粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

橋下知事が変えた大阪府の知事出張費 ~ 舛添都知事の海外出張 ~

 

 舛添都知事のロンドンパリ豪遊視察で知事の出張費について注目が集まっています。この波に乗るべく、知事の出張費(旅費規程)について書いてみたいと思います。

 

otokitashun.com

 

 東京の都議員おときた駿さんがこの舛添問題に詳しいです。舛添さんはパリロンドン視察で五千万円を使っています。大阪府知事の出張費は橋下さんのツイッターのような感じですが、なぜこういう開きが出るのかを全国47都道府県自治体の旅費規程を見つつ、書いていきたいと思います。

 

 都道府県自治体での旅費(出張費)は、旅費規程として次の二つの条例がそれぞれの地方自治体で定められています。

 

 知事等の報酬・旅費などを定めた条例 

 職員等の旅費に関する条例

 

 条例名はそれぞれの自治体で微妙に違いますが、多くの都道府県自治体では知事等の報酬を定める条例(知事の年間給料を定める条例)の中で旅費(出張費)も併せて定めています。職員などの旅費に関する条例は、役所に勤める一般の職員の旅費を定めた条例です。またこの中で、知事などの特別職の旅費も併せて定めている自治体もあります。基本的にこの二つを併用した形で多くの自治体は知事の旅費の運用について定めています。他にこれらの条例に派生した規則などで細かい部分を定めている自治体もあります。

 これらの条例の基本、基準になるのが次の法律です。

 国家公務員等の旅費に関する法律

 この法律は国家公務員などの旅費を定めた法律です。この中で各公務員毎の号給(役職の給料ランクみたいなもの)に従って、旅費の額が次のよう定められています。

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 これは内国旅行、いわゆる国内出張の基準になります。日当は出張手当・雑費みたいなものですね。目的地内を巡回する場合の交通費及び諸雑費を賄う旅費であり、一日当たりの定額で支給されるものです。食卓料は、食卓料とは、水路及び航空機による旅行の場合に支給される食費にあてる経費であり、宿泊料が支給されないことに対する均衡を考慮した旅費であり、船賃若しくは航空賃とは別に食費を要する場合又は船賃若しくは航空賃を要しないが食費を要する場合に限り、一夜当たりの定額を支給するものです。 出張の移動中に一泊を挟む場合で、ホテルなどに泊まらない場合に出る形のものです。宿泊料の甲地方は、東京都、大阪市名古屋市横浜市京都市及び神戸市のうち財務省令で定める地域その他これらに準ずる地域で財務省令で定めるものをいい、乙地方とは、その他の地域をいいます。都道府県自治体も大体、これらの基準に倣っていますが独自にアレンジをして適用をしている場合もあります。

 これを見ると内閣総理大臣大阪市で泊まりの出張の場合、

  3800+19,100 = 2万2900円 

 が国から1日当たりに宿泊費として支給されることになります。

 

 海外出張の場合は次のようになります。

 

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 指定都市とは、財務省令で定める都市の地域をいい、甲地方とは、北米地域、欧州地域及び中近東地域として財務省令で定める地域のうち指定都市の地域以外の地域で財務省令で定める地域をいい、丙地方とは、アジア地域(本邦を除く。)、中南米地域、大洋州地域、アフリカ地域及び南極地域として財務省令で定める地域のうち指定都市の地域以外の地域で財務省令で定める地域をいい、乙地方とは、指定都市、甲地方及び丙地方の地域以外の地域(本邦を除く。)をいいます。

 判りにくいですが、指定都市でいえば次のようになります。

 

シンガポール、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントン、ジュネーブ、ロンドン、モスクワ、パリ、アブダビ、ジッダ、クウェート、リヤド及びアビジャン

 

 例えば、内閣総理大臣がロンドンに海外出張した場合の一日の宿泊料は、

 13100+40200 = 5万3300円

 になります。規定通りだと総理でも、舛添都知事のスイートルームには泊まれません。おときたさんのブログで、舛添都知事のロンドン出張でのスイートの宿泊費は19万8千円とありますが、これだと内閣総理大臣より上になります。これが可能なのは「当該旅行における特別の事情により又は当該旅行の性質上困難である場合には」旅費を支給出る条文が条例にあるからです。これについては後述します。

 

 次は都道府県知事の海外出張の規定を見てみます。代表的なものを抜き出してみたものが以下の表になります。

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 基本的に知事の海外出張時の額は、国家公務員のものに準じた規定になっています。内閣総理大臣国務大臣等、その他の物、指定職の職務にある者。この四つの基準をそれぞれの都道府県が知事の旅費の基準として採用をしています。これを見ると、東京都知事内閣総理大臣相当の支給額、愛知県知事は国務大臣相当、大阪府知事はその他の者相当、秋田県知事が指定職の職務にある者相当という形になっています。食卓料や日当、宿泊料の額は自治体の規定によって微妙に違うところはありますが、大きく違う都道府県は高知以外はありません。高知は結構に特殊で役人の号給の六級以下相当を知事に適用しています。なんかあったのかな?

 国内旅行(出張)は以下になります。 

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 この場合でも東京は内閣総理大臣相当ですね。特殊なのは青森の甲地方の宿泊料が高いですが、これは日当を甲地方の宿泊料に加算してるんでしょうね。全国都道府県の甲地方での一番多い宿泊料帯は16500円で、47都道府県のうちの半数以上になっています。高知県は相変わらず特殊で、宿泊料だけを見れば日本一安いですね。ただ日当などの加算があるので、国内出張の日当、食卓料を廃止している大阪府が総額では最安値です。

 

  橋下さんはツイートで、「大阪府の計算は日本一厳しい」と書かれていますが、どちらかというと日本一シンプルな計算になっています。大阪府では国内出張での知事等特別職と府職員の日当と食卓料の手当てを廃止しています。だから計算としては交通費と宿泊費だけになっています。他の自治体の旅費計算では車賃や様々な手当てがついている都道府県もありますが、そういったものは極力廃止、条件を付けて支給をしない形に橋下さんは条例を改正しています。橋下さんが知事時代の平成20年7月1日に「知事及び副知事の給料、手当及び旅費に関する条例等一部改正の件」と「職員の旅費に関する条例一部改正の件」の二つの条例改正を提出して、これらは原案可決しています。旅費に関する条例は7ページに渡る大改正で、各種手当の廃止や支払い条件の厳格化などで大きな改正が成されています。知事の旅費の方も改正ポイントは少ないですが、重要な改正が行われています。

 

東京都一般職員の国内旅費支給額

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大阪府一般職員の国内旅費支給額

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東京は号給により(役職の違いにより)支払われる旅費が違い、また旅行雑費や食卓料も設定がされています。大阪府では橋下さんの改正により号給に係らず(役職に係らず)、一定額になっており、出張先の違いによってのみ旅費として支給される額が変わります。さすがにこの額でやれるのかという気もしますけど、改正してから八年経ってまだ改正してませんから大丈夫なのかな?

 

知事の例で、改正した条例の一つを示します。

 

(旅費)

第七条 知事等の旅費の額は、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)(宿泊料、着後手当、支度料及び日額旅費並びに内国旅行の場合の日当及び食卓料に関する規定を除く。)に定める内閣総理大臣等中のその他の者相当額とする。

知事及び副知事の給料、手当及び旅費に関する条例大阪府))

 

 上の紫部分が改正部分で、これが付け加えられました。宿泊料、着後手当、支度料及び日額旅費並びに内国旅行の場合の日当及び食卓料。これらを除外するというのは、手当一切の全てと宿泊料、国内旅行の日当・食卓料を差し替えたっていう事になります。差し替えた額は上の表に上げたような形です。これって、改正前のほとんど全ての項目を除外して知事の旅費を計算しろってことなんですよね。本当にシンプルにするのが好きですね、橋下さんは。と言うか維新の理念に忠実と言った方がいいかな。

www.j-cast.com

 この橋下さんの宣言通り、破産会社なんだから経費削減ってとこをガッツリやったって感じですね。職員の出張費の鉄道関係も「特別車両料金」って文言をあちこち削ったりしてますから。 

 

 

続いて、宿泊費について。
都の規定で宿泊費は細かく定められておりまして、
一部週刊誌での報道にあった通り、パリなら一泊あたり約4万円が上限です。

にも関わらずこれを遥かに超える金額で
スイートルームに宿泊することができるのは、
事前に人事委員会と協議して決定した場合は例外とされているからです。

なお、知事以外のメンバーもスイートルームではないものの、
インターコンチ、コンラッドという高級ホテルに全員が宿泊したため、
4万円では収まらず同様に特例措置が認められています(おそらく一泊6~8万くらい)。

ちなみに歴代知事の海外出張でも、
人事委員会による特例措置でスイートルームでの宿泊が常態化しており、
この宿泊費規定はすっかり形骸化していると言えるでしょう。

 

ファーストクラス266万円、スイートルーム19万8千円…舛添知事・海外出張費の妥当性は? | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

 

 今回の舛添海外出張について書いていきたいと思います。(上の引用はおときたさんのブログから抜粋させていただいています。)ここに書かれているように、規定されている旅費以上を使う場合、東京都では人事委員会と協議してその支出の妥当性が協議され、OKになれば今回のように巨額の旅費の出費が行われます。東京都の該当する条文を下に示します。

 

・職員の旅費に関する条例(東京都)

四章 雑則 (旅費の調整)
第四十二条 
2 任命権者は、旅行者がこの条例の規定による旅費により旅行することが当該旅行における特別の事情によりまたは当該旅行の性質上困難である場合には、人事委員会と協議して定める旅費を支給することができる。 

 

 今回の舛添都知事のロンドンパリ海外出張でいえば、ロンドンでの海外出張で特別な事情もしくは性質上困難であったからスイートルームに泊まったことになります。だからマスコミなどからそこら辺の困難な理由を説明しろと追及を受けるわけです。

 各都道府県が今回の舛添都知事の海外出張のような規定以上の旅費を支出する場合は、この人事委員会と協議して定める旅費を支給するパターンと人事委員会の代わりに「知事と協議して定める」 の2パターンに大きく分かれます。一部、規定がない県や規則などで定めている県もあります。また、一部の都道府県では統一基準を作り、その基準に則って規定以上の支出の判断をしている都道府県もあります。

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全国47都道府県のうち、東京都と同じく人事委員会が定めるのが28で主流派になっています。知事が定めるのが15、知事と人事委員会が協議して定めるのが2になっています。定めがない県は、慣習に則ってやってるのかな? 大阪も人事委員会方式で東京と同じです。この結果を見ると、東京都の制度がおかしいわけではないんですよね。おときたさんのブログによると、

 

ちなみに歴代知事の海外出張でも、
人事委員会による特例措置でスイートルームでの宿泊が常態化しており、
この宿泊費規定はすっかり形骸化していると言えるでしょう。

 

 結局、慣習になってしまってる点が問題なんでしょう。法は法としてあるわけですが、法も道具です。使う人の解釈によって違いが出るのがなんとも言えません。

 

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 例外の旅費の支出に対して統一基準を定めている県のうち、知事が統一基準を定めているのが3、人事委員会が2、知事と人事委員会が協議して定めるのが1の計6県になっています。こういう統一基準を例外規程で定めるのはどうなのかなと思う点もあるんですが、一つの指針にはなるでしょうね。こういう基準を作ることで、無闇に出費が増えるのを抑えれる側面はあると思います。逆に基準を悪用して、定額支出以上の旅費高騰が常態化する恐れもありますけど。

 

 次に海外出張に使う航空機で知事がファーストクラスを使った点に注目したいと思います。どういう根拠で知事はファーストクラスに乗れるんでしょうか?東京都では海外出張の航空賃の規定は次のようになっています。

 

東京都知事等の給料等に関する条例

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 知事の海外出張の航空賃は、「運賃の等級を二以上の階級に区分する航空路による旅行の場合は、最上級の運賃の範囲内の実費額」。最上級、つまり知事が乗る飛行機の椅子はファーストクラスだと条例によって定められています。基本的にほぼ全国の都道府県知事の規定はこれです。違うとこもありますけどね。大阪府の場合は次のように定められています。

 

(航空賃及び車賃)
第二十七条 航空賃の額は、次の各号に規定する旅客運賃による。
一 旅客運賃の等級を二以上の階級に区分する航空路による旅行の場合には、次に規定する旅客運賃
イ 指定職等の職務にある者については、最下級の直近上位の旅客運賃
ロ 指定職等の職務にある者以外の者については、最下級の旅客運賃
二 旅客運賃の等級を設けない航空路による旅行の場合には、航空機の利用に要する旅客運賃
三 指定職等の職務にある者が公務上の必要により特別の座席の設備を利用した場合には、前二号に規定する旅客運賃のほか、その座席のため現に支払った旅客運賃
2 車賃の額は、実費額による。

職員の旅費に関する条例大阪府))

 

 上のは、大阪府の職員の旅費に関する条例からです。大阪府の条例は変わっていて、指定職などの職務にあるもの(部長職等以上)は「最下級の直近上位」という表現を使っています。下から二番目という事ですね。3クラスに分かれているところならビジネスクラスになります。3以上の区分ならグレードは下がるかな。他の都道府県は大体「中級」としてビジネスクラスを間接的に指しています。もしくは「最上級の直近下位」。これが多いですね。ファーストクラスの下っていう意味です。そういった意味でも大阪府のこの条例の書き振りはいいと思います。一番下から二番目、ですからね。この大阪府の条文は橋下さんが改正したものではないですが、次の改正を先に上げた改正の時に橋下さんは行っています。

 

(旅費)
第七条 
2 職員の旅費に関する条例(昭和四十年大阪府条例第三十七号)の規定中宿泊料並びに管内及び管内以外の同一地域における旅行の場合の旅費(宿泊料を除く。)に関する規定は、知事等の旅費について準用する。(以下略)

知事及び副知事の給料、手当及び旅費に関する条例大阪府))

 

 この条文は知事の報酬関連の条例の改正時に新たに付け加えられたものです。ややこしいですが、書いてる内容は、知事の交通費に関しては職員の条例を準用する、つまり職員と同じ形で知事の旅費を運用するという事です。単純にいえば、海外出張で同行する部長がビジネスクラスなら、知事もビジネスクラスという事になります。

 松井さんのツイートですが、こういう形で運用してるんですね。 次に東京都の職員条例の海外出張時の航空賃の該当部を見てみましょう。

 

職員の旅費に関する条例(東京都)

・国内出張

 (航空賃)
第二十二条 航空賃の額は、旅客運賃の範囲内の実費額による。

・海外出張

(航空賃及び車賃)
第三十四条 航空賃の額は、次に規定する旅客運賃(以下この条において「運賃」という。)の範囲内の実費額による。
一 運賃の等級を三階級に区分する航空路による旅行の場合には、次に規定する運賃
イ 指定職の職務にある者については、中級の運賃
ロ 五級以下の職務にある者については、下級の運賃
二 運賃の等級を二階級に区分する航空路による旅行の場合には、次に規定する運賃
イ 指定職の職務にある者については、上級の運賃
ロ 五級以下の職務にある者については、下級の運賃
三 運賃の等級を設けない航空路による旅行の場合には、航空機の利用に要する運賃
四 指定職の職務にある者が公務上の必要により特別の座席の設備を利用した場合には、前三号に規定する運賃のほか、その座席の利用に要した運賃
2 前項第一号ロ又は第二号ロの規定に該当する場合において、搭乗する航空機の目的地までの予定所要時間が八時間を超えるときには、第一号ロの運賃は中級の運賃に、第二号ロの運賃は上級の運賃によることができる。
3 車賃の額は、実費額による。

 

 これを見ると舛添海外出張では、指定職である部長職はビジネスクラスが使えます。ただ、部長以下の職員も舛添海外出張では、ビジネスクラスでいけるはずなんですよね。ロンドンだし。移動に八時間以上かかるでしょう。おときたさんのブログに指摘している箇所があったので引用します。

 

後に航空券については、
これは実は8時間以上のフライトになると部長級以下のヒラ職でも、
ビジネスクラスの利用が規定上認められています(知事はファーストOK)。

しかし彼らは「経費削減」という大いなる目標のため、
自己努力(たぶん上司からの強制)によってエコノミーを選択し、
ダウングレードして航空券を安くあげようと涙ぐましい努力をされているようです。

 (ファーストクラス266万円、スイートルーム19万8千円…舛添知事・海外出張費の妥当性は? | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

 

  何とも言えないなぁ。まあ正しいことではあるんでしょうけども。私が都職員なら、ホテルのグレード落としてくれていいから、行きだけでもビジネスクラスがいいなぁ。帰りはエコノミーでいいけど。

 

 結論としては、前にも書きましたが法を運用する人間次第なんですよね。こういうのを止めるには大阪府のような条例改正をするしか仕方ないのかなとは思います。おときたさん、都知事の旅費規程の改正条例案を出さないかな。

 

以上でこの稿を終わります。

 

番外)

① 感想

 今回まとめて思ったのは、条例って周辺の都道府県に似た形でやっぱりまとめるんですね。全都道府県の旅費の調整箇所の条文を調べたんですが、東北なら東北全体でほぼ同じ条文を使っています。中部、中国、四国、九州もそれぞれのブロックで似たような条文を使っています。一部の県は違いますけどね。まあ書き振りは似たり寄ったりですけども。関東と近畿はそれぞれの県で違う感じです。同じのを使ってるのもありましたけど、基本バラバラ。特に変だったのは、奈良県はほとんどの条文を規則(知事が定める条例)で定めててかなり変則でした。旅費の調整ってどこも条例の最後の方に定めているので、大体30~40条目ぐらいにくるんですが、奈良は13条で旅費の調整を定めています。ほぼ他の県と比べて、半分ぐらいの条文数しかないんですよね。面白い。議会活動に熱心でない県とかもなんとなくわかります。人治主義だなぁと。旅費の調整で、規定以上の出費の定めがない県とか本当にどうするのかなぁ。まあ前例主義になるんだろうけど。海外出張については随時、知事が定めるみたいな県もあったし。まあ何が言いたいかというと、条例も周辺の県を見ながら改正したりとかしてるのかなと。そういうとこは日本らしいなぁと思うと共に、案外に法っていい加減だし、それを運用する役所の解釈次第なんやね、ってとこです。まあだからこそ法の解釈が大事なわけで、議会の意味もそこにあるわけですが。

 

② 鳥取県の変な旅費規定

 

(旅費の調整)
第31条 任命権者は、旅行者が公用の交通機関、宿泊施設等を利用して旅行した場合その他当該旅行における特別の事情により又は当該旅行の性質上この条例の規定による旅費を支給した場合には不当に旅行の実費をこえた旅費又は通常必要としない旅費を支給することとなる場合においては、その実費をこえることとなる部分の旅費又はその必要としない部分の旅費を支給しないことができる。
2 任命権者は、旅行者がこの条例の規定による旅費により旅行することが当該旅行における特別の事情により又は当該旅行の性質上困難である場合には、当該旅費の額をこえる額の旅費を支給することができる。
3 任命権者は、予算の都合によりこの条例の規定による旅費を支給することができない場合には、旅費の定額を減じてその一部を支給しないことができる。
4 前3項を適用する場合の基準は、人事委員会規則で定める。

 

上のは鳥取県の「職員の旅費等に関する条例」第31条です。これの第3項なんですが、これって上役は旅費の予算をオーバーしたら、出張に行った職員に精算すべき旅費を払わないで済むってことなのかなぁ。いやさすがにそれはないと思うんだけど。他の都道府県ではこんな変な条項無かったんですよねぇ。読み間違えてるのかなぁ。

 

③ 統一基準条文

 ここでは規定以上の支給の統一基準についていくつか示します。

 ○秋田県旅費支給規則 (秋田県 知事バージョンの例)

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○職員の旅費に関する条例の運用方針等について(茨城県 人事委員会の例)

第40条関係(旅費の調整)
引き続き4日以上にわたる研修,講習,訓練等を受ける旅行に係る旅行雑費(条例第19条第1号に掲げるものに限る。)及び宿泊料については,原則として旅費の調整を行うものとする。

 

○職員等の旅費に関する規則(栃木県 知事・人事委員会の例)

(旅行雑費の額)
第十条 
三 その他知事が定める公務上の必要による経費 実費額又はこれに相当する額として知事が定める額

④ 大阪市の旅費規程

 

※6月16日の吉村大阪市長の定例記者会見でこの規則の変更をされるとの発言がありました。おそらく、「市長等 最上級の運賃」が変わると思われます。規則の変更があればまた追記します(16/6/16 追記)

 

○外国旅行の旅費に関する規則(航空賃)

第6条 航空賃の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める旅客運賃(以下この条において「運賃」という。)の額とする。
(1) 運賃の等級を3以上の階級に区分する航空路による旅行の場合 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める運賃
ア 市長等 最上級の運賃
イ 指定職給料表の適用を受ける者及び8級の職務にある者 最上級の直近下位の級の運賃
ウ 7級以下の職務にある者 イに定める運賃の級の直近下位の級の運賃
(2) 運賃の等級を2階級に区分する航空路による旅行の場合 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める運賃
ア 市長等、指定職給料表の適用を受ける者及び8級の職務にある者 上級の運賃
イ 7級以下の職務にある者 下級の運賃
(3) 運賃の等級を設けない航空路による旅行の場合 航空機の利用に要する運賃
(4) 市長等及び指定職給料表の適用を受ける者が、公務上の必要により特別の座席の設備を利用した場合 前3号に定める運賃のほか、その座席のため現に支払った運賃

 

大阪市の規定は大阪市長はファーストクラスなんですよね。この辺は規則だし、吉村市長には維新の考え方の整合性をとってほしいとこです。

 (※16/6/16 打消しせん追加:追記

 

○職員の旅費に関する条例(大阪市

大阪市の国内出張の旅費規程

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大阪府の海外出張の旅費規程

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 大阪府とはほぼ違いありません。大阪府の国内出張の宿泊料は、これを見ると8級以下の職務にある者のみにしたってとこですね。

 

 

参考資料:

国家公務員等の旅費に関する法律

国家公務員等の旅費支給規程

旅費業務に関する 標準マニュアル Ver.1-1(官邸)

知事及び副知事の給料、手当及び旅費に関する条例大阪府

職員の旅費に関する条例大阪府

各都道府県の条例集/関連情報リンク集:環境に関係する法規および条例のデータベース | (一社)日本鉄リサイクル工業会(一部、リンクが切れてますが大体使えます)