粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大阪会議が都構想の対案でなかった時代と対案になった理由 4/4<その11 大阪会議>

大阪会議が都構想の対案でなかった時代と対案になった理由 1/4<その8 大阪会議> 

大阪会議が都構想の対案でなかった時代と対案になった理由 3/4<その10 大阪会議> 

 

4.大阪府議会における戦略協条例の審議

 

 ここでは審議の模様を議事録からピックアップしてそれに突っ込みを入れる形でいきたいと思います。

  大阪府議会では2012年3月1日に戦略協条例提出、3月7日に本会議にて条例の趣旨説明が行われました。青字:PANKOYA

 

【 平成24年  2月 定例会本会議-03月07日-09号より 】

 ◆(奴井和幸君) 「自由民主党大阪府議会議員団の奴井和幸でございます。
 ただいま議題となりました議員提出第三号議案 大阪広域戦略協議会を設置する条例制定の件について、提出者を代表いたしまして、その提案趣旨を説明させていただきます。
 我々自由民主党は、大阪府大阪市堺市の三つの公共団体の首長と議会が参加する大阪広域戦略協議会を設置すれば、制度改正をすることなく広域行政の統一化は可能であると考えております。代表質問の中でも申し上げましたが、広域戦略協議会の中で、大阪としての戦略を一つにすることを目指し、その上で、どうしても政令指定都市を解体しなければできないことがあるのであれば、そのとき検討すればいいと考えております。
 現在、知事から提案されている大阪にふさわしい大都市制度の推進に関する条例案では、制度を変えることから始めようとしております。手順が逆だと考えますので、対案として大阪広域戦略協議会を設置する条例を制定することを提案いたします。」

 

上記のような趣旨説明が行われ、条例案は総務常任委員会へ回されました。ここでは初めて都構想の「対案」として戦略協が位置付けられています。

 

【 平成24年2月定例会総務常任委員会-03月13日-02号より 】

この総務常任委員会での花谷議員の発言をピックアップしたのが以下になります。

 

花谷議員「協議会を設置する目的、大阪の何が問題と考えているのかについてですけども、我々は、これまで大阪の広域行政は一体性を欠いていた、失っていた、そういう問題意識を持っておりまして、大阪広域戦略協議会の条例では、条例案で統一した戦略のもと、政策協調を図ると明確に目的を入れ込ませていただいています。」

 

大阪府市の広域行政が一元化されていないことの弊害はあるという認識ということですね。

 

【 平成24年2月定例会府民文化常任委員会-03月15日-03号より 】

◎知事(松井一郎君) 「この大阪広域戦略協議会への自民党さんの案なんですけど、これ、できることでありましたら選挙前に、統一地方選挙前にぜひ御提案をいただければですね、言うならば、もっと前に、僕も自民党にいてましたから、本来はもっと前にこれを大阪府大阪市堺市自民党は提案すべきだったんじゃないかなと思います。
 これは、中身は僕もよくわかるんですけれども、今は僕と橋下市長という同じ方向性で、都市の行政のあり方というのは広域自治、基礎自治体の役割を明確に役割分担していく、そしてそれを制度化しようと。でないと、同じ方向性に向かう知事、市長でなくなれば、この条例があったとしても、いや、この協議会に出席しないとどちらかの首長が言えば、またそこへ戻ってしまいます。」

ここでは、大都市制度推進協議会についての花谷議員の質問に対する松井知事の回答になっています。大阪会議をやるならやるでいいが、時機を逸してるだろう、制度としても問題があるという発言です。

 

 【 平成24年2月定例会総務常任委員会-03月21日-03号より 】

大阪広域戦略協議会を設置する条例制定の件に対する質疑です。質問者は民主の中村議員になります。


花谷議員
 「今回、条例を提案させていただいたのは、これまで自由民主党も、この大阪の中で広域行政のあり方というのを議論してまいりましたし、二重行政に無駄があるのかないのか、政令市の関係はどうなのかということをずっと議論してまいりました。その中で、やっぱりこの大阪で、狭いところで政令市が別な判断をするということに違和感を持っておりまして、これを最近では二元行政という言い方をされてるわけですけども、この二元行政、二重行政、これをいかに克服していくかという、そういうことを我々は一つの課題としてまいりました。
 そこで、大阪府と政令市が一体性のある政策、戦略を統一するとか、そういったことを協議する場がこれまでありませんでしたので、それを設置することによって一体的な行政の推進が図れるんじゃないかという思いで提案しております。
 違うところは、我々は、制度論を議論することを否定してません。まずは、できることから、現行法から、現行法上できることからやっていきましょうと。目的は、広域行政の一元化、二重行政の無駄を排除しようということですので、現行法でできることを積み上げていって、どうしてもできないときには制度論を同じ協議会で議論したらいいじゃないかというのが我々の考えです。」

 

大阪市が広域権限を持ってることに違和感があると。二重行政を克服することが課題ということは、府市の二重行政を明確に規定しているということですね。少なくとも自民大阪府議団は。制度論を議論すことを否定しないということは、都構想を大阪会議で議論することも可能。大阪会議の目的は広域行政の一元化による二重行政の排除、つまり解消ということですね。最近の柳本議員が言ってることとは大きく違います。

 

花谷議員
 「実はこの広域戦略協議会というのは、一昨年、おととしから、堺の市議会議員、大阪の市会議員団と一緒に協議をしてまいりまして、その当時から多数決による決し方ということについて議論を重ねてまいりました。
 その中で、テーマによっては期限を早く結論を出すべきものもあれば、長期間にわたってすり合わせをするものもあるでしょうし、ただ単に政策協調のための幾つかのプラン、二つ、三つのプランを府民の方々にお示しするという課題もあるでしょうし、逆に言うと、きちんと期限を決めて一つのプランを出せということもあるでしょうから、それはテーマごとに決めていったらいいんじゃないかと。そのほうが、府民の方にわかりやすい議論ができるんじゃないか、府民の方に選べる、選んでいただけるような選択肢を御提示できるんじゃないかというような思いで、採決の方法はこのような条文にしてあります。
(専門部会についての)これも具体的な例を、我々の府議会、市議会、堺の市議団で協議した内容を具体的に申し上げますと、一つは空港問題でした。伊丹廃港もしくは併用というか、そういう議論を府議会の中ではさせていただきましたけども、実は一度も市会議員さんともお話ししておりませんし、泉佐野関空の近くにある市町村の首長さんや議員の方々ともお話をしないままで、我々は伊丹の廃港を決めてしまいました。
 これについて、例えば空港戦略というテーマで大阪として統一した戦略を構築する場合に、府議会議員、市会議員、堺の市議会議員、さらにその三首長では不十分ではないかと。関係する市町村の首長さん、議員にお出ましをいただいて議論をしていただくと。それによって、その関係市町村さんのそのまちといいますか、市町村での政策がスムーズに反映できるんじゃないかという思いがありまして、関係市町村の首長と議員にお出ましいただきたいと。さらには、経済界の方にお越しをいただいて、本当にこの大阪の活性化のために空港戦略をどうすべきかという御意見をいただいて、できれば一つの方向性を構築したいなという思いであります。
 そういう意味で、関係の首長さん、そして関係市町村の議員、有識者にお入りいただくというようなプランにしてあります。
 今、私たちが府市統合本部の議論を拝見してまして、我々議員が物言いたくありませんか。先生方、言いたいこといっぱいあると思うんですよ。水道のことも、自民党の中でプロジェクトチームをつくっていろいろ議論してきました。大阪市の水道局長がいろんなこと言うてきて、我々はおかしいなと思ったことたくさんありました。そういうことを今府市統合本部で議論してるわけで、我々は出ていって意見もしたいですし、大阪市の考えも聞かせていただきたいなという思いがあります。
 そういう意味では、我々の広域戦略協議会というのは、府市統合本部に議員が参加すると、そしてその中で広域行政のことを議論していると、そういうイメージであるというふうに改めて認識しております。
◆(中村哲之助君) じゃ、もう一遍確認さしてもらいますが、今ある府市統合本部に我々議員も入って、その中でさまざまなテーマを一緒に議論をしていく、そういうような感覚だということですか。
◆(花谷充愉君) まさに、端的に言って、そういう感覚であります。

 

 府市統合本部を評価していただいてありがとうございます?府市連携局が否決されて何ともいえませんね。まあ否決されたの大阪市議会で大阪府議会の方はそれを受けての撤回でしたが。

 

花谷議員
 (協議会が二元代表制とのかかわりでの立ち位置について)「そこも、やっぱり我々府議団と市議団、堺市議団で何度も課題になりました。広域戦略協議会で決まったことを府議会、市議会、堺で再度議決するわけですから、そのときに代表としてお出ましいただいてる議員のお立場ということがどうなるのかということを心配して議論してきました。そこで、過半数で物事を決するということの意味合いも、改めてどうするんかという議論になったわけです。
 結果、我々のこの広域戦略協議会での議論は、例えば大阪府は、大阪市との二重行政はこれこれありますということを指摘してきましたね。自治制度研究会やったっけ、大阪府のね。ところが、大阪市側は、それを否定する部分が多かったわけですね。これは二重行政ではない、これはこういう考えだ--一度も我々は府と市の議論を見たことないんですよ。いまだに二重行政とは何なのかというのが、府と市の間で統一したものができてないと私は認識しています。
 ですから、そういうことを広域戦略協議会の中で議員間が議論する、もしくは首長も含めて議論をし、対立の構図、それを府民に明らかにできると思うんですね、府民、市民の方に。どういう立場でこれは二重行政ではないんだ、どういう立場でこれは二重行政だと言うてるのが明らかになって、そのときにその解決のプランが、一つじゃなくて二つの選択肢があってもいいんじゃないかと。それをそれぞれの議会で最終的に御判断をいただくというのが、本来の我々の二元代表における責務じゃないかなという思いがありまして、こういう条文にさせていただいてます。」

 

 まあこの辺は今後の大阪会議で見せて頂きましょうか。

 ・・・本当に見れますよね?w

 

【 平成24年  2月 定例会本会議-03月23日-10号 】

この後は3月23日の総務常任委員会で態度表明があり、その日の本会議に送られて否決です。維新の森和臣議員の反対表明をが次のものになります。

 

 「大阪維新の会大阪府議会議員団の森和臣でございます。 

 次に、自民党から提案されております広域戦略協議会条例についてでございますが、この条例案には、大阪に新たな大都市制度が必要であるとの認識がなく、特に基礎自治体のあり方については、現状二百六十万人以上の人口を抱える大阪市においても、住民と密着した基礎自治体が可能と考えておられるようであります。
 この条例は、大阪にふさわしい大都市制度はどうあるべきか、協議検討には一切触れず、今の行政制度の継続を前提として、産業振興や環境政策などの分野について大阪府大阪市堺市が協議していくものとのことでありますが、これは既に行われていることであり、条例がないとできないものではありません。協議会の場がなく、政策に一体性を有しなかったとの認識は、余りに一方的であり、決めつけであります。複数の自治体との協議には、全国知事会や近畿ブロック知事会を初め、市長会や町村長会など条例がなくとも立派に運営され、成果を上げており、条例化が必要との見解には説得力がありません。
 さらに、本条例では、基礎自治体である大阪市堺市に徹底して権限や財源の移譲を目指すとなっておりますが、政令市である大阪市堺市が有する広域行政機能を広域自治体に移すことを検討するような記載はなく、基礎自治体大阪府から一方通行的に権限と財源を移すこととしており、広域と基礎が適切な役割分担を図ることの認識が欠如しております。

 以上により、知事提出すべての付託議案に賛成し、議員提出議案、広域戦略協議会条例については反対であることを表明し、大阪維新の会の討論といたします。御清聴ありがとうございました。」

 

 都構想としての対案として、大阪会議は位置付けられています。実際に都構想が対案かと言われると現状では対案ではありません。単純に戦略協に毛が生えたレベル、どこまで行っても協議会の範疇でしかありません。しかし条件が揃えば、都構想の対案となります。このことは次の機会に説明させてもらいたいと思います。また、「都構想の対案」として位置づけられている大阪会議ですが、「大阪広域戦略協議会」は厳密にいうと都構想の対案ではありません。正確にいうと、大阪にふさわしい大都市制度推進協議会の対案です。これは大阪市特別区を設置するための協定書、特別区設置協定書を作る法定協議会「大阪府大阪市特別区設置協議会」の前身になる協議会です。

 

大阪広域戦略協議会 ⇔ 大阪にふさわしい大都市制度推進協議会

大阪会議      ⇔ 都構想

 

この対案の対象の違いは大阪会議を語る上で重要な違いなので覚えておいてください。

では、4回にわたり読んで頂き、ありがとうございました。