粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

日本維新の会:目指せ法案100本提出 その16 解雇ルール明確化法案 【労働契約の終了の円滑化に関する施策の推進に関する法律案〔新規立法〕】

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 日本維新の会が秋の臨時国会で100本の法案を提出します。これらの疑問に思った事やこれはいい、と思う点を書いていきます。基本的に維新の資料を見ただけで書くので、勘違いもあろうかと思います。その点、ご指摘頂ければ幸いです。 

 

第16回目は解雇ルール明確化法案【労働契約の終了の円滑化に関する施策の推進に関する法律案〔新規立法〕】です。新規立法ですね。

  この法案は維新の新規立法です。労働者の解雇に関する規制を緩やかにしようというものですね。とは言え、具体的な内容のものではなく、解雇における企業、労働者側の関係をこの法案で明確化し、それの具体的な内容については政府が検討をして実施せよ、という内容になっています。ここで維新の会の方向性としては以下のようになります。

 

 <立法の背景・趣旨>
解雇に関するルールが不明確であること等が、解雇をめぐる紛争の発生やその解決の長期化の要因となっているだけではなく、対内直接投資等の阻害要因となっているといわれている。また、正社員の解雇が困難であるため、成長産業への労働移動が停滞しているといわれている。
→ 労働契約の終了の円滑化に関する施策を重点的に推進する必要がある。
解雇規制の緩和労働契約の終了に関するルールの明確化を図るとともに、金銭解決制度の導入をはじめとする労働契約の終了に関する紛争解決制度の活用等について必要な施策を講ずる。

 

 平たく書くと、「現状の解雇に関する規制はあいまいで問題が多い。それが外資などの海外からの投資を鈍らせている面もある。また解雇が難しく、人材の流動の妨げになっている」って感じかな。全然平たくないw

 方向性としてはいいと思いますよ。ただ具体的にどうやるのかが、どういう規制をどう撤廃するのかが見えない。まあ見えないというかそもそも具体的に何かを言う法案ではないのですが。この法案で維新が国に求めている施策は以下になります。

 

講ずべき施策

 ①労働契約の終了の在り方に関する指針の策定等

 国は、解雇に係る判決、和解、労働審判都道府県労働局等によるあっせん等の事例及び合 意解約の事例の収集、整理及び分析を行うことにより、労働契約の終了の在り方に関する指針 を策定し、並びにこれを公表する等必要な施策を講ずる。

 

 現状の解雇規制における問題を洗い出し、その対策を取れってとこですね。

 

②解雇が無効とされた場合における金銭解決制度の導入

国は、解雇が無効とされた場合において事業主からの金銭の支払を条件として労働契約を終 了させる制度を導入するために必要な施策を講ずる。

 

 私はこれをあまりいいとは思えません。最終的に金で解決する以外はないのですし、こういう無効になる場合の多くは裁判などの公的機関による判断があった場合です。そもそもこういう状態にならない為の法案であるし、①を行うのではないのかと思うんですけども。まあそれを潜り抜けてきた問題に対する対処という事なのでしょうけどね。①を潜り抜けて、もしくは無視して解雇に動く企業に対する障壁になるような形なら理解はできますけど。金銭解雇制度として、検討もされてるようでそういった意味では不当解雇救済にはつながるのかな。解雇が裁判によって無効となった場合であっても、職場復帰せず、退職する労働者が一定数存在するみたいですし。その場合は言値になる場合はもあるでしょうから、一定の基準は必要かもしれません。

 

③将来の紛争に係る仲裁手続の利用

国は、解雇その他の労働契約の終了に関する紛争について、将来において生ずる紛争を対象 とする仲裁合意に基づく公正な仲裁手続を利用できるようにするために必要な施策を講ずる。

 

これに関してはうまく意味が取れてないのかもしれないんですが、仲裁法のなんかなのかなぁ。調べると、当事者間の合意に基づき、紛争解決を仲裁人の判断に委ねる私的仲裁制度については、仲裁法(平成15年法律第138号)において、当分の間、同法の施行後に成立した仲裁合意であって、将来において生ずる個別労働関係紛争を対象とするものは、無効とすることとされている(同法附則第4条)。

 

仲裁法 附則

(個別労働関係紛争を対象とする仲裁合意に関する特例)
第四条  当分の間、この法律の施行後に成立した仲裁合意であって、将来において生ずる個別労働関係紛争(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第一条に規定する個別労働関係紛争をいう。)を対象とするものは、無効とする。

 

 仲裁法は解雇には使えんよって事か。

 

仲裁法

仲裁法において「仲裁合意」とは、既に生じた民事上の紛争又は将来において生ずる一定の法律 関係(契約に基づくものであるかどうかを問わない。)に関する民事上の紛争の全部又は一部の解決を一 人又は二人以上の仲裁人にゆだね、かつ、その判断(以下「仲裁判断」という。)に服する旨の合意をいう。

2 この法律において「仲裁廷」とは、仲裁合意に基づき、その対象となる民事上の紛争について審理し、 仲裁判断を行う一人の仲裁人又は二人以上の仲裁人の合議体をいう。
3 この法律において「主張書面」とは、仲裁手続において当事者が作成して仲裁廷に提出する書面であって、当該当事者の主張が記載されているものをいう

 

 企業と労働者間での仲裁廷で仲裁合意した解雇条件を反故にして、裁判所に持っていくような事態にはするなよってことなのかな。

 

第十四条 仲裁合意の対象となる民事上の紛争について訴えが提起されたときは、受訴裁判所は、被告の申立てにより、訴えを却下しなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
 一 仲裁合意が無効、取消しその他の事由により効力を有しないとき。
 二 仲裁合意に基づく仲裁手続を行うことができないとき。
 三 当該申立てが、本案について、被告が弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後にされたものであるとき。

  

労働契約法

(解雇)
第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

 仲裁廷の在り方とかについて政府は指針を示せってことですね。企業側の恣意的な仲裁廷の場合は、その仲裁合意は無効とするとかそういう指針を作れってことだと思います。

 

④訴訟手続によらず紛争の解決を図る制度の一層の活用

国は、解雇その他の労働契約の終了に関する紛争について、都道府県労働局等によるあっせ んへの参加の促進その他訴訟手続によらずに紛争の解決を図る制度が一層活用されるために必要な施策を講ずる。

⑤解雇の要件の在り方についての調査研究等

国は、解雇の要件の在り方について調査研究を行い、その結果に基づいて、必要な措置を講ずる。

 

 この辺は解雇に国の関与を減らして、解雇に関する規制の緩和を目指すってことなのかしらん? 正直、具体的な解雇ルールの変更点が見えないので、何とも言えません。現状での解雇ルールに関しての明確な問題点の提示が維新には求められますね。

 

<参考>

労働契約の終了に関するルール|厚生労働省

透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会 |厚生労働省