築地市場の約740の水産仲卸業者でつくる「東京魚市場卸協同組合(以下東卸)」が、豊洲新市場に関する情報発信の為に「新市場ニュース」を発行しています。内容は2~4ページのチラシ的な感じですね。これは平成25年(2013)6月に第一号が発行され、平成28年の7月22日No32が発行されているようです。今回はこの新市場ニュースをNo21~34までを見ていき、気になったものをピックアップしてみたいと思います。資料的な回になります。
豊洲市場への移転延期に伴う支援策の拡充について|プレス発表|東京都中央卸売市場
上のは平成28年11月24日 に東京都が発表した築地の業界さん方への支援内容です。これを見るにどうみても上の従来からの支援の業界負担分を東京都が肩代わりしているだけに見えるんですよね。こういう事も重要ですが、本来はそれらを維持するための支援策が必要だと思うんですけども。営業補償とか、そういう点での本来の補償、賠償を東京都は負担すべきだと思います。
上のは平成29年度の東京都中央卸市場の予算要求額です。ここでは平成28年に36億9300万円の予算を支援損失補償として使っているのがみえます。
これは、平成29年度の卸売訴状の債務負担行為の一覧になっています。ここで問題にしたいのは、一つ目として「豊洲市場移転支援事業」の債務負担行為の減少です。平成28年度まではこの額は266億4600万円でした。これが32億1700万円と大きく減少をしています。なぜ減少をしているかというと、単純に「環境・省エネ設備補助事業など」「豊洲市場移転支援損失補償」に「付け替え」をしているからです。
3217+1904+12340=26,545(百万円)で、ほぼ平成28年度の「豊洲市場移転支援事業」の債務負担行為額とほぼ同額です。一億円ぐらい減ってますけどね。結局、現在の小池都政での補償スキームは本来、移転費用に使われるべき予算を補償に回しているだけで、本来の補償・賠償における問題解決には至っていないと私は考えています。別口の東京都の一般会計から本来は持ってくるべきですし、予算の付け替えをしているだけですから、その予算の執行には大きな性格の変更はできません。だから従来やってきた移転支援事業である事業者に対する利子補給の範囲を広げることぐらいしかできていません。本質的に何を補償するべきか?という観点自体が抜け落ちており、適当な処理をしているとしか現状は判断をできません。
以下は私の私見です。
上の表は東京都の中央卸売市場の予算額を私が纏めたものになっています。ここで見ていいただきたいのはまず青色の部分。これは会計別総括表と当初予算の中央卸売市場の分を纏めたものになります。当初予算では、平成21~28年合計で5002億円。会計別総括表では9018億円になっています。会計別総括表では、補正予算なども含まれているものです田と捉えているのですが、ここで4000億円も開きが出ているのはなぜなのか?という点が私は理解が出来ていません。どなたか詳しい方が要ればコメント、ツイッターなどにお願いします。
二番目の点としては黄色の部分、豊洲市場移転支援事業と豊洲市場移転支援事業損失補償事業の二つです。ここで予算のつけ川が行われていることが分かります。豊洲市場移転支援事業で平成28年度までに使われたのが90億8400万円。平成29年度には前記で説明した通り、51.2億、123.4億の債務負担行為が行われており、これらを足すと平成28年度の債務負担行為がく266.4億円とほぼ同額になることが分かります。
三番目の点としては緑色の部分tの市て36.93億円が予算化されています。小池さんの移転延期発表は8月の終わりでしたので、9~12月分の四か月分の予算で約37億円が必要と東京都が判断したので、この予算を付けているのだと捉えています。だとすると小池さんが言うように豊洲移転に一年以上の延期が必要とすると、単純に3倍が必要ですから111億円は平成29年度に入ることになります。だから債務負担行為で豊洲市場移転支援事業損失補償に123.4億円を東京都はつけているのだと思われます。
しかし単純に足すと150億以上は移転延期の費用として必要という事になりますね。現在の築地市場を維持するための工事費としても今年だけで8億以上を予算要求していますし。しかもこれは豊洲市場の業界さん(卸とかの)直接関係している人たちだけで、間接的なものは含みませんからね。千客万来施設とか100以上の飲食店が入るし、事業者本体に対する補償とかも相当な額になるでしょう。一年まるまる事業を東京都都合で停止するわけですから、確実に10億単位の補償が必要です。設計も止まるし、工事会社が決定しているかはわかりませんが、そういった話も止まる。一年延期分の営業補償も必要だろうし。これは言値に近い部分になるから相当になると思います。一年営業をする機会を損失したわけだし、これだけ風評被害を生んだんだから、それに対する営業補償も必要でしょう。事業継続を断念した場合でも相当に補償が必要でしょう。また豊洲市場を当て込んで、投資をした全国の農業・漁業関係者や、流通などもその保証範囲に入れていかざるを得ないでしょう。そうなると1000億円単位でその保証が済むのか?という点も懸念がされます。東京都は全国から裁判を起こされる事態になる可能性もありますからね。どう収拾を付けるつもりなんだろう、小池さんは?
新市場ニュースに戻ります。
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