粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

日本維新の会:目指せ法案100本提出 その19 商工中金・政投銀完全民営化推進法案

o-ishin.jp

 日本維新の会が秋の臨時国会で100本の法案を提出します。これらの疑問に思った事やこれはいい、と思う点を書いていきます。基本的に維新の資料を見ただけで書くので、勘違いもあろうかと思います。その点、ご指摘頂ければ幸いです。

 

第19回目は商工中金・政投銀完全民営化推進法案(政策金融改革の着実な達成を図るための株式会社商工組合中央金庫法及び株式会社日本政策投資銀行法を廃止する等の法律案)です。

 ・・・全然、知らない分野だなぁ。まあ書いていきます。この回以降はそればっかになりますがw

 

 

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 法案の趣旨としては、政府系金融機関である株式会社商工組合中央金庫、株式会社日本政策投資銀行の政府の持ち株分を全部手放す。それにより完全に民営化しろっていう法案ですね。何でこういうことになるのかというと、この双方の金融機関は民営化するという方針で決まっていたのを途中で止めにした経緯があるためです。ここで両金融機関の概略が以下。

 株式会社商工組合中央金庫商工組合中央金庫 - Wikipedia

 政府と民間団体が共同で出資する唯一の政府系金融機関。他の政府系機関に比して民間金融に近い性質を持つとされ、多くの政府系金融機関が融資のみに特化した機能を持つなか、預金の受け入れ、債券の発行、国際為替、手形を通じた短期金融など、「幅広い総合金融サービス」を行っている。

 株式会社日本政策投資銀行日本政策投資銀行 - Wikipedia

 出資と融資を一体的に行う手法その他高度な金融上の手法を用いることにより、長期の事業資金に係る投融資機能を発揮し、長期の事業資金を必要とするお客様に対する資金供給の円滑化及び金融機能の高度化に寄与することを事業目的とする[3][4]。 資金の流れを「官から民」に移し経済を活性化する政策金融改革の一環で、2008年(平成20年)10月1日に、特殊法人日本政策投資銀行(旧DBJ)を解散し、特殊会社たる株式会社日本政策投資銀行(新DBJ)として新たに発足した(旧DBJの全財産の出資により新DBJが設立され、新DBJ設立と同時に旧DBJは割当を受けた新DBJ全株式を政府に無償譲渡し、旧DBJは解散)。

 

 で、民営化の経緯としては、小泉さんの時に決めたようですね。

 

段階的民営化
小泉内閣が進めた行財政改革の一環として、段階的な民営化が決められたが、2008年に始まる世界的な金融危機に直面し、政策金融機関に対する政府の関与を維持するべきであるとの見直しが行われ、修正が加えられた。

 

完全民営化の見直し
2008年に始まった世界的な金融危機に対応し、商工組合中央金庫への政府関与の意義を重視する観点から、従来の政策金融機関民営化方針を見直す趣旨の改正法案が議員立法で提案され、その中で、株式会社化の5年後から7年後を目途にしていた政府保有株式の処分を、2012年4月の5年後から7年後と改め、また政府保有株式の処分の時期について2011年度末を目途に検討を加えるとする内容が盛り込まれた。
この改正法案の審議の中で、野党からの修正提案を与党が合意し、政府保有株式の処分の時期について検討するだけでなく、処分の在り方自体を検討すること、商工中金に対する政府の関与の在り方についても検討すること、その検討結果に基づく措置が講じられるまでは政府保有株式の処分を行わないこととの修正案が可決成立した。この修正案を内容とする改正法が2009年6月19日に平成21年法律第54号として公布・即日施行されたため、完全民営化は当面遠のいた。
さらに2011年5月には、東日本大震災の発生を受け、政府保有株式の処分時期を、2015年4月の5年後から7年後と再度改めた。

 

 なるほどね。過去3回(直近平成27年第189国会)の民営化延期があって、さっさとヤレヤ、っていうのが維新の考えになると思います。

政策金融改革の基本方針 平成17年11月29日 経済財政諮問会議

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 平成17年の経済諮問会議で砲身が決まっており、閣議決定もされた内容ですから、なぜ、最後まで民営化をやらないのかイマイチ理解が出来ませんね。

 

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 過去二回の危機をどのように総括して、どのような改正に至ったかという御質問でございます。
 やはり、一番総括として具体的なものといたしましては、リーマン・ショック東日本大震災という非常に大きな二回の危機があったわけでございますが、こういった危機に関しましても、先ほど大臣等から御答弁申し上げましたけれども、危機対応業務を行う民間金融機関が結局出現してこなかったということだと思います。
 しかしながら、大規模な景気変動や自然災害の際における金融支援はどうしてもやらなければならないということでございますので、民間金融機関による対応が事実上困難で、実際、危機対応業務を行う民間金融機関が出てこないというところでは、政府系金融機関による一定の役割がぜひとも必要だということでございます。
 そのため、このような役割というのを具体的にするためには、将来的な完全民営化の方針は堅持しつつ、民間による危機対応が十分に確保されるまでの当分の間、商工中金に危機対応業務を義務づけ、政府が必要な株式を保有するとともに、他の金融機関等との間の適正な競争環境を確保するための措置に関する事項の報告も義務づけるといったことを具体的にさせていただくということにさせていただきました。

 

 ○真島委員 日本共産党の真島省三です。
 ラストバッターになりますと、いろいろ用意した質問が重なっているところがありますけれども、質問の流れがありますので、よろしくお願いします。
 まず、株式会社商工組合中央金庫法の一部改正法案について質問いたします。
 商工中金は、一九三六年、国と中小企業組合との共同出資により設立された中小企業向け政府系金融機関です。
 二〇〇五年の政策金融改革の基本方針は、商工中金について、「所属団体向け組合金融であることからも、本来参加者が相互扶助の精神に基づき、メンバーシップ制で行うものであり、政策金融である必要はない。」とし、政策金融から撤退し、完全民営化すべきとしました。完全民営化というのは、政府の保有している株式を完全に売却した上で、根拠法を廃止して一民間金融機関にすることであり、国が経営に一切関与できなくなります。
 二〇〇六年、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律によって、二〇〇八年度中の株式会社化と、その五から七年後の完全民営化が決定しました。
 二〇〇七年、第百六十六通常国会株式会社商工組合中央金庫法案が提出された際、我が党は、政府系金融機関の役割を根本的に否定し中小企業金融に悪影響を及ぼすものでしかない、中小企業基本法第二十五条で中小企業に対する資金の供給の円滑化を図るために国が政府関係金融機関の機能の強化を講ずるように求めていることにも反すると指摘をし、国の責任を投げ捨てる重大な政策後退だと反対をいたしました。
 改めて伺いますけれども、二〇〇八年十月一日の株式会社商工中金誕生時に決めておりました五から七年後という完全民営化の期限、そして、リーマン・ショック後の二〇〇九年の改正、東日本大震災後の二〇一一年の改正と二度にわたり先送りをされましたけれども、これはなぜでしょうか。そしてもう一つ、今回の法案で、従来盛り込まれていた完全民営化の具体的な期限の明示をなくしているのはなぜでしょうか。
○北川政府参考人 これまでの経緯でございます。
 過去二回、委員御指摘ありましたが、リーマン・ショックそして東日本大震災という危機に際しまして、商工中金の民営化に向けた取り組みを一時中断いたしました。これは、目の前の危機対応に注力するために、緊急的な措置として、三年程度の期限を区切って民営化の延長を決定したものでございます。
 その過去二回の危機におきまして、民間金融機関において十分な危機対応業務が行われなかった事実、要は中小企業金融が大変困難に陥った事実を踏まえまして、大規模な景気変動や自然災害の際の民間金融機関における十分な対応は当分の間困難であるということが現実的に明らかになったと考えております。
 したがいまして、民間金融機関が危機対応業務を行う状況が実現するまでの年限を示すことは現状では困難であると考えておりまして、このため、今回の商工中金法の改正では、期限を区切ることなく、当分の間延長することといたしたものでございます。

衆議院会議録情報 第189回国会 経済産業委員会 第6号

 

 なるほどね、災害や金融危機に対して民間では対応が困難だという理由ですか。だから政府系の両金融機関がそこのリスクを担保する、よって民営化できないと。それで民営化の期限を延期延期で今まで来ているという感じですね。それで維新の法案では次の条文があるのかな。

 

(危機対応業務を担う金融機関の確保等)
第六条

政府は、第二条の規定による株式会社商工組合中央金庫法及び株式会社日本政策投資銀行法の廃止により危機対応業務(株式会社日本政策金融公庫法(平成十九年法律第五十七号)第二条第五号に規定する危機対応業務をいう。以下この条において同じ。)を実施する責務を有する金融機関が存在しなくなることに伴い必要な新たな危機対応業務を担う金融機関の確保その他について、法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする

 

 両金融機関を完全民営化後に、政府は危機対応業務を取れる民間の金融機関、ないしその他について確保せーよというとこですね。なるほど。いいんじゃないかなとは思いますが、現実的にどういう対応が取れるのか?という所では疑問ですね。それができるならやってるようにも思うんですけども。何かあるのかなぁ。判る方はコメント、ないしツイッターKONAYA@PAN_KOYA)の方でご教授ください^^; 自分なりに考えたらリスク分を政府で担保して、民間の金融機関に融資させるぐらいなんだろうけど、その程度のことならやってるだろうし。うーむ。