻になる問題ではありません。東京都と管理をしている会社が根を上げたら、その時点で問題化すればいいだけの話です。