粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

東花園競技場にみる国と地方自治体の予算の在り方

2009年7月28日、ワールドラグビーの理事会にてラグビーワールドカップ2019の日本での開催が決定されました。2015年の3月に東大阪市の花園開催も決まりました。そんな中、次の報道がありました。

 

19年W杯日本大会 花園ラグビー場で日本代表戦開催が困難に ― スポニチ Sponichi Annex ラグビー 【 2016年4月14日 06:43】

2019年ラグビーW杯日本大会で、花園ラグビー場が日本代表の試合を開催することが極めて難しい情勢であることが13日、分かった。

 ラグビー場を所有する大阪府東大阪市が同市議会から3月に承認を得た工事費総額は41億円。この予算は収容2万4000人(仮設席含む)の競技場を想定しており、これでは開催国や強豪国同士の試合をする目安「収容4万人以上」と大きくかけ離れている。試合会場は17年秋に決まるものの、西の聖地でのビッグマッチは困難な状況だ。

 現在は3万人収容で座席は全てベンチシート。これを個別席に変える必要があり、昨年3月に開催都市に決まった段階では、市は仮設を含めて3万5000席にする計画でいた。しかし、土地の利用上の制約がスタンド拡張の妨げになっていることもあって、想定より1万人減になった。

 また、今回の改修は「東大阪市の負担の範囲内で整備をする」(東大阪市ワールドカップ推進室)とあくまで現実路線。手を加えるのは座席のほかに大型スクリーンと照明の設置など、必要最低限となる見込みだ。屋根の改修は計画には入っていない。そのため、死角席を生んで不評を買っている支柱は取り残される。市民や企業からの募金を継続して集めるものの、数十億円規模の国からの助成金がない限り、柱の撤去や屋根の拡張はできない。17年1月から本格的な工事に着工。全国高校ラグビー大会は継続して開催する。

 数字上は日本戦開催が難しいが、ラグビーワールドカップ2019組織委員会は「過去には4万人に届かないスタジアムでも開催国の試合をした例がある。4万人はあくまで目安。厳格ではない」と説明した。17日にはW杯統括責任者のアラン・ギルピン氏が花園を視察する。トップの目に西の聖地がどう映るのか注目だ。

 今回はこの東大阪市花園ラグビー場について書いてみたいと思います。

  東大阪市花園ラグビー場ですが、元々は近畿日本鉄道(以下近鉄)の子会社所有で「近鉄花園ラグビー場」でした。経緯としては2014年2月に東大阪市から近鉄に対して買収の持ちかけがあったという報道があります。そして、2014年7月3日に近鉄東大阪市ラグビー場について覚書を交わしました。

覚書内容(東大阪市平成26年 9月第 3回定例会-09月24日-02号

 1、ワールドカップ開催地として立候補することの承認

2、建物を無償譲渡すること

3、土地は土地鑑定をもとに平成27年3月までに価格を決定し譲渡する

4、使用目的の限定や名称に関する確認

5、近鉄ライナーズのホームグラウンド

 等が取り決められました。内容としては、ラグビー場の建物部分は無償で東大阪市に譲渡、土地代だけは出してねっていう感じですね。 同2014年7月14日の東大阪市市議会で次の議案が可決され、この覚書が承認されました。

 

議案第83号 負担付贈与の受け入れの件 平成26年7月14日 原案可決(起立多数)

 

結局、ラグビー場は 、譲渡額約45億800万円で合意されました。購入費用の3分の1は国の社会資本整備総合交付金で賄い、残りは東大阪市が支払う形でした。5年間の分割払いを予定しており、2015年度の当初予算案には土地の購入費として10億1387万円(交付金を含む)を計上。これとは別に、ラグビー場の整備費として約1億5000万円を充てています。近鉄東大阪市が同社のクラブチーム「近鉄ライナーズ」の本拠地であることや、ラグビー振興を理由に、東大阪市に5億円を寄付するということでした。

 

 ここまで書いての疑問点は、なぜ東大阪市近鉄ラグビー場を買い取る必要があったか?ということです。この辺は東大阪市議会の議事録を読んでいてもはっきりとした説明はありませんでした。その中で理由をあげると、ワールドカップラグビーの開催都市として立候補するのにラグビー場の改修などは必要でしたが、企業の私有物である近鉄花園ラグビー場に公金を投入することに問題があるというものでした。実際、ラグビー場のメーンスタンドは1928年に建設され、その後に一部の施設を建て増ししたもので、最後の大規模改修は1991年です。建物自体は無償で譲渡を受けたわけですがまあ老朽化著しい建物ではあります。これまで耐震診断も行われていません。耐震補強の工事やラグビーワールドカップの開催都市に選ばれるには、ベンチシートを個別のシートに変えたり、照明設備、大型映像装置などが必要です。これは花園ラグビー場整備事業として平成28年度の予算で、39 億 5,220 万円が計上されています。これだけ巨額の公金を私企業に投資することになる訳ですから、買い取りする理由はあるのかもしれません。しかし建物部分だけを東大阪市が買い取るという事も選択肢としてはありました。そして改修をすればいいんですよね。土地は近鉄から借りる形でいいわけですし。結局、この買取りをした理由はラグビー場全体を自治体保有でないといけなかったのではないかと私は思っています。次に提示するものは官邸の閣議で使われた資料です。

 

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ラグビーワールドカップ2019の準備状況について 官邸)

 これを見ると開催都市で私有のものは花園ラグビー場だけだったんですよね。他の都市は県や市が所有しています。(東京は(独)日本スポーツ振興センターですが、独立行政法人ですから公側です)大阪では東大阪市花園ラグビー場大阪市の長居競技場が大阪の候補地を争っていました。大阪市は降りたみたいですが、そういった中で候補地の一本化の為にも慌てて、近鉄から買い取ったのが真相ではないかと思っています。東大阪市は開催都市の希望申請書を2014年11月に提出しています。ラグビー場を買い取ったのは14年7月でした。ラグビー場を買い取る計画自体が、何年も検討されたうえでの結果だとは思えないんですよね。どうにも府が落ちてない点ではあります。

 

 次に報道にあった花園ラグビー場の座席が減った理由について考えてみます。これは2015年の7月の新国立競技場の白紙が関連しているのでしょう。あの白紙は単純に新国立競技場単体の白紙化という問題だけではなく、オリンピック・ラグビーワールドカップの予算全体の見直し作業の象徴です。もしくは森喜朗の派閥内での地位を落とすための自民党の派閥内抗争だったのかなとも思っています。

 ラグビーワールドカップの2009年7月に開催国が日本に決定されたのを受け、2010年11月4日に「ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟」(以下議員連盟)が設立されます。最高顧問は森喜朗です。この議員連盟が2014年1月29日に「ラグビーワールドカップ2019の開催後も花園ラグビー場ラグビーの西の一大拠点となるよう整備が必要」であると決議をしました。国から予算のバックアップするよーってとこですか。2014年6月にはこの議員連盟の森さんをはじめとした視察団が花園にきています。そこでなんやかんや良いこと言われてたんでしょうね。2014年の11月に東大阪が開催地に立候補し、2015年の3月に花園に開催都市が決定。この時に東大阪市は「花園ラグビー場整備基本構想」を纏めて発表をしています。この中では、当初案の3万5千席で考えられています。しかし、2015年7月の国立競技場白紙。

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 改修後の完成イメージ

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 現在の花園ラグビー場

 

 奥と手前に仮設スタンドを増設して一万席を確保する予定だったのが、7月以降は国からの予算がつかずになくなったと思われます。この為に仮設を削って、座席は2.5万席にならざるを得なかったわけです。端的にいえば、森さんの空手形に乗っかって驀進したら中央の方でそれ無しね、となってズッコケたってとこですかね。

 このラグビーワールドカップがなぜ東大阪市が誘致をしようと思ったのか?もちろん、花園というラグビーの聖地という歴史が第一にあります。しかしそれだけではなく、これを誘致するうえで様々な国からの予算配分があるからです。オリンピックでもそうですが、こういう国際的なイベントを誘致する際には様々な都市インフラへの投資が行われます。東大阪市でもこれに伴い、ラグビー場のある花園中央公園の整備や道路などのインフラ投資が行われています。

 

◆18番(岡修一郎議員:自由民主党東大阪市議会議員団)

次にラグビーワールドカップ花園誘致についてお聞きいたします。
 先日の2020年東京オリンピック開催の決定は全国に喜びの渦を巻き起こしました。この決定を受け、東京はますます発展することになるでしょう。大きなイベントは町の未来をも変える力があります。本市のワールドカップ誘致もこの観点から大事な事業であります。いよいよ再来年決定することになりますが、ワールドカップの誘致とあわせて、それにふさわしいまちづくりを行う必要があります。近鉄奈良線の連続立体事業の完成はその前提となります。さきの定例会においてはその完成がおくれるとの答弁がありましたが、そろそろ時期を確定していただきたく思いますが、具体をお示しください。
 あわせて求められておりますのが周辺道路の整備であります。我が会派は大阪瓢箪山線の早期、かつ内環状線道路から外環状線道路までの完全な完成を強く求めてまいりました。重要なのは中央環状線の横断の実現、若江岩田から東花園までの計画を前倒してでも実現しなくてはならないと考えておりますし、まだ計画に入っていない東花園から外環状線の部分については、ワールドカップまでに間に合うよう早急な決定を大阪府に今すぐ要求していただく必要があります。実現は必ずなし遂げなければなりませんが、ワールドカップの誘致が決定した際は、ワールドカップまでの全線完成を強く求めるものであります。そのためには決定まで様子を見ているのでは絶対に間に合わなくなります。早急な対応、決意を求めますが、答弁を求めます。

東大阪市議事録:平成25年 9月第 3回定例会−10月02日-03号

 これは三年前の議事録です。この中の多くの計画は現在、実際に実行されています。結局、ワールドカップラグビーをダシには言い過ぎですが、そういうことです。大きなイベントを呼び込み、それに合わせて実際のラグビー大会よりも数倍、10倍以上のインフラ関連のお金が動くわけです。

 

 ここで視点を変えて別の会都市である釜石市を見てみましょう。岩手県の釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)(以下釜石ラグビー場)を見てみます。この釜石ラグビー場は新設になります。釜石はラグビーの歴史が古い街です。そういった点からも開催都市に釜石市は名乗りを上げたのだと思います。スタジアムの観客席数は1万6000席(常設6000席、仮設1万席)。スタジアムのほか、屋内運動場、陸上競技場も整備します。

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公報釜石2016年4月1日号

 

釜石市被災した釜石東中と鵜住居(うのすまい)小の跡地に「釜石鵜住居復興スタジアム」(仮称)を建設し、仮設スタンド1万4千席を増設して対応する。スタジアム建設費など約29億円の事業費のうち国などの補助金や寄付などを見込んで、市の負担額を約10億円と試算。ちなみに市の予算規模は1031億円だが、うち853億円が震災対応予算だから、実質的にはかなりの負担だ。

【スポーツ岡目八目】「そろばん勘定より夢」はわかるけど…〝資金ショート〟平昌五輪の二の舞いご免 ラグビーW杯開催の釜石(1/3ページ) - 産経WEST

 

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  事業としては32億円。まあこのうち10億円ぐらいが釜石市岩手県負担という感じですかね。このラグビー場は大きな被害の出た釜石市鵜住居地区の鵜住居小学校、鵜住居東中学校の跡地にスタジアムや競技場などを建設します。被害の大きかった小中学校の跡地を造成して、それに合わせてスタジアム他を作る感じです。まあ学校の取り壊しも兼ねてってとこなんでしょうけども。

 

スタジアムの防災避難計画について
鵜住居地域の防災避難計画について、現在作成中のため、選定後に擦り合わ
せを行いながらスタジアムの計画に取り入れていくこととなります。現段階で
は、敷地内から鎧坂方面及び恋の峠方面へ避難するルートを想定してスタジア
ムを計画して下さい。

釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)の計画概要

 

 花園ラグビー場もそうですが、この釜石ラグビー場も広域災害への対策としての側面が大きいです。花園ラグビー場整備基本構想でも「(3)防災について 」(P.30~)で大きく紙面が割かれています。 花園ラグビー場は、東大阪市域の中心に位置しており、隣接する花園多目的芝生広場は大雨時の貯水機能を有しています。花園ラグビー場を含めた花園中央公園一帯は、大規模災害時の広域避難地として東大阪市地域防災計画に位置付けられています。

 釜石のラグビー場でも社会資本整備総合交付金が使われていますが、この花園ラグビー場にも使われています。この社会資本整備総合交付金ですが以下のようなものです。

社会資本整備総合交付金 - 国土交通省

http://www.mlit.go.jp/common/001126757.pdf

 こういう社会インフラを目的とした予算獲得が結局、ラグビーを誘致する目的なんですね。東大阪市にしても近鉄からラグビー場を買って得か損かと言えば損です。固定資産税だけでも近鉄から入ってきてた年間9200万円が消えます。まあ年間5000万円を東大阪市から近鉄補助金を出してたので半分ぐらいですけど。そして運営費にしても年間一億2000万円の赤字を近鉄ラグビー場で出していました。東大阪市が運営しても結局似たような数字になるでしょう。これも東大阪市民の負債として今後、重く圧し掛かってくるでしょうね。老朽化著しいラグビー場の建て替えとかも出たらどうなることやら。

 そして堺市でも同様にこういうのがあります。

原池公園第3 期整備基本計画案及び(仮称)原池公園野球場基本計画案について

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原池公園第3期整備基本計画案及び(仮称)原池公園野球場基本計画案 )

 堺市で公園部分30億円、球場部分30億円の計60億円の整備計画です。これも同じような形で広域の防災も目的になっています。正直、こういう広場の必要性は理解しますが、野球場を整備する意味が分かりません。この野球場が年間何億も稼いでくれるかと言ったらそれはないでしょう?

 私はこういった一連のインフラ投資について一概に悪いとは思いません。しかしそれが地域のニーズに合っているのかという点で疑問があります。国の防災方針に沿って、それに合わせて地方の自治体がそれを当て込んだ計画を練って、国の予算を呼び込む。この構図に私は疑問があります。ニーズも何もない必要がない物も一緒に作ることになるんですよね、この方式は。国から出る予算と自治体が出せるお金を睨みながら、最大限の予算をとる計画を作ることになりますから。こういった構図を変えるためにも地域主権を進める維新の「地域でできる仕事は自治体が全てやり、できないことだけ国が補完するという思想」に私は共感をします。地域が本当に必要なものを必要な額で作る。国の予算があるから周辺の余分な施設も整備し、目一杯の予算を消費するという今の国と自治体の予算の構図を私は否定します。まあ国の新国立競技場も色んな周辺施設の整備も予算に含まれてましたけどね。こういう丼勘定はいい加減、卒業しましょう。

 

参考文献:

 平成28年度の主な事業の概要(東大阪市)

ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟 - Wikipedia

釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)整備基本設計候補者選定簡易プロポーザルのお知らせ-ラグビーのまち-釜石市の紹介-市政の情報-釜石市

憲法・こう考える/5止 おおさか維新 片山虎之助・共同代表

札幌市観光文化局スポーツ部 ラグビーワールドカップ2019調査業務報告書 平成26年8月29日 株式会社 電通北海道

 

平成27年11月第 4回定例会−12月03日-03号

この東大阪市の議事録が今回の記事を各動機になりました。内容としては、東大阪市の市長が所信表明で「ラグビーの誘致で経済効果4200億円」とぶち上げてたのが、実は六億円しかなかった。まあ4200億というのは大会全体ではあるんですが、しかしその六億円の調査はかなり昔にしており、それについては黙っていたという点を指摘した質問になります。以下長いですが、部分転載、及び途中からはすべて掲載します。強調部分は粉屋がしています。

 

◆17番(上原賢作議員) (登壇)おはようございます。日本共産党東大阪市会議員団を代表して質問をいたします。先輩、同僚議員の皆様にはしばらくの間の御清聴よろしくお願いいたします。(略)

 まずラグビーワールドカップ誘致を成功させるための認識について質問します。
 私たちは、ワールドカップの成功へ力を尽くすことに異論はありません。そのためには、市民の切実な暮らしと先行き不透明な経営実態のもとで、過度な税金のつぎ込みにくみするものではありません。市長は、所信表明で、ワールドカップ2019日本大会の経済効果について、4200億円とバラ色に描いておられますが、東大阪における経済効果を全く示していません。一体東大阪にはどれだけの経済効果がありますか、明らかにしてください。
 当初、近鉄が所有したままでラグビーワールドカップ成功に向け、一時的に増設スタンドや照明を仮設レンタルで実施をすると約10億円で済むと説明をしておりました。それが近鉄からラグビー場の土地を購入し、これに45億円、改修費用に36億円と説明をしておりました。それが突如国に要望する際には132億円の事業費見積もりを示すなど、どんどん引き上がっているように思えます。実際に何に幾らの税金をつぎ込むのか、具体的に項目を示してお答えください。

 

◎野田 市長  答弁に先立ちまして御質問に対する答弁につきましては自席でさせていただきますことをお許し願いたいと存じます。
 上原議員の御質問にお答えします。まずラグビーワールドカップ2019開催における東大阪市への経済効果についての御質問でございますが、ラグビーワールドカップ2019日本大会でもたらされる経済効果につきましては、直接効果、間接効果、波及効果を合わせまして4200億円であると聞き及んでおります。現在ラグビーワールドカップ2019日本大会では、各開催地での試合数や組み合わせなどが決定しておりませんので、本市における明確な経済効果は明らかになっておりません。
 次に花園ラグビー場の改修についての御質問でございますが、ラグビーワールドカップ2019を実施するための本市における改修は、照明設備、大型映像装置などの36億円でございます。

◆17番(上原賢作議員) 2回目の質問ですので自席からさせていただきます。
 市長にお尋ねいたします。
 ラグビーのワールドカップの経済効果について、この4200億円というものは、多分EY総合研究所というところが試算したものだと私は思うんですけれども、本市における明確な経済効果は明らかになっておりませんという御答弁でした。調査されたことがない、あるいはそういったものを見たことがないということですか。

○川光英士 議長  市長。

◎野田 市長  先ほど御答弁をいたしましたように、まだ試合数あるいはどのような試合が行われるかということが明らかになっておりません。当然そういったことをある程度計数として調査をするためには、それらの条件も必要であろうかと考えておりますので、現時点においては、そこまで詳細な調査というものは行っていないというところでございます。

○川光英士 議長  17番。

◆17番(上原賢作議員) そんなん前提はいろいろ変わってくるのは多少あるけれども、皆さんは大体二、三試合とか、いつも答弁されてるじゃないですか。10試合も20試合も多くなるわけじゃない。大体それが明らかになっている。その中で、調査はされたものを見たことがあるんじゃないんですか、市長。前提はどうか別にして、東大阪市にこのラグビーのワールドカップを開催をして経済効果はどの程度になるのか、それ見たことがないとおっしゃるわけですか。

○川光英士 議長  市長。

◎野田 市長  先ほど申し上げましたように、ワールドカップが開催をされる、当該自治体にどの程度の経済効果があるというのは、幾つかの形で一つの数字としては出されております。今申し上げておりますのは、さらに具体的に、2019年の開催、何試合行われるのか、どのような試合なのか、当然試合数が10試合も20試合も花園で行われるということについては、これはあり得ないところでございますが、今年度行われましたイングランド大会での日本チームの活躍等々、こういったことの、いわばいい意味での影響を考えると、どのような試合が行われるかによりまして、本市に対する経済効果というものはある程度の数字が変わってくるところでございます。そういった意味でそれらの試合の数、そしてその試合の内容、中身、そういったことが今明確でないので、さらに具体的な数字というものを持ち合わせてはいないというところでございます。

○川光英士 議長  17番。

◆17番(上原賢作議員) 具体的にわからないからいうことで、大体4200億円の経済効果だということを持ち出して言うこと自身どだい、これだってよくわからない話なんですよ。実際日本でどんなようなことになるのか、まだこれからのとこたくさんあります。それでも出されていて、それをあなたは今回、冒頭の所信表明で述べられているわけです。平成23年度の地域研究助成金制度、調査研究テーマと報告ということで、報告会開いて、市長参加して、これ写真、市長載ってるんですけど、ワールドカップ開催に伴う経済効果、市が助成金出して、一つの指標として出てますね。わかりますか。それ御存じですか。

○川光英士 議長  市長。

◎野田 市長  先ほど御答弁申し上げましたように、ラグビーワールドカップ2019日本大会が開催を決定をし、その後12の会場が決定をしたところでございます。当然それに伴いまして、各自治体での経済効果というものはさまざまな機関が数字を出したり、想定をされたり、あるいはあったかと思いますけれども、その具体の一つ一つについては、今お答えする私自身の記憶は持ち合わせておりません。

○川光英士 議長  17番。

◆17番(上原賢作議員) この地域研究助成金というのは、東大阪市がお金を出して、地域の大学にやっていただいて、近畿大学経営学部の永松准教授中心としてなされたと。報告会があって、市長参加されて聞いてはるでしょ。それ聞いていないんですか。もう一度その事実確認どうぞ。

○川光英士 議長  市長。

◎野田 市長  今御答弁申し上げましたように、さまざまなところでラグビーワールドカップの経済効果というものについての検証をしたり、あるいは意見をお聞きをしたり、議論をする場というのはこの間さまざまな場でございました。今議員が言われました会議に出席をしたかどうか、議員が言われてるんであれば出席をしたのかなと思いますが、明確に出席をしたのか、そのときにどういう数字が出されたのか、そのことを今この場でお答えする記憶を持ち合わせていないということでございます。

○川光英士 議長  17番。

◆17番(上原賢作議員) 写真ちょっと大きく引き伸ばしたんですけど、これどう考えても市長なんですね。ほんで、その助成金を使ってやっていただいた経済効果は、さまざまやっぱり市長の言うように前提がわからない部分確かにあります。それは当然の話です。でも一つの指標として出された経済効果、覚えてないんですか。市がお金を出して、助成金を出して、経済効果を幾らあるか、研究していただいた、その調査結果、これ把握せず答弁もこうしたんですか。

○川光英士 議長  市長。

◎野田 市長  覚えていないのですかというお尋ねにつきましては、覚えていない、記憶にないというお答えしかできません。

○川光英士 議長  17番。

◆17番(上原賢作議員) 余りにも質問に対して不誠実ですよ。今すぐ覚えてるかどうかというよりも、以前から質問してるわけですから、質問通告も出して。それに答弁書もつくって、やってきてるのに、その答弁にないんです。この平成23年度東大阪市の地域研究助成でラグビーワールドカップ開催に伴う経済効果、ラグビーの町東大阪市におけるラグビーワールドカップの開催に見る経済波及効果ということで、こういうものが出されております。東大阪市役所のホームページから取れます。ここには、一つの指標として6億500万円て出てるんです、東大阪市に経済波及効果があるのは。これが、10試合も20試合もあるならばもう何十億円ということになるのかもしれませんが、それはないというのは市長もおっしゃいました。一定、これを開催するに当たり、当然ワールドカップ推進する誘致室ともいろいろ定期的な連絡会を行ったと書いてはります。よくワールドカップ誘致室と御協議なされて、そして近畿大学の先生など初めほかの方々も含めて研究された結果、これをせっかくやってもらってるのに、あなた方はええかげんな対応してるんですか。6億500万円がもし本当だとするならば、一体どれだけその経済効果に対してあなた方はお金をかけようとしているのか、この数字が少ないから言えないんじゃないんですか。余りにも、いつもいつも市長は経営感覚だとかいろいろおっしゃいますけれども、6億500万円の経済効果に対して、どれだけ一体お金をかけてワールドカップ開催に向けて整備をするのか、この辺の認識が問われてるんですよ。ワールドカップの成功を大いに盛り上げていこうという趣旨はいいですけども、実際にどれだけの財源を要して、そして市の財政の状況はこうだと、そして経済効果もこうあります、市民にとってこんないいことがあります、だからこれだけ必要でやるんですと、ここを明らかにせずに、今、ただワールドカップを開催するということで、幾らでもお金をつぎ込もうとしてるのが今の姿勢じゃないかなというふうに疑問を感じてるんです。私、単純計算してみましたけども、従来、皆さんは近鉄さんがラグビー場を持っていたときは、ラグビー場に補助金5000万出していたとしても、逆に固定資産税年間7000万円入っておりましたから、大体最低2000万市に収益としてもたらしてきた施設なんです。ラグビー場を近鉄が持ったまま開催すると10億円で済むということで、ラグビーのワールドカップできますとおっしゃってました。それで6億500万円だったらまあいいかなという気もするんですけども、今、近鉄から市が土地を購入して45億円かかり、改修費用に36億円、そして、そのうち聞けばトトのほうから1億円の補助金だと、ということは35億円かかってるんですね。そしたら改修工事と土地代で約80億円です。今回年間4500万円の運営の委託経費が出ております。これは毎年これからもかかってくるだろうということなりますわね。そうすると、何年これから使うかわかりませんよ、ラグビー場、大規模改修なり建てかえなりするまでに。今の近鉄の持っていた当初建てたラグビー場は約80年前に建ちました。80年間もし仮に、80年後、今後もう一回ラグビー場をつくり直すとしたら、計算したとしても、この80億と考えたら大体年間1億4500万円は使うことになるんです。こういう計算して、これだけかかりますと、しかし市民にとってこんだけ必要な施設なんですと、だから経済効果もこれだけあります、だからこれでやるんですということを話するならば、それで市民が是非を判断できるんですけども、今のままだったら幾らかかるかもわからない、36億円まではわかってますけども、132億円という数字が出てきて、それについては一切明らかにしない。しかし国には要望している。こんな財政状況が厳しいという折に、その財政状況もまともに示さず、そして大体幾らかかるかも示さず、そして経済効果についても、何ぼ聞いても忘れました、覚えてません、一体どうやってあなたは市政運営してるんですか。非常に疑問だと言わなければなりません。ラグビー場だけでなくて、モノレールの南伸やさまざま大型の公共工事が、しようとしてるわけでしょう。それもやることだけが先、決まっていて、私たちには具体的にまだ決まってませんからといって、ずっと先延ばしして明らかにせず、いざ出てくるときには予算化されていると、それで賛否を問えという、こういうようなやり方をずっとやってきてるんじゃないんですか。私、前総務委員会だったかな、どっかで言いましたけども、いわゆるブラックボックスを私たちに渡して、幾らかかるかわからない、それに賛成しろと言ってきてるんですよ、大体。こういうような市政運営をしていたんでは、東大阪市の今後まともな運営できないということは指摘をしておきます。
 時間がありませんので、さまざま質問ありますけれども、ここで終わっておきたいと思います。残余の質問は同僚議員からまた常任委員会で質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

 

 

何というかのらくらした東大阪市長の答弁ですね。これにムカッと来たので今回、書きました。共産党の質問ではありますがいい質問だと思います。翌日の定例会でも同様の質問があったので以下。市長自ら答えずに、副市長に押し付けて逃げています。

 

平成27年11月第 4回定例会−12月04日-04号

◆28番(松平要議員) (登壇)議長のお許しをいただきましたので、私は新社会党の個人質問をさせていただきます。先輩、同僚の議員の皆さんにはしばらくの間御清聴をよろしくお願いを申し上げます。時間の制約がありますので早速質問に入ります。理事者の皆様には的確な答弁をよろしくお願いを申し上げます。
 まず最初に市長の所信表明についてお尋ねをいたします。
 昨日の共産党の代表質問でもありましたが、所信表明ではラグビーワールドカップの誘致で4200億円の経済効果があると述べられておられます。しかも、これは当初の予想を大きく上回るものだと述べられております。昨日の質問、答弁のやりとりの中で、4年前、民間の研究機関が本市域における経済効果を試算したところ、約6億円だったということでした。これは市長の述べられておられる予想を大きく上回る以前の数字だと理解できるのですが、予想を大きく上回った現時点では、この6億円がどれぐらいに拡大しているのでしょうか。単純に計算すると、4200億円割る当初の予想額、それに掛ける6億円となると思うのですが、どうでしょうか。

 

◎川口 副市長  ラグビーワールドカップ2019による経済効果について御答弁申し上げます。
 現在経済部においてラグビーワールドカップ2019の誘致に伴う本市の経済効果額等につきましては想定できておりません。しかし市長も申しておりますとおり、本市にとりましては千載一遇の好機であり、物づくりなどを初めとする本市の魅力を全国のみならず、全世界へ積極的にアピールするとともに、周辺整備や観客による消費、雇用の創出など、大会の直接的な効果や間接的、波及的効果を最大限引き込むことで、地域経済の活性化が図られることは間違いないものと考えているところでございます。

 

◆28番(松平要議員) 再質問になりますので自席からさせていただきます。

 もう一つ、言葉だけが非常にきれいにちりばめられてるというのはワールドカップです。4200億円、ああすごいな、みんな思うわけです。ところがきのうの質問であったように、東大阪近畿大学の先生を中心に、市がお金も出して調べてもらった結果、それは6億円なんですね。そのうちの2億円は何かというと、運送費、つまり近鉄に入るお金なんです。そうすると市内の中小企業、商店に一体どれだけの経済効果があるのかというのは非常にお寒いなということで恐らくきのう質問されたんですけれども、きのうもそういう数字は出ていないと、そういう数字を本当に想定しないで事業を進んでいけるのかどうか、非常に不安に思っております。市民の皆さん、確かにいいことかもしれへんけれども、そのために出すお金が税金、余りにも多過ぎませんかというふうに私どものほうへ心配を、随分と意見を寄せられております。それだけのお金があったらもっといろんなことができるんじゃないか、後で聞きますけれども、ケースワーカーの充実等もできるんじゃないかなというふうなお声もあります。国保をもっと引き下げるべきじゃないかというお声もあります。しかしその中で、いやいやこれをやることによってそうしたものもすべて解決できるだけの経済効果があるんだということであれば、やはり責任を持ってその数字を示されるべきだと思うんですけれども、再度お答えをいただきたいというふうに思います。川口副市長のほうから御答弁いただけますでしょうか。よろしくお願いします。

 

○川光英士 議長  川口副市長。

◎川口 副市長  先ほどの答弁でも申し上げましたが、現時点ではその経済効果いうのがお示しできない状況でございます。ただ、今後、直接的また間接的あるいは経済波及効果のところにつきましては、我々もつぶさに把握する必要があると思っております。組織委員会のほうから、試合の数あるいは試合の内容、こういったところをできるだけ早く情報を察知しまして、できるだけそういった経済効果的な数字、また数字ではあらわせない効果もたくさんあろうかと思っておりますんで、その辺はあわせてお示しを今後していきたいというふうに思っております。

 

○川光英士 議長  28番。

◆28番(松平要議員) 数値であらわせない効果があるというのは、私もすごくよくわかります。何でもかんでも数字でするというのはよくないと思います。だから私は市長が4200億円なんていう数字を挙げられること自身がナンセンスだと私は思ってたんですけどね。そんなものではないはずだと思ってたんです。そんな打ち上げ花火みたいに4200億円ということでみんながわっと、目をそこに、そのぐらいもうかるんだったら少々金かけてもいいよなというふうな、そういう誤解を招くような数字の並べ方よくない、今の川口副市長のおっしゃるように、まだ決まってないと、わからないと、全然わからない、これはいいんですよ。わからないけども何かあるやろうということでいけるのは、本人が自分の個人的なことするんだったらそれでいいと思います。あした雨か晴れかわからない、傘持っていっとこか、もう持っていかんでいいか、その結果ぬれました、傘だけ邪魔になりました、それは個人のことだからいいんですよ。行政をそれと同じようなレベルで考えてもらったら困るということを言うてるんですよ。なぜならば、あなたのお金を投入するんじゃないんですよ。市民の貴重な税金を投入するんだから、投入する時点でも幾ら幾らの額の回収があるというふうに見込める、それがいろんな細かいことが決まってきたときに、上方修正したり下方修正したりするのが行政の仕事でしょ。今の時点で、ないということは、じゃあいつなったら出てくるんですか。大会委員会の数字がある程度出てきたら出てくる。そこと数字以外のものもあるということはごまかさないでほしいです。数字以外のもの、見えないものというのはたくさんあると思います。例えば大阪市文楽なんかはそうです。文楽の実際の収益、これは非常に単年度少ないけれども、しかしそのおかげで大阪の観光は文楽人形を使ったりというふうな目に見えない波及効果随分あります。こういうことは確かにあります。しかしそういうことはあるけれども、基本に据えられる額というものは幾らになるのかというのはその時点その時点できちっと出されるべきだろうと。そのために私、非常に算数弱いですけれども、お示しをしたでしょ。最初の予想を大きく上回って4200億円やという答えは出てるんですよ。最初の予想、東大阪でお金も出して調べてもらったら6億円だった、それが大きく上回るということは、その係数掛けたら今現時点の大体予想額というのは出てくるでしょう。そういうことをお尋ねしてます。その点についてもう一度端的に的確にお答えいただきたい。
 そして、それも無理だったら、期待額は幾らぐらいと考えてはるのか、それをお示しいただけますか。期待額、これぐらいのものは必要だろうと、これぐらいの税金を投入するんだったら、これぐらいの経済効果がなかったら、ちょっとやっぱり事業としてしんどいだろうという期待額は一体どれぐらいだと想定されてるのか、それをお答えいただけますか。

○川光英士 議長  川口副市長。

◎川口 副市長  議員のほうから4200億、この間御質問で何度か出ておりますけども、この4200億いうのは、全体の経済効果額ということでございまして、東大阪市で出した資料という数字で申し上げますと、議員御指摘のとおり、3年前、4年前ですか、近大の先生のほうが出していただいた6億ということでございますんで、その点をお含みおきいただきたいと思っております。

○川光英士 議長  28番。

◆28番(松平要議員) きのうはその6億いう数字もきちっと回答されなかった。4200億が全体の数字やいうのはわかってますよ、それは、幾ら算数弱かったって。だから質問してるんやないですか、東大阪市では幾らなんですかって。そういう、議員の質問、時間限られた中でつまらない答弁せんといてください。もう時間がないので言います。きれいな言葉で飾り立てる、もうそういうことはやめて、実際現実をしっかり見て、その現実を実現するためにどれだけの努力が必要なのかということをもっともっと真剣になって、スピーディーに行動してください。それだけお願いしておきます。