粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大阪自民の大阪戦略調整会議ってどやねん?<その6 大阪会議の理想形を作る>

 大阪会議の理想形について私なりに考えてみました。私の考えでは大阪会議は機能をしません。なぜならその会議体としての構成上、物事が決まらないシステムだからです。委員が30人もいて議決を採ることやその委員も各自治体の10人の委員の過半数を採らないといけないこと。こういった点だけを挙げても物事を決めないように作っているとしか考えれません。よって、私が考える理想の新・大阪会議を作ってみたいと思います。

 

1.新・大阪会議の組織構成

 

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 説明していきます。大阪府大阪市堺市(以下3自治体)の各議会の代表者9名を選びます。(10人でもいいかもだけど)そして、大阪会議、今回否決された府市連携局と同様のものを3自治体のそれぞれの関係に置きます。大阪市堺市の間にも置くのは、厳密にいうと双方の権限が重なることはありません。しかし、市の境界を接している関係上、どうしても広域行政権限でも重なる部分が出てきます。またインフラ整備などでも協議が必要な側面が多く出てきます。よって設置を行います。この合計四つの協議体を作ります。大阪会議は会議体(議決を採る)ですが、新・大阪会議は協議体を目指します。よって、議案の議決は取らず、この4つの組織は協議体として議案の協議を行うことを目的とします。これにより首長の予算提案権などの専管事項に対する侵犯を防止します。基本的にこの四つの組織の目的としては議案に対して、3首長の合意を目指すことになります。この4つの組織が連動する体制を大阪会議体制とここでは呼びます。

 それぞれの組織の目的として、大阪会議は大阪の長期戦略を策定することを目的とします。10年単位の大阪の成長計画を策定します。よって、3自治体としては主にインフラをはじめとした広域行政における政策の立案を目的とします。連携局の方は、大阪府大阪市の場合を例にすると、府と大阪市の間にある広域行政権限や基礎行政権限の委譲を始めとして、二重行政などの過去の行政を問題として協議を行います。また大阪会議で決まった成長計画を実務面での政策の展開(条例など)やそれの府と大阪市における政策の進捗管理などを協議する場とします。

 また事務局としては、主幹事団体しては大阪府とし、広域事務局と言う名称で、この4組織を一元管理する事務局を設置します。一元管理するのは4組織の事務局を3自治体のそれぞれに置くような形にすると連絡や人員的な無駄をはじめとしたロスが大きいためです。広域事務局の予算としては、3自治体のそれぞれが大阪会議と二つの連携局の予算をそれぞれの形で広域事務局に入れます。広域事務局はこの4つの予算をそれぞれの組織の予算として別途で管理します。一つにまとめて丼勘定にはしないということです。人員の方は、大阪会議で協議をし、必要な人員を3自治体から出す形をとります。(大阪市堺市大阪府に出向という形ですね)

 

2.新大阪会議の実際の運営

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 新大阪会議の組織図です。大阪会議は3自治体の首長と27人の議員からなる27人委員会で構成されます。定例会は年四回。長期目標を定める会議なので、年四回でも実際には多いかもしれません。大阪会議は大阪の長期戦略をまとめる場になります。大阪全体の広域行政に係るインフラ整備や行政の方向性、地域開発などを協議目的とします。大阪会議の進行としては、3首長が長期戦略などの議案を出し、それの協議を大阪会議にて行います。27人委員会はその議案に対し、別の会議を持ち、そこで3首長の協議状況やその結果に対して、議案に対する意見や各議会別の賛否表明を行います。首長側はその意見受け、大阪会議にて協議をより深めて議案をより良いものにしていきます。また27人委員会から議案提出を大阪会議に対して行えます。ただし、その議案提案の受け入れは3首長の合意を条件とします。

 大阪会議における部局開設は首長の専管事項とします。(現行の大阪会議においてはこの辺も有耶無耶です。私は今回の大量の都構想反対派団体から大阪会議の部局へ「有識者枠」で大量に入り込むんだろうなと思ってます。平松市政の時もなぁ・・・。大量の部局を抱え込む大阪会議は見たくないのでこの予想は外れて欲しいとこです。)大阪会議で採用された議案に対して部局を開き、より専門性の高い協議を行います。この部局は、首長を部局長としておき、部局員として27人委員会から各会派別ごとに二名までを代表者として参加を認めます。人数の多い会派は不利という見方もできますが、あくまで協議体として合意形成を目指すので問題はありません。議決を採るわけではないということですね。意見をより多くの会派から広く出してもらう、会議のより良い進行という側面からも人数は絞らざるを得ません。部局を開く時機は部会長と委員の協議で決めます。

  

3.大阪市大阪府連携局の実際の運営

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 例として、大阪市大阪府間の連携局(以下連携局)について説明をします。

 基本構造は大阪会議と同じです。連携局は府知事と大阪市市長と大阪府議会および大阪市議会の18人の議員からなる18人委員会で構成されます。定例会は年6回~8回。短期・中期目標を定める会議なので、年6回~8回以上は必要だと思います。連携局では大阪府と大阪に横たわる広域行政の問題について協議を行います。具体的には両自治体の二重行政やその広域・基礎行政権限の双方への移譲が議題になります。また大阪会議ので協議結果を受け、その戦略目標を果たすための政策の立案と実行について協議を行います。連携局の進行としては、2首長が議案を出し、それの協議を連携局にて行います。18人委員会はその議案に対し、別の会議を持ち、そこで2首長の協議状況やその結果に対して、議案に対する意見や各議会別の賛否表明を行います。首長側はその意見受け、協議結果をより深めて議案をより良いものにしていきます。また18人委員会から議案提出を連携局に対して行えます。ただし、その議案提案の受け入れは2首長の合意を条件とします。

 連携局における部局開設は首長の専管事項とします。連携局で採用された議案に対して部局を開き、より専門性の高い協議を行います。この部局は、委員を部局長としておき、部局員として18人委員会から各会派別ごとに二名までを代表者として参加を認めます。部局を開く時機は部会長と委員の協議で決めます。部局長を委員にしているのは、議員の部局長を認めているからです。これにより、議員の政策立案能力が上がり、議員提案の条例数が増えることを期待しています。但し、部局長の任命は首長の権限とします。でも議案提案者が部局長になる慣習は作りたいとこですね。

  

4.新大阪会議制度の総括

 

 この新大阪会議体制の目的は、3自治体の首長の合意です。27人、18人委員会はその協議を監視し、意見を出すことを目的とします。また議案の提出も行えます。今の議会と同じ役割ですね。また4組織の部会もそれぞれの組織の性質に従い、部会を開きます。この部会にて、委員も参加してより専門性を高めた協議を行い、議案を纏めます。現行大阪会議とは違う点は、会議体と過半数の賛成をもって可決ではなく、協議体として議案への賛意を各首長及び委員会において求めていく点にあります。

 現行大阪会議の欺瞞は会議体という形をとっているにも係らず、その決定に何ら法的拘束性がない点です。法的な拘束性を大阪会議に持たすと明確に違法性を持ちますからね。会議で延々協議をし、決定したことを会議参加者に対して拘束できない会議なんて意味がありません。今回の新大阪会議体制では、決定はしません。関係者の合意を目指すために協議を重ねます。決定はあくまで、3自治体の議会に委ねています。現行大阪会議もそうだと反対派の方は言いそうです。しかし、修正案以降の大阪会議にしても法的拘束性は持たないが、努力や尊重義務といった明文化できない非常にふわっとした決定権限があります。これらによる3自治体への大阪会議の決定の拘束は逆に何も決めないことよりやっかりです。新大阪会議は、議案によっては審議時間も長くなるでしょうし、時間がかかるという批判も出ます。(現行大阪会議よりは確実に早く物事は「決まって」いくでしょうけども)でもそれは都構想否決により住民が「ゆっくりとした改革」を選択したということですからね。

  というわけで以上のような形の新大阪会議体制はどうでしょうか?国が決めた「調整会議」も「大阪市大阪府連携局」「堺市大阪府連携局」がそのまま当てはまります。また大阪自民の言い回しではないですが「全国に先駆けて」政令指定同士の連絡調整用の協議体「大阪市堺市連携局」を持つのも大阪の新進の気風を表して、いいと思います。

 

大阪自民への愚痴

  何度も私は大阪会議は出来そこないということを書いています。但し、これを考えた大阪自民がボンクラだと言ってるわけではありません。単純に大阪府大阪市堺市の3つの大阪自民議員団が集まって協議をしたらボンクラ案に落ち着いたということです。おそらく真面目な大阪自民の議員もいるでしょう。しかしそういった方たちが大阪会議条例案の協議の場で、建設的な意見を出しても反対されて採用されない。そんな状況なんでしょうね。でないとこれだけボンクラな条例案ができるはずがありません。素人の私が見ても穴だらけですもの。事務局も問題になっていますが、3自治体のどこが主幹事になるか一つも大阪自民は決めれないんです。主幹事になった議員団がイニシアチブを握ると思うから大阪府以外の議員団が反対するんでしょう。結果だけを見て適当なことを言ってますが、政治家というのは結果だけを評価されるものです。大阪自民は大阪会議の前に「大阪自民会議」を作って大阪の問題を協議した方がいいと思います。少なくとも「二重行政」に対する見解は大阪自民で統一見解を言えるようにやはり大阪自民会議が必要でしょうね。会派という地方議会独特の制度も問題なんでしょうけども。これも改革の必要があるでしょうね。

 条例を出す以上、そして今回の大阪会議のような制度変更の場合は、条例案以外にも大阪自民案による規約やある程度の制度設計は必要だと思います。それはやはり、市長側執行機関(役所)の仕事ではなく、条例提案者である大阪自民の責任であり、仕事です。例えば、幹事(大阪自民)が「旅行に行こう」(大阪会議)と提案をして、参加者の同意(議会の可決)を得ました。で、参加者が幹事に「どこ行くの?」 (条例の制度内容)と聞いたら、幹事が「参加者が決めろ」おかしいでしょ?こんなの。そりゃ、幹事にお金を出せ(役所が考えるような制度設計や事務局の人員配置案など)と参加者が言えば無茶です。でも旅行でどこにいくのか?(大阪会議での年間議案数や規模)予算はいくら(事務局の人数規模)などは幹事の仕事です。なぜ大阪自民がこういった事を出さないかというと、3つの大阪自民議員団でもめるからであり、もめることが予想されるために協議の場では出さないんです。その結果、政敵である維新に対する条例案の丸投げというわけです。端的に言っても恥をかきたくないから出さないというだけですね。バカに見られようとも不完全な規約案や運用案を出して批判を受けたくないということでもあります。本当に有権者のポーズの為だけに、大阪会議は成立するのが悲しいですね。今回、大阪会議が可決されたことで一番、衝撃を受けたのが大阪自民だろうと思うと本当に馬鹿らしくなります。今回の大阪会議のスピード可決を受けて、大阪自民は年内に総合区案を出さないでしょう。御蔵入りするかもしれませんけど。

 

 最後に、大阪市議会で府市連携局が否決され、大阪府議会での同条例案は撤回されました。府市統合本部への見解で、花谷議員は次のように言っています。

 

youtu.be

(48:30~)

質問:浅田 均(維新)「 府市統合本部について果たした(大阪府への)役割について、花谷議員個人はどう評価されていますか?」

花谷議員「府市統合本部で同じ方向を向いている首長同士がいまある制度の中で出来る範囲で前へ前へと進めようとしていたことは評価。仕上った処方箋ができている。(議案の決定がなされている)中で我々議員がその中(府市統合本部)に途中から入っていっても何もその処方箋を変えれない」

 

 花谷議員の回答はこちらで纏めています。府市統合本部への議員参加は維新側から呼びかけられてたのですが、議員側は拒否をしていました。そのことについての質問だったわけですがひどい回答ですね。「仕上った処方箋」というのは府市統合本部で議案がもう仕上っているということ指します。例えそうであっても参加しないというのはあり得ません。では大阪会議で新たに委員が入れば、それまで協議してた内容は全て捨てるのか?ということになります。そんな訳はないでしょう?仮に決定されていたとしてもそれをひっくり返す政治力がないということの自白でしかありません。府市統合本部が議員が入って不利なのであれば、議員が府市統合本部に入る条件として、議員有利なように府市統合本部の規約変更を求めればいいだけです。そういった事もせずにただ議論に入らず、外野から批判のみをしていた大阪自民の姿勢を私は否定します。

 私自身は、大阪都構想の否決に並んで、府市連携局の否決は頭に来ています。これはある意味、橋下徹が大阪でやってきた改革の否定です。府市連携局は府市統合本部の後継組織です。これを作ろうとした目的は、大阪の改革であり、その成果は都構想を始めとした大阪の改革によって現われました。今回、府市連携局を条例によって定めようとしたのは、府市統合本部は府と市の首長同士の合意できた組織です。よって、後継の首長が府市統合本部を廃止と決めたら廃止になります。しかし条例で府市連携局を定めてしまえば、後継首長の意向は関係なくなります。

 府市統合本部の意味を評価しつつ、否決した大阪自民をはじめとした野党側の姿勢に対し、私はそれを忘れることはありませんし、許されることでありません。今後の大阪会議の進行については注視していきます。