粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大阪市と堺市に提出されている大阪会議条例改正案の条文が異なる件

 

 大阪会議の条例の改正ですが、大阪市議会に提出されている条例改正案が堺市議会に提出されている改正案と内容が違うので調べてみました。結論としては、維新の横山議員がブログで言ってたことが正しかったんだなということです。堺市議会に提出したのは何の調整もせず、慌てて修正して出した、大阪自民の府議会・大阪市議会・堺市議会での会派間調整もできていないというのが露呈したということになります。ではそれを以下に見ていきます。

 

府議会、堺市議会、大阪市議会で提出された3種類の大阪会議条例改正案について以下にリンクを貼ります。

 

議員提出第1号議案 大阪戦略調整会議の設置に関する条例一部改正の件(府議会)

8月26日提出。9月2日、再議により否決。

議員提出第26号 大阪戦略調整会議の設置に関する条例の一部を改正する条例(堺市議会)

改正案原案提出8月26日。改正案の修正案を議会運営委員会に提出したのが9月2日。

議員提出第26号 大阪戦略調整会議の設置に関する条例の一部を改正する条例(大阪市議会)9月25日提出

 府議会の方は再議により否決されました。同日、堺市議会には府議会提出の改正条例案を修正したものが堺市議会の議会運営員会に提出されました。その辺の顛末はこちらをご覧ください。

前回までの維新横山議員と自民原田議員の主張の違いに対する私の事実誤認訂正について書きます。 - 粉屋の大阪to考想

 大阪市議会の方に提出された新改正案は、府議会で議論された内容を反映されたものになっています。内容は堺市議会のものと大きく異なっています。これについて後で述べますが、9月25日の大阪市議会本会議において、条例改正案の提案趣旨説明が大阪自民からありました。

youtu.be

 上の動画になります。この中で、大阪自民大阪市議団の方からは堺市議会に提出された条例と違う理由の説明がなされました。内容としては以下の二つになります。

 

 ① 府議会及び堺市議会の両議会で大阪会議改正条例案で論議された内容を反映させた最新版が大阪市議会で提出した条例案になる。

 ② 堺市議会および府議会で大阪市議会に提出した同様の改正条例案を提出する

 

 今までの審議を反映した結果、新しい改正案になった、この新改正案は府議会、堺市議会に改めて提出するといった内容でした。大阪会議は3自治体で同様の内容の条例案でないと機能しません。よって違う条例であれば問題があります。最新版の新改正案で統一するということであれば、問題はないわけですがその最新版の内容が問題です。

 

 ここで新改正案の内容ですがそれまでの物と大きく異なっている点が二点あります。

 

 ① 会長の解任について

 

 会長の解任規定について、府議会および堺市議会のものと大きく異なっている点があります。

 府議会での改正案の内容についてはこちらです。

府議会での 大阪会議条例 改正の内容を考察してみる - 粉屋の大阪to考想

 

第7条

大阪市議会の新改正案)
5 大阪会議は、会長又は副会長が職務上の義務に違反し又は職務を怠ったとき、その
他会長又は副会長たるに適しないと認めるときは、会議の議決によって、当該会長又
は副会長を解任することができる。

 

f:id:pankoya:20150928002250p:plain府議会および堺市議会の条文)

ここでの変更点は

 A:「会長が心身の故障のため職務の執行に支障がありまたはこれに堪えないとき」

   これが削除されている。

 B:会長だけでは無く、副会長も含めた解任規定になっている。

 

 Aについては大阪府議会の総務常任委員会(8月31日)及び堺市議会の総務財政委員会( 9月14日)で、維新の議員から指摘が合った項目です。

8月31日の府議会・総務常任委員会での大阪会議改正案の質疑について - 粉屋の大阪to考想

 指摘があったから削除したということですかね? 私個人としては、別段、入れててもという気はしています。よくある表現ですし。まあこの新改正案の内容で問題はないと思うので、殊更、心身の故障を入れる必要もないでしょう。浅田議員があそこまで拘ったのは条例に入れるということの重さがあるので、その点で自民が削除をしたことは評価します。

 次にBの方ですが、これも当然の規定ですね。会長だけの解任ではなく、副会長も入れるのは当たり前です。6項も同様理由で文言が変更になっています。

 

 ② 大阪市議会ので新改正案では第8条の規定変更が全削除されている

府議会の改正案

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堺市議会での改正修正案

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 府議会での第8条における改正案では、会議の会期や議題の選定などについて、委員全体での本会議での採決によることとした改正条文がありました。これはこの大阪会議の改正案の骨子になる部分でしたが、此れが大阪市議会の新改正案では全削除されています。堺市議会ので改正修正案では府議会のそれの3号4号が削除されて号数が6個から4個に変更されていました。しかし大阪市議会の新改正案では全削除です。

 これの理由をどうするんでしょうね、大阪自民は。説明するのは大変だと思うんですが。大阪会議での採決方法は各自治体のそれぞれ過半数でしたが、それを会議の諸々の事項に関しては全体の採決によるものとする変更をする改正案を府議会で出しました。この改正案は第一回の大阪会議の終了直前、自民の花谷府議が動議を出して、議題に関しては過半数で決めるよう規約案の修正を求めました。これは橋下市長に「条例にない。法治主義を否定したもの」として鼻であしらわれたのですが、それを受けての改正案だったはずです。堺市議会ので改正修正案自体、私は4・5号を削除したのならこの改正自体の意味がないだろうと結論付けていました。よって、削除するのは理解するのですが、それならこの新改正案は何のために提出するのか理解が出来ません。 全く意味がありません。

 

説 明
副会長を2人とするとともに、会長及び副会長の解任手続を定めるため、条例の一部
を改正する必要があるので、この案を提出する。

 

 大阪市議会ので新改正案の説明ですが、まさしくこの意味しかありません。この副委員長を二人にするのも、会長・副会長だけで代表者会議(’準備会合)をする可能性があったため、その為に付け加えた規定だと私は理解しています。でも現状、代表者会議はこの前に開いた(前回書いた)形での会議になりますので意味がないんですよね。そういった意味でも二重にこの改正案は意味がありません。大阪自民は、この新改正案を審議する際に副会長を二名にする合理的な理由を説明できるのでしょうか?

 府議会や堺市議会ので改正案の提案趣旨説明でもあったのですが、会長・副会長を計三名にすることにより、各自治体から一名選出できるようにするというものがありました。これも前に書いたのですが、各自治体から選ぶのであれば会長・副会長はそれぞれの自治体の第一会派である維新から選出されないとおかしな話になります。今は各会派の最大と次点の会派から選ばれています。どういう選び方をするのか?まあ維新・自民・公明という具合にするんでしょうけど、それなら各自治体から選ぶという説明はそぐわないものになります。よくよく考えてないなぁ、自民はというのが結論ですね。

 解任手続きにしてもなんだかなぁっていう感じです。確かに全体での採決によるので条例での改正は必要ですが、果たしてそれに意味があるのか?と考えます。だってこれ 、ジャア会長・副会長はどう選任するの?ということがまるで抜け落ちています。選任の際に採決はしないってことなんですかね? 第一回大阪会議のように協議による全員一致ってことなんでしょうか?それなら解任も同じ方法でいいはずです。改正案が通ると、会長・副会長の選任方法は条例の下位の規約に書かれ、解任方法は条例に書かれる。何ともわからない法の立てつけです。

 

 最後に9月14日の堺市議会総務財政委員会において、大阪会議の改正修正案について質疑がありました。この中で公明党の星原 卓次委員から面白い質疑がありましたのでご紹介します。

 この質疑の中で星原委員は、自民の西村委員に対して「改正案を取り下げる気はあるか? またこの堺市議会に提出された改正案が大阪市議会でも同一のものになるのか?」と質問をしています。これに対して、西村委員は「取り下げる気はない。改正修正案は、府議会の再議理由を反映して省いたものにした。改正修正案は府議会、大阪市議会の各会派で調整中」と答えています。結局、府議会、大阪市議会および堺市議会ので大阪自民議員団の間で、何の調整もできてないことがはっきりわかります。調整ができているのであれば、はっきり同じものが大阪市議会に提出されると言い切れますからね。というか言い切らないとおかしいんです。実際、星原委員も「大阪会議は同じ内容の条例でないと機能しませんよね?」とわざわざ確認をしています。この後、この星原委員から動議が出され、閉会中も引き続き、この改正案が堺市議会で審議がされることが決定されました。動議の理由は「自民が取り下げないのであれば大阪会議の円滑な進行の為にも審議をしなくてはならない。大阪府及び大阪市議会の動向を見ながら審議する(せざるを得ない)」といったものでした。

 何とも情けない話ですね。大阪自民は何のプランも立ててなかったんですよ。そうであれば府議会臨時会において、提案会派である自民党府連の「議会運営委員会遅参」や「知事への再議取り下げ要求」(実例上、再議の取り下げが不可であることは当日判明)などのドタバタ劇については発生するはずがなかったものです。維新の横山議員が言う通りです。以下引用します。

 

(追記)臨時議会の顛末、自民党府連のいう「政治」と府民意識とのかい離について|大阪維新の会 大阪府議会議員 横山ひでゆきオフィシャルブログ Powered by Ameba


事前に、十分、全て想定し、調整できるレベルの事柄ですから。


ようは

自治体間の調整会議を提案している会派が、

事前に調整できるレベルの事柄について

少なくとも堺市議会との調整が未了で、

議会運営委員会の開会が遅れ、

それにより本会議の開会が3時間遅れる

という事態は発生しようがありません。

 

 

まさしくこの通りです。

大阪自民は大阪会議をどうしたいのか、さっぱり理解が出来ません。