粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

豊洲新市場地下の”謎の空間”は液状化対策+おまけが本編

 今回は、豊洲盛り土問題での青果棟など建物下にある地下空間(以下ピット)について書きたいと思います。

 

www.sankei.com

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 謎の空間とか言われてますが。このピットが豊洲新市場に絡んで行われた会議で出てくるのは「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」(以下技術会議)です。この技術会議での「Ⅲ 汚染物処理、液状化対策などを含む一貫した対策(案) 」の対策として五案が提案されています。これらの案の五案目がこれです。

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『この部分の地下空間を利用する』

 これですね。埋め戻しは行わない=盛土は行わないってことです。で、問題はこの案なんですが、技術会議で否定されているんです。この五案は技術会議で採用されなかった。なのになぜか生き残っていた。なぜ?それが今回、書きたい点になります。

  豊洲新市場の各棟は大きな建物ですから、地下構造物は何がしか必要になります。配管などもありますし。だから本来はこういった対策ではなく、地下構造物について、専門家会議や技術会議で諮っておくべきなんですよね。それを東京都はしていなかった。上で挙げた資料も本来は液状化対策などに搦めた諮問ではなく、当然あるべき配管などを納める地下構造物、ピットとして諮問をしておけば、今回のような問題にはなっていませんでした。そこで条件を定めて貰ったらよかっただけの話なんです。やっていれば共産党を喜ばすようなことには、なっていなかったんですけどね。

 

 ちょっと話は逸れますが、この前から共産党さんがピットに入って、水質検査したりして喜んでますね。共産党さんの手口はこれです。煙が立てば問題にし、反対運動を組織してそこを票田にする。わかりやすい。今、豊能の方で再びダイオキシンで問題になってますが、町民の方々は気を付けてくださいね。ある意味、マッチポンプかもしれませんから。

 

 話戻って。今回の大きな問題点は何かというと、このピットが何か?と言うのを東京都が即座に小池都知事に説明ができてないことです。それができていれば、最初の小池都知事の盛土の会見で「このピットはこれこれこういう目的の為に作った。その為に盛土はされていない」という説明ができていたわけです。それが出来ていない。なぜできなかったかというと、最初に書いたように東京都の裁量で決めたからだと推測をしています。なぜ推測かというと、地下空間に関する資料が何もないからです。そして、地下空間の設置を決めた過程を小池さんに説明ができない何かがあるんです。小池さんの会見での言葉を借りれば「(専門会議などの有識者に)オーソライズされていないというのが今日の一番の大きな問題であろうと、このように思っております。」という”行政手続きの問題”なんですね。その東京都の裁量で決めた過程。これを都知事に説明ができていないという事。これが今回のピットでの一番の問題です。東京都は優秀な組織です。通常の仕事であれば、当然あるべき行政手続きは踏みます。「お役所仕事」全開で。これは嫌味でも何でもありません。普通に仕事が進んでいれば、地下構造物について絶対に専門・技術会議に諮っているはずです。それが今回の件では欠落しているのは、通常の手続きをすっ飛ばす何かがあったという事です。そしてこれを小池都知事は最大の問題点にしています。私も今回の豊洲新市場での最大の問題点だと捉えています。そしてお役所がすっ飛ばしたという事は、役所の上から何か言われた、あったという事です。東京都庁の上は、都議会か都知事しかいません。ではそのどちらからか何がしかのことがあったというのが普通の推測だと思います。

 

 次に今回のピットについて、技術会議での話の経緯を追ってみたいと思います。

 まず技術会議の目的からですが、以下になります。

 

 豊洲新市場予定地における土壌汚染対策工事に関する技術会議(以下、「技術会議」と いう。)」は、「豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議(以下、「専 門家会議」という。)」の提言を踏まえ、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策を具体化 するにあたり、民間企業等から広く新技術や新工法を公募し、その評価及び検証を経て、実 効性や経済性に優れた土壌汚染対策を策定することを目的として設置した。

技術会議報告書(全文)より 東京都

 

 技術会議は豊洲新市場の土壌汚染対策工事に関する技術会議です。まんまやなw 要するに豊洲の予定地での汚染を除去するために最適な工法を公募し、策定することです。決して、実際に建てられる青果棟などの建築物の設計に対するものではない、というのは押さえておくポイントだと思います。敷地全体に対する汚染除去の工法を目的とした会議という事ですね。

 この会議は全18回有り、工法などの技術的なことについては、ほぼ10回目までで纏まっています。それ以降は、土壌汚染の実際や報告書の取り纏めが行われていました。では第一回目から見ていきますが、今回の目的はピットなので、液状化対策に注目して見ていきます。

 

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 経緯は上のようになります。昭和の御代からやってたんですねぇ。平成20年8月15日に開かれた1回目は、豊洲新市場の今までの経緯と技術会議での目的や汚染対策工法の公募についての説明や質疑が行われています。一回目で重要なのは、工法の公募の目的です。

 

 1点目といたしましては、汚染土壌、汚染地下水対策。2点目として、液状化対策。3点目といたしまし て、市場施設完成後の地下水管理システム。さらに多くの提案をしていただくために、 専門家会議の報告と同等又はそれ以上の効果が期待できる総合的な対策の4項を挙 げさせていただいております。

技術会議第1回目議事録 P.10~P11)

 

 上の四項目が公募の目的ですが、これが即ち、技術会議の目的でもあります。

 

 第2回目での液状化対策の部分について以下に見ます。

 

(委 員) 液状化対策は、建物下だけで実施するのか。
(東京都) 液状化対策は、建物の外側を対象とし、建物下は基礎杭を支持地盤まで打設するので液状化対策は考えていない。

技術会議第2回目議事録 P.6

  

 委員からの液状化対策についての質問での東京都の最初の見解です。基礎杭に建物を支えさすので、建物下の液状化は考えて無いと言ってますね。

 

(委 員) 建物下以外で地盤改良を行うということであったが、建物下も地盤改良を行い、その上に直接基礎をつくることは考えられないか。
(東京都) 現時点では、埋立地で軟弱地盤であることから、サンドコンパクションのような液状化対策のみで地耐力を確保することは難しいのではないかと考えている。
(委 員) 液状化対策面(A.P.+2m)から 4.5m の盛土もあるが。
東京都) 現時点では、基礎杭で保たすべきと考えている。
(委 員)もったいない気がする。圧密沈下によるネガティブフリクションなども考えられるし、全面の地盤改良のほうが費用が安くなる可能性がある。
(東京都) 市場という広大で安全性を必要とする建物が不陸を起こさずに載っているという保証がないので、不陸を起こさない基礎杭を想定している。
(委 員) 液状化対策の効果を考えるときに、地震動を想定する必要があるが、ここではレベル2 まで考えているのか。
(東京都) 現時点では旧運輸省の基準で検討しており、レベル 1 で考えている。レベル 1 とレベル 2 で大きな違いはないが、どこまで考えるかは今後の検討課題である。
(委 員) 工法を選定して対策効果を検討する段階で判断する必要がある。
(東京都) 建物については、基礎地盤まで杭を打っていれば安心だと思っている。その他の箇所では液状化対策を考えている。
(委 員) 関西のほうでは、このように数 m の盛土があると直接基礎とする例も増えている。
(東京都) 神戸などの海に近い箇所でも同様であるか。
(委 員) 埋立地である。今の段階では遅いのかもしれないが、今から考えるのであれば、検討してみればと思う。硬い表層が薄ければ問題だが、数 m の厚さがあり、しっかりと締め固めてあるとか、液状化しないということであれば、可能性はある。盛土に伴う圧密沈下により杭の抜け上がりやネガティブフリクションを起こす可能性があるので、直接基礎としてはどうかと考えた。
(委 員) 事務局で検討するか。
(東京都) 確実に安全な施設ができ、安くて早くできるのであればありがたいことである。検討してみる。

技術会議第2回目議事録 P.7

 

 技術会議第2回目での東京都は、今回のピットのような大きな基礎的なものは必要がないというのが見解になっています。これが今後変わっていくわけですが、三回目は公募した工法についての説明でした。続いて四回目を見てましょう。

 

 四回目の資料で「【液状化対策に関する考え方の整理】」があります。

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評価に際しての問題点・課題

 この前提条件にある「(なお、レベル 1 地震動を対象に地盤改良を行っておくと、レベル 2 地震動が襲って液状化しても沈下などの地盤変状は小さいと予想されるが、噴水は生じる危険性はあるので、本当にレベル 2 地震動で設計しなくて良いか、検討が必要と思われる。)」という括弧内の部分が重要だと思います。東京都の考えとしては、液状化して噴水することを恐れているという事です。液状化の噴水というのは以下のようなものです。

 

  地盤の液状化は,地下水で満たされた締まりの緩い(空隙の多い)砂質層が強い地震動を受けると起こります.震動により繰返し揺すられると,砂粒子は配列を変えて寄り集まり,全体としての体積を小さくしようとします.これに対し水は気体と違い圧縮されにくいので,体積縮小に対して強く抵抗します.この結果として間隙を満たしている地中水の水圧が高まります.配列を変え相互の支え合いがはずれた砂粒子は,圧力を高めた水の中にばらばらになって浮いた状態になります.これが地盤の液状化です

  圧力を高めた地中水が砂とともに地表へ噴出すると,地層の中身が抜け出たことになり,沈下・亀裂・陥没・隆起などの地盤変形が起こります.噴水・噴砂が生じたあとは,ミニクレーターのような地形が多数出現します(写真13.1 液状化による噴水・噴砂).側面からの押さえのないところや地表面に傾斜のあるところでは,液状化層が側方へ流動します.地表面傾斜が大きいと泥流状になって流れ下ることがあります.これにより建物・構造物に沈下・傾斜・転倒・浮き上がりなど,およびそれに伴う損傷が生じます.

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防災基礎講座 災害事例編

 

 地震の際に多く報告されたものですね。地震により地盤が液状化し、地表から噴水、砂交じりの噴砂をするというものです。これの圧力が強かったり、地震により建物の床が損傷をすればそこからも同様に噴水、噴砂をします。東京都が恐れているのはこれなんです。豊洲新市場の至上命題は「食の安全」を守ることです。それを守るために豊洲新市場ではありとあらゆる汚染対策が打たれています。地下水対策、汚染土壌も然り、勿論、液状化対策もそうです。しかし万が一、建物内、市場内に噴水、噴砂が起きたら? 仮に噴水、噴砂が建物内で起きたとしても、その地下水、砂は汚染されていないものなので、大丈夫と言うのが東京都の立場ではあります。

 液状化により地表へ土壌の噴出があったとしても、土壌及び地下水中の汚染物質は除去・浄化しており、さらに新市場は閉鎖型施設として整備することから、問題はないと考えている。

 (第五回資料 2 評価・検証に際しての視点(案) 2-3

 上の資料の「1.前提条件 (1)液状化が発生すると、汚染物質を含んでいる地下水が噴出し、地表を汚染する危険性があるため、敷地全体で液状化が発生しないように対策を施す。」というのはちょっと違いますけどねw まあでも、実際、土壌対策としては噴水、噴砂をしても問題ないレベルにまで浄化するというのが現在のスタンスになっていますから問題はありません。ここで問題とするのは東京都の液状化での噴水、噴砂に対する姿勢が、絶対に建物内に噴水、噴砂を流入させないという事になっていくという事です。それはなぜかというと、地震により実際に建物内に噴水、噴砂があったとします。しかしそれによる汚染物質での汚染は市場にはありません。なぜかというとほぼ完ぺきに土壌、地下水の浄化をしたからです。だから基準値以上の汚染は有り得ません。砂を除いて、洗浄をすればOKなわけです。しかし、風評被害は東京都には止めることはできないんです。これは東京の食卓を預かる豊洲市場には致命的になります。現在のこのピット問題におけるマスコミ報道を考えるに、それは致命的なものになるでしょう。「液状化によって汚染された砂、地下水が豊洲市場を汚染した。もうダメだ」これは絶対に避けるべきことです。だから100%、液状化による建物への直接的な被害、そしてそれより深刻な風評被害を避けるために、ピットをこっそり東京都が設けたというのが私の推論です。仮に液状化により噴砂、噴水があってもそれはピットで受け止めるという事です。だから私は東京都がこのピットを作るにあたり、悪意があったとは思っていません。誰かさんの思惑もあったかもしれませんが、あくまで公益、豊洲市場の食の安全性を守るためにやったのだと思っています。まあ多少不純なものもちらちら見えはしますが。

 この四回目で公募された工法への(2)概括的評価結果(P.8~9)で、委員から次の発言があります。

 

(委 員) 液状化対策技術の評価に当たっては、想定する地震動をレベル 1 とし、汚染物質を含んだ地下水が噴出することを防止するために敷地全体で対策することを前提にした。また、A.P.+2m で地下水管理されることから、A.P.+2m 以深だけを液状化層とし、液状化層の浅い箇所と深い箇所で、工法を変えることも考えている。さらに、A.P.+2m以深で掘削除去する場合には埋め戻し土に液状化しないようセメントを混ぜる工法もあるので、埋め戻し後に液状化対策する工法と両方の可能性を想定している。評価のポイントとして、同じ原理であっても、多少施工機械が違ったり、費用の差がある場合、費用の出し方も条件によって違うので、同じ原理の工法はあまり優劣をつけていない。また、局所的な改良方法もあるが、広い範囲を改良するという点で、あまり優位性を考慮していない。ただし、ゆりかもめなどの近傍では局所的な工法の適用も考えなければならない。さらに、下部有楽町層(不透水層)を乱す工法は適用しない、液状化対策と同時に汚染処理できる工法ではその効用を考慮する、A.P.+2m以深の掘削後の埋め戻しの液状化対策も取り上げる、こととしている。これらの考えに基づいて、既往の工法でも、豊洲に適するかどうかという観点で評価を行った。締固工法では、静的な締固工法の評価を高くしている。固結工法は、優劣がつかなかったので、局所的な適用は可能だが費用の面で高くなる工法以外は、S評価とした。このほか、地下水の噴水の可能性があるものは B 評価としている。

 

 東京都は建物以外を液状化対策の範囲としてますが、委員は敷地全体を前提としていますね。予めこの意見を受けて、東京都は資料を作ったのだと思います。ただ5回目で、液状化対策は敷地全体という方向にはなってないんですけどね。以下は五回目の議事録からです。

 

(委 員) 「液状化により地表へ土壌の噴出」(資料Ⅱ,2-3 頁)とあるが、土壌を地下水に修正していただきたい。また、当初は汚染された地下水が噴出してはならないという考えで液状化対策を検討することになっていたが、今回、地下水をすべて環境基準以下にすると変更になったことで、液状化して地表に噴水があってもよいと考えるのか。
(東京都) そのように考えることもできる。
(委 員) そうであれば、液状化対策工事で不透水層に配慮する必要はないのか。
(東京都) そのように考えることもできる。
(委 員) そうすると、対策は地下水の噴出を防ぐのではなく、構造物を守るためだけになる。現時点では、建物建設地以外は全面的に液状化対策を行うこととしているが、構造物の被害を考えて、対策箇所を再検討する話も出てくる。例えば、駐車場は、多少水を噴きだしても、すぐに修復すればよいという考え方もある。全面的に対策するのか、守るべき構造物だけ対策するのかで、考え方も経費も相当異なる。
(東京都) 通路や平面駐車場といった施設があるので、液状化対策が必要と考えている。
(委 員) なぜ、駐車場を対策する必要があるのか、明確にすべきである。駐車しているところで液状化しても問題なく、修復するほうがトータルコストの面でもよいという考え方もある。
(東京都) 市場には 1 日も休みの時間がなく、震災時も機能が止まらないようにするという観点がある。
(委 員) その場合には、レベル 1 地震動と、レベル 2 地震動の考え方をはっきりさせておく必要がある。常にオペレーションが必要というのは、レベル 1 地震動に対してである。レベル2地震動は、操業できなくても人命に影響がなければよいという考え方である。そうするとレベル 2 地震動では、液状化してもよいという考え方となる。また、対策についても、ドレーン系は噴水があるとよくないということで評価をさげていたが、噴水に問題がないというのであれば、評価が変わる。
(東京都) レベル 2 地震動で設計、対策しておけば、アスファルトが割れて噴水することもないと考えている。

(委 員) レベル 2 地震動で検討していくと書かれているが、どこまで対策をするかは明確でない。一般的には、レベル 1 地震動では液状化させない、レベル 2 地震動では液状化しても甚大な被害を生じさせないということになる。
(東京都) ここでは、市場の安全の信頼性をどのように確保するのかという観点から検討していただきたい。基本的に浄化してあるので液状化により噴水しても問題ないと考えるが、有楽町層の上部が汚染されているのではないかという意見もある。また、有楽町層は調査しないという整理をしている。市場完成後に地下水のモニタリングを実施することと同様に、信頼性を確保するという点で、できるだけ液状化は避けたい。液状化してもよいとは言い難い。

 

 これが全てですね。

「信頼性を確保するという点で、できるだけ液状化は避けたい。」

東京都が欲しいのはこれなんです。


(委 員) 敷地全体に対してか。その場合には、全面的な対策が必要となる。
(東京都) 建物下以外は、敷地全体で液状化を防ぐというのが、基本的な考え方である。
(委 員) 建物については、レベル 2 地震動に対して杭基礎で構造物自身が問題なかったとしても、建物下から水が上がってくる。通常、工場などであれば、床に少しひびが入るなどして、水が噴き出す。このようなことも問題になってしまう。
(東京都) 建物内の噴水は最悪の事態である。閉鎖型の建物にしてあり、建物外で液状化による噴水があっても、建物内には影響がないという考え方としている。
(委 員) 建物は杭基礎になるので、レベル 1 地震動であっても、液状化する。その場合には、水がどこからか出てくることになる。また、その際に地盤沈下が生じるので杭が抜け出し、次の地震の時に危なくなる。
(委 員) 建物下も含めて液状化対策をすると相当な経費になるのか。
(委 員) 相当な経費になる。ただし、空港などはそのような発想で建物下も液状化対策をやっている。ここでは、性能設計的な考え方を取り入れ、地震動の大きさも 2 つくらい用意し、それぞれに性能目標を持たせた方が説明は早いと思う。

 技術会議第5回目議事録 P.9

 

 上のは五回目の議事録からです。

(東京都) 建物内の噴水は最悪の事態である。閉鎖型の建物にしてあり、建物外で液状化による噴水があっても、建物内には影響がないという考え方としている。

 

 これが東京都が持つ液状化による被害の一番大きな懸念だと捉えています。

 第6回目で液状化対策案、計五案が整理されます。

 

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第6回資料:Ⅲ 汚染物処理、液状化対策などを含む一貫した対策(案)

案-5:市場建物と一体となった対策
○ 汚染土壌は掘削処理を行う。ベンゼンとシアン化合物及び重金属を含む土壌は、洗浄処理を行う。また、ベンゼンのみを含む土壌は、既設の都域内加熱処理プラントを利用して、処理する。なお、洗浄処理プラントは仮設として、豊洲新市場予定地内または、その近傍地に設置する。
建物(青果棟、水産卸棟、水産仲卸棟)建設地については、汚染土壌の処理後、埋め戻し(A.P.+2.0m~A.P.+6.5m)は行わず、この部分の地下空間を利用する。

 

 最後の案5ですね。ようやく話の本題です。「市場建物と一体となった対策」というわけなんですが、正直、これが対策になるのか?という点で変なんですよね。話の展開がおかしい。その前に、6回目の対策の一つとして以下提示した後に話を続けたいと思います。

 

4点目で、前回、第5回技術会議で委員の先生からご意見がございました点ですけれども、1点目として、地震時の1階床スラブにひびが入って、液状化によって噴砂といいますか、砂とか水が噴き上がってくるのではないかというご意見がございました。床スラブのひび割れについては、基本的には鉄筋能力とか鉄筋量、コンクリートの引っ張り強度、スラブの厚さなどで決まっております。特にひび割れを防ぐには、コンクリートに引っ張り応力が生じる箇所に鉄筋を十分に配筋する必要がある。そのために1階スラブの厚さを 40 ㎝と厚くすることによって、まずスラブのたわみを極力抑えまして、それから、コンクリートのひび割れを防止するのに必要な鉄筋を適切に配筋できるように設計を行っております。こういった対策をとることで、液状化よって砂や水が1階部分に噴出するようなひび割れは発生しないように設計することが可能でございます。

 技術会議第6回目議事録 P.3

 

 専門家会議では、ベンゼンなどが上がってくるのを最終的に防止するために建物下のコンクリートの厚みを取ることになっていましたが、液状化の為にも厚くしたという事ですね。

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 (専門家会議報告書:9.今後東京都がとるべき対策のあり方

で、話が戻って、この案5の東京都の提案内容が以下になります。この五つの案に関しては東京都の案と公募案を混ぜた提案です。

 

(3)汚染物処理、液状化対策などを含む一貫した対策(案)

(東京都) それでは、3-1ページをお開きください。汚染物資の処理、液状化対策などを含む一貫した対策として、「2.」以降に1番から5番まで五つの案を挙げさせていただいております。(略)

案-5は、基本的なベースは案-1と同じでございますが、A.P.+4mから A.P.+6.5mまで盛土をしています。それから最終的に水位を監視する位置が A.P.+2mですので、ここまでの土壌はすべて取ります。せっかく取ったところを何とか空間利用として活用できないかということで、建物が入るところの地下空間として利用するような案を提案させていただいております。

技術会議第6回目議事録 P.6

 というのが提案理由なんです。しかし、ここでこれだけ読むと地下空間って何の対策にもなってないんですよね。要するに工事で掘る。掘った空間が空いたから、埋め戻すのも勿体ない。だから地下空間として利用できない?っていう案です。凄い、というか変で歪な提案だと思います。私はここに何か意図、政治的な意図があったんじゃないかと思っています。誰かが「せっかく掘ったんだから、何かに使えないの?」って言う殿上人のお声掛かりがあったんじゃないかと思うんですよね。まあ液状化対策以外にも土壌、水質対策にもこの提案はリンクはしてるんですけど。これらの五つの案のフロー図があるのですが、それの最終のものとして第8回の資料から第5案のフロー図を抜粋します。

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第8回Ⅱ 汚染物質処理、液状化対策などを含む一貫した対策(案)

 これを見ると最後の工程で建物建設地に地下水位などのモニタリング施設設置で井戸・ポンプ他を設置とあり、矢印で地下空間部分を含むになっています。それらの施設を地下空間に設置しましょうってことですね。 

・・・。

 私、思うんですけどね。東京都は配管などのピットに関して、何も考えて無かったんじゃないかと思うんですよ。最初の専門会議の時はね。だから液状化などの対策にかこつけて混ぜ込んできたんじゃないかと思うんです。要するにチョンボをしたと。技術会で工法を公募する際に、「地下利用も考慮する」という項目もなかったわけですし。案に混ぜて、地下構造物を作ることを技術会議で了承させる。そうなれば、地下に構造物を作る事が専門家に「オーソライズ」されたということになりますから。で、チョンボをしたのが東京都都庁内の偉いさんだったんじゃないんですかね? 専門家会議でろくに地下について話がないのは本当に不思議なんですよ。豊洲市場のような大きな建築物で地下に何もないという事はありませんから。私、前に都庁の上は都議会、都知事と書きましたが、都庁内は都庁内でのヒエラルキーがありますからね。副都知事は全員、都庁出身者ですし。

 

豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議

 第9回平成20年7月26日(土)(最終)
豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議 

 第1回平成20年8月15日(金)

 

 土壌汚染対策の方針の提言をまとめる専門家会議は、技術会議が始まる前に終了しています。だからチョンボをしたので、技術会議で了承を得れればセーフ、っていう考えで混ぜてきたんじゃないのかなぁ。他にも下の報道もあるわけです

www.tokyo-np.co.jp

土壌汚染対策を検討する専門家会議は〇七年五月、豊洲市場予定地の地下利用について「有害物質が建物内に入る恐れがあるため、地下施設は造らない方がいい」と指摘。〇八年五月十九日、土を入れ替えて盛り土にする方針を決定した。しかし、石原氏は同月三十日の会見で盛り土案に疑問を呈し、地下にコンクリートの箱を埋める工法があると説明。こうした経緯について、本紙は十五日朝刊で報じた。

 

2008年だから平成20年8月30日ですね。技術会議が始まった後です。この報道を信じるのなら、そういった都庁の上やら都庁の内部やらの要望・問題をうまくすり替えて、公益につなげた頭のいい官僚が都庁にいたのだと思います。(まあそうだとすると、行政手続きなどの手順はすっ飛ばしたことになる訳ですが。すっ飛ばしたことを了承した上がいたってこともありますけど。)新市場の地下駐車場の話もありましたしね。それはこの第六回の第五案の説明にも出てきます。

 

 (東京都) それから、最後の第5案でございますが、全体的には1のフローと全く同じでございます。下の砕石層の設置、ここまでは前のほうと同じでございます。ただ、ここから違うのは、せっかく A.P.+2mまで土砂を掘削しているので、建物の地下利用として空間をうまく利用できないかという案を提示してございます。砕石層の設置以降に矢印が二つに分かれております。左のほうに行きますと、これは当然地下水の浄化の確認をしまして、検討をしてまいります。これは観測井戸をどこに設置するか、そういった検討でございます。その下に矢印がついておりますのは、市場完成後の地下水位、地下水質のモニタリングの施設の設置ということで、将来的に水位を A.P.+2mに保つにはどこにどれだけの井戸、どれだけの能力を持ったポンプをつくっていくかという検討でございます。それが済みますと、今度は建物の建設。ここのところに地下空間部分を含む活用ということで、建物の中に取り入れたという案でございます。右のほうは、先ほどの説明と同じフローになっておりまして、建物建設以外につきましては、A.P.+2mから 6.5mまでを埋め戻していく。それから、建物の建設以外につきましては、モニタリング用の井戸の設置を検討していくということでございます。地下空間を利用した提案は、まだ先生方にお示ししていなかった総合的な対策の中に入っております。「地下空間を利用した提案」をつけさせてもらっております。以上、1からかいつまんで話したので非常にわかりにくいと思いますが、案-1から案-5番まで、考えられる範囲で提案させていただきました。以上でございます。

 技術会議第6回目議事録 P.10-11

 基本的に第5案は第1案に地下空間の利用を付け足しただけのものです。他の第1案~第4案まではシンプルに土壌汚染対策です。建物云々かんぬんはありません。突然、この第五案だけ、建物に関してあれやこれやがある。特異な印象は拭えません。 

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第6回資料 Ⅲ 汚染物処理、液状化対策などを含む一貫した対策(案)

 上の表は提案された5つの案を表にまとめた資料です。他のは本当に純粋に対策の工法のみなんですよね。地下空間を使って工法の何かに役立てるという発想ではないんです。というか建物に由来するようなものは無い。当たり前で、この技術会議は建物の地下部分の工法を検討する会議です。地上から上を検討する会議じゃないんですよ。建物の利用を検討する会議ではない。検討するにしても(それが土壌汚染対策の工法を審議する技術会議で話をするべきことか?っていうのもありますが)第1~第4案を審議して、別項目で地下空間の利用は話をするのなら、まだおかしくないんですよね。ぶっちゃけ土壌汚染や液状化対策と、ここで東京都が説明している地下空間の利用は全く別の話ですから。単純に地下空間を有効利用するべきか否か?の話なわけです。案5は案1の発展形みたいな話を東京都はしていますが、別に案2だろうが3、4だろうがどれに付け加えてても、別に変な話ではありません。フロー図も先程示しましたが、フローの最後に地下空間の有効利用は付け加えられてるようなもんで、土壌汚染・液状化対策とは完全に別の問題です。ここで東京都が地下空間を作ることで、汚染対策に対する影響はないか?と直接的に聞いていれば、会議で審議するに値する議題にはなっていますが、それもないですしね。

 

(委 員) データをチェックした上で、概算費用を算出することとする。案-5 は、A.P.+2m 以上を埋め戻さず地下空間利用するという案だが、空間の価値をどの程度とするのか。算出方法はあるのか。
(東京都) A.P.+2~6.5m の範囲で、砕石層や床版の厚さ、梁の高さを考慮すると、有効空間は2.5m程度となるので、普通車の駐車場に利用できると考えている。空間の価値については、市場の機能や物流、地下から地上への上下移動、レイアウトの配置計画などを含めた総合的な観点から評価していただきたいと考えている。
(委 員) 地下駐車場はよくある発想だが、例えば、市場の機能を変え、地上では一切物流させずに、すべて地下において全自動でコンピュータ管理すれば、空間が有効に使えると思うが、そこまでは考えないのか。

(東京都) そこまでは考えていない。基本的に垂直に物を動かすのは大変なので、広い空間にスペース、機能をつくって、平面的に移動させるというのが現在の主流である。

技術会議第6回目議事録 P.12-13

 

 地下空間での議論ですが、東京都は「普通車の駐車場に利用できる」って言ってるんですよね。地下駐車場と。東京都以外からも新市場に参加する業者からの要望もありましたし、その辺をごちゃまぜにした闇鍋回答がこれなのかもしれません。そういった方面に「言われたことはやってるよ」アピールですね。無視したら怖いでしょうしw また「空間の価値については、市場の機能や物流、地下から地上への上下移動、レイアウトの配置計画などを含めた総合的な観点から評価していただきたい」って、東京都は言ってるんですけど、それって何度も書いてるようにそもそもこの技術会議の議題ではないんですよね。地下の工法の話を検討する会議で、建物の工法の話をする会議ではないんですから。本当に無理やり話をねじ込んでるなぁというのが私の感想です。

 

(委 員) この議論は、地下空間を利用した場合の収入をどのように見込むかにあると思う。合理的に経費を算出するために、用途・方式について客観的に議論する必要がある。案には、通勤駐車場を地下にして、空いた地上部分に緑化するとなっているが、緑化の基準を既に達成しているのであれば、来客駐車場の増設や他の用途で収入が得られるように使用できる。最も効率の低いのは来客駐車場なので、仮に来客用駐車場とすることを前提に、費用を算出してもよいと思う。
(委 員) 地下空間を利用することで、液状化に効果があるか。
(委 員) 地下空間の利用の有無には関係ないが、A.P.+2m 以深を掘削したあとに、液状化しないようにセメントを混ぜるなどして置き換えれば、直接基礎にできる可能性がある。
(東京都) 地下空間の利用では、基礎に対する提案は含まれていないので考えたい。
(委 員) 地下空間利用の判断は、どのようにするか。
(東京都) 地下空間に駐車場を構築することについては、土木や建築の観点から経費が算出できる。一方で、地上の空いたスペースをどのように利用するかが問題となるが、費用だけでなく、市場の機能も踏まえて検討する必要があると考えている。他の機能への影響や、メリット、デメリットを挙げて全体で評価する必要がある

技術会議第6回目議事録 P.13

 

 議論の続きですが、「 地下空間を利用することで、液状化に効果があるか。」という委員の質問で他の委員が「ない」と言ってますね。実際、地下空間が有ろうがなかろうが、それが液状化を軽減する効果はありません。私がこのピットを液状化対策としてるのも液状化が起きた後の事後対策ですし。で、ここで東京都が委員が地下空間を基礎にできる可能性について言及した後に、東京都が「基礎に対する提案は含まれていないので考えたい。」割とこれが本音なんじゃないかなぁ。まあ基礎というより地下構造物としてですが。最後の「他の機能への影響や、メリット、デメリットを挙げて全体で評価する必要がある。」も本当にこの技術会議に相応しい議題じゃないですよね。うーん。

 

  7回目の会議では、次のような委員と東京都のやり取りがありました。

(2)汚染物質処理、液状化対策などを含む一貫した対策(案)

(委 員) 地下空間利用の案-5 は、どの対策を基本としているのか。
(東京都) 案-1 に対して、地下空間を利用した構造物を構築するものである。
(委 員) 経費は、案-1 に足すイメージになるのか。
(東京都) その通りである。
(委 員) 案-5 で例えば地下に駐車場をつくると、他の駐車場が必要なくなるのでその分は建設費が安くなるのではないか。
(東京都) 駐車場を想定し、必要なくなった駐車場分の建設費を差し引いて考えている。地下空間をどのように利用できるかも含めて、次回に別途資料を提示する。
委 員) 経費は、LCC ベースになっているのか。
(東京都) LCC ベースで、一番きくのが地下水管理システムである。
(委 員) 一般的な工法を含めて、ランニングコストでは差がないという前提であるのか。
(東京都) その通りである。

 技術会議第7回目議事録 P.7

 ここで案5での経費に関して委員が聞いてます。一番きくのが地下水管理システムと東京都は言ってますね。ここら辺の経費節減が、東京都裁量で地下空間を決めた要因の一つだと考えています。どうせ誰かが主導して決めたというより、会議で決めたでしょうから。会議での多数の賛成を得る材料が必要でしょうし。

 

LCC(ライフサイクルコスト - Wikipedia) 

 

8回目の会議ではより具体的な地下空間利用の話が出てきます。

(東京都) 引き続きまして、地下施設の有効活用提案の検討内容についてご説明いたします。 (略) まず、A3のペーパーの左側ですけども、A.P.+2mから上の土を埋め戻さないか わりに、今、地下空間を設けて有効活用をするという提案がなされておりますので、 それについて地下施設の有効天井高 2.5mのケースを想定して検討を行いました。 まず、1番の地下利用の方法ですけども、A.P.+2mより上に地下施設を設けます と、地下施設の有効天井高(はり下)が 2.5mしか確保できませんので、トラック等 の業務用車両の利用は困難であります。したがいまして、用途としましては、通勤駐 車場と、もともと業界から要望がありましたターレット(小型運搬車両)ですけども、 それの置き場に限定されます。これについては、図面の右上のほうに、ちょっと小さ くで見づらいんですけれども、断面図がございまして、これは青果棟の部分の断面図 でございます。地下駐車場と書いてあるところが地下空間で、その上に右側に GL= A.P.+6.5mと書いてございますけど、これが地盤面です。現在の計画の地盤面。そこ から下に地下空間をつくっていると。ただし、地下駐車場の下のアスファルト舗装と その下にちょっとまた表示があるんですが、砕石層を敷いていまして、その砕石層の 下で A.P.+2.0mと、そこで地下水位を管理しているという図でございます。 ペーパーのほうに戻りまして、地下施設の建設規模についてですけども、これは街 区ごとの卸売場と仲卸売場の地下部分としてございます。5街区が3ha、6街区が4 ha、7街区が3ha で合わせて 10ha ございます。これもちょっとまた図面のほうを ごらんいただきたいんですけど、この配置図の右下の部分、このブロックが5街区で す。左上が6街区、左下が7街区となってございます。ここの地下空間として使う部 分は、それぞれの街区の網かけといいますか、ドットになっている部分、その部分が ちょうど売場になっていまして、そこの下の地下空間を利用するということでござい ます。その面積が3ha、4ha、3ha で合わせて 10ha ということでございます。 この地下に入れる計画で考えますと、地下の収容施設の台数はここに書いてあると おりでございます。 それから2点目、地下を利用した場合の効果ですけれども、地上部に予定していた 施設を地下空間に収容することにより、どのぐらい将来利用可能な市場用地面積を生 み出すことができるかということを街区ごとに検討いたしました。

  (技術会議第8回目議事録 P.7~8)

 この時点での地下空間の計画は5,6,7街区の建物下をほぼ全てを使った10haということです。

五街区 青果棟 建物面積5.8ha(約58,000m2)
六街区 水産仲卸売場棟 建物面積7ha(約70,000m2)
七街区 水産卸売場棟 建物面積4.9ha(約49,000m2)

施設概要|東京都中央卸売市場から)

建物の地上部分が17.7haです。この時点では、半分ちょいぐらいが地下空間になるという計画だったという事かな。用途としては通勤駐車所とターレットの置き場ですか。

 
それから2点目、地下を利用した場合の効果ですけれども、地上部に予定していた施設を地下空間に収容することにより、どのぐらい将来利用可能な市場用地面積を生み出すことができるかということを街区ごとに検討いたしました。将来利用可能な市場用地は資料のとおりです。次にA4の2枚目ですけども、初期投資としましては、地下駐車場をつくる整備費用及び1年間の維持管理費はお示ししたとおりです。それから、地下利用の問題点ですけども、建物の建設工期が約1年延伸いたします。次に、本来的な市場機能を考えますと、大型車やウイング車が利用できるようにするために、地下空間の有効天井高を 6.5mにする必要がございます。この場合に、掘削深さが A.P.-2.7mから-1.7mとなりまして、工期が約1年5カ月延びることとなります。以上のような問題点がございます。

地下空間を作った場合の問題点ですが、基本的に建設工期が一年以上伸びるという事です。おそらくこれで地下駐車場は止めたのだと思います。都庁の会議で誰も了承しないでしょうし。第一、地下駐車場を作ると車が何百台も駐車します。何百トン以上の重量が大幅に増えますから、設計もやり直しです。こんな案は技術の都職員から蹴られるでしょう。事務屋が適当に考えた案だと思います。他にも理由はあって、この第7回の資料に次のものがあります。

(第7回資料:技術会議における地下施設の有効活用提案の評価について

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この辺は先ほど挙げた議事録の中の図になります。それぞれの棟の下に大きな地下空間を設ける形になってますね。網掛けた部分が地下空間になる訳でしょうけど、これまんま市場部分の下は完全に地下空間にするって事だったという事ですね。

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 4.地下利用の問題点なんですが、一年延伸。ふむふむ。で、その下なんですが、専門家会議で「ターレット置き場は地下から地上へ変更した経緯がある」と。なんでこれ、議事録に無いんですかね?資料にこれを書いてるのに。「用途としましては、通勤駐 車場と、もともと業界から要望がありましたターレット(小型運搬車両)ですけども、 それの置き場に限定されるんですか?ありえないでしょ?技術会議の親会議である専門家会議で少なくともターレット置き場にすることは否定されてるんだから。つまりこの時点で、東京都は明らかに意識して地下駐車場を作る方向で動いています。無意識ではないですよ、資料に書いてるんだから。その上で専門家会議の提言をガン無視してる。自分で書いた資料を会議の中で否定してるようなことを言ってるわけです。この辺、ちょっと面白いですね。あくまでこの時点では、東京都は地下駐車場を作りたかったという事です。

 

(以下:9/27追加)

技術会議第8回資料:地下水管理について

<基本的な考え方>
豊洲新市場予定地における土壌汚染対策は、土壌について環境基準を超える汚染物質を除去し、地下水についても環境基準以下に浄化していくといった、安全を確保する上で万全な内容となっている。
一方、国では、土壌汚染対策法改正に向け、検討が進められているが、新市場予定地が同法の対象となり、土壌が汚染されている土地である指定区域に指定されたとしても、土壌や地下水の汚染物質を除去、浄化した後、地下水質のモニタリングを行うとともに、万が一、地下水中から環境基準を超える汚染物質が検出された場合には、汚染地下水の浄化が可能となるよう、建物下にこれらの作業空間を確保するなどの措置を講じていくことで、指定区域の解除が可能と考えている。
このような対策を講じることとしているが、現在の技術水準では、土壌や地下水の汚染物質を除去、浄化した直後に、敷地全域すべてにおいて地下水を環境基準以下に浄化できるかどうかは不明確であり、仮に環境基準を上回った箇所がある場合には、その後も対策が必要となる。

 

建物下にこれらの作業空間を確保するなどの措置を講じていくことで、指定区域の解除が可能と考えている。
○ このような対策を講じることとしている

と、現状の地下空間の形にするというのを東京都は言ってるんですよね。技術会議の委員に言ってもらいたかっただろうな。
「”建物下に講じる”ってなってるけど、これって何?」って。もしくは「これはやるべきだ!」とかね。まあ委員からは何も言われなかったわけだけど。だって、当初の専門家会議の提言にはないし、汚染対策の工法としては、直接関係ないしね。技術会議の委員で、地下空間に気が付いてた人がいても、めんどくさいからスルーしてたかもしれない。大騒ぎになったら対応がめんどいですからね。まあ、なにより、第8回の議事録の中でも都職員は、碌にこの部分について触れていません。

 

(第8回議事録 P3~)

例えば、建物下ですと、今後そういった物質が出てきたときには対策がとれないわけでございますけども、そういった対策は、地下水浄化ができるような、そういった作業ができるような空間も確保するといったことで、この指定区域がかけられたとしても解除が可能だろうというふうに私ども考えています。
こういった対策を東京都としては考えていくということで、対策をやっていくということでございますけども、二つ目の丸のところで、こういった土壌ですとか地下水、そういったものの汚染物質を浄化するといった直後に、敷地すべて、全域すべてにおきまして地下水を環境基準以下に浄化するということは非常に不明確なところがございまして、仮に基準を上回るといった箇所が出てきた場合にも、その後の対策が必要になってくるというようなことになります。

 

 東京都が言ってるのは、”建物下”というワードは使ってるものの、あくまで直接的に「地下空間」でそれらをやる、という形では言ってないんですよね。あくまで「気が付いてー」っていう形でしか言えてないんですよね。委員も反応はしてないし。「対策をやっていく」というのなら明確に資料、議事録で言えばよかったんですが、それが言えない状態だったという事です。

 

(※ここまで9/27追加)

 

 そして締め括りの平成20年12月25日第9回です。ここで五つの案のどれを採択するかが決まり、5案は否決されました。

(2)これまで検討した全体計画の評価・検証
(東京都) これまで検討した全体計画の評価・検証
技術会議で既に示した推奨案である汚染物質、液状化対策などを含む一貫した技術会
議としての対策案、土壌汚染対策全体を網羅した提案など、これまで検討した全体計
画について説明した。
(委 員) 評価が高かった案-1~5 のうち、案-4 については、原位置微生物処理のため確実性に問題があり、案-5 については、土地の利用、機能、価値の問題が、経費に対して十分プレイバックされないので、事務局としてはこれらを除いた案-1,2,3 をまとめて、それぞれのよい部分を組み合わせて案をつくるということでよいか。
(東京都) その通りである。
(委 員) 案-4 の原位置微生物処理は、期間が長ければ問題ないが、期間の制約や浄化の確認の問題があるので、豊洲での適用は難しい。そういった点で、事務局案の考え方でよいと思う。
(委 員) 案-1,2,3 は、これしかないという特殊な工法ではないと思うので、今後の入札も考え、事務局案の通り、まとめればよいのではないか。

技術会議第9回目議事録 P.3)

なんともあっさりですが、これで地下空間利用の話は技術会議で終わりました。これ以降の第18回の最後まで、地下空間に関しては話は出ません。なにがあったんでしょうね?第8回の技術会議が平成20年12月15日(月)。第9回が12月25日。この10日間に何かあったとは思うんですが。正直、わからないんで、こうだ!っていうのがあればコメントいただければ幸いです。

 

 と、今までの流れを踏まえたうえで、ピットを私が液状化対策としている理由について整理をします。まず、東京都は建屋に液状化により、噴水、噴砂が入ることは絶対に許容をしません。それは今までの流れでお分かりいただけると思います。

豊洲青果棟、地下コンクリ床なく砕石層むき出し : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 東京・築地市場中央区)の移転先となる豊洲市場江東区)の建物下に土壌汚染対策の盛り土がなかった問題で、「青果棟」の地下空間の床にはコンクリートがなく、地下水の上昇を防ぐために都が敷設した厚さ約50センチの「砕石層」がむき出しになっていることが、都への取材でわかった。(略)都によると、青果棟以外の地下空間の床はコンクリートが敷かれ、密閉されている。

 

 豊洲市場の地下空間は建物の下に広がっています。

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 豊洲市場には5,6,7街区があります。このうち、5街区の青果棟の底面はコンクリートが打たれず、砕石層がむき出し。6,7街区は底面にコンクリートが打たれているそうです。これがなぜかというと、一部報道では工事業者が都の仕様を無視して、作業の為に砕石層の上に床を打ったというものがあります。本当でしょうか?まあ本当かもしれませんが、仕様を無視してそんなことをするとは思えません。事実だったとしても作業後に引きはがすと思うんですよね。ぶっちゃけ作業するのに底面がいるのなら、コンクリ打つのではなく、砕石の上に鉄板でも敷いておけばいいわけですし。その方が安いでしょうしね。これだけ大きな仕事で「仕様を無視してコンクリ打ったけど許してね、てへ♡」とか許されないと思うんですけど。「まあ、ええよ」で東京都が仮に許したとして、なぜ5街区は砕石がむき出しなのか?これに一つの仮説を付けてみます。

(3)地下水位は AP+2m に保つように揚水して維持管理する。従って、それより上の層は液状化しない。また、下部有楽町層(Yc)は粘性土であり 5 街区の一部を除いて液状化しないと仮定する。そこで、AP+2m 以下の埋立層、上部有楽町層(Ys)、下部有楽町層(Yc)の一部が液状化すると仮定する。この場合、液状化層厚は 5街区の一番薄い所で 3m、6 街区の最も厚いところで 7m 程度の厚さとなる。

 

(第2回資料:評価に際しての問題点・課題

 一般的に液状化層厚が薄いところは液状化しにくく、逆に厚いところは液状化がしやすいです。資料からは6街区は液状化しやすく、五街区はしにくいと読めます。

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地質調査データ:地盤に関する考察 (310.5KB)

 液状化厚層の資料が見つかればよかったんですが、見つかりませんでした。支持地盤の深線図が地質調査データの方にありました。これを代用します。これは地盤から杭を支持層まで打つ深さになります。深さが大きい6街区は液状化層厚が厚い。そして7街区は同様に深さが大きいので、6街区と同様に液状化層厚は厚いと推測できます。逆に5街区は深さが小さい=液状化厚は薄い。よって、液状化しやすいであろう6、7街区はコンクリートで床を蓋し、液状化の可能性が低い五街区は蓋をせずに砕石層がむき出しのまま。仮にコンクリートの床が地震で割れて、液状化の被害があったとしても、その被害は地下空間で受け止め、建屋には被害はいかない。というのが私の推測です。まああれだけ金を掛けた施設で床打ちぐらいの予算はあるだろうとは思うんですけど。ここもちょっと面白いですね。どういう予算でこの地下空間が作られたのか?と言うのは興味がある点です。だって都庁の役人も都議会の議員も存在を知らなかったものですしねw

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  どちらにしても床を作ってない時点で、専門会議の提言、万が一にも地下水から揮発したものを遮るための盛土の措置はガン無視だけど。

 

豊洲新市場予定地の一部における噴砂について

都は、3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震の翌日から現地
を調査し、液状化※による噴砂が新市場予定地の一部で確認された
ため飛散防止のための応急措置を実施するなど、液状化の発生状況
の把握や対応を行った。

状況調査と結果 (522.9KB) 専門家の見解と対応方針 (140.2KB)

 東北大震災で、噴砂が予定地で起こり、それの調査を東京都はしています。噴砂が起きたのは5・6街区でした。

 

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噴砂が起きた箇所(5・6街区のみ)

(5)液状化対策

液状化対策をしていない埋立地では、今回のような地震より、液状化は発生して当然である。
○ また、技術会議が提言した砂杭締固め工法などの液状化策が行われているところでは、被害が生じておらず、新市場の対策工法の有効性が確認された。
○ 技術会議が提言した液状化対策を確実に実施することで、大規模な地震時にも噴砂による被害が生じるおそれはない。

 

 大震災が起きたこの時点では豊洲市場は工事中でした。しかし液状化処理が部分完了している箇所では被害が発生していない。よって新市場の対策工法の有効性が確認された。そしてそれらを敷地全域に施すことで噴砂は無いとしています。

 

(1)噴砂の状況

○ 噴出した土は、粒度の整った砂質土の中に、細かく砕けた多量の貝殻片の混入が見られることから、浚渫埋土層が噴出したものと考えられる。

新市場予定地をはじめ、東京湾埋立地各地の液状化の発生状況から見て、液状化したのは埋土層であり、有楽町層などの沖積層液状化していないと考えられる。

 

 噴砂の状況としては埋め立てた砂が噴砂したもので、それより下の支持基盤は液状化していないという事ですね。という事は仮に噴砂があったとしても土壌入れ替えにより、汚染されることはないというのが見解になります。この時まだ盛土の入れ替えはしてませんから。併せて地下水も現状、基準値以下ですから、噴水も汚染として問題はないという事です。 

  

 今まで書いたことを纏めると、

 ① 地震際に建屋に液状化した際の噴水、噴砂が入らないために地下空間を設けた。これにより、仮に噴水、噴砂が起きたとしてもその被害は地下空間・ピットで引き受けれる。

 ② この地下空間は、専門家会議、技術会議で承認されたものではなく、東京都の裁量で決めた可能性が高いこと。

 ③ 地下空間に関して、技術会議で第1回では出ず、それ以降に突然出てきた理由

  ④ これらの決められた都庁内の行政手続きがはっきりしない事。誰が決定をしたのか?その決定はどの会議、話し合いで決められることになったのか?そしてそれ等の会議の設置を決めたのは誰なのか?

 

以上の4点ですね。小池都知事にはこの③④について、追及を行ってもらいたいと思います。

 そのプロジェクトチーム(市場問題プロジェクトチーム)の会見がありました。ここで小島座長が問題にしてたのも、「盛土をしないのなら、なぜそれを親会議である専門家会議にフィードバックして検討させなかったのか?」というものでした。小池都知事の会見の発言と重なる部分も多く、この人が絵を描いてるのかな。以降の展開が楽しみです。

live.nicovideo.jp

 

< 参考資料+おまけ>

豊洲市場に関する会議資料|東京都中央卸売市場

施設概要|東京都中央卸売市場

 

こっからおまけです。土木知識がない人間が書いてるので、間違いもあると思います。(前に書いた本文にもあるかもですが)その際はご指摘頂ければと思います。

 

 【5街区青果棟施設図面

 この施設概要に、各施設の全体があります。これの五街区の青果棟を見ると断面図もあって、地下空間があるように見えるんですけど。他の6.7街区の建屋も同様にあります。

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どう見ても地下がありますよね、これ。この横線は地面でしょうし。トラックは10tかな?トラックの全高が3Mとして、どうみても地下部分は3M以上の高さはありますね。

都議会の議員さん、地下空間については知らなかったと、皆、声を揃えてるけど図面見てなかったのかしらん?「※掲載の図面は平成27年12月のものとなります。」ってあるけど、貰った図面には載ってなかったの?

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五街区 青果棟の断面図を最大アップしたものが上になります。これは地盤の上に砕石があるという絵になるのかな?なんか砕石層が途切れてるんだけど。まさかね。

 五街区青果棟の床は砕石のみって報道がされてますが、図面通りって所なのかな。

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上が六街区、下が七街区です。この記号は床打ちってことなのかな。だとしたら仕様通りという事になりますね。業者が作業の為に床を打ったとかは変な話になります。

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www.asahi.com

ゼネコンに聴取後に400億円、予定価格が増えたってあるけど、これ地下構造が仕様に増えたからとかはないよね?

 

・先ほど挙げた東京都のPTの会見で児島座長が、技術会議で東京都と委員が盛土のやり取りで、不思議なやり取りをしているというのがありました。

live.nicovideo.jp

1:48:45~から。要約すると、

議事録のやり取りを見てると不思議なやり取りがある。
汚染土壌として搬出した盛土と埋め戻した盛土の量が違うのがどうなのかと座長が質問した。東京都は埋めてない部分がある。座長は盛土はされてるんですよね?と質問。東京都はしている。という不思議なやり取りがあった。

ということです。該当の記事は以下になります。

技術会議第18回目議事録 P.15~)

矢木座長 測定対象外ということですね。そういう意味でね。そうですか。わかりました。個人情報のところだけが、あるいは印鑑のところだけが黒塗りになっていると、こういうことですね、わかりました。そうしますと、例えば先ほど泥を取りましたけれども、土壌の搬出をしたときに新海面に行った量がかなり何かたくさんあるのですけれども、それは何ページでしょうか。
○藤原課長 10ページです。
○矢木座長 10ページですね。48万㎥ほど行っておりますので、この泥については埋め戻しには使っていないわけですよね。
○藤原課長 使っておりません。
○矢木座長 そうすると、これだけのものが出てきているわけですから、これだけの量が戻ってきているのかなと思うと、そんなには泥をほかから買ってきているというわけではないんですよね。先ほどの処理土ですか、48万というのは、その量だけまた買わなきゃいけないのかなと思っていたんですけども、これは埋め戻しの中で20ページを見ればよろしいですか。
○藤原課長 これは5街区のデータでございます。
○矢木座長 これは5街区ですね。そうしますと、戻した泥の量というのは、これは全体でしょうかね。合計で48ですから、5街区だけですと15万ですかね。ですから、それだけまた埋め戻しですごい買わなきゃいけないのかなと思っていたのですけども、砕石もありますので、その砕石を入れて、量的にいきますと、そんな量は買っていないんですね。
○藤原課長 今、先生ご質問のお話は、掘削した土量に対して埋め戻し土量がちょっと少ないので、そこら辺の差分についてということでございますが、そもそもこれ、区画整理事業で5街区、7街区ともにですけれども、操業地盤A.P.+4mでありましたけど、それよりも2.5mぐらい盛土が全体的にしてございまして、それを全部かき取って、さらに2mまで取って、周りの部分を盛土して戻したということで、今ある地盤については、A.P.+2m建築敷地、それ以外のところを盛土というところで、もともとの地盤面が結構高かったので、捨てる量のほうが多くなっているというのが現状でございます。
○矢木座長 そうですか。わかりました。そうすると、今回の工事では2mよりも低いところは、汚染しているものはみんな掘り上げてきれいなものを入れている。それから、2mと4mは全部掘削して、きれいなものと入れ替えている。それからさらに、2.5mですかね、きれいな土を入れているということで、要するに、4.5mはきいれいなものが積んであると、こういうふうに考えてよろしいわけですね。
○藤原課長 はい。
○矢木座長 わかりました。

 

赤字の部分がそうです。

「今ある地盤については、A.P.+2m建築敷地、それ以外のところを盛土というところ」

はっきり、建物部分はA.P.+2m。建物以外は盛土をしていると言ってますね。おい、技術会議の座長w おさらいをしておくと、A.P+2.0m~+6.5mの4.5mを埋め戻すわけです。それをしてないとはっきり言ってるんですよね~、東京都は。何とも言えんw

あと、ここちょっと重要なんですけど、

区画整理事業で5街区、7街区ともにですけれども、操業地盤A.P.+4mでありましたけど、それよりも2.5mぐらい盛土が全体的にしてございまして、それを全部かき取って、さらに2mまで取って、周りの部分を盛土して戻したということで、

この部分なんですが、5街区と7街区に関しては前のガス会社時代から操業地盤が高かったという事が分かります。操業地盤=下の図の旧地盤面ですが、A.P+4.0mに2.5m高かったということで、ガス時代からA.P+6.5、あったという事が分かります。今回、旧地盤面から2mを掘って2.5Mの盛土をして4.5mの盛土をしたという説明です。で、この4.5mの盛土は東京都の提案だったという専門家会議座長の発言が最近ありました。この4.5mについては科学的根拠はないという事です。東京都から4.5mで諮問されたのでそれに対して提言をしたとのことです。だけど、この課長の発言を見ると元々4.5mの盛土が5街区と7街区で行われていたことが分かります。要するに豊洲市場以前のガス会社時代から5,7街区は下の図だったという事です。6街区だけA.P+4.0mの高さだったという事ですね。だから4.5mに汚染対策として科学的根拠なんてないはずですよ。単純に豊洲市場前の一番高いところに高さを揃えたってだけですから。たぶん5,7街区の高い分の土を捨てて、福井6街区の高さに合わせると捨て代が膨大にかかる。だから、6街区を高くして穴を埋める土を買う方が安いとかあったんじゃないのかなぁ。低くするとその高さ分の土を産業廃棄物として捨てることになりますから。それは膨大な量ですからね。まあ、ここはちょっとわからないところなんですけども。

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で、この第18回の資料を見てみます。
1-1 第18回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議 説明資料 (5MB)

この資料の10ページで、取った汚染度の土の量があります。20,21ページで第5街区と第6街区で実際に埋めた土の量があります。第7街区については無いんですよね。なんでなんだか。 技術会議における土壌汚染対策工事完了確認状況のまとめ のP11に七街区のデータがあったでこれを使います。

 

これを比較してみましょう。

使用資料:

1-1 第18回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議 説明資料 (5MB)

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これは、汚染土壌をそれぞれの街区から採土したかという土量になります。注目するべき数字は「ガス工場操業時地盤部」の数字です。旧地盤面からA.P.+2.0mまで掘った数字です。だから旧地盤から2メートルを掘った土量になりますから2で割れば、その街区での1メートルあたりの盛土に必要な量が出ます。これに4.5を掛ければ、その街区に必要な4.5m分の盛土の土量が算出できるはずです。盛り土部分の数字で6街区の土量が極端に少ないのは、先ほど説明したように5,7街区はA.P+6.5mの高さがあり、6街区のみA.P+4.0mの高さしかなかったから削る土がなかったっていう事です。

 

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五街区の盛土をした量になります。なんでこれA.P.+4.0mのときの土量を示してくれてないんだろうなぁ。そうすれば前の表の「ガス工場操業時地盤部」の数字と単純に比較ができるんですけど。工程の問題もあったのかもしれないですけどね。

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こっちは6街区で同様のものです。で、七街区がない。だけど下の纏めに有ったのでそれを代用します。

2 技術会議における土壌汚染対策工事完了確認状況のまとめ (1.3MB)

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こっちは前の資料のP.10と同じ資料です。

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こっちは、前の資料に無い7街区のデータがあります。だから基本的にこの表の数字を使いたいと思います。

そしてこれらの表の数字を纏めたものが以下の表になります。

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  7街区の砕石層の高さがわからないので、砕石量から仮定しました。6街区の砕石層の厚みは0.5m。砕石量の土量は7.9万m^3。7街区の砕石量が半分以下の3.1万m^3なので、半分の0.25mと仮定して計算をしています。それぞれの敷地面積も同じようなサイズですし。

 表の各項目について説明します。

ガス工業操業時地盤部(A.P.+2.0m~4m)までの採掘した土量 :

 資料の「ガス工場操業時地盤部」の数字を合計したものです。

砕石層の高さ(A.P.からの高さ) :5,6街区は資料から。7街区は仮定。
A.P.+6.5mまで盛土をした高さ(m) :砕石層からA.P.+6.5mまで盛土をする高さになります。5街区は+2.6~+2.9なので、中央値の+2.75mで計算をしています。6街区は資料の数字から。7街区は仮定です。
砕石層の土量 :資料から数字を取っています。
砕石層の高さからA.P+6.5mまで盛土をしたと仮定した場合の予想土量 :

 これは各街区で、地下構造物(ピット)がなくA.P.+6.5mまで埋めるの必要な土量を算出したものです。

 計算式:(ガス工業操業時地盤部(A.P.+2.0m~4m)までの採掘した土量)/ 2 × (A.P.+6.5mまで盛土をした高さ(m) )

 第五区の計算例: 21 / 2 × 3.75 = 39.375 ≒ 39.38万m^3

実際に埋め戻した盛土の土量 :資料の盛土部分の合計
埋め戻し土量/予想土量(%) :実際に埋め戻した資料からの土量と算出した予想土量の割合。

 

 この表の結果を見ると、明らかに実際に埋め戻した土量が少ないことが分かります。第5区で56.9%ですから、半分くらいは盛土してないってことですね。第7区も同様です。ただ第6街区が異常に少ないですね。これは他の施設の下のピットもあるのだと思われます。

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2 本施設の整備目的
本施設は、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承・発展させるとともに、市場本体施設と連携し、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すことで、豊洲市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりや活性化に貢献します。
豊洲市場を訪れる人々に対し、食の魅力を楽しみながら市場の活気やにぎわいを肌で感じられる場をつくり、市場に対する興味、親しみや楽しみが感じられる機能を確保するとともに、卸売市場を理解していただくことなどにより、豊洲市場の魅力を高めていきます。また、新たに開発の進む豊洲地区ににぎわいを創出することで、地域のまちづくりや活性化に貢献していきます。

千客万来施設事業(6街区) 事業予定者が決定|東京都

6街区は千客万来施設がありますから、この地下もあって少ないのだと思われます。しかし2割程度しか、もし盛土がないのなら結構問題になりそうですね。

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(敷地面積資料:豊洲市場の整備について

上の表は、豊洲新市場の地下空間、建物面積、敷地面積の表になります。地下空間面積のこのブログで取り上げた技術会議第8回の議事録からの数字です。設計前の数字ですから参考程度です。これらの数字をそれぞれの項目で割って数字を見てみました。(建設面積/敷地面積)の数字から「敷地における埋め戻し率」を出してみました。単純に建物の地下が全て空洞になってると仮定した時の盛土の必要量になります。これを見ると5街区は55%。計算で出した埋め戻し土量/予想土量(%)が56.9%ですから近似しています。7区も同様に近似しています。 

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上の表は実際に旧地盤面から実際に2メートルを掘った土量をそれぞれの街区の敷地面積で割ったものです。5街区で1.63メートル分の土量という事になります。2メートルにならないのはそれぞれの街区であった旧ガス施設などの地下部分があったためだと思います。まあ妥当な数字かと思いますので、あの資料のガス工業操業時地盤部(A.P.+2.0m~4m)までの採掘した土量はおかしな数字ではないと思われます。前の計算では単純に2メートル掘ったから2で割ってましたが、2の代わりに上の表の数字を入れて再計算したのが下の表になります。なんとなくこちらの数字の方が近いように思えます。5街区は6街区と同様に千客万来の施設もありますし。

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 しかし7街区の砕石層の土量が少ないのが気になります。5,6街区の砕石層の土量の半分くらいしかないんですよね。敷地面積はこの3つの街区は大きな違いはないわけで、半分以下というの解せません。この砕石層の厚みは50cm以上にするという事が、技術会議で決まっています。

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(技術会議:報告書(全文) P.18)

 50cm以上というのを考えると6街区の厚みは50cmですから、それも怪しいですね。5街区は60cm~90cmあります。まさか6,7街区の底面にコンクリートを打っているのはこれの代替えだったりはしない・・・よなぁ。技術会議での説明資料に7街区がなかったのも・・・。まあ、なんにしても7街区は5街区より広いわけですから、5街区以上はないとおかしいんですよね。ここら辺もよくわからない点です。

 

第18回技術会議の議事録でそれぞれの資料を説明している箇所を如何に抜粋します。

 

10ページをごらんください。掘削深度別、街区別の掘削土量や汚染土壌の量を、前回確認していただいた量に対して今回新たに確認していただく6街区東側における量と、前回と今回との合計を太字にして整理しております。まず、ガス工場操業時の地盤面より上の盛土部につきましては、街区及び中央防波堤等に仮置きをして、安全性を確認しながら対策後の盛土等に利用しております。
盛土部の土量につきましては、6街区の今回土量でございます0.9万㎥を加えまして3街区で69万6㎥を6街区及び中央防波堤等に仮置き、汚染土壌につきましては、今回0.2万㎥を加えまして3街区で2.5万㎥をプラントや外部許可施設において適切に処理を行っております。続いて、A.P.+4m~2mの間のガス工場操業時地盤部の土壌につきまして、これは全て搬出し、きれいな土と入れ替えております。形質変更時要届出区域内の土壌は新海面処分場のほうへ今回2.7万㎥、3街区合わせた合計で48.2万㎥搬出、要届出区域外の土壌につきましては中央防波堤外側埋立地のほうへ今回2.3万㎥、3街区合計で15.0万㎥、これを搬出しております。汚染土壌につきましては、今回0.3万㎥、3街区合計で6.7万㎥をプラントや外部許可施設において適切に処理を行っております。し
たがいまして、ガス工場操業時地盤部全体では、この48.2万㎥、15.0万㎥、6.7万㎥を足し合わせて3街区合計で69.9万㎥の土壌を入れ替えているということでございます。続いて、A.P.+2m以深につきましては、今回0.5万㎥、3街区合計で27.6万㎥の汚染土壌を確実に掘削除去しているということでございます。

 

これに関しては別におかしな点は無いように思っています。

 

20ページをごらんください。5街区におけます埋め戻し及び盛土の範囲、使用した土の種類、土量を示してございます。5街区につきましては、前回までにA.P.+2mまでの埋め戻しについて既に確認をして終えておりまして、本日は残りの盛土と砕石層についてご確認いただきます。それぞれの土量につきましては表に記載してあるとおりでございまして、5街区で行った埋め戻し及び盛土は合計で38.9万㎥となってございます。
21ページをごらんください。こちらは6街区におけます埋め戻し及び盛土の範囲、使用した土の種類、土量を示してございます。6街区につきましては、今回、全範囲での完了をご確認いただきます。それぞれの土量につきましては表に記載してあるとおりでございまして、6街区で行った埋め戻し及び盛土は合計で29.2万㎥となってございます。

 

いや本当になんで7街区がないのさ。「5街区につきましては、前回までにA.P.+2mまでの埋め戻しについて既に確認をして終えており」ってなかなかうまい言い回しですな。まさに官僚答弁。

 で、まあ色々、盛土や砕石層の厚みについて疑問を書いたわけですが、答えがありました。東京都の資料に。

2 技術会議における土壌汚染対策工事完了確認状況のまとめ (1.3MB)

この工事完了確認状況の纏めに答えがあります。P.12からです。

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はい。A.P+6.5mのところと、A.P+2.0mのところがありますね。囲いをして盛土の高さを変えたと。

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ラフですけど、これを実際の図と重ねてみると青果棟がすっぽり収まる形で、盛土がされてないことが分かりました。それ以外の駐車場などや5街区の千客万来、小口買参棟など青果棟以外の部分はA.P.+6.5mということですね。さっき計算したのが大体あってるって感じです。

 でだ!これに液状化と砕石層の設置もあるんですけども!

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液状化対策、建物部分で全くしてないんですけど。まあ、専門家会議や技術会議での提言は無かったけども。普通に素人が思うに敷地全域やってればよかったのでは?と思うんですけどね。まあ委員は敷地全体って言ってた人もいたけど、東京都は敷地以外って言ってたからなぁ。東京都裁量なんですかね。7,8街区も同様に建物下はやってません。大丈夫なんかいな。

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技術会議の4回目の資料では敷地全体って言ってたんですけどね。そういった意味で地下空洞、ピットは本当に液状化対策というか液状化”後”対策だったのかな。

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まあ液状化はいいとして(良くない気はしますが)、砕石層の設置なんですが。建物部分に施してないんですが。

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これ敷地全域にするっていうのは技術会議の報告書で決まってますよね・・・。ただ実際、5街区の青果棟には砕石層があったわけですけど。建物の施工会社が後でひいた?あのピットのコンクリ外壁の下にも当然、砕石層はあるんですよね?切れてないですよね?

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先に上げた5街区の青果棟の地下のアップ画像ですけど見ると砕石層が切れてるって書いたんですが、本当に切れてないよね?高さがずれてるとかもないよね・・。厚みとか。何か心配することが多すぎるんですが。

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6,7街区も建物部分は、してませんね。いや、これはあかんのとちゃうの?6,7街区のそれぞれの棟の底面はコンクリートで蓋をされていますけど、その下に砕石層あるんだろうか?無いような気がします。下のは先に示した6,7街区の棟の地下部分のアップですけど、5街区の青果棟にある砕石層の指示がないんですよね。

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 いや普通に考えたらなくてもいいんだけどさ。コンクリートで蓋をしているから。いやでもね。対策として敷地全面にするっていう話ですよ? しないのならしないのでいいんだけど、理由の提示は必要なんじゃないのかな、東京都から。しないのならしないんでいいですけど、第五区の青果棟の下は砕石層があるのも変な話ですし。あそこも同じようにコンクリで蓋をしていればいいわけで。訳が分からなくなってきました。

 先ほど挙げた砕石層の各街区で、砕石層設置面積と砕石層設置厚さ の数字が図面に載っているのでそれを表にしてみました。それに以前の資料の砕石層の土量を加えてます。

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 砕石層の土量を砕石層設置面積で割れば、砕石層設置厚さが算出できます。それが一番下の項目になります。まあ図面に載っている数字と同じような感じで出ていますが、6街区だけ違いますね。うーむ?それに技術会議での説明資料の数字とも違いますし。5街区だけあってますけど。どっかに流用した?よくわからないですねぇ。7街区はぴったり割り切れるんですけどね。逆にぴったり過ぎてヘンに思えますけど。

 

 なんか豊洲市場にドンドン懐疑的になってきましたw 大丈夫なんかいな、豊洲市場。これで砕石層の確認やら、液状化やら、盛土やらで問題がさらに深刻化したらえらいことですよ。特に砕石層を敷地全域でひいてなかったら、6・7街区の上物を取っ払う話になる可能性もないわけではないと思います。砕石層でA.P+2.0mを境に汚染物質と縁を切っているというのが汚染対策の大前提ですからね。盛土以前の話です。盛土はあくまでそこからさらに浸透してきたものに対する対処で補助的な意味合いだし。まあ4.5mの厚みが大事でもあるんですけど。まあもちろん、汚染物質は徹底的に除去をしたというのも前提ではあるんです。ただね、砕石層を設置した意味は何かというと、汚染物質が毛細管現象で地下水と共に上がってくるのを阻止する、縁を切るためのものです。だから仮に汚染物質があっても、砕石層がそれを阻んで新しく入れた盛土の部分が汚染されることはないわけです。それが大大、大前提なんです。砕石層で止められた汚染物質から気化したものを盛土で止める。そしてその程度の汚染であれば、仮に液状化で盛土が噴砂をしても深刻な汚染は起こらないというのが東京都の前提です。砕石層が無ければこれは根本的に崩れます。はっきり言えば必要ないかもしれません。建物下は。でもやると言ったことはやらないといけないんですよ。なぜかと言えば、必要以上に土壌改良にお金をかけてやったのは風評被害を抑える為です。こんなもん絶対に出るに決まってるじゃないですか。

 私の推測通りなら、これもう東京都の独自裁量とか言えない世界になると思うんですけどね。砕石層を敷地全域にひくというのは汚染対策の大きな柱の一つであり、約束です。それが破綻しているのなら本当にどうしょうもなくなると思います。東京都に対する信頼自体が根本的に崩れる話になります。信義則違反です。東京都民、そして都庁、都議会、都知事に対する。こうなったのは棟の建設上の問題だったのかもしれないけどさ。砕石なんてくっそ安いだろうに。どうなるんだろ?豊洲市場。本当に中止もあるよ、これ。