粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大都市制度(特別区設置)協議会 第12回概要 ~ 大阪自民動議2連発否決回 ~

大都市制度(特別区設置)協議会(以下協議会)の第1回(平成29年6月27日)から最終回までの各回の議事録及び資料を纏めていきたいと思います。

 今回は12回目(平成30年6月1日)、「(1)副首都・大阪にふさわしい大都市制度について(2)その他」になります。 議事は大都市制度について云々になってますが、11回での大阪自民の協議会廃止の動議についての採決の回になります。まあ即否決なわけですが。

第12回大都市制度(特別区設置)協議会

 

  自民会派から提出のあった大都市制度(特別区設置)協議会の廃止申入れに関する動議について採決が行われた回になります。協議会の進行はまず、各会派から動議に対する意見と態度の表明が行われました。まず維新の横山委員からになります。以下要約になります。

 

(横山委員)

① 動議の文中になる再編される大阪市の市長が万博の誘致活動することは自己矛盾との記載は、大阪市は、現在、広域行政を担っており、大阪市長大阪市域に在住する方のために、また将来の住民のためにも大阪の成長・発展を目的に誘致活動を行うことは至極当然

② そもそも、本動議が協議会において可決されたとして、府議会・市会の可決によって設置された法定協議会の進行には何ら影響を与えるものではない

府議会においては、平成26年10月1日付で大阪府議会会議規則が改正され、協議会への参加者が会派比率により自動的に割り当てられることとなった。これは、本動議を提出した会派(自民党)が中心となり改正に至った。議会の規則を改正し、当法定協議会への参加を自ら義務づけたにもかかわらず、その会議を廃止しようとする提出者こそ、完全なる自己矛盾を起こしている。

④法定協議会は協定書を作ることが目的の会議。動議が否決されたら、否決の結論を尊重し、協定書を作るために深い議論を法定協議会の場で行うこと、万一その職務を忠実に行わないのであれば、即刻委員の席を返上するものと解している。

⑤本動議について、反対である。

 

至極ごもっともですね。

 ①については当たり前で、仮に大阪市政令市ではなく、広域行政権限を持っていなくても万博においてホストになる市は大阪市です。だから、大阪市長が誘致活動を行うのは普通だと思いますよ。 ②については規約上、この動議が可決されても協議会廃止も何もないので、実質的に何の意味もない、パフォーマンスでしかないという事が暴露されてます。 ④については、後で書きます。

 ③についてはこれを書くと記事一本分ぐらい(では足りないかな)になるので簡単に纏めます。

  前回の住民投票の折に、特別区設置協議会の委員入れ替えがありましたが、あの時期に府議会で自民会派からそういう規則改正案が提出されました。内容は以下。

大阪府議会会議規則一部改正の件

平成26年9月定例会提出議案。提出日H26.9.25.。採決日H26.9..25.維新以外の賛成で原案可決)

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 この 大阪府議会会議規則 は現時点で以下のようなものになっています。

(議員の派遣等)

第百二十五条 法第百条第十三項の規定により議員を派遣しようとするときは、議会の議決でこれを決定する。ただし、緊急を要する場合は、議長において議員の派遣を決定することができる。

2 前項の規定により、議員の派遣を決定するに当たっては、派遣の目的、場所、期間その他必要な事項を明らかにしなければならない。

3 派遣する議員は、各会派の所属議員数の比率により、これを各会派に割り当てて選定する。

4 前項の規定は、議会以外の者が設置する機関の委員等として議員を推薦する場合について準用する。

 

3,4項がこの時の改正で付け加わったという事ですね。「法第百条第十三項」で、地方自治法100条の第13項になります。

13 議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができる。

 

 特別区設置協議会は「当該普通地方公共団体の事務に関する調査」に該当するのかな。この場合で言えば府議会規則の第百二十五条 の規定に従って議員は派遣される。その派遣の条件として、各会派の所属の議員数の比率を各会派に割り当てて人数を決める。で、議会以外のものが設置する機関の委員というのは大阪市長、知事が設置する特別区設置に4項の規定から準用して議員を委員に推薦するってことですね。

 で、まあ委員の入れ替えがあったのですが流れとしては大阪府・大阪市特別区設置協議会≪第14回協議会 議事録 平成26年7月3日≫から以下。

(浅田会長)

それでは、まず初めに、私のほうから前回の第13回協議会以降の経緯と経過を御説明申し上げます。まず、3月28日市長選を経て、橋下委員のほうから法定協議会の正常化の申し入れがありました。この申し入れを受けまして、法定協議会会長として調査して判断するという御返事をいたしました。その後、6月9日に私どもの調査の上、各会派代表者の方々に、「大阪府大阪市特別区設置協議会における協議内容に関する調査について」を送付させていただいております。そこで6月19日までに意見の文書回答を要請いたしております。その後、6月19日、各会派の代表者の皆さんから意見を聴取いたしております。維新代表者からは、委員選出の見直しに関する意見、これは文書で御提出いただいております。公明、自民、民主・みらい、共産の代表からは、代表者会議及び法定協議会の開催などを求める申し入れを受けております。これらを受けて6月24日に、府議会議長に協議会委員の推薦について再検討いただくよう、私のほうから要請させていただきました。続きまして6月25日に、市議会議長に協議会委員の推薦について、再検討を要請いたしました。これらを受けまして、6月27日、府議会の議会運営委員会で協議会委員の推薦の議論をしていただき、府議会議長のほうから協議会委員の交代を通知いただいております。それで、きょう7月3日、委員交代の上、本日、協議会の開催に至ったということでございます。御理解、御了解いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

という感じですね。この委員の入れ替えが平成26年7月の話で、同年9月の府議会で自民がこういう規則改正案を出してきたってことです。この辺の府議会の流れに興味のある方は以下をお読みください。

平成26年 9月 定例会本会議(1)-目次 府議会議事録

P8~10、221、226あたりになります。そういや、この時の府議会では動議が何回も出されてますが、全部即日というか出されてすぐに採決を取られています。なんで、自民は今回の協議会廃止動議の採決は後日で結構、みたいなことを言ったんでしょうね?

本当にフシギデス。

 

 で。その自民の花谷委員からの態度表明月になります。これも要約。

 

 

終わりです。

 

終わっても仕方ないんですが、書くことないもんなぁ。まあムリクリ纏めると以下。

 

①我々自民党は、法定協議会の日程を先延ばししたことも審議を妨害したこともありません。それどころか、私の個人的なことを申し上げますと、強引な法定協議会の日程を決められたことにより、日程調整が大変に難しい予定を二度もキャンセルをしてまで出席しています。

 

 お忙しいんですね。この後の二つ目の動議に絡むので入れておきます。

 

②また、知事・市長は、本動議が本協議会の議論の妨害や先延ばしであるかのような主張をされているようですが、最近の世論調査において、特別区の設置に反対の市民が多い中で、党利党略で住民投票を先送りし、議論の引き延ばしを図っているのは知事・市長の側です。前回の協議会でも、公明党さん、共産党さんの質疑を終えてから採決をしていただきたいと申し入れたところ、公明党さんも共産党さんもそれに了承する中、質疑を打ち切る動議を提出したのは吉村市長であり、公明党さんと共産党さんの質疑の機械を奪い、法定協議会の先延ばしを提案したのは市長です。自分たちのしたことを自民党のせいにするのは卑怯ですし、その知事・市長のコメントを垂れ流す報道姿勢も残念でなりません。

 

 一言で言うと、「予想していた報道と違う。なんでや?」ってとこなんですかね?

 

③最後に、吉村市長は、本協議会の廃止について、知事・市長でないと本協議会を廃止できないことから、今回我々が提出した動議が自民党のパフォーマンスにすぎないとおっしゃっているようですが、いま一度お手元の我々の動議をご確認ください。本動議は、「協議会での議論を打ち切ることについて採決をし、協議会の規約上『協議会を代表する』とされる会長から、知事・市長に協議会の廃止を行うよう申し入れる」ことを求める動議であり、知事・市長でないと本協議会廃止の提案をできないことは承知の上です。
この市長のパフォーマンスなる発言も、法定協議会での発言ではなく、終了後の一方的なコメントであるにもかかわらず、そのまま垂れ流す報道姿勢にも残念でなりません。

 

悔しいんですね。わかります。受け狙いのパフォーマンスをして、予想していた効果の逆になれば、それは残念なことです。2回も「残念」って仰るところからも相当に残念なんでしょう。わかりますよ、はい。一言で纏めると、「すべった」ってことですね。大阪の人間なら「すべる」というのは屈辱ですからね。それは本当に残念なことでしょうよ、大阪自民にしたら。

 

で、次に公明ですが要約すると以下。

 

①総合区、特別区、両制度についての議論が十分尽くされているとは言えない状況であり、引き続き議論を重ねていく必要がある。

②大都市制度改革も、非常に重要な課題であり、活発に議論していく必要があるが、まずは万博開催を確実なものとするために、そちらを優先的に取り組むことも必要。だと思います。知事・市長には、そういった柔軟な姿勢を持って取り組んで頂きたい。

 

賛成か反対かどっちだよw さすが公明。ここまで言ってもはっきり賛否を言わない。そして自民への配慮か、万博にも触れておくと。そつがないといっていいのかどうか^^;

最後に共産です。

 

これ以上議論を重ねても意味がありませんので、日本共産党自民党さんが出された動議に賛成いたします。

 

って所で、賛成の立ち位置です。共産としては「これ以上議論を重ねても意味がありません」と仰ってます。ということは、共産としては今後の協議会で発言する機会は必要ない。そして、前回の協議会で自民の花谷さんがおっしゃるように仮に維新が質問の時間を奪ったのだとしましょう。ても、これ以上、議論を重ねても意味がないまで仰ってるんですから、共産党さんはそもそもで前回の協議会でも質問・発言すること自体に意味を感じて居られないという事です。ですから、自民はそれに配慮する必要ないかと思います。

 

  ここから協議会は廃止申し入れの動議の採決に移りました。

 

(今井会長)
ありがとうございます。
それでは、これより大都市制度(特別区設置)協議会の廃止申入れに関する動議を起立により採決いたします。
本動議のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。


(賛成者起立)


(今井会長)
起立少数であります。よって、大都市制度(特別区設置)協議会の廃止申入れに関する
動議は否決されました。

 次回以降の日程等は、各会派代表者を通じ、改めてお知らせさせていただきますので、
よろしくお願いをいたします。
以上をもって本日の協議会は終了となりますが、何かご意見ございませんか。
花谷委員。

 

 というわけで否決されて、この動議に関しては終わりです。

 そして協議会が終わるその時!

 自民の花谷が動いた!

 

(花谷委員)
すみません、新たな動議を提出させていただきたいと思います。
ちょっと準備しておりますので、お手元に配付をお願いします。

 

 てな感じで花谷委員の方から「大都市制度(特別区設置)協議会の毎週開催を確認する動議」が出されました。

(花谷委員)
「お手元に配付させていただきました動議を朗読させていただきます。
大都市制度(特別区設置)協議会の毎週開催を確認する動議。
昨年6月に大都市制度(特別区設置)協議会が設置され、1年が経過しました。この、協議会は12回開催されましたが、協議会の開催日程は、毎回、知事・市長の日程を最優先にして決められ、私たち委員は、その日程にあわせて出席できるよう協力してきました。その結果、協議会は月に1回程度しか開催されていないのが実情です。
しかし、本日の協議会は、私たちが提出した動議の取扱いをめぐり知事・市長が即刻採決を求めたため、週に2回目という異例のスピードで開催されるに至ったことから、知事・市長の思いひとつで、本協議会の開催を週1回の頻度で開催していくことも不可能ではないことが明らかとなりました。」

 

協議会廃止の動議を君らが出したから、やで?動議という重みを議会人なら理解するから、ムリクリ予定を合わして開催して「やった」のに、この言い草。お礼の一つもいいなよ、本当に。知事・市長という職責の重さを舐めてんじゃないのかな、この人は。

 

「前回の大阪府大阪市特別区設置協議会では、特別区設置協定書の作成は、第17回協議会に行われていることを考えれば、今回もあと5回だけ協議会を開催すれば足りることになります。また前回は区割りの絞り込みを第14回に行い、のち3回で最終の採決を行っています。今回に置き換えれば、第8回に区割りを絞り込んでいますので、すでに最終の採決が行われていないといけないことになります。今後、本協議会を週1回のペースで開催することができれば、遅くとも今月中には審議を終結することが可能と考えます。」

 

 どういう理屈なんだろう。真面目に考えてるのかなぁ。

 

 まあそんな感じで、毎週、協議会を開いて、はよ採決しようやって言う動議ですね。あなた、最初の意見表明の時にクソ忙しいみたいな事を書いてなかったけ?ってまあもう忘れてるんだろうけども。

 で、あっさりこれも否決されて協議会は閉会しました。

 

 この一件の感想を書くとですね、本当に意味がない。最初の協議会廃止の動議をすぐに採決を求めなかった理由はひとつです。あの時に松井・吉村両氏がきっちり詰めて、今回の第12回の開催がなかった場合。その場合、第12回は一か月後ぐらいに開催になります。その間、大阪自民は協議会の廃止動議を出した、って騒ぐわけです。そしてそれを取り上げてね、マスコミさん。ってとこだったんでしょう。「協議会の廃止の動議が提出された」と新聞などに一行記事でも出ればOKって感じだったんでしょうね。「協議会で廃止の話が出てるのだから、都構想はもう終わりです」みたいなイメージを流布したかったんでしょうけども。だから今回の意見表明でもマスコミが残念残念と言ってたのもその辺があるんでしょう。二つ目の動議にしてもそうで、「毎週開催を維新に要求したのに維新は否決した。維新は都構想を進める気が本当はナイノダー」とかを市政報告会やなんかの選挙の時に言いたいだけなんです。

 私が大阪自民に想うことは、一つだけです。

 

 「君ら、居酒屋で深夜テンションで話してた事を政策や政治行動にしてない?」

 

ってことです。身内で居酒屋とかで飲んでてて「それおもろいな、やろうや」みたいなことを本当にやっちゃってるみたいな。大阪会議もそうだし、政令市プランもそうだし。今回の動議もそう。なんというか、「練られた」感がない。浅いです、本当。身内受けのノリしか感じないもの。私が自民の委員ならもう少しねちっこいやり方するけどね。書かんけど。維新が党利党略で住民投票を延期してるって花谷さんは仰ってます。仮にそうだったとしましょう。じゃあ今回の動議はどうなんだといえば、自民党の党利党略でしょう、これ。そうじゃないというのならこれがこの協議会にとって何の益があったのか。もっと言えば大阪にとって何の益があったのか説明できますか?って所なんですよ。何もない。今回の動議で協議会がどうなったかと言えば何もなく、議論は何一つ進まず、首長・議員、そして役所の有益な人間の時間を無駄に過ごした。それも大阪の舵取りをしている人たちのです。大阪に住む人間にとって何の益もない行動です、今回の動議は。大体で、動議を出してなぜ即、採決を求めず後日に回したのか?説明できますか?って所もあります。

 この動議の否決を受けて自民・共産は協議会での発言をする資格を失いました。だって、議論することはもう何もないから廃止の動議を出し、それに賛成をしたのだから。少なくとも協議会で賛成をした委員、自民・共産の議員にはその資格はありません。自分たちがそう言ってるんですから。だから共産自民(大阪自民っていうのも嫌になってきた)は最低限、自会派の別の人間と今の委員をそっくり入れ替えないといけません。それが出来ないのなら次回以降の協議会に参加してはいけませんよ。それが政治家の発言の重みというものです。そしてその重みがない人間は政治家ではないんです。自身の発言を覆すのであれば、次回の第13回ではそれに足る行動を自民・共産には期待したいですね。無理でしょうけど。

 

以上です。