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粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

日本維新の会:目指せ法案100本提出 その15 成果給への転換法案 (労働基準法及び労働安全衛生法の 一部を改正する法律案)

o-ishin.jp

 日本維新の会が秋の臨時国会で100本の法案を提出します。これらの疑問に思った事やこれはいい、と思う点を書いていきます。基本的に維新の資料を見ただけで書くので、勘違いもあろうかと思います。その点、ご指摘頂ければ幸いです。 

 

第15回目は成果給への転換法案(労働基準法及び労働安全衛生法の 一部を改正する法律案です。

  えー、この記事を書くのにえらい時間が掛かっています。というか掛かりました。そして未だに私はこの法案に対して理解が出来ません。ここまでの法案はそれなりに自分なりには消化ができてるんですけども。まず、なぜこの法改正が必要なのかという点が、政府案からしてそもそもで私には理解が出来ないんです。だから賛否以前の段階なんですよね。まあ新しい概念っていうのもあるんだろうけど。色々、調べていって改正したい点はパーツ事には理解はできるんです。ただそれらのパーツが私の中で繋がらないんです。横糸は理解できるんですが、それを編むための縦糸が無いというか。抽象的な言い回しばかりでなんですが、政府案自体の改正趣旨の精神が理解できない、感じられないんですよね。なんというか全然、別のジグソーパズルのピースを寄せ集めたものを渡されてるようなものです。それらを組み合わせようにも合うピースが何もない、というような感じです。

  まあ私がそんな感じなので、ざくっと維新の法案に対する姿勢をまず書いて、政府案の法案の中身に触れてみたいと思います。

<立法の背景・趣旨>
現行の制度では、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと考えられる業務に従事する労働者にも、労働基準法の労働時間規制が適用されることにより、働き方が限られてしまっている。
ホワイトカラーエグゼンプションを導入し、労働時間ではなく仕事の成果で評価する働き方を可能とする必要がある。

 

 維新の立法趣旨としては上のようになります。上記の考えとして高度の専門知識を必要する、例えば株などのトレーダー、などの高額所得(年間1000万以上)を有する労働者は、労働時間とその成果に関連性が高くないと考えられる。「よって従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと考えられる業務に従事する労働者について、労使委員会の決議等を要件に、労働基準法の労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用除外とする。」という感じになっています。かなり判り難いんですが、後に自分なりの理解は書くので、まあそういうもんだという認識で今はOKです。

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 この法案は厚生労働省から提出され、現在、継続審議中の政府案を基に、維新がその改正案を出しているという形になっています。ここで維新の考えを見ると、まず、最初の部分が問題になってきます。

(政府案)

 ・高度の専門的知識を必要とし、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務

  ↓

(維新案)

・従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務のうち労使委員会で決議した業務

 

「高度の専門的知識を必要とし、」を維新案では省いていますね。これは政府案では職種を限定していますが、維新案では職種の制限を廃止しています。また政府案では「厚生労働省で定める」省令という形で、この法案を適用する労働者の範囲を政府が定めるとしています。維新案では「労使委員会で決議」となっています。この違いは政府で定めるか、企業内の労使委員会にて企業側と労働者側の協議でこの法律を適用をする労働者の範囲を定めるかという違いになります。要約すると、政府案では政府がこの法案の適用範囲を規制し、維新案では民間で個々に定めなさいという事になります。またその次の法案対象者の年収基準を、政府案は3倍程度で少なくとも1000万円以上としています。維新案では2倍として700万円以上としています。またオプションもつけてますね。

 

 私はこの維新の改正案には反対です。維新の考えを推測すると、この政府案は過渡的な法案で、施行後の数年で最終形として維新案になるであろう。よって政府案の附則などに将来的に維新案の方向性の担保を付けたいって所だろうとみています。ただそれにしてもこの改正案は、過激に過ぎるのではないかと捉えています。まあこう考えるのはこの法案の良し悪しを別にして、私自身がこの法案に対してのその必要性を感じられないからです。この法案はいい面もあるだろうし、悪い面もあります。ただこの法案まで労働者の権利を削るのであれば、もうその労働者は事業者になればいい、会社を興せばいいと思うんですよね。勿論、労働者側にもメリットはあります。正直、あまり感じられませんが。ただ普通にここまでやるのなら会社を作って、会社対会社で契約を結べばいいんだけなんじゃないの?って思うんですよね。だからその必要性について理解が出来ないんです。この法案の会社側、労働者が双方のメリットというものが見えないんです。部分部分ではこれは会社側、これは労働者側にメリットがあるとは思えます。ただそれを並列に並べた時に双方のメリットとして繋がらない。総合的に判断した時に何がメリットになるかがさっぱり理解が出来ないんです。新しい概念でもあるので、単純に私が肌身に感じられないだけ。なのかもしれないんですが、やはりどうしても理解が出来ません。

 

  実際にこれに関する政府の法案ですが以下のもので、現在も審議中です。

●労働基準法等の一部を改正する法律案(第一八九回 閣第六九号)

  (労働時間等設定改善企業委員会の決議に係る労働基準法の適用の特例)
 第七条の二 事業主は、事業場ごとに、当該事業場における労働時間等の設定の改善に関する事項について、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第六条に規定する委員会のうち全部の事業場を通じて一の委員会であって次に掲げる要件に適合するもの(以下この条において「労働時間等設定改善企業委員会」という。)に調査審議させ、事業主に対して意見を述べさせることを定めた場合であって、労働時間等設定改善企業委員会でその委員の五分の四以上の多数による議決により労働基準法第三十七条第三項並びに第三十九条第四項及び第六項に規定する事項について決議が行われたときは、当該協定に係る事業場の使用者については、同法第三十七条第三項中「協定」とあるのは、「協定(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第七条の二に規定する労働時間等設定改善企業委員会の決議を含む。第三十九条第四項及び第六項並びに第百六条第一項において同じ。)」として、同項並びに同法第三十九条第四項及び第六項並びに第百六条第一項の規定を適用する。
  一 当該全部の事業場を通じて一の委員会の委員の半数については、当該事業主の雇用する労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、当該労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては当該労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名されていること。
  二 当該全部の事業場を通じて一の委員会の議事について、厚生労働省令で定めるところにより、議事録が作成され、かつ、保存されていること。
  三 前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件

 

 まあ読んでてもよくわからない条文ですね。これに関する概要を見ると、

(3) 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
• 職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
• また、制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、そのの者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならないこととする。(※労働安全衛生法の改正)  

 労働基準法等の一部を改正する法律案の概要 厚生労働省

 

 やっぱりよくわからないw 色々ネットでググってると、みずほ総合研究所のまとめが1番、判り易かったのでこれを基に以下に話を進めていきます。わりと否定的な内容ではあるんですが、内容は公正だと思っています。その中で気になった点をいくつかピックアップしたいと思います。

 

検討すすむ労働時間制度改革 「高度プロフェッショナル制度」とは (みずほ総合研究所)

 

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  この中で「高度プロフェッショナル制度」の最大の特徴は、労働時間規制が適用除外される範囲の広さを指摘しています。この制度が適用された労働者は、労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定が適用されなくなることになります。よって、民進・共産などは「残業代ゼロ法案」などと言ってますね。足立さんは「残業代込み法案」って言ってますが。こういうように労働者(ホワイトカラー)の法定労働時間に関する規制の適用除外(エグゼンプション)となる範囲は極めて広くなります。

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 エグゼンプションっていうのを書きましたが、これは何かというと、アメリカなどでの「ホワイトカラー・エグゼンプション」という労働時間規制に関する法があり、それらの導入を日本でもしましょうっていうのが本法案の位置づけだと思ってます。「違うよ」とかはいわれそうですけどもw 

厚生労働省:諸外国のホワイトカラー労働者に係る労働時間規制の適用除外

 

「高度プロフェッショナル制度」を適用されるのは高度な専門職に限定をされています。その範囲は政府案では厚生労働省令で定められます。対象業務例としては金融機関の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリスト、コンサルタント、研究開発業務などが挙げられています。この「高度プロフェッショナル制度」は年間の所得が1075万を超える専門職を対象とします。そしてこの制度を導入する企業は、労使委員会を設立し、「対象労働者の範囲」「使用者による健康管理時間の把握及びその把握方法」「3つの選択的措置のいずれかの実施」他諸々を委員の4/5以上の多数による決議を行う必要があります。

 詳しい内容は読んで頂きたいのですが、労使双方で一定の条件は出せるものの、労働者側の権利は少ないなぁというのが私のザクッとした見方です。ここでの専門職というのは能力の差も大きいし、そういった意味でこの制度はいいようには思います。企業側と労働者側で労働者が挙げるべき成果とその報酬に予め取り決めを決め、その成果を達成すれば報酬はあげるよ、という意味合いに私は捉えていますから。ですから、ある労働者Aは一日の決められた成果を一時間で達成すればそれでOKになりますし、逆に20時間かかる人は一日4時間しか自由時間はないって感じになるのでしょう。最後の20時間は極端な例ですし、それを予防する一定程度の措置は取られています。ただそれって正しいことなの?っていう想いがあるんですよね。別に協力してやれよ、っていう意味ではないし、優秀な人間により仕事を押し付けろっていう意味合いでもないんですけど。確かにこの制度を導入すれば仕事単価がはっきりしていい側面もあるし、労働形態の多様化も良いとは思ってるんです。ただなんか不自然というかしっくりこないんですよね。だから私自身はこの制度に対しては賛否以前の立場として、必要性が感じられないんです。そこまでするのなら独立しろよと単純に思うので。

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 課題としては上のように提示をされています。

 確かに労働するに際し、場所、時間、時間帯について裁量を持てるようにすればいいと思います。そしてこの制度ではそこがはっきりしてないんですよね。単純に仕事を家で出来るのならそこは家でやってもいいわけですし。単純にこの制度を一言で纏めると、「残業代ゼロ法案」「残業代込み法案」ではなく、「内職制度」だと思うんですよね。内職は例えばひと箱の物を完成品にしたら1000円みたいな制度です。この場合でいえば、会社と労働者側で、これだけの成果を上げれば年収でこれだけっていう制度です。そういう制度なんだから、もう少しフレキシブルに対応できるような形が望ましいと思うんですけども。うーん、って感じです。

 で、このみずほ研究所のこの制度の見直し点として、次の物を上げています。

 

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  これがいいかと言われると、首をかしげる点もありますが、この制度単体で考えるなら中期的なものとしてはいいと思います。

 私は日本の過重労働を抑えるには、企業側が労働者側に対して明確にその仕事に対する成果に「労働者に支払う価格」を設定することだと思うんですよね。例えば日当一万円の人に対してこの仕事は1000円、これは1500円とか。だから1000円の仕事を10個すればその日の仕事は終わり。それが3時間で終れる人は午後には仕事はないわけですから、帰っていいみたいな制度にすればいいと思っています。仕事を無制限に押し付けて、元を取ろうとする企業の姿勢が良くないのだと思っています。この制度の精神は本来、そこにあると思うんですけど、そういう制度にはなっていないと考えています。結局、現行の労働法の不備は労働時間や報酬にあるのではなく、労働者に対する企業の考え方だと思うんですよ。労働時間に対して、どれだけの仕事を労働者に課すのが正しいのか?という企業の考え方です。そこを変えずに労働時間や待遇の考え方を変えても意味はありません。企業側から労働者に対する仕事の出力は変わらないわけですから。結局、それは給与の計算方法が多少変わるだけです。何とも不可思議な制度だなぁというのが現時点での私の考えです。厚生労働省とかがモデルケースの提案とかをして欲しいんですけどね。実際にこの制度を適用して、報酬や待遇がどう変わるのか?のいくつかのパターン提示が欲しい処です。というかこれ、先に役所から導入すれば?とも思うんですよね。まず厚生労働省から導入して、実地に制度を適用して、不備の洗い出しからやるべきなのじゃないかとも思います。

 

<参考> 

検討す済む労働時間制度改革 「高度プロフェッショナル制度」とは (みずほ総合研究所)

ホワイトカラーエグゼンプション - Wikipedia

厚生労働省:諸外国のホワイトカラー労働者に係る労働時間規制の適用除外

第189回国会(常会)提出法律案|厚生労働省

労働時間法制の見直しの主要論点(国立国会図書館)

「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の答申

働き方改革実現会議