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大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

第24回参議院選挙の総括 ~ 第二回 比例代表 ~

第24回参議院選挙の総括 ~ 第一回 結果考察 ~ - 粉屋の大阪to考想

 

では引き続き、第24回参議院選挙の総括を進めます。今回は比例代表です。

 

② 比例代表全国区

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 上の票は第22回~第24回の比例代表の結果になります。「得票総数」はその政党が党名と個人名で獲得した総投票数です。「政党等の得票総数」は政党名での投票の合計。「名簿登録者の得票総数」は個人名での投票での総投票数です。得票率は比例代表における総有効投票数における各党の割合を示しています。当選人数の下の各段は上から、それぞれの各党の「得票総数」における「名簿登録者の得票総数」の割合を示しています。「第23回からの各党の票の伸び率」は、第23回と比較して各党がどれだけの票数を増やしたかの割合になっています。

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 先の表をグラフ化したものです。前回と比較して、自民党は約9%の伸び、公明は安定の横ばいです。民進は大きく伸ばしていますが、これは22回と比較して、支持離れの率が軽減したと捉えるべきだと思います。第23回と比較して、大阪においても一定割合、票の回復はしているので要警戒ではあります。全国平均164.71%、大阪においては127.5%で抑えれてはいます。(344,941/270,518(票)=127.5%)共産党は前回比較で13%の伸びですね。第22回と比較すれば178%の伸びですから大きく躍進したとは言えます。ただ、共産党自身が考えてたほどの伸びではなかったという所だと思っています。なぜ伸びなかったかという点ですが、各討論会での失敗も大きく響いたのではないかと思ってます。共産党は案外、浮動票で構成されていますから。ただ大阪では共産の比例票は落としてるんですよね。(421790/436878(票)=96.5%)前回と比較して96.5%。全国的に共産が票を伸ばした選挙で、大阪では伸ばせず、減らしたというのは注目できる点だと思います。

 各党の「名簿登録者の得票総数の割合」を見ると共産党は前回と比較して、9.8%から6.9%に大きく落ちています。これは、新規の票が大きく流れ込んできたからです。「政治家は知らんけど、とりあえず〇〇党」みたいな感じですね。共産党さんは「比例は政党名を書け」とHPで書いてる党です。たぶん唯一じゃないのかな。他の政党は「もしくは個人名でよろしく」なので。だからこの割合は主要五党の中では一番低いです。共産の比例での戦い方は党に入れろで、個人名は重視をしていません。「とりあえず〇〇党」は維新にもその傾向が見えます。民進は率が32.3%から25.5%に落ちていますが、これは前回がひどすぎて組織票以外の票が戻っているためでしょうね。民進は組織票が大きいので、個人名の割合が高いです。公明さんも同じでそうです。公明さんの組織は一つですけども。ただ公明が率を落してるのが不可解ですが。

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 上の表は衆議院議員選挙でのブロック分けで集計した時の、各ブロックでの名簿登録者の割合を示した表になります。おおさか維新の会の北海道票のうち、維新候補の個人名で投票されたのが11.49%という事になります。これを見ると、公明党は全国で結構ばらつきがあるのがみれます。南北の関東、東海・近畿では個人名ではなく政党名で投票をしている傾向があります。これはそれぞれのブロックの支部で候補を立ててないからなのかな。公明でもばらつきが出るのは面白いです。おおさか維新の会で、20%超えているところは後述しますが、それぞれの比例候補が各地域で頑張ってくれたところです。

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 これは各ブロックでの各政党の獲得層投票の割合を示しています。大阪維新の会は北海道での総投票のうち、3.4%が取れていることを示しています。北は弱いですね、維新は。逆に近畿での強さは際立っています。近畿だけを見たら第二党ですから。

 

 ではここからはおおさか維新の会の結果を見ていきます。 f:id:pankoya:20160719101402p:plain

 上の表は、全国各ブロックの各政党の得票総数の実数です。やはり北が弱い。

 

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 上の表を維新の総得票(515万票)を100%とした時、維新の各ブロックでの獲得割合になります。これを見ると、一位は圧倒的に近畿で41.6%。次いで関東、東京、東海、九州といった感じですね。太平洋ベルトでは維新は強いという感じでしょうか。近畿41.6%と言っても大阪だけで、全体の25.1%を取っています。今回の比例は4議席の当選でしたから、1議席大阪維新の会候補を通したかったですね。土着根性丸出しですが。 

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 上の表は各ブロックでの第23回と第24回を比較しての表の伸び率です。近畿以外は下落傾向が高いです。一定歯止めのかかった地域はあるものの、近畿以外の平均は68.1%ですね。この下落傾向は維新が国政に進出してからの毎回の選挙で、このレベルで票は落としてきました。今回もそのまんまの結果が出たと、そこは率直に認めたいと思います。ただ北海道、東北、九州の下落率が高いですね。これらの地域には、てこ入れが欲しい処です。そして党名変更の方向になるのも仕方ないのかなとは思います。ただ変更する党名で仮に今回の参議院選を戦っていたとしても、同じ結果になっていたと思います。これは負け惜しみじゃないよw 前に「おおさかでええよ」って書いたので。なぜかという国政維新はまだ何ら成果がないからです。あくまで維新全体の宣伝部門としか現状は評価が出来ません。それもプラスマイナスでいえばマイナスでしかないですし。勿論、それ以外の政党交付金や人の広がりなどプラスな面はあるんですけど。ただ法律提案が今回の参議院選で出来るようになったので、明確なプラスを国政維新は打ち立てなければなりません。それには法案の提示と成立です。まずは提出する法案の中身を広く周知する。これが大事です。今回の選挙では「法案提出可能な議席をくれ」でその数を取ったのです。だから「法案はこれだ!」っていうのは周知しないといけません。法案が成立しなくても、維新はこういう法案を出す政党だというアピールが必要です。これが出来なかった場合、国政維新は相当長期に低迷のスパイラルに入ると思っています。おそらく政治資金関連を狙ってくると思いますが、「この法案ならコーヒーと絵画は買えません」ぐらい言って欲しいもんです。冗談じゃなくね。キャッチーなコピーを付けて、法案の中身を大宣伝してほしいですね。

 

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 続いて唯一、伸びた近畿を見てみます。京都府以外はほぼ100%程度以上の支持をいただいていますね。京都・・・。しかしなぜ京都で補選をやったのか・・・。まあ終わったことを言っても仕方ないですけど。まあこれからです。

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 続いて各都道府県ごとの総投票数における維新票の割合(得票率)の上位10です。大阪では34.8%を総得票のうちに占めたという事になります。二位は自民党で82万票、22.1%の得票率でした。福井県は鈴木こうじさん、栃木は渡辺喜美さん、広島県灰岡香奈さんが頑張ってくれた結果なんでしょうね。岡山は言わずもがなの虎さんです。こう見ると京都も取りたくなる気持ちはわかるんですけどね。うーん。

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 同じく総得票における維新の得票率のワースト10です。やっぱり北及び信濃方面は弱いですね。そういった意味では田中康夫さんの加盟が原動力にはなってほしかった点ですけども。まあ仕方ない。

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 次に維新当選者の票の獲得状況を見てみたいと思います。個人名投票での上位5位の都道府県と個人票の総獲得票、その総獲得票における大阪票の割合を示しています。虎さん、渡辺さん、石井苗子さんはまあ順当ですね。虎さんは維新の中での知名度は完全に浸透していますね。渡辺さんはやはり地元の栃木が強い。石井苗子さんは東京、神奈川の得票もありますが、大阪での得票が大きいですね。東北でもう少し票がとれるかとは思っていたのですが無風でした。石井章さんが謎ですね。なぜ大阪でここまで得票が伸びたんだろう?思いっきり失礼な話ですが。正直、WHO?なんですよね。茨木の人だし。大阪での活動も聞いてないし。石井苗子さんは大阪でも活動をされていましたけど。

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 次に落選された方で、一万票以上を取ってきてくれた候補の一覧が上になります。

 ギブさんの沖縄票、鈴木こうじさんの福井票のそれぞれ2万はでかいですね。ギブさんは五位なので、仮に今回当選した人の中から衆議院に鞍替えがあった場合、繰り上げ当選になります。梅村さんも大阪で3万近い得票も大きい。鈴木のぞむさんの静岡一万もありがたいですね。維新が弱い地域ですから。三宅さんも東大阪を中心に一万票。そして坂井さん。当選してほしかったなぁ。本当にそう思います。 

sakai-y.jp

 今、私は、(仮称)一般社団法人フオーラム次世代政策研究所を立ち上げ、次世代のための調査研究、立案、広報、講演をすべく準備をしています。
私に課せられた使命は「改革を進めること。あとに続く人達を育成し、改革を広めること。」だと考えているのです。

 

 有り難いですね。今後は議員ではなく、別の形で政治にアプローチいただけるとのことです。講演などあったら是非参加してみたいです。

 

 最後に比例票のドント方式についてみてみたいと思います。

 

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 (選挙Q&A「Q9.ドント方式って?」栃木県選管)

 参議院選挙ではドント方式で当選者が決まります。上のような感じですね。

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 上の表はドント方式での結果と票を観世に比例配分した結果の表になります。維新は結果は変わりませんが、自民などは議席が減りますね。ではドント方式の結果を以下に提示します。

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 上の表がドント方式による決定順です。参議院比例は48議席です。今回の48番目は自民党の105.8万票でした。維新の五議席目は次点の103万票でした。あと15万票の上積みがあれば、維新は五議席目を取れてたんですよね。

( ゚д゚)ハッ!

山田太郎29万票!誰だ、山田太郎さんを選挙区に回した奴は!

山田太郎様を比例に出してたら五議席目取れてたやろ!

 

・・・ま、冗談ですけどねw

pankoya.hatenablog.com

 こういうのを私も書いてるしw 自分から辞めた人ですし、私も要らんなとは思ってます。ただ正直、二桁、それも30万近く取るとは全然思ってなかったなぁ。

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山田太郎の全国各ブロックでの得票状況です。これを見ると関東圏の強さは際立ってるものの、全国満遍なく、ある程度のレベルで取っていることが分かります。一万以下が北海道・四国しかないというのは強いですね。山田太郎で思うのは「表現の自由」という点を訴えた点が注目されています。しかし本来、注目すべきはその選挙手法が面白かった点です。表現の自由という目的に対して危機感を煽って、組織の結束を固めるという手法は目新しくはありません。それはこれまでもよくある手法です。左派系が多いですけど。面白いのはネットでの生放送、ニコニコですが、毎日かかさず、連日で番組をしてたことですね。視聴者数自体は最終盤以外は大きなものはありませんが、訴える手段として面白いと思います。最終的に山田太郎票を押し上げたのは口コミによる伝播なんでしょうけど、それの核を作れたことが大きかったんでしょうね。毎日、一時間半から二時間の生放送を選挙期間前からやり続けるのは大変です。それを一人で(秘書さんやアシスタントさんもいましたけど)毎日やっていたのは凄いなと単純に思います。この辺を維新は真似をして欲しい点です。具体的にいうと、選挙期間以外からも定期的に維新TVのような形で定期放送が欲しいという点です。普段は維新の情報発信をし、一定数の顧客を掴んでおく。週一か複数日欲しいとこですけど。内容は議会のことや維新の政策、演説会の模様などでいいでしょう。選挙期間中は毎日、議員が日替わりで、各地の候補や状勢、政策などを伝える番組をやればいいと思います。まあ労力が大変ですが、クォリティはそう高くなくていいんです。うだうだ喋ってるだけでもいいし。今回、最終日にニコニコで各党の選挙特番的なものをニコニコの運営がやっていて維新の番組もありました。ああいうのより少し落ちたものでいいんです。是非、検討をしていただけたらなと思います。

live.nicovideo.jp

 

 今回の参議院選挙でおおさか維新の会は、橋下徹引退の影響からは脱したと思います。ここを底に次の衆議院選挙で、どれだけ票を増やせるかが勝負です。その為にも次の国会で提出する法案の一覧を早く提示してほしいですね。マニフェストで訴えた各提案を法律に直したものを早く提示する。そしてそれを強く訴える機会を多く持つことが大事だと思います。マスコミが伝えないのなら自分たちで発信する場を持つことが大事です。橋下さんのネットでの情報発信力は、ツイッターがその主力でした。そこで発信したことをリアルでフィードバックし、(その逆もありました)リアルとネットで情報を相互に反響させ、増幅し、影響を拡大するというのが橋下さんの手法だったと思います。これをそのまま真似る必要はありませんが、考え方は踏襲してほしいんです。国会というリアルだけで法案を出しても、情報発信にはなりません。またHPで提示しても同じです。それを解説する場をネットとリアルで持つ。そしてそれらを相互に影響させて増幅させることが必要です。今回でも維新の憲法改選案でネットやTVの番組でも触れている場はいくつかありました。しかし、それらをもっと多く持つことが大事です。単純にいえば憲法改正案でも3つの柱があるんだから、それぞれを解説する場を設けることが必要です。一つ、一つで一時間は語れるでしょうし。そういった点でも今後に出される法律群、特に政治資金関連の法律に関しては特番を汲んで、繰り返し放送することが必要だと思います。再放送でもいいんですよね。多くの人に目が触れることが大事です。

 

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