粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

 大阪自民は都構想の対案として大阪会議を定義しています。 第一回大阪会議について

本日、2015年7月24日に第一回大阪会議が開かれました。

今回の議題としては

1.議長の議題整理権の範囲

2. 規約に「都構想の対案としての大阪会議」を明記するべきという維新側の意見

 

まず2の方からいきます。維新側は大阪会議の規約に「都構想の対案としての大阪会議」を入れろと言い、大阪自民側は規約に入れることは拒否しました。維新としては都構想の対案としての大阪会議なのだから規約に謳うことにより、大阪会議の目的をはっきりさせることにあります。大阪自民としては都構想なんて文言入れたくねーよと言うことで議論は平行線です。しかし、大阪自民は都構想の対案として大阪会議を規定していなかったのでしょうか?規定していれば、規約に入れないとだめですよね。そこで、いくつか大阪自民が議会で「対案」として言っているのをピックアップしてみましょう。


【 大阪府議会:平成26年9月定例会総務常任委員会-10月27日-04号 】

◆(宗清皇一君) 自由民主党の宗清皇一でございます。
(略)
 今までの議論で明らかになったことは、何も都構想を進めなくても、府市連携による改革に取り組めば、大阪市を解体することなく、広域行政の一元化と二重行政の解消が可能だということが、数字などを含めて明らかになったということであります。
 我が会派は、内容が空虚な都構想の対案として、いわゆる大阪会議の設置条例案を今議会に提案いたしました。
 この大阪会議は、知事、市長、堺市長のほか、各議会の代表者として議員の参画を求めており、会派比率に応じた議員が加わることで、各議会の政策実現の可能性が高くなるという点において、すぐれた内容になっていると考えています。さらに、実働部隊となる職員組織も設けることを想定しています。
 

衆議院議員 むねきよ皇一

大阪会議の条例は二回提出されているんですが、一回目の総務常任委員会での大阪自民の意見開陳です。はっきりと「都構想の対案」として言っておられますね。一回目と二回目でなんか違うんですかね?条例は附則以外は変更なかったと思いますが。宗清皇一議員は今、大阪府議から衆議院議員をされておりますから言葉の重みはあると思うんですけどね。

 

【 大阪府議会:平成27年1月総務常任委員会-01月19日-01号 】

◆(大橋章夫君) 公明党の大橋でございます。きょうはどうぞよろしくお願いします。
 単純な質問を幾つかさせていただきますので、答弁は長くて構いませんので、詳しく答弁していただければと思います。
 最初に、大阪戦略調整会議、大阪都構想の対案として出されているということで、最初にメリットをお伺いしようと思ったんですけど、先ほどの答弁、あれ以上、何かおっしゃりたいことがあれば……。
◆(花谷充愉君) この中で、我々が第二条と第四条で言わせていただいているんですけども、広域行政の一元化というような考え方、それと二重行政があるんであれば、その無駄をなくしていきましょうという考え方の中で、府内で一つの統一した戦略を国に求めていくと、その戦略をまとめていくという場が、この大阪会議で、大阪の成長に寄与していくだろうと、そういうふうに思っています。

 

公明議員さんが大阪会議は都構想の対案といった認識であったということですね。

 

【 堺市議会:平成26年第 4回定例会-12月08日-04号 】

◆5番(山根健君) (登壇)ただいま議題となりました議員提出議案第33号大阪戦略調整会議の設置に関する条例案について、提案会派であります自由民主党・市民クラブを代表して提案理由及び条例案の趣旨を御説明申し上げます。
 我が会派はこれまでも大阪府域における広域行政を一元化し、大阪府並びに大阪市及び堺市の間を主として広く南大阪地域を含む行政の連携を推進し、今後もいわゆる二重行政が発生しないようにすべきことについて一貫して主張をしてまいったところであります。
 その実現に当たっては、政令指定都市である大阪市及び堺市を解体する必要はなく、大阪府並びに大阪市及び堺市の執行機関のみならず、議会の代表も参画して協議する場を設置し議論を重ねることで十分実現できるものと考えており、本議案はいわゆる都構想の対案ともなる制度であると考えております。
 (略)

 ただいま条例案の内容について御説明申し上げたところでございますが、改めて整理いたしますと、1、大阪府並びに大阪市及び堺市が足並みをそろえて同じ内容の条例を定め、協調して大阪会議を設置・運営すること。2、採決方法に関する基本ルールを定め、決定できる場としたこと。3、協議結果を長と議会が尊重すべきことを明記したこと。4、協議事項を幅広く設定したこと。5、近隣市町村の参画を得られるようにしたことなどを特徴としており、さきにも述べましたとおり、俗に言うところの大阪都構想の対案ともなり得る制度と考えております。
 以上、御説明申し上げました趣旨をお酌み取りいただきたくお願いいたしますとともに、今後議会の議論を通じて御説明を尽くしたく存じ上げますほどに各会派の皆様に多くの質問や意見をいただき、よりよい制度に仕上げられますよう御協力いただきたくお願い申し上げます。
 加えまして、議員各位におかれましては、本議案に賛同賜りますよう、よろしくお願い申し上げまして、提案理由説明とさせていただきます。御審議、何とぞよろしくお願いいたします。

 

プロフィール | 前堺市議会議員 山根たけし公式サイト

 次は堺市議会での一回目の大阪会議条例案の趣旨説明ですね。こちらも都構想の対案を仰ってますね。「なり得る」ですがw

 


大阪市議会: 平成26年第2回定例会(平成26年5月)-05月13日-02号 】

◆43番(黒田當士君)(略)

 いずれにしても、都構想は来年の統一地方選挙のための単なる手段になったのではないでしょうか。大都市制度で100%完璧な制度はありません。だからこそみんなの英知を結集させる必要があります。私たちは都構想への対案としては過去、特別市構想を掲げておりました。しかし、都構想は府・県のエゴ、特別市は政令市のエゴとの考えから不毛な対立やけんかではなく、府と市が未来志向で協調するという道を考えました。それが前回の統一地方選において我が党が府議も市議もともに訴えてきた大阪広域戦略協議会であります。この考え方は、現在国会で審議中である地方自治法改正案に調整会議として反映されていると考えております。

 

議員プロフィール|黒田 當士 自由民主党 大阪府支部連合会

 次は大阪広域戦略協議会、大阪会議の前身がどうだったかを見てみましょう。大阪市議会で、「都構想の対案としてはまず特別市構想。しかし特別構想は政令市のエゴでダメ。そこで大阪広域戦略協議会」と言ったことを言ってます。

 

堺市議会: 平成24年第 1回定例会-03月01日-04号 】

◆37番(西村昭三君) (略)
  それと、我々も、我々は我々の党として大阪広域戦略協議会いうものを1年間かけていろいろ議論しております。最終的に本当に出そうとしたときの細かいとこまで、まだ微調整ができてないから、今定例会にも対案として出さなかったけども、今、皆さんが出されているその中身、あるいは議員の皆さん方が言われたこともしっかりと勉強した中で、再度チェックしながら、次のある機会に大阪広域戦略協議会を設置する条例を出したいというふうに考えております。

 

現在の役職 新しい自由都市「堺」 堺市議会議員 西村昭三公式ホームページ

 堺市議会は、「大阪広域戦略協議会を設置する条例制定」を提出しませんでした。この時点では否決されていませんでしたが、この後、大阪府議会と大阪市議会でこの条例は否決されましたからね。

 


【 大阪府議会:平成24年  2月 定例会本会議-03月07日-09号 】

○議長(浅田均君) 議案につきまして提出者の説明を求めます。奴井和幸君。
◆(奴井和幸君) 自由民主党大阪府議会議員団の奴井和幸でございます。
 ただいま議題となりました議員提出第三号議案 大阪広域戦略協議会を設置する条例制定の件について、提出者を代表いたしまして、その提案趣旨を説明させていただきます。
 我々自由民主党は、大阪府大阪市堺市の三つの公共団体の首長と議会が参加する大阪広域戦略協議会を設置すれば、制度改正をすることなく広域行政の統一化は可能であると考えております。代表質問の中でも申し上げましたが、広域戦略協議会の中で、大阪としての戦略を一つにすることを目指し、その上で、どうしても政令指定都市を解体しなければできないことがあるのであれば、そのとき検討すればいいと考えております。
 現在、知事から提案されている大阪にふさわしい大都市制度の推進に関する条例案では、制度を変えることから始めようとしております。手順が逆だと考えますので、対案として大阪広域戦略協議会を設置する条例を制定することを提案いたします。
 議員の皆様方におかれましては、以上御説明させていただきました提案趣旨に御理解をいただきまして、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。御清聴ありがとうございました。

 

 

 次は大阪府議会ですが、ここでは対案としてはっきり言ってますね。「大阪にふさわしい大都市制度の推進に関する条例案」これは都構想の特別区設置協定書を作成するための条例協議会を設置するための条例案です。これの対案=都構想の対案ということです。

pankoya.hatenablog.com

 【 大阪府議会:平成24年 2月定例会本会議-02月29日-04号より 】

 大阪府議会で花谷議員が大阪広域戦略協議会を対案とはっきり言ってます。松井知事にいわれていっただけですがねw 大阪会議はこの本会議は2月29日でしたが、その翌日、3月1日に条例を提出しました。オモシロイデスネ、大阪自民府議団。

 

 まあ後は大阪会議が対案という理由ですが

大阪自民の大阪戦略調整会議ってどやねん?<その2 大阪会議の歴史> - 粉屋の大阪to考想

ここで、都構想と大阪会議の歴史を年表にまとめています。維新が都構想関連の条例案や特別区設置協定書を出したらその後に大阪自民が大阪会議・広域戦略協議会を続いて出してるのがわかります。これだけ対応していたら対案として出してるでしょうに。私は大阪会議を都構想の金魚のフン条例と思ってますがそのまんまですね。大阪会議が対案ではないのならなぜ独立した形で出した経緯がないのか等、説明してほしい点がいくつかありますね。

 


最後に

1.議長の議題整理権の範囲

ですが、これが問題になってるのは簡単な理由です。

大阪府/第1回大阪戦略調整会議について

上は大阪府の大阪会議の資料があります。ここの資料4‐2 代表者会議設置規程(案)資料3 大阪戦略調整会議規約(案)が問題なんですね。

 議題を代表者会議で決めるのか議長が決めるのかということです。代表者会議ですが議題を大阪会議で取り扱うかを協議するとあるのですが、大阪戦略調整会議規約の方では、「会長は、大阪会議の会議(以下「会議」という。)の議長となり、議事を整理する。」とあり、どちらが決めるのかという話です。維新側は議長のみが議事整理権を持つべきとする立場であり、都構想反対派は、代表者会議で決めるってとこですね。

  ここで問題になるのは議題が代表者会議で決めれなかった場合です。この場合、大阪会議での採決で議題を取り上げるか否かが決められることになります。この場合、大阪会議では維新VS維新以外の構図になりますから維新提案の議案は何一つ取り上げられることがないわけですね。都構想反対派が良く言っていた「少数派の意見を無視するな」がそのまま維新に適用されるわけです。維新側としては到底、受け入れられません。反対派にとっては維新の議案など取り扱いたくないから議論は平行線というわけですね。

www.sankei.com

 

  外から見てるとなぜ規約に「都構想の対案として大阪会議」ぐらい入れれないのか?と思うわけです。入れたところでそれに何か強制性があるわけじゃなく、象徴性しかないわけですからね。理由は簡単で、大阪自民は「都構想に反対する」団体を糾合して都構想に反対したわけです。「都構想」という文言を規約に入れるとそういった団体から突き上げを食らうんでしょうね。つまらない理由ですよ。

 

 第1回大阪戦略調整会議(休憩までの部分) 2015-7-24

 第1回大阪戦略調整会議(休憩後の部) 2015-7-14

  2015年7月24日(金)第1回大阪戦略調整会議後の囲み取材

  上の三つは第一回の大阪会議の動画になります。

 しかし、これらを見てると思うんですが、大阪会議が都構想の対案とならない場合、都構想は復活しますよ?現状、都構想の対案として大阪会議がある形になっています。要するに大阪会議が対案として存在してるために都構想のストッパーになっています。よって都構想の第二ラウンドのゴングは鳴らせませんが、大阪会議が対案でないのなら第二ラウンド開始です。大都構想が否決を受けて、対案である大阪会議でいこうというのが維新の立場なわけです。しかし大阪会議が対案でないのなら、住民投票の否決は都構想への理解が住民に得られなかったから否決されただけということになります。じゃあ住民への理解を高めて、もっかい都構想だ。こうなります。維新にとって都構想というのは大阪の問題を解決する道具にすぎません。大阪自民をはじめとする都構想反対派はこれらの問題を解決するのは都構想ではなくてもできる、大阪会議という道具でできると言ってたわけです。都構想が否決されても維新が問題とする大阪の問題が解決されたわけじゃないんです。大阪自民がここを認識してないのか無視してるのか知りませんが、このままいけば橋下市長が引退撤回をしても全く問題のない状況になります。こういう構図すら大阪自民は見えてないのかなぁ。どれだけ政治音痴なんだよ。維新に都構想を言い出させないために、大阪会議規約に「都構想の対案としての大阪会議」は自民側が維新にお願いしてつけてもらうぐらいメリットがあるのに。大阪会議が存在する限り、都構想再始動に抑止を懸けれるぐらい大阪自民・都構想反対派にとってメリットはないだろう?維新が「都構想だー」って言いだしたら「大阪会議がある(キリッ」で、黙らせれるのに。

 まあ私としては橋下市長が引退撤回、大阪市長を引き続きやってもらえる状況が望ましいですから、柳本・花谷両議員をはじめ竹山市長にもこのまま頑張って頂きたいものです。しかし、大阪自民は本当に何を考えてるのか・・・。私が大阪自民の立場なら、維新がいうことは、はいはいと引き受けつつ、議論をしよう議論をしようで引き延ばしてなんら採決をしない状況に持っていきますけどね。大阪会議というのはその採決方法からして特殊ですから大阪市等どこかの自治体一つが反対すればその議題は否決というぐらいに否決有利の設計です。それを最大限活かせばいいだけなのにねぇ。基本的に大阪自民の今の課題は、都構想に賛成した49%を減らすことなんです。そのためには仕事しているふりをして橋下市長を引退に持ち込み、市民には頑張ってますよー維新とも都構想では対決しましたが、大阪の問題へは一緒にスクラムです!というのがベストなのになぁ。本当に政治家として小粒。まあ大きければ国会に行ってるか。まあ、やっぱり都構想反対派団体への借りも大きすぎるんだろうな。世の中、只の物はない。がんばって返済してね、大阪自民。但し、市民の税金は使うなよ!