粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大阪自民党の二枚舌 

 今回は大阪自民党大阪市議団と大阪府議団での特別区財源の説明に関してのおかしさについて書いてみたいと思います。まずは大阪市議団からいってみます。

 

JIMINSIMIN-26 | 自由民主党 大阪市会議員団

 上のは自由民主党の市政報告ビラなんですが、まあひどい内容です。どこの共産党やねんというか共産党でも書かんよなぁって感じです。地下鉄やら統合案件やら。まあその辺は別の機会に書くとして、今回書くのは次の部分です。

 

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(大阪市と特別区の自主財源を比べる | 自由民主党 大阪市会議員団

 なーんと特別区になると自主財源が1/4になるそうですよ、大阪自民の言うには。総額でも2000億円減るってとこですか、ってアホかい。これは大阪都東京の特別区の財源調整の仕組みが違うからですよ。大阪での4つの特別区での財源調整の問題は4区間の税収にばらつきが大きいためです。

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資料2-6 特別区素案(各論)5.財政調整 第3回大都市制度(特別区設置)協議会

 特別区間の財源調整をする上で各特別区税収のばらつきの少ないものはそれぞれの特別区に予め入れ、ばらつきの多い税は大阪府で纏める。で、大阪府特別区で財政調整の協議をして、それぞれの特別区に人口などをいろいろ勘案した上で、配分するんです。それだけの話なんです。大阪自民のビラには「特別区の住民が支払う税金の多くは、調整財源として大阪府に吸い上げられるが、大阪府の財政状況は極めて厳しいことから特別区に戻ってくる保証はない」なんて書いてますが。あのね、この財政調整は大阪府特別会計で処理をされるんです。大阪自民の議員さん方は一般会計と特別会計の違いも分かってないんでしょうか?特別会計で処理される以上、大阪府大阪府の一般会計に組み入れて、特別区の財政調整のお金を使うことはできないんです。滅茶苦茶ですよ、大阪自民の言うことは。と書いたら嘘は書いてないとか言うんでしょう。でも「1/4に激減」とかね。これは読む人間に明らかにミスリードを誘ってるでしょう。建設的な批判なら大歓迎なんですが、こういうのは嘘なんですよ、本当。

 でね、この特別区移行に伴うそういった財源のシステムは、日本政府に大阪市から特別区設置協定書という形で総務省に提出をします。そこで総務省大臣及び政府がOKを出したら、特別区設置住民投票大阪市は行えるわけです。政府も出てきた特別区設置協定書を右から左にハンコを押して終わりというわけではなく、内容は精査をしています。実際、政府である関係省庁と大阪府・市間で相当に質疑や意見のやり取りを繰り返して、最終的に政府はOKを前回も出しています。大阪自民の言うように不当、不法に大阪府が財源を吸い上げたり、特別区が立ちいかないような財源しか割り当てないのなら、政府はそもそもで認可を出しません。しかもその政府を担っているのは安倍自民ですよ?だから大阪自民の言うことは政府である安倍自民政権は信用できない、と言ってるのと同じです。大阪の自民党は政権与党に属していると思ってるのですが、違うのでしょうか?

 

 次に大阪府議団の方ですが、2017年の6月5日(月) に自由民主党大阪政経懇談会にて「おおさか政令市プラン ~大阪の新しい大都市制度~」の政策発表が行われています。

www.osaka-jimin.jp

 これについてちょっと書いてみたいと思います。と言ってもおおさか政令市プラン(以下政令市プラン)についてうだうだ書く気はありません。まあちょっと触れますけどもね。この政令市プランは自由民主党大阪政経懇談会にて自民党大阪府連の政務調査会長代理(当時~18/9/24時点)の大阪府議会議員のみつぎ議員が発表を行いました。まず、この自由民主党大阪政経懇談会(以下懇談会)とは何かですが、この懇談会は自由民主党大阪府連主催のもので自民党の国会議員や公明、自民党党員を集めての自民党大阪府連の政策発表等を行う場ですね。当日は二階俊博幹事長が挨拶をされています。過去には石破さんとか大臣クラスも多く来られてます。自民党の国会議員と地方議員の懇談の場って感じですかね。

 政令市プランの方ですが、簡単に行きます。私にとって魅力ないし。纏めると現状の政令市である大阪市堺市以外の市町村はそれが持つ権限以外のところは大阪府庁に要望せざるを得ない。だから府庁の権限と財源を市町村に移行する。その為には各市町村は政令市並みの権限と財源を持つべきだ。その中で、府下の41市町村は41に分割されたままではなくある程度纏めていく。その為に広域連携や合併を使って政令市になるなど方法はある。そのうえで最終的には大阪府庁は発展的解消をしましょうってとこです。

 

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 これは資料からですが、政令プランのイメージになります。大阪市堺市と6つの政令市で8つの政令市にしましょうって感じなんですかね。そして大阪府庁は解消して無くすと。私の個人的な感想ですが、これは成り立ちません。なぜかというと中核市規模の自治体が集まっても広域行政は行えないんですよ。それは堺市が証明をしています。堺市を見てて思うのですが、既存の市町村が広域行政を行える権限と財源を得ても、広域行政の経験、知見が足りず、広域行政の計画を立ててもそれは基礎行政が行える都市計画の範疇から出れないんですよね。単純に言うとそういう発想・戦略がそもそもで役所にない。そもそもそういうことをする役所じゃないですからその機能自体がない。しかし予算はあるので、広域行政っぽいことはしてみるわけですが、結果が出ない。それは広域行政における都市計画というものの戦略を立てることが出来ず、今まで何十年もやってきた基礎行政体としての都市計画を延長したものから一歩も出れないからなんですよね。政令市は多くありますが結局、本当の意味での広域行政における都市計画を作れる力量を持つ政令市というのはいくつあるんだろう?と思ってます。大阪府を解消して、その人員を各政令市に配分しても結局、現在の大阪府の企画能力は失われます。一定の規模がなければ企画というものは組織として機能しえません。それはどんな仕事でもそうです。大阪府庁の広域行政を企画する部署の人数を政令市の数で割れば、その力は割った数よりも弱くなるのは自明です。

 またこの発表の中でみつぎ議員も以下に仰ってます。

政令市である大阪市堺市以外の市町村は、住民生活の向上に資するあらゆる点において大阪府にお願い、要望せざるを得ないという実情があります。一方、要望を受ける大阪府の側にも、限りある財源の中、多くの市町村から要望を受けても全てを実現できないという実情があります。」(P6)

 府下市町村から要望を受けても府はそのすべてを実現できません。財源には限りがありますから。これはその通り。だから仮に府下の市町村にその限られた財源を分けていっても、その限られた財源が細分化され、より実行する力は弱くなるだけです。結局、なにもできなくなります。力、お金といってもいいですが、一定の額がないと弱くなるもんです。また大阪府をなくし、各市町村に広域行政権限を割り振れば、それぞれの地域のみに絞った広域行政にしか成りえず、広域行政が本来持つ機能が失われます。「広域」なんですからね。それは現行の大阪府全域を指します。それを差配してるのが大阪府庁なわけですがそれをなくしてじゃあ、どこがその広域行政で政令市間で重なる部分を調整するんでしょうね?まさか大阪会議っていうわけじゃないだろうし。国に調整でもしてもらうんですかね?国からは大阪府庁をもっかい作れとか言われそうですが。みつぎ議員は話の最後に「党本部からも力強い後押しを貰えるように、さらにこのプランをバージョンアップさせてまいりたい」って言ってるんだけど、いつするんだろう?さっぱりこの後の話を聞かないんやけども。

 

 話の本題に入ります。みつぎ議員がこの時の話で以下のことを仰っています。

「ところで、今の大阪府は市町村からの、先ほどごらんをいただいたこの図ですが、要望をかなえずに何をやっているのか。それは御堂筋イルミネーション、オータムパーティー、うめきた再開発、天王寺動物園のナイトZOO、てんしば、大阪市営地下鉄の株式会社化、天保山客船ターミナル、万博、IR、カジノ、大阪市内の話ばかりであります。大阪府はこれまで、ここ数年、大阪市内に税を集中投下していると思います。そうしておいて、松井知事は、「僕と吉村市長で同じ方向を向いているからできるんですよ」とおっしゃいます。大阪府が本来果たすべき役割を果たしていないのではないかと私は考えています。本来はこういった要望に大阪府の財源を回すべきなのに、大阪市内に今集中投下をしているのが現状だと思います。」(P.11~12)

 

 

 なんと大阪府大阪市内に税を集中投下してるんだそうです。いやあ、そうなんだ。びっくりですね。それも府下の市町村に回すべき財源を大阪市内に。いやあ、維新はオソロシイ。

 

 君ら大阪都が出来たら大阪市の広域財源2000億が府に奪われるって言ってたんじゃないの?

 

 大阪市議団も自主財源がそんだけ減るって市政報告のビラに書いとるわけだし。この理屈だと、都構想が成立して大阪都になったとしても、大阪都大阪市内、その場合は特別区になるけど集中投下するってことだぜ?減らんやん。いやいや、君ら大阪自民、大概にせんとあかんよ。自民党の国会議員を前にしたら、「大阪府の金が大阪市に使われている」って言って、大阪市民の前では「大阪市の金が大阪府に奪われる」って言ってんだよ?「維新は自分たちの選挙のために府の金を大阪市に使って有利に選挙を運んでる。なんとかしてよー、国会議員さん方」ってとこなんですかね?話をする人間が変われば話を変えるのはやめーや。みつぎ議員はこの話中で「思います」とか「私は考えています」とか言って、個人の考えのように言ってるからセーフって事なのかい?いやいやそうはならんで。あのな、府連が主催する懇談会でその政調会長の代理が、府連の政策の発表という話の中でしゃべってるんだから府連の考えだよ。ほんまに無茶苦茶よ、これ。

 

 でね、大阪自民さんが今まで言ってたことと今回のことを合わせるとね。都構想が成立すると大阪市は2000億取られてそれはよそに使われるぐらいなんだから、今、使ってる府の財源も当然使われなくなるわな。そうすると、

 

都構想が成立したら、

なぜか大阪都大阪市に税の集中投下をやめて、

あまつさえ大阪市から大阪都に移る財源2000億も

大阪市に投下しなくなる

 

って事なんだけどさ。

 

 なんでなん?

 

 どういう理屈でそうなるのかわからないので教えてください、みつぎ議員はじめ大阪自民の議員さん方。真面目にわからんわw

 

ってな感じで今回はこれで終わりです。

 

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(33分43秒から 該当部分)