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粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

東京都市場地下空間に関する調査特別チームの第二次自己検証報告書の検証 ~ 東京都の恣意的な犯人特定の手法と論理破綻 ~

小池都知事・豊洲新市場

 平成28年11月1日に東京都の豊洲市場地下空間に関する調査特別チームが、第二次自己検証報告書を発表しました。今回はこれの検証になります。私の結論としては、この自己検証報告書は誰が地下空間を設置を決めたのか?という結論への検証ではなく、単なる次の処分者を決めるための論拠にするためのものに過ぎないと判断をしています。その為に第一次自己検証報告書よりも質が悪いと捉えています。質が悪いというより性質(たち)が悪いです。この自己検証報告書を順次読み進めていく形式で今回は細かく検証をします。その中で、この検証報告書を書いた東京都の担当の人間の考えを露わにするのが狙いになります。

 

www.shijou.metro.tokyo.jp

豊洲市場地下空間に関する調査特別チーム 自己検証報告書ページ)

 

 まず、この検証報告書で今回で二回目の提出になります。この検証報告書は豊洲新市場における盛土がなされず、地下空間に置き換わったことに対する東京都の自己検証になります。東京都の考えとしては『いつ、どの時点で誰が「建物下に盛土をせず地下にモニタリング空間を設置する」ことを決定したのか』になります。この第一次検証報告書はその論拠の中で資料を恣意的に取り扱い、論旨を歪めた経緯があります。それは以下の記事で書きましたのでそちらをご覧ください。

 

pankoya.hatenablog.com

 

 第二次検証報告書の流れを追っていきたいと思います。まず最初に「Ⅰ 第一次報告書の自己検証まとめ」として第一次の整理をしています。第一次報告書では「平成22年11月から平成24年9月にかけての意思形成期間を経て、モニタリング空間を地下に設置することが段階的に固まっていき、最終的に実施設計完了を以て地下にモニタリング空間があり建物下に盛土を行わないことが確定した」と結論しています。ここで三人の視点を説明をしています。

 まず土木部長。建物下に盛土はないという認識だったので、議会答弁が事実と異なっている認識はなかったという立場です。

 次に建築担当部長。実施設計以降は建物下は地下空間という認識だったが、土木部長の議会答弁は土壌汚染対策の基本的な考えという認識だったので違和感はなかったという考えです。

 最後に歴代市場長は、地下空間と盛土に対する認識でばらつきはあるものの、議会答弁が事実と異なる認識はなかったという事です。

 

 これらをおさえて、東京都が主張することに対して反証をしていきます。検証報告書での以降は、東京都が三つの「犯人」を指しています。都知事、市場長、建築・土木担当部長です。

 

① 都知事に対する「犯人」特定

 

 「Ⅱ 新たな資料と証言に基づく検証結果」で、新資料と証言で検証を行っています。ここで「犯人」を特定してます。まず東京都の考えを追って、それに対しての反証をします。

 

 1.豊洲新市場整備方針の策定(平成21年2月6日)

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第二次検証証報告書 P5

 まずここで東京都が何を言いたいかというと、石原都知事決定の「豊洲新市場整備方針」(以下整備方針)で建物下に盛土が為される方針になったという事を言っています。まずこれが第1の東京都の主張です。

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1 豊洲新市場整備方針 (2.8MB)

 東京都はここで、平成21/2/3に技術会議での報告書が取りまとめられた。平成21/2/6 石原都知事決定の整備方針策定。整備方針で「技術会議から報告を受けた土壌汚染対策の具体的内容、経費及び工期をもって、都の土壌汚染対策とする」と明記され、内容は技術会議報告書の提言に等しいとしています。この市場整備方針=技術会議の提言 という主張です。これが第2の主張です。

 

 反証をします。これらの主張はおかしいんです。まず、この主張の前提になる「技術会議の提言内容(敷地全面A.P.+6.5,まで埋め戻し・盛土」。これが論理破綻をしています。結果を見れば明らかなように、建物下は盛土をされていません。よってこの整備方針はこの時点でも盛土をする予定ではなかったんです。この時点で結果から見れば、東京都の主張は事実破綻をしています。そしてなにより、整備方針・技術会議の提言共に「敷地全面」とは謳っていません。これが最大の間違いで、かつ恣意的な誘導です。

 問題はこの整備方針が纏められた東京都の会議で「建物下は盛土にする」という話が出ていたのか?という点です。問題になるのは、その会議で建物下の盛土をするという合意があったのかという点です。だからこの検証報告書の結論は、あくまでそれはこの検証報告書を書いた調査特別チームの私見でしかないんです。ここでの結論は議事録という物証で確証をしたのではありません。東京都の整備方針に技術会議の提言を都の土壌対策とする→技術会議の提言を読めば、建物下にも盛土をするという風にしか読めない。という調査特別チームの私見でしかありません。物証がないんです。これは③でも後述をしますが、証拠が必要なんです。技術会議の提言が建物下も盛土をするという認識であったという証拠が。そしてそれから整備方針を作った東京都の会議でそういう認識があったという証拠がいるんです。しかしそれらの提示は検証報告書にはありません。言ってしまえば、調査特別チームの心証であり、勘でしかないんです。

 

 ではより具体に資料を見て反証をしていきます。まずこの前提の整備方針をみます。

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1 豊洲新市場整備方針 (2.8MB)

次に技術会議の提言を見てましょう。

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( 技術会議報告書(全文) (118.9KB)P18

 同内容ですね。ここで注目したいのは砕石層設置の部分の「敷地全面にわたり」という部分です。砕石に関しては、敷地全面とはっきり明示をしています。しかし、埋め戻し・盛土に関しては記述はありません。なぜないかというと、敷地全面にする予定はなかったからです。ここで技術会議の前身にあたる専門家会議の提言の同様部分を見てみたいと思います。ここで液状化も図に含んでるのはこれも問題があり、これについては「まとめ」で最後に後述をします。ここでは書くのは液状化対策も敷地全体でやる予定はなく、少なくと土壌汚染対策としては建物下は液状化対策は行われていません。よって、液状化対策も「敷地全体」の文言がない、という事にここでは留めておきます。

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9.今後東京都がとるべき対策のあり方 9-5

 上のは専門家会議の提言から盛土に関する部分の抜粋です。これを見ると建物建設地の土壌、つまり建物下は盛土という事がはっきり明示をされています。よって今回の地下空間がうんたらの問題になったわけです。(環境アセスにも引っ掛かる部分です)専門家会議は技術会議の前身であり、その流れを汲む技術会議での提言=整備方針であるのなら、確かに東京都の主張は正しいと読むことも可能です。しかし、同じ表現を技術会議の提言では用いていない。ここが重要な点です。技術会議の提言では建物下、建物以外で分けていません。なぜ分けなかったのか?シンプルな理由で、今回の第一次報告書で捏造とされた部分。それが全ての説明です。東京都はこの整備方針を出した時点で、建物下に盛土をする方針ではなかったから、建物下・建物以外と分けた記述をしなかったんです。建物下の盛土をぼやけた記述にして乗り切る意図があったんでしょうね。

 第1次報告書で捏造とされた部分は以下になります。

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( 自己検証報告書 (7.9MB)P3

 東京都の第1次自己検証報告書では盛土をされなかった理由の一つとして、新たに資料をHPにアップをし、それが技術会議の提言であるという説明をしました。これは都議会で追及をされて、委員会で前市場長がその誤りを認め、事務局の案だったことを認めています。訂正した内容としては東京都の事務局が技術会議の報告書案を纏めるにあたり、事務局からの案を出した。その案の中で「建物下に作業空間を確保する必要がある」としていたんです。技術会議第9回が開かれた平成20年12月25日以前に東京都全体ではなくとも技術会議の事務局は、建物下に作業空間が必要である=盛土はしないという考え方だったんです。これを東京都の自己検証報告書チームは地下空間を作った理由にしたんです。だから東京都のこの第1次自己検証報告書を元に考えたとしても、この平成20年12月25日以降である平成21年2月に作られた豊洲新市場整備方針に書かれている内容は、地下空間を想定したものなんです。そうでないなら、第1次検証報告書で東京都がこれを地下空間を作った理由にした説明を東京都自体ができません。この事務局案が技術会議で採用されていれば、事務局の地下空間案が技術会の提言に採用されることなります。それにより、建物下は地下空間を設置される根拠となっていました。東京都の論法を借りれば、技術会議の提言=市場整備方針ですから、建物下に地下空間を作ることが東京都の方針になっていたんです。この第1次検証報告書は撤回をされていません。現状も生きていきます。完全に東京都は論理破綻をしています。また同様の内容が別視点でこの第2次検証報告書内でもあります。そこでも論理破綻を起こしています。これについては②で後述をします。

 

 なぜこういう事になっているかというと処罰ありきの前提があるからです。要は石原元都知事を処罰の対象にするための無理やりな論理展開をして、この検証報告書を元に石原さんを弾劾するつもりなりなんでしょう。しかし結論前提で論理を展開している為に論理破綻をしているんです。

 一応書いておきますが、石原元都知事に責任はあります。ただそれは地下空間の有無ではなく、東京都の組織として情報共有が適切に行われなかったというもので、地下空間の有無に対する隠蔽の類ではないと考えています。

 

② 市場長、部長級に対する「犯人」特定

 

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第二次検証証報告書 P7

「2 基本設計の起工から完了まで」で、基本設計に係った新市場整備部長級の職員達に対して、建物下に盛土をせず地下にモニタリング空間を設置することを前提に基本設計を進めたとしています。整備方針の遵守や反してについては、反証に書いた通り、これを私は否定します。方針通りやったというだけです。だから報告書内にあるように「新市場整備部は地下にモニタリング空間を設置するという基本的な考え方をはっきりと持った上で、日建設計との打ち合わせに挑んでいた」んです。ただ報告・説明、技術会議等への確認などをしてなかったのは、確かにそうだとは思っています。おそらく確信犯でしていた人達も一部はいたと思っていますから。その辺は以下に書いています。

豊洲新市場地下の”謎の空間”は液状化対策+おまけが本編 - 粉屋の大阪to考想

豊洲新市場 専門家会議における提言と検証の違いと豊洲問題の纏め - 粉屋の大阪to考想

 

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 これなんですが、今回の第二次報告書の資料の中でも出てきます。

2011/4/20の基本設計の打ち合わせの議事録内に記述があります。

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 ( 2 豊洲新市場建設工事基本設計 打合せ記録 (20.7MB)P20)

  ここにある事実が正しいのなら平成20年11月以前から地下空間の考えは東京都の新市場整備にはあったという事です。だから新市場整備方針をもって、建物下に盛土をする方針だったというこの検証報告書の指摘は前述したようにおかしいし、論理破綻をしています。そこを隠してやったって言いたいんでしょうけども、そんなの組織として動けるわけないじゃないですか。これは一人の「犯罪」ではなく、数十人以上の組織として動いて豊洲新市場は作られたんだから。建物下には盛土をしないという方針だったから組織として動けるんです。建物下に盛土をするという方針が決まっていて、でもそれは隠して地下空間を作って盛土はしないという形で組織を動かせば、あちこちでそれはおかしいという声が上がりますよ。少なくとも建築などの技術関連ではその方針で統一されていたから、現状のように建物下には盛土をされていないんです。公務員なんて責任被るのがいやな組織なのに。

 

③ 新市場整備部の部課長会での方針決定

 

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 第二次検証証報告書 P13

 調査特別チームはこの部課長会で、地下にモニタリング空間を設置することが部の方針として確認をされたと言っています。ただこれも証言のみで議事録からの確定という訳ではありません。そしてこれらの証言が正しく、検証報告書通りだとしても、これをもって整備方針に反すると言えません。そもそもで整備方針の盛土を建物下にするのかどうかについては確証をする証拠がないからです。

 

 この実施設計の起工に大きな影響を及ぼしたと考えられますのが、平成23年8月18日に新市場整備部におきまして開催された部課長級の会議ということになります。この会議の場におきまして、地下にモニタリング空間を設置する方針を確認したと、複数の当時の関係者が証言をいたしておりまして、つまり、この会議で決せられた方針が、これまでの都の方針に沿わずに、局の判断でこれが行われたということになるわけでございます。ですから、「いつ、誰が」といったときには、ここがいつということになると考えられます

小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成28年11月1日)|東京都

 

 小池さんは記者会見でこう言ってますが、これも有り得ません。この時点で基本設計は終わっているんです。基本設計が完了したのは平成23年6月です。指摘している会議は平成23年8月18日です。基本設計に地下空間が含まれず、実施設計の段階で地下空間を入れたのならわかります。こういう説明でもね。でもね、あんな建物下全域に広がる大きな地下空間が実施設計の段階で盛り込まれるなんてことは有り得ません。たぶん小池さんは基本設計と実施設計の意味の違いについて分かっていないから、都の説明をそのまま言ってるだけです。基本設計というのは、建物に対する考え方を整理し、敷地、立地条件などを調査し、建築基準法等の関係法令に照らし合わせ、平面、立面などの基本設計図を作成します。東京都の要望が具体化される重要な課程です。要するに建物の基本的な形はこの時点で完成をしています。だから地下空間もこの時点で図面化されています。実施設計はその基本設計を元に、着工できる図面を作成します。意匠設計図、構造設計図、構造計算書、設備設計図、各工事仕様書、工事費積算書、建築関係諸手続き書類などが含まれます。要するに実際に建物の細部についての施工方法を示した図面などを作る段階です。一戸建てでいえば、二階建ての家を建てようと思った。基本設計が完了したというのはそれを指します。そこで実施設計の段階で、「地下室を追加して」と言ったら基本設計からやり直しになります。この会見での説明は無茶苦茶なんですよ。この基本設計が6月に終わって、実施設計の8月段階で地下空間の利用について確認をされたというのは有り得ません。それは単純に会議で地下空間の話が出たという以上のものではありません。

 

 小池さんの当日の会見でも先の発言の前にこう言っています。

結果として、平成23年6月でありますけれども、この段階で提出された基本設計の成果物におきましては、寸法こそ明記はされておりませんが、建物下全体に地下空間が記載された断面図が添付されていたところでございます。
そして、基本設計が完了いたしますと、より具体的な検討を進めるということで、実施設計に着手することになるわけでありますけれども、これは平成23年9月に起工決定が行われ、その仕様書を確認いたしますと、基本設計で作成した断面図が添付をされておりました。

 

 地下空間にが建物下全体にあるというのが基本設計段階にあるんだから、それ以降にどんな決定をしたかなんて関係ないんです。この8月の部課長会議以前に建物下には地下空間を作る決定があったから、基本設計に地下空間があったんです。だから調査特別チームはそれを検証しないといけないのにそこはすっ飛ばしている。これについては疑問を感じずにはおれません。

 東京都が今回、資料を多く出しています。それらの資料は、日建設計が東京都の新市場場整備課の施設整備課・管理課などと協議した内容を纏めた議事録です。実際に設計の細部を詰める実務部隊の議事録です。ただ日建設計からの資料という説明はありませんが、書き方からそう判断をしています。これらの議事録を読んでいるとあきらかにこの二つの課の担当者たちは、地下空間を前提に話を進めています。それはこの検証報告書でも指摘があります。そしてこの議事録の中で出てくる言葉に「土木ラインと協議をする」という都の発言です。この東京都がアップしている資料はあくまで建築ラインと日建設計間の議事録です。これらの議事録には土木ラインと日建設計間での話はほぼ出てきません。今回の盛土の問題というのは、東京と内部の建築ライン(議事録での都側の担当)と土木ライン間の意思疎通ができていなかった、あくまで東京都庁内の報連相(報告・連絡・相談)の問題にしか過ぎません。建築・土木ライン、日建設計合同での会議を設けていれば、その時点で防げていた問題ではなかったと思うんです。

 だからこの会議一つで、盛土をするしないが決定をされたというのは、かなり乱暴な考え方であると私は捉えています。ぶっちゃけ言えば、たまたまこの会議でその話題が出たという以上のものではないと現状は判断をします。この会議の議事録自体が無いんですから。

 一言書いておくと、今回、東京都がアップした日建設計の議事録の資料の、特に基本設計部分の議事録です。なんで、会議が散会した後に構造設計問題について協議をしてるんですかね? 普通、構造設計問題なんて、散会後にではなく、会議内でやる内容だと思うんですけども。それも分量からして、かなりの時間を散会後に協議をしてるんですよね。どうもこの辺からしてキナ臭い。もちろん、散会後に参加者間での質疑もありますよ。でもそんなのはひとつ、二つの質問で、あれだけの分量があるのは散会後に非公式で時間を取って会議をやっていたという話にしか見えません。そしてそれを書いているのは日建設計側の資料だから書いてるんです。散会後なんて非公式の話で、本来は議事録に乗せる話じゃありません。それを載せるという事は書いておかないと、後で言った、言わないの話になるから予防措置として日建設計は書いているんです。なんともなぁ、って感じです。しかも議事録内の特にこの二つは建築費に大きな影響を与えると思うんですけどね。

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2 豊洲新市場建設工事基本設計 打合せ記録 (20.7MB) 6/8,6/11)

 

 ④ 実施設計の起工・調整

 

 先に上げたのは基本設計段階ですが、ここでは実施設計を通しても、新市場整備部の部長級職員が整備方針に反していたと弾劾をしています。この点は確かにそういう面もあるでしょう。しかしそれは整備方針に反してではなく、明らかに地下空間の存在を説明しないといけないという立場にありながら、それを流していたという職責の話であり、それが整備方針に反していたとは言えないというのが私の考えです。

 

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 第二次検証証報告書 P17

 ここで話とは関係はないんですが、面白い点が上のものになります。

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4-2 豊洲新市場(仮称)実施設計 打合せ記録(その2) (28.3MB)P211)

 2012/5/30の豊洲新市場実施設計の建築・設備分科会の議事録からになります。これが先に示した検証報告書の該当部分になります。この時点で東京都の認識としては、地下水位が上がると地下空間部分はプールになる可能性について懸念をしています。よって、今、3棟の地下は水浸しになっていますが、懸念通りになっているという事ですね。これは以前の記事でも書いたのですが、補足するとあの地下にはコンクリート間に目地がなされてないないという報道がありました。そんなことがあるのかと思いましたが、実際、そうなんだと思います。

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 これは素人判断なんですが、建物下の地下空間の壁に当たる部分はおそらく固定をされていないのだと思います。

 

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第2回市場問題プロジェクトチーム配布資料 資料3-1株式会社アトリエ・ラ・クレ(高野氏)提出資料(PDF:2.1MB)

 

  この前、開かれた第2回PTの配布資料からです。このPTは色々、問題が多いのですがそれに関しては以下の記事をお読みください。

10月28日の小池都知事会見にみる東京都都庁内の勢力争いと小島PTの異常性 - 粉屋の大阪to考想

  ここではPT側の追及をして高野さんの資料を用います。ここでは地下空間の擁壁が発泡樹脂などで絶縁をされていることに対して日建設計に何のかんの言ってました。しかしこれは、擁壁を地下空間の基礎梁などから分離をするためでしょう。分離することで、地震の際などに擁壁が勝手に(フリーで)動くことで、基礎梁に対して擁壁がダメージを与えないための措置だと捉えています。擁壁を基礎梁間の間に「壁」として固定した形で作ってしまうと、地震の際に壁が基礎梁に対する破壊になるからなんでしょう。だから非常に合理的でかつ、安全側に立った配慮だと思っています。まあ擁壁としているんだからそうなわけですけど。家屋でいえば、擁壁は壁としてではなく、襖のように移動可能なフリーの状態にしてあるという事ですね。しかしその為に地下空間には必然として隙間ができてしまいます。だから水位が上がれば地下空間は現状のようにプールになるという事です。

  この点でも疑問なんです。なぜ建築サイドは地下水管理システムを動かさなかったんでしょう?まあ試運転も10月に入ってからの話でしたから動かす、動かさない以前に完成してなかったんでしょうけど。それなら建築時には仮設ポンプで地下水は抜いていました。建物を建ててる際に地下水が上がってきたら、工事なんてできませんからね。なぜこの仮設ポンプを地下水管理システムが完成するまで、繋ぎとして動かさなかったのでしょうか?私はこれに対する現状の答えとして、地下水管理システムや仮設ポンプは土木ラインの管轄で建築ラインから要請できなかった、もしくは要請する連絡が取れていなかったのでははないか?と思っています。ただの当て推量ですけど、そういう事なのではないかと思っています。要するにここでも横の連絡が取れていなかったという事です。普通に考えて、地下空間がポンプが動かなければ水浸しになってプールになるのを懸念しているのに、その対策を取らないのはおかしいですからね。

 

  • まとめ

 この後、検証報告書ではなぜ地下にモニタリング空間を設置したのかについて語られていきますが、それは割愛します。まあそれはそうでしょうという話でしかありませんから。纏めると、整備方針以前に土壌汚染対策法の改正があり、これを豊洲新市場に適用された場合に問題が出る可能性があり、モニタリング空間を作ったのではないか?そしてそれを作るなら作るでちゃんと報告しなさいよ、という感じの指摘が続きます。これらはこれらで正しいのでしょう。しかし、私はこれらのことは地下空間の存在そのものを直接的に作る動機にはなっていないと考えています。

 私はこの地下空間はそもそも豊洲新市場を候補地として選定した企画段階から存在をしていたと考えています。勿論、その時点で汚染対策としては考えていたのではなく、建築上の要求から必須として地下空間に相当するものが必要だったにすぎません。地下空間を作るのが建築上必須で、後に汚染対策が必要になり、じゃあ地下空間があるんだからここを汚染対策のモニタリング空間にも使おう。そういう副次的な動機・目的で地下空間をモニタリング空間として位置づけられたにすぎないと考えています。例えばの話、この豊洲新市場が汚染が全くない、新規に造成された埋め立て地に建設をされたとします。その場合は汚染は全くありません。よって汚染対策の必要性はないわけですが、その状態でも今回の豊洲新市場と全く同じ形で作られたでしょう。もちろん、地下空間もほぼ同じです。多少の設計変更はあったかもしれませんけどね。地下空間の高さの増減が有ったり、モニタリングポストが無かったりぐらいで、それ以上の変更はなかったでしょう。都議も汚染が仮になかった場合、地下空間に相当するものは豊洲市場で必要だったのか?と東京都に聞けばいいんですけど。

 今回の検証報告書では「いつ地下空間を作ることに決定されたのか?」を主題にしていますが、それは違うとはっきり書きます。何が違うかというと、「いつ地下空間を作ることが決定されたのか?」ではなく、「いつ建物下に盛土はするという決定があったのか?」という点が見過ごされている点です。この検証報告書ではそれを同じものと見て書いていますが、それは違います。そもそもで建物下に盛土をするという決定自体が無いんです。今まで東京都が挙げた資料にそれはありません。そもそも整備方針は一貫して、建物下には地下空間を作る方針だったんです。しかしそれは建築ラインだけの方針で、土木ラインの方針と共有が出来てなかった。この盛土の問題は、ただただ、それだけの話なんです。

 検証報告書では環境アセンスメント(環境影響評価)についても書かれています。これに盛土をする前提で書かれていたことが問題にもなっています。修正が必要という事ですね。しかしこの環境アセスは土木ラインが出したからそういう齟齬になっていたんでしょう。そして、専門家会議・技術会議の都側の担当も土木ラインだったのでしょう。両会議共に土壌汚染対策を目的とした会議でしたから。だから、環境アセス・専門家会議・技術会議は建物下の盛土について、考えが何もなく、結論を出してしまったというだけの話です。土壌汚染対策は土木ラインの仕事で、建物は建築ラインだったというだけの話です。信じられないぐらいあほな話ではあるんですけど、そういう事だと思っています。それらがなぜ行われたかというと、土木・建築ラインで豊洲新市場における工事担当部署を厳密に線引きをしていたからです。私がこう考えるのは以下の資料からそう判断をしています。

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 (技術会議議第18回資料:2 技術会議における土壌汚染対策工事完了確認状況のまとめ (1.3MB)

  上の三つの図は、土木ラインが担当をした汚染土壌対策工事(以下対策工事)で行われた「盛土」「液状化対策」「砕石層設置」を5街区でどう行ったかを図示したものです。盛土を見るとAP+6.5mのところとAP+2.0mのところではっきり分かれています。これは5街区の青果棟の建物下には盛土をしていなかったことを示しています。液状化対策も建築物の下はされていません。また敷地全面に渡って砕石層が設置されるのは技術会議の提言、整備方針でも示されていますが、建物下には「その方針に反して」対策工事で砕石の設置をされてないのが見て取れます。しかしそれらは行われなかったのではなく、建物下の砕石層の設置や液状化対策は建築ラインが担当をしていたというのが結論です。ただ、建物下で実際にどういう砕石層の設置・液状化対策を取られたのかは資料が無く、私は確認はできていません。5街区の地下空間の床下は砕石層がむき出しになっているのでおそらくはしてると思うんですが。

  ここから見て取れるのはこれらが土木ラインと建築ラインでの仕事の境、担当範囲の違いだという事です。結局、今回の盛土の問題はこの厳密に分けられた仕事の範囲で、それぞれのラインが独立して情報共有をせずに仕事を進めた結果、盛土の有無の認識が問題になっただけです。要するに都庁内部の仕事のやり方がまずかったに過ぎなかったというのが結論です。

 そして情報共有が出来ていなかったのは今回の第二次検証報告書の資料からも見て取れます。以下の議事録になります。

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 (2 豊洲新市場建設工事基本設計 打合せ記録 (20.7MB)P57,58)

 この議事録の会議は 、2011/3/29に行われています。会議の件名は「豊洲新市場建設工事基本設計 構造打ち合わせ(臨時)」となってますね。ここでは建設ラインと日建設計の会議になると思われます。しかしこの会議って発言者の部分は全部黒塗りになってるんですよね。個人名は黒塗りでいいんですが、発言したのが都なのか日建設計かもわからない。他の議事録は発言者名は伏せてますが、(都)(設計)(日建)などと表示されているんですけどね。全て塗りつぶしてるのはこの議事録ぐらいです。

 この議事録を見ると最初のところで、「自分も最近まで建物直下も実施すると思っていた」とか書いてるんですよね。要するに土木ラインが検討をした結果、建物下には液状化対策を取らない方針が決まっており、それが建築ラインと情報共有されなかったためにこの齟齬が起きてるんです。なぜ土木ラインが建物下の液状化や砕石をしなかった理由ですが、液状化対策はこの基本設計段階では杭の位置などが確定しておらず、液状化対策を行うに行えなかったためでしょう。もしくは液状化対策を行うと杭打ち作業に支障が出るか。こちらの方が可能性は高いかな。砕石を敷かなかったのも同様の理由で敷いても建物工事の時に邪魔になるからです。しかしこれって大変なことです。建物下自体の液状化対策は何十億以上はかかるでしょう。それに対する認識をどこもしてなかったんです。建築費が豊洲新市場では当初予定から3倍に高騰していますが、この液状化対策を建築側で行ったことが高騰の要因の一つになったのではないかと思います。最終的な決着として、建築ライン側で建物下の液状化対策を請け負ったようには資料を追っていくと見れるんですが、確証は得れませんでした。液状化対策に関しては、2012/1/25の実施設計打ち合わせでも設計(日建設計側)の答えとして「液状化対策は主要三棟の建物のみ」というのは確認はしてるんですが、これが実施されたかどうかについては資料もなく、わかりません。

 

※11/9 コメントで指摘をいただきました。この液状化対策をしている資料がありましたので最後に掲載をしています。建物下部も含めて全面的に液状化対策はされています。

 

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 (4-2 豊洲新市場(仮称)実施設計 打合せ記録(その2) (28.3MB)P163)

 

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 先の基本設計の2011/3/29の議事録の続きですが、モニタリング空間についても検討をしています。基本設計締結の二か月前ですね。最後なんですが、「液状化対策工事費・工期を土木工事側に押し込むことは難しいと考えている」とありますね。この事からも建物下の液状化対策工事は建築側で請け負っていたと思われます。

 

 で、だ。要するに盛土も液状化対策も建物下でどうするか、双方で情報共有が出来ていた無かったという事です。盛土に関しては土木ラインが知らず、液状化対策は建築ラインが知らず。どうなってるの?東京都。って感じですね。私は冒頭、第一次の整理として以下に書きました。

 

 まず土木部長。建物下に盛土はないという認識だったので、議会答弁が事実と異なっている認識はなかったという立場です。

 次に建築担当部長。実施設計以降は建物下は地下空間という認識だったが、土木部長の議会答弁は土壌汚染対策の基本的な考えという認識だったので違和感はなかったという考えです。

 最後に歴代市場長は、地下空間と盛土に対する認識でばらつきはあるものの、議会答弁が事実と異なる認識はなかったという事です。

 

 まあこの通りなんでしょう。多少おかしい感じもありますけどね。嘘は付いてないけど、本当ではないって所ですか。

 

 最後に私の今回の第二次検証報告書に対する所感を書きます。

書き直し!

 いやね。これ、本当に石原知事をはじめ、幹部を狙い撃ちにした「弾劾裁判」用の資料でしかないんです。第一、此れの資料としてアップされている議事録などは建築ライン側からの資料しかなく、土木ライン側からの資料は皆無です。端的に言って、建築ライン側が土木ラインに対する意趣返し的な臭いが濃厚なんですよね。第一次報告書は更迭された前市場長の下に纏められたものですが、あれは恣意的な情報操作ともいえるものはあったものの、まあまあ公正にはやっています。しかし第二次検証報告書はあからさまに標的を作って、それに対する弾劾にしかなっていません。本来、小池さんのストーリを補強するのなら、検証するべきは「盛土を建物下に行う決定がいつされたのか?」ここです。これを確定しないと、小池さんが言う方針転換により、盛土ではなく地下空間を作られたというストーリは崩壊します。なのに、その確認は取れていません。これは建物下に盛土をせずに、地下空間を作る方針変更が行われたという視点で書いているから、もしくは誘導しようとしているから無理筋な論理展開になっているんです。方針転換したのなら、最初に建物下を盛土にする方針を定めたのはどこの会議で誰が決定をしたのかを明確にしないといけないんです。しかしそれは放棄をしています、この検証報告書は。だから「書き直し」です。土木ラインからの資料も併せて、再々検証をするべきです。一言で纏めれば、建築ライン側による土木ラインの人間を豊洲市場から一掃する事を目的とした検証報告書です、これは。

10月28日の小池都知事会見にみる東京都都庁内の勢力争いと小島PTの異常性 - 粉屋の大阪to考想

上の記事で、この豊洲市場問題は都庁内の権力争いにすぎないと結論を付けましたが、これはそれの第2ラウンドにしか過ぎません。いよいよ本命の中西副都知事の首を取りに来た。それだけのための検証報告書だと私は思っています。

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第二次検証報告書からですが、破線で囲ったところが戦犯リストなんでしょう。それとも粛清リストなのかな?w 左隅に現副都知事、中西さんの名前もありますね。

 

<参考>

豊洲市場地下空間に関する調査特別チーム|東京都中央卸売市場

豊洲市場に関する会議資料|東京都中央卸売市場

市場問題プロジェクトチーム | 東京都

知事の記者会見|東京都

 

以下11/9修正 

豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議|東京都中央卸売市場

資料4-1 豊洲市場の整備経緯について(土壌汚染対策工事) (4.5MB)

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例)5街区液状化対策