粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大阪会議の命運は維新に委ねられた!!<その4 事務局について>

 大阪会議の四回目になります。

 6月11日に府本会議で大阪会議条例案が可決されましたが、同日に行われた総務常任員会における大阪会議条例案への質疑応答がありました。そこでの大阪自民の花谷議員の回答について、ちょっと思うことがあったので書いてみたいと思います。ここで大きく取り上げられたのは、大阪会議条例案可決後に大阪会議がスタートするまでの準備をどう進めるかです。

1.大阪会議開催までのスケジュール 

2.府市連携局の否決により、大阪会議の事務局をどうするか?

 府議である花谷議員の私的な見解ですが、大阪会議の前身である大阪広域戦略協議会を進めてきた経緯や趣旨説明など提案者でもあられるので、まあ、回答された形で大阪会議は進んでいくんだと思います?よって以上の2点の回答について注目し、話を進めていきたいと思います。

 

youtu.be

上記は6月11日の総務常任委員会の動画になります。以降の文中のタイム指示はこの動画の時間を指します。

 

1.大阪会議開催までのスケジュール(5:45~)

 

 6月末 堺議会にて大阪会議条例案可決予定

 7月  大阪府大阪市堺市(以下、3自治体)の3首長及び3議会の議長が集まって要綱や開催時期について協議を行う

 8月  大阪会議第1回招集 臨時会を数回開いて要綱などを定める

 9月  大阪会議 本格運用

 

 6月末の堺議会での大阪会議条例案の議決を受け、7月中に3自治体の首長及び議長が集まって、大阪会議の要綱(ないし規則、もしくはその両方のMIX 47:20~)を作ります。8月には第一回の大阪会議を開き、臨時会を数回開いて、要綱など運用方法を決定して、9月からの本格運用を目指すということです。突っ込みどころ満載ですが、後に譲ります。特に3自治体の集合について。

 

2.府市連携局の否決により、大阪会議の事務局をどうするか?

  

 大阪会議の事務局の運営を担う予定だった府市連携局が否決され、大阪会議の事務局をどうするのかが注目されたわけですが、 

(動画18:15~)

 質問「大阪会議の事務局のイメージを教えてください」

 花谷議員「それを考えて頂くのが執行機関(知事)だと思っております」

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  いや本当に、何を言ってるのかと。条例には事務局設立の規定は何もありません。

 (事務局の共同設置)

第12条

本市は、大阪府及び堺市と協議の上、大阪会議の事務局を共同で設置するもの とする。

 

  事務局の共同設置の規定は大阪会議条例案に上の条文として確かにあります。でもね、これは何の規定にもなってないんですよ。スケジュールの方にある大阪府大阪市堺市のどれが主幹事になって、進めていくのか、そもそも最初の集まりは3つの自治体の誰が誰を呼び、どこに集めるのか?集めて何を決めるのか?これらも全く規定されていません。これを指して、執行機関である知事や市長にやれと言われても何をするの?どうやるの?という話です。言ってしまえば、全くの白紙の状態で大阪会議の制度設計を首長に委任すると言ってるのも同義です。提案者がそれでいいわけがありません。普通に考えて、提案者なら大阪自民案として、会議の立ち上げ方法や大阪会議の要綱案を作っておくのが筋ですし、条例を作るのならそういったものも当然作っているはずです。逆にそういったものすら作ってなかったのなら、条例案をどうやって作ったのかを知りたいです。

 橋下市長が大阪自民を指して「組織を動かしたことがない人たちは、事務局の意味を分かっていない」と仰ってましたが、まさにその通りで、組織どころか条例案を制定したことがあるのか?という疑問すら出てきます。18:15~の動画部分で花谷議員が質問者に対し「条例文の読み方知らんのか」と言ってますが、私は逆に「条例を作ったことがあんのか?」と聞きたいです。私は行政の「ぎ」の字も知らないずぶの素人ですが、おかしいと指摘できますよ、これ。

 (動画22:28~)

 この部分で、花谷議員は質問者に特別区設置協定書が作られた協議会(大阪にふさわしい大都市制度推進協議会)およびそれを受け継いで作られた法定協と同じ形で立ち上げればいいと仰っています。しかし同じ形では立ち上がりません。なぜなら、その二つの協議会の立ち上げの根拠は条例及び法律で規定され、それに則って準備・立ち上げが行われ、予算が決められ、組織として発足したのです。ではそれを一つづつ確認していきます。まず、大阪にふさわしい大都市制度推進協議会条例案の立ち上げ方法の部分を見てみます。

 

 (協議会の規約)

第七条

知事は、協議会の設置及び運営に関し必要な事項を定めた規約(以下「協 議会規約」という。)を大阪市長と協議して定める。

2協議会規約には、次に掲げる事項につき規定を設けるものとする。

一 協議会を設ける地方公共団体

二 協議会の会議の運営に関する事項

三 協議会の経費の支弁の方法

四 前三号に掲げるもののほか、協議会に関し必要な事項

 

 上記のように条例の中で、協議会の規約は知事と市長で協議して規約を作ると決まっています。大阪会議条例にはそういった規定はありません。完全に不備です。ではその決まった規約を見てみましょう。

大阪にふさわしい大都市制度推進協議会規約

 ここで 第11条で事務局や他の条文でも府と市の費用などについての規定があります。この規約を元に役人を動かし、協議会は運営されていきました。次に法定協を見てみましょう。これは、ふさわしい~協議会とは違い、条例ではなく、法律を根拠としています。法定協議会ですからね。法定協の規約を見てみます。

大阪府・大阪市特別区設置協議会規約

(設置) 第1条 大阪府及び大阪市は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の2 第1項及び大都市地域における特別区の設置に関する法律(平成24年法律第 80号。以下「法」という。)第4条第1項の規定に基づき、同項に規定する特 別区設置協議会を置く。

 

地方自治法第252条は協議会の設置に関する法律、都市地域における特別区の設置に関する法律(以下大都市法)第4条第1項の二つが法定協成立の法的根拠になり、これに沿って規約が作られ、法定協は発足しました。

 

第四条  特別区の設置を申請しようとする関係市町村及び関係道府県は、地方自治法第二百五十二条の二の二第一項 の規定により、特別区の設置に関する協定書(以下「特別区設置協定書」という。)の作成その他特別区の設置に関する協議を行う協議会(以下「特別区設置協議会」という。)を置くものとする。

 

 上記のように特別区を設置する意思を持つ地方自治体は、特別区設置協定書作成のための協議会を置くものとするというのが設置根拠になります。

  両協議会が設置された根拠と同様の趣旨の規定がある条文は、大阪会議条例にはどこにもありません。よって、花谷議員が言ってることは無茶苦茶です。委員会で指摘されていることは真っ当であり、本当にこの条例でどうやって大阪会議が作られるのか皆目、見当がつきません。大阪自民が言ってる知事部局が作らなければいけないとか、役人に回答させていたことは、ある意味「空気を読め」と言ってるのと同義であり、立法者である議員が言っていいことではありません。そういったことのないように条例や法律は作られるもので、それがない大阪会議条例は不備があると言われても当然です。あと動画中の役人の回答って、条文を読んだら3自治体で共同でやらないといけないと書いてあるね、ぐらいの意味しかありません。実際にやるとしても、役人の方でも白紙ですよ、こんなの。

 仮に役人に全権委任で大阪会議の事務局を作らせたらすさまじい規模の事務局を作りますよ。当たり前で、大阪会議の(協議事項)第4条は、ほぼすべての大阪の問題を列挙してあると言っていいです。あれを杓子定規に捉えたら、それこそ3自治体の役人全員を事務局にぶち込んでもまだ足りなくなります。まあそこも「空気読め」って事なのかも知れませんけどね。

 ちなみに今回、否決された府市連携局の条例案を見てみましょう。

 

大阪府市連携局の共同設置に関する協議について」条例案

(設 置)

第1条

大阪府及び大阪市(以下「府 市」という。)は、地方自治法(昭和22年法律 第67号)第252条の7第1項の規定により、共同して、同法第158条第1項に規定する内部組織を設置する。

  

地自法

(機関等の共同設置)
第二百五十二条の七  

普通地方公共団体は、協議により規約を定め、共同して、第百三十八条第一項若しくは第二項に規定する事務局若しくはその内部組織(次項及び第二百五十二条の十三において「議会事務局」という。)、第百三十八条の四第一項に規定する委員会若しくは委員、同条第三項に規定する附属機関、第百五十六条第一項に規定する行政機関、第百五十八条第一項に規定する内部組織、委員会若しくは委員の事務局若しくはその内部組織(次項及び第二百五十二条の十三において「委員会事務局」という。)、普通地方公共団体の議会、長、委員会若しくは委員の事務を補助する職員又は第百七十四条第一項に規定する専門委員を置くことができる。ただし、政令で定める委員会については、この限りでない。

 第百五十八条  

普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務については、条例で定めるものとする。

 

 府市連携局の立ち上げ方法は、条文第一条に規定されている二つの地自法により法的根拠を求めてます。この場合でいえば、知事と市長が協議して規約を作り、内部組織を共同設置して府市で立ち上げ・運用しなさいということですね。

 

 いやこれ本当に立ち上がるの、大阪会議?7月中に。3自治体の首長と議長の誰が声がけをするのか、だけでも規定してあれば別なんだけどそれもないし。条文通りだと三すくみになるんですよね、これ。下手に最初に動いたら行政訴訟もあるかもしれない。

 せめてあの条文に、

(事務局の共同設置)

第12条

本市は、大阪府及び堺市と協議の上、大阪会議の事務局を共同で設置するもの とする。なお、大阪府を主幹事とする。

 

 赤字を条文に追加しました。この一文を入れておけば、大阪府が主体になって決めていかないといけないと、なるんですがそれもない。入れておけば、最低限、予算を出す法的な根拠になりますしね。(52:54~)に花谷議員が、事務局の主幹事は大阪府がいい、と言ってますが、それなら条文に入れておけばよかったのになと思います。結局、大阪自民の大阪市堺市大阪府各議員団の間で揉めて、幹事団体をどこにするかも決められなかったんだと、邪推されますよ。その結果、首長に丸投げになったのかなと。

  あと気になるのが、

 

 大阪府 ・・・ 松井知事(維新)、大阪府議会議長 今井(維新)  

 大阪市 ・・・ 橋下市長(維新)、大阪市会議長 東(維新

 堺市  ・・・ 竹山市長(  )、堺市議会議長 水ノ上(維新

 

 7月中にこの6人が集まって、大阪会議の要綱やら規則やらを決めるんですよね? 堺市長以外は維新しかいないんですがw 

大阪会議の命運は、維新に委ねられた!

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 大阪会議が機能しなかったら、「維新が大阪会議の制度を作ったからだー」とか、大阪自民は言いそうだなぁ。少なくともこれ七月中に要綱ないし規則でも纏めるのは不可能だと思いますよ。二つの自治体間でも取りまとめようと思っても難しいのに、三自治体で共同設置ですからね。おまけに自民の言う通りなら、全国に先駆けた組織だから前例もない。で、設置が遅れたら「維新が遅々として大阪会議の事務局設置を進めない。どうなってるのか?」とかも大阪自民は言いそうやね。事務局を作るにしても、どういった議案を取り扱い、どのくらいの数を議案に挙げるのか、その議案をどう審議していくのか、それすらわからない現状で、どうやって組織を作るのか。部局の規模や数もわからない。とりあえず、大阪自民は早急に「事務局案」を出すべきだよ。こんなの見積もりようもない。全くそういうのがわからないとか未定なら未定でいいからある程度のものを出さないと、首長側もこんなのやりようがない。例えば、9月とその次の会議までで、議案を整理して、来年以降本格運用、その間に事務局整備を進めるとかじゃないといきなり議案出して、ハイ、議案50個採用、何だ事務局の整備できてないじゃないか!とか、そんな対応なんてできるわけがない。最初から50個の議案を採用して検討していく、っていうスタンスを大阪自民が示しているのなら別だけど。

 というか、都構想に反対していた人たちはいいの?都構想という伏魔殿制度を作った維新がこのままだと、大阪会議の制度設計をするんだけど^^;

 

 大阪自民がつき、維新がこねし、毒まんじゅう、座して食らうは大阪府

 

ってとこでしょうか。。。

 まあ一番心配しているのは、大阪会議が立ち上がった後に法務省なり、総務省から法的な不備を指摘されることだけどね。実際、ありそうなんだよなぁ。なんで、大阪自民は条例案を総務省にチェックを懸けないんだろう?まあこの認識は、前に廃案になったときにそういう質問があって、それ以降、大阪自民がやったというのを聞いてないから書いてるんだけど。質疑でもいろんな点がグレーなのを指摘されてるのになぁ。大阪自民が大阪会議を全国に先駆けた制度と胸を張るのはいいんだけど、先駆けるということは未知の分野なんだから、慎重に事を進めるのが本当だと思うんだけどね。

 

 最後に、花谷議員が話の流れとはいえ、三回(14:31,16:09,19:46)も、条例案に不備があると思うのなら知事は再議権を行使したらいい、と言ってたのが信じられません。条例の提案者にとって首長に再議権を使われるのって、噴飯ものだと思うんですけどね。再審のハードルも上がるし、提案者にとっていいことは何もない。本当に提案している条例を通したいのなら、絶対に言えない言葉だと思うんですけどね。

 

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