粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

橋下知事時代の大阪会議への考え方 <橋下徹の仕事術>

 今回は、大阪会議の前身である大阪広域戦略協議会への橋下知事の考え方をご紹介します。年代的に五年前の2010年になります。前身の大阪広域戦略協議会への質疑への回答になるので、正確には大阪会議ではありません。が、大阪広域戦略協議会は大阪会議とほぼ同じ物なので大阪会議に対する橋下さんの考え方と考えて差し支えないです。

 

◆(梅本憲史君) 
 自由民主党大阪府支部連合会は、去る十二月五日に政策発表会を開催いたしました。その際、行政区を超えた広域課題である交通政策や産業振興などに対応するため、大阪府大阪市堺市で構成する大阪広域戦略協議会を設置する条例の制定に向けて取り組んでいくことを表明 いたしました。
 また、去る十月の総務常任委員会において我が会派の宗清議員が、広域行政の一元化を図るべく協議する場を設定するために、大阪府大阪市堺市でお互いに条例を制定することについての知事の見解をお伺いしたのに対し、知事は、条例で縛れるかどうかは法律上の問題があ るので、それはさておき、そのようなことができれば、既存の政党を超えて政治グループをつくる必要はないと御答弁をされておられる。覚
えておられるかと思います。この答弁をする際、知事はどのような条例を想定しておられたのか、その御所見をお伺いしたいと思います。
○議長(長田義明君) 知事橋下徹君。


◎知事(橋下徹君) 

 まず、大都市というものを強化していく、これは国の国家戦略だと思っています。今、関東圏、中部圏、関西圏で日本の国のGDPの約七割から八割を稼ぎ出してるわけですから、この大都市圏を強くして、地方をフォローしていくという国家戦略が重要だという思いを強く僕は有しております。
 関西圏においては、特に大阪が経済圏の、経済的な円の中心になることは間違いないと思っておりますが、かつて大阪市役所、大阪市というものができたその当時は、そのエリアだけで物事を考えていればよかったと思うんですけれども、今に至っては、二百六十万の大阪市役所のエリアだけで戦略を立てても、これは世界との競争に打ち勝つことができません。ですから、現在の大阪市のエリアを超えたところで、し
っかりと戦略を立てて広域行政をやっていくことが、大都市圏を強くしていくことだというふうに思っています。
 そうしますと、大阪市大阪府堺市、これはかつての行政のある意味、区割りに縛られて行政をやってきておりますので、大阪市を超える、もっと言えば大阪全体の広域行政をコントロールする指揮官がいない、またプランも一本化されていないという中で、もし現在の体制を前提としても、大阪府大阪市堺市で、そういう広域行政のプランが一本化できて、だれかに決定権が与えられるんであれば、これは組織
を変えなくてもでき得る話だと思うんですね。
 ですから、話し合う協議の場、それだけでは一本化にはなりません。これは、今までも十分大阪府大阪市堺市、話し合いをしてきています。それでもやっぱり一本化できませんので、一番重要なのは、僕の答弁の前半部分、その条例で縛れることは法律上の問題があるからさておきと言っていたところでして、それができればということは、大阪府大阪市堺市の間で仕事の役割分担を決めることができて、広域
と基礎の役割分担ができた、その役割分担の中で決定権と責任がはっきりと一元化できる、そこまできちんと条例化で各行政体、大阪府大阪市堺市を縛ることができるんであれば、これは別に組織をいじらなくてもいいと思うんですね。
 これをやろうと思えば、政党というふうに僕は言いましたけれども、自民党さん、民主党さん、公明党さん、共産党さん初め既存の政党の皆さんで、政治的に行政の組織のルールをつくって縛ってしまう、こういうことができれば問題ないというふうに思っておりまして、話し合う協議の場だけでは、これでは、だれが決定するのか、どのプランを採用するのか、それが決まらないままで、今までずっと大阪府大阪市
がばらばらなことをやってきたことに、そこの何か抜本的な解決策につながるとは考えておりません。
 ですから、繰り返しになりますけども、僕が条例化ができればと言ったのは、大阪府大阪市堺市の間で広域行政の仕事、基礎自治の仕事をしっかり分けて、分けた上で、だれが決定権者か、責任者かというところまではっきりと決めれる条例ができればいいんですけれども、それはなかなか難しいんではないかという思いがあります。


【平成22年 9月定例会本会議-12月13日-16号 大阪府議会議事録より

 

◎知事(橋下徹君)

やはり平松市長も、堺市長も、やっぱり反対するという意見は、それは僕はいいと思うんです、みんなそれぞれの政治的な主張もありますし。市議会も府議会も、いろんな議員の皆さんも、賛成、反対いろいろあっていいと思うんですけども、しかし新しい設計図をつくっていこうと方向性を探るときに、意見が違うままでテーブルに着いても何も動きません。
 だからこそ、政治決定がまず必要で、こういう方向でいきましょうという府民の号令があれば、これは市長も従わざるを得ません。これは、議会も従わざるを得ません。役所も、従わざるを得ません。大阪市役所というものは大阪都構想には猛反発してますから、一緒になって設計図をつくりましょう、広域行政と基礎自治の役割分担をきちんと明確化しましょう、施設の統廃合をちゃんとやりましょうと言っても、ずっと進まないわけなんですね、お互いの価値観が違うんで。
 だからこそ、統一地方選挙によって、こういう方向性でいくのかどうなのか、この都構想という方向性でいくのかどうなのかということを有権者に問うて、それで大号令が出て、行けという話になれば、これは府議会、市議会、府庁、市役所が全部一緒くたになって新しい設計図をつくるということですから、だから今の段階では堺市長、平松市長、反対されていても、やっぱり最後は有権者の声に従う、役所の姿というものは有権者が決めるわけで、何も役所が決めるわけではないですから。その政治的な大号令をかけるためにも、統一地方選挙で問うてるわけですね。
 ですから、僕は、これは政党間の--市役所に組織のあり方を言わせるなんていうのは政治家としてはなわけですから、自民党さんや、民主党さんや、公明党さんも、共産党さんも、皆さん、協議会とか何とかでごまかしをせず、大阪のあるべき姿というものを提示して、それで有権者に問うて、どちらかの方向性で設計図をつくるという方向でやっていきたいというふうに思ってます。竹山市長は、選挙の結果次第で、選挙の有権者の意思に従うというふうに思っています、平松市長も。

 

◎知事(橋下徹君) 
 要は、政治と行政の役割分担がなされていなかったのが今までの政治で、民主党さんのマニフェストなんか典型じゃないですか。ほんとは行政でしっかりと組み立てていかなきゃいけないのを、政治が勝手にあれやる、これやる言ったもんですから、もう全部御破算になってしまって、何も実現できなくなってしまった。
 ですから、プロセスが物すごい重要でして、政治というものは、方向性とか、こちらの方向性で設計図を決めさせようというところが重要で、年金の問題だって、後期高齢者医療制度の問題だって、伊丹空港関西国際空港の経営統合の問題だって、何にも設計図が示されてない段階で統合だ、統合だと言って、統合を決定した後に今設計図つくってるんですよ。
 それとおんなじで、この方向性で大阪都構想、これで市役所の職員も使わないと、こんなのできません。だって、府議会でも市役所の状況、何もわかってないじゃないですか。データだって、僕だってわかんないんです。こんなのは、大阪府庁の財政の状況だって、財政課に全部詰めてもらわないと何にもできないです。
 議員の皆さんが、今度の統一地方選挙の中で、あれやる、これやるっていろんなこと言われてますけど、そんなのできるかどうか、財政で詰めないとわからないわけでして、この方向性でいくかどうかを住民に決めてもらって、あとは大阪市役所の職員と大阪府庁の職員、特に大阪市役所が嫌だと言っても、住民の決定があれば、それで一緒になって設計図づくりをする、そして詳細な設計図づくりをして、最後に住民投票で問うというのが、本来の政治と行政の役割分担であり、プロセスだと思います。
 こんなところで何でもかんでも言ってしまったら、それこそできないことも何でもかんでも言ってしまうようなマニフェストとおんなじになりますから、まずは方向性を決めて、役所にそれはつくらせるというのが、本来の政治行政のプロセスだと思っています。

 

 

◆(吉田利幸君) 自民党は、過日、政策の発表会をさせていただいて、大阪広域戦略協議会というのを、これは全国で初めての試みなんですが、知事は合意形成をすることについてどうお考えなのか。

(PANKOYA注:「大阪広域戦略協議会」大阪会議の前身。自民が提案していたが廃案)

◎知事(橋下徹君) いや、もう政党の皆さんで合意をとってもらえれば、こんな大阪問題、もうずっと引きずることないと思うんですね。自民党さんの大阪府議会の皆さんと大阪市会の皆さんで見解をまず統一させてもらって、こういう方向でいくというところまで示していただくのが、やっぱり政党の話だと思うんです。

 話し合い、合意形成は必要です。合意形成は、今までいろんなことでやってます。これは、よく言われるんですけども、合意形成ができなかったら何でも選挙かということでよく言われるんですが、大阪府政三年やる中において、大阪市役所とも堺市役所とも、できる限りの合意形成は全部やってるわけなんです。しかし、今回の問題は、大阪市役所、堺市役所の権限と財源にかかわるもので、これは国の省庁が地方分権に反対するのとおんなじで、もう全く応じないわけです。全く応じない場合にどうするかといえば、合意ができないんであれば、有権者に最後決めてもらうというのが民主主義の最終手段だと思うんですよ。
 これ、場だけ設定して、話し合いをするといって、これは政治の無責任です。これは、民主党さんのTPPの問題が特にそうですけど、検討会を開いて、その後どうするのか決めてもらうなんて、これは政治の無責任ですよ。まず、政治がこういう方向でやると決めて、その中で合意を図っていくというのが、政治と行政のプロセスだと思うんですよ。今、何にも方向性も決まらないままで、大阪府庁大阪市役所、府知事、市長がテーブルに着いたところで、じゃ何をどう話し合って、何を獲得目標とするのか。そこの時点で見解が違うんであれば、何にも進みません。
 今までの府市連携の協議の中身を見てもらったらおわかりのとおり、行政的に詰まる、行政的にお互いにまあまあ納得できるものだけが積み上がってきて、本来大阪でやらなきゃいけない、お互いどちらかが血を見ないといけないようなものは、やっぱり進まないわけです、血を流さなきゃいけないものに関しては。そういうものは、まさに政治決定をする。政治決定で本来は政党が機能してるんであれば、政党がこうするというふうに言えばいいんですけども、府議会と市議会で意見が割れてしまってるもんですから、仕方がないので、これは大阪府民に問う。そして、この方向性を決めれば、細かな制度設計の中で合意形成を図っていきます。
 ですから、今名古屋と愛知県で行われてることが、まさにそういうことだと思うんですね。一つ、方向性が決まりました、有権者に問うて。中京都をつくるという方向性が決まりましたから、テーブルに着いて、今そこで合意形成を図ってるわけです。その方向性が決まらない中でテーブルに着いたって、何の合意形成もできません。こんなの無責任な合意形成、話し合いで何でも解決するなんていう無責任な政治にほかなりませんので、まずは方向性を決める、そこは政治の責任、そこから合意形成をやるというプロセスをたどらないと、何にも新しいものは生まれないというふうに思っています。

【 平成23年 2月定例会本会議-02月25日-04号 大阪府議会議事録より】

 

 本当に橋下市長は考え方はブレないな。ここの議事録は4年前のものなんですけどね。ここにでてくる「大阪広域戦略協議会」は大阪会議の前身で、廃案になったものです。条例の基本構造は変わらないので同じものと考えて差し支えありません。今回の大阪会議条例案は可決を受けて、橋下知事が出されている大阪会議関連のコメントと府議会での橋下さんの大阪広域戦略協議会への回答はほぼ意味が変わらないですね。

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