粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

府議会での 大阪会議条例 改正の内容を考察してみる

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 大阪府議会の臨時議会が26日開かれ、自民党が、大阪府大阪市堺市の首長と議員による「大阪戦略調整会議」(大阪会議)の設置条例の改正案を提出した。委員会での審議を経て、来月2日に採決される予定。

 

 

 大阪会議は二回の開催を経て、機能不全に陥りました。そのため?大阪自民は府議会にて、条例改正を行うべく、大阪府議会の平成27年8月臨時会にて、大阪会議条例の改正議案を提出しました。

大阪戦略調整会議の設置に関する条例一部改正の件  [PDFファイル/101KB]

今回はこの改正の中身を見ていきたいと思います。

府議会の平成27年8月臨時会が下記の日程で開かれます。

本会議(開会) 平成27年8月26日(水曜日) 午後3時から

本会議(閉会) 平成27年9月2日(水曜日) 午後1時から

この8月26日に大阪自民の花谷議員から改正議案の提案趣旨説明がありました。議案は総務常任委員会に付託され、8月31日 (月)総務常任委員会の午前10時から審議され、9月2日の本会議で採決がとられます。

 

花本議員の提案趣旨説明では改正内容としては以下の三点になります。

1:構成3自治体から会長・副会長二人にしてそれぞれ選ぶ
2:構成3自治体が会議の議事について適切に関与できるよう、3自治体それぞれの議決での原則は変えずに、会議運営に関する事柄に関してのみ委員全員での多数決で決定できるようにする。
3:会長の身分取扱いについて整理。

 

以上の三点を抑えつつ改正条例案の変更点を見ながら考えたいと思います。

 

①副会長の増員(一人→二人)

 第七条1項 大阪会議に会長一人及び副会長二人を置く。

 

 最初の変更点ですが、変更前は「会長及び副会長各一人」の計二名だったのが、改正後は計三名になります。

 なぜこういう変更を大阪自民がしたがっているのかを考えます。今回の第一回でもめた点の一つに議事整理権があります。大阪会議の議事(議題)を誰が決めるのかということです。大阪会議では各会派から推薦のあった代表者会議を設置するような規定案があります。この代表者会議では会長、副会長及び各会派から推薦のあった委員5人の計7人をもって構成されます。この会議は議事の協議・調整をする会議になります。しかし、大阪会議の条例7条三項には、「会長は、大阪会議の会議の議長となり、議事を整理する。」とあります。条例上は、会長に議事整理権があるのですが、なぜか代表者会議という訳の判らないものが降ってわいてるわけです。正直、この代表者会議どういう過程で案として出てきたのかわかりません。そして、この代表者会議のメンバーには首長(知事・市長)は含まれていません。まず、この時点でおかしいですし、仮にメンバーとして首長が入ったとしてもおかしなことは変わりません。議事整理権は会長にありますからね。で、さらにおかしいのは仮に議題が代表者会議で決めれない場合、大阪会議の本会議での採決により決めようということです。結局、会長には議事整理権はないということになるんですね。

 これらのシステムは現状の大阪の政治状況で、維新に議題を上げさせないように大阪自民が恣意的に制度を作ろうとしているだけに過ぎません。今後の大阪ではあり得ませんが、大阪自民が単独過半数を取れれば改変して大阪自民に有利なように、まあ「普通」の会議の形態にするでしょう。会長が議事整理権を持ち、代表者会議はなくすでしょうね。それだけの話です。

 維新はこれに当然反発して、代表者会議なんていうものは無しにして、議事整理権は会長の専管事項にするべきという立場です。よって、大阪自民が求める代表者会議も、もしやるのであれば、首長の三人(知事、市長二人)と会長・副会長の会議体になるでしょう。大阪会議前の松井知事が提唱していた準備会合と同じ形ですね。この準備会合は維新が有利になるから、大阪自民と竹山堺市長が応じず流れました。よってこの形は大阪自民はやりたくない。しかしどうしてもやらないのであれば、副会長を増やして、維新:非維新=3:3の同数にしたいというのが大阪自民の考えでしょう。よって副会長を一人増やすという訳です。

 もしくは、会長に議事整理権があるという点で会長の専管事項にするにしても、会長と副会長の専管事項ということにするのかな?その場合、維新の会長と非維新の会長二人で有利に進めるぜ!ってな感じなのかもしれません。7条3項の「3会長は、大阪会議の会議(以下「会議」という。)の議長となり、議事を整理する。」は、変更しないみたいだし。

 しかし、今回の花谷議員の提案趣旨説明では、3自治体のそれぞれから会長・副会長を選ぶようにするということです。この場合、この三人は全員が維新にならないとおかしいと思うのですが。現状の大阪会議は会長が維新、副会長が大阪自民です。最大会派と次の勢力の会派ということですね。しかし、それぞれの自治体から代表者を選ぶのであればそれぞれの自治体の最大会派、維新から会長・副会長を選出するのが普通です。その場合、代表者会議の構成は維新:非維新=5:1になっちゃうんだけどな。議事整理権を会長の専管事項として会長副会長の三人でということなら維新だけになるし。大丈夫かいな、大阪自民。まあ提案趣旨説明はなかったことにして、30人の中の最大会派、二位、三位からそれぞれ一名ということにするでしょうけど。維新、大阪自民、公明から各一名ということになるでしょう。本当に中身を何も考えていないね、大阪自民は。

 これの変更に伴い変更されるの以下の二カ所になります。

 

 第七条4項 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき又は会長が欠けたとは、あらかじめ会長が定めた順序で、その職務を代理する。

 

 第九条3項 部会に部会長一人及び副部会長二人を置く。

 

 副会長が二人になるから、二人のどっちが上位か会長が決めとけ、ってことですね。

 部会の部会長は大阪会議の会長、副部会長は大阪会議の副会長が充てられる条例の規定になっています。よって副会長が二人になるから、一人から二人に変更になっています。しかし部会は何人の委員で構成されるのか知りませんが、何と言えんなぁという感じですね。私自身は大阪会議の部会が一番いやらしいシステムだと思っているので。まあ利点もありますけども。

 

②第七条5,6,7項 会長の解任(追加条項)

 

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 この5,6,7項は追加になります。ここでは会長の解任を定めています。採決の方法としては委員の過半数の同意で、採決がされます。これは第8条4項で、「会議の議事は、出席委員のうち府に属する委員、大阪市に属する委員及び堺市に属する委員のそれぞれ過半数で決することを基本に会議において定める。」ということに反していますが、会長解任に関して特例扱いをするっていうことですね。

 あほなことしてますね。こんなの「会長の解任に関しては、第8条4項を適用しない」としておけばいいだけだと思うんですが。基本的に5,6,7項で書かれていることは規約、ないし要綱で定めることです。こういった事を条例で定めた場合、会長の解任に関して変更や追加が必要になれば、また条例の改正案を議会に提出、それも3つの議会に提出しないといけなくなる訳で避けるのが普通だ思うんですけどね。そういった可変性のある事項を定めるために規約というものがあるわけだし。規約案を出さない自民は本当に理解できません。なぜ役人が作るべきという立場を貫くのか・・・。

 内容に関して言及しましたが、根本的な問題としてなぜ会長の解任に関してこういう変更が必要なのか?と言えば、先ほども言ったように現在の大阪の政治状況を考えれば、こうしないと大阪自民にとって不利になるからだけが理由です。仮にこれで会長を解任したとして、では次の会長は誰になるかと言えば維新から選ばれます。大阪自民は何がしたいんだろう?会議が空転するだけで何の意味もありません。

 

第八条5項 (会議)についての修正点

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 第八条5項が修正されています。会議についての項目ですね。

 内容の前にミスじゃないかと思われる箇所があるので。上段が改正案、下段が可決された大阪会議の条例になる訳ですが、上段の改正の方に7項があるんだけどなんだろう、これ?間違い・・・なのかなぁ。第8条に7項なんてないんだけど。

    大阪戦略調整会議の設置に関する条例

 下段も5項の修正なのに「略」になってるし。修正前の現行条例文をここに書いておかないとおかしいんですけどね。

 大阪会議の条例は修正案が審議中に出て、その修正案で可決されました。提出された原案の第八条は7項まであったんです。修正で「同条第6項を削り、同条第7項を第6項とする。」と修正されてます。まさかこの条例改正を作った人って、修正前の条例文を元に改正案を書いたのかな・・・。これが本当にミスならあり得ないミスなんだけど。まあ委員会の審議の時にわかるかな。もしこの通りなら、大阪自民さんは原文を修正した修正後の条例文を作ってないってことになるんだけど。(大阪自民が手持ちの修正前の条例文でこの改正案を作ったってことです)でも有り得るかなぁ?

大阪府/第1回大阪戦略調整会議について

ここの資料2で、役所が作ったのはあるし。まあいいかw

(※8/31 大阪府議会の総務常任委員会視聴後:この後光は追加条項のようですね。間違いであると判断して、修正します) 

 

 で、5項の原文は以下になります。

「5 議題に係る調査、審議を行う期間については、会議において定める」

 この5項が6つほどを細々、決めるような形の改正です。で、まあ第8条4項を適用せず、特例扱いにするってことです。しかし、此れって前にも書いたように規約や要綱で定めることなんですよね。会長の解任で指摘したように書いてないことがあった場合、条例改正が必要になるわけですが、それを6の「会長が必要と認めるもの」で補足してるような感じですか。

 あほかと。

 この改正を厳密に適用したら、これらの5つの項目を規約・要綱で定めることもできなくなるんじゃないのか? この1~5については毎回、大阪会議が開かれるたびに出席委員の過半数で決するの? これだけで毎回、えらい時間食いそうなんやけど。

  こういうのを定めるんじゃなくて、議事整理権についてより厳密にどう運用するかを定めたほうがまだましだと思うんだけどなぁ。より問題なのは6の「会議の円滑な運営に関する事項であって、会長が必要と認めるもの」これって思いっきり拡大解釈して恣意的な運用が可能になるんだけど、本当にこの改正をするわけ?? 訳が分からん。

 

 まあ自民党の今回の改正の目的は次のようになると思います。

 

 1.維新の会長を解任する

 2.出席委員の採決により会長を決める。これで非維新の会長を選出。

 3.副会長の一人を維新。もう一人は非維新から選出。

 4.維新の言うように議事整理権を会長の専管事項にするけど、非維新で主導権が握れる。

  会長が取れれば第8条5項の6を使ってやりたい放題。仮に維新が会長のままでも非維新で過半数は取れてるから大丈夫。

 5.仮にこうならなくても第8条5項の修正で、出席委員の過半数は非維新だから主導権は握れる

 

 こんな感じなら何とも情けない話になりますね。結局、この5項の改正って意味ないんですよ。何も決まらない大阪会議というポンコツさに磨きがかかるだけです。結局、議事整理権がどこにあるのかはっきりしない。議員のみの代表者会議の取り扱いもわからない。この改正案なら代表者会議は必要ないわけですしね。「3 議題の提案方法」で代表者会議で議題を提案するというように採決するのかなぁ。どう運営するんだろう?真面目に理解できませんが、まあ府の総務常任委員会の審議を待ちたいと思います。

 

最後にこの改正案の附則です。

 

附則 この条例は、公布の日から施行する。

(改正案大阪会議条例)

 

ってあるんですが、これって・・・。 大阪会議の条例案は修正案で可決されたのは言いましたがその時に修正されて「規則で定める」ことに修正されたんですよね。

 

附則 この条例の施行期日は、規則で定める。

(現大阪会議条例)

 

この公布の日から施工するって修正前の原案はこうなってたんです。やっぱり、修正前の原文をコピペしてこの改正案書いたのかなぁ。この規則で定めるって修正した理由は府と大阪市堺市の3議会でばらばらで可決された場合、施行日の統一が取れないから修正して規則になったんですよね。たぶんここも「規則」で再修正がかかると思います。