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粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大阪都における特別区では財源が1/4になる と反対派が言っていた理由について考えてみる<都構想争点検証2>

 住民投票の際、反対派が言っていた「特別区の財源が1/4になる」と争点にしていたことについて考えてみます。まず、財源を都の方に移した理由を知る為に、都構想での財源調整機構が東京都の都区財政調整度をなぜ取り入れたかを見てみます。

 

  • 財源調整の機構について 

 都構想での特別区に財源を分配する機構についてですが、試案時点でもここは問題になっており、当初は三案が考えられてました。

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 (大阪市市政 第2回大阪にふさわしい大都市制度推進協議会 開催結果 より)

 1.東京都の都区財政調整制度を導入(今回の都構想で採用された案)

  東京都での財源調整の方式を模倣する形。財源は1/4を特別区に残しておき、残り3/4を大阪都特別会計に入れ、特別区協議会にて分配率を決め、各特別区に分配する。

 2.特別区が水平連携の共同機関を設置し、特別区が主体の財源調整。(左の図)

  財源は区に全て与えておき、財源超過の区から共同機関へ超過分の財源を移す。共同機関へ国からの交付金などが入り、財源が足りない区に財政調整を行う。

 3.特別区が水平連携の共同機関を設置し、国が主体の財源調整。(右の図)

  財源は区に全て与えておき、財源超過の区から共同機関へ超過分の財源を移して、財源が足りない区へ分配。さらに足りない分を国が特別区地方交付税を直接入れる形。

 

 以下に2・3について説明していきますが、これは結局、没案になったので、説明も私の主観になります。なので間違いがある可能性があります。

 1つ目は「特別区に1/4しか財源が残されなかった理由」で軽く説明をします。2つ目は、財政調整の主体を大阪都に置くのではなく、特別自治区みずからが水平連携の共同機関を 設立して行うケース、三つ目は前の2パターンと違って、交付税は国が各特別自治区に直 接交付するものとし、それとは別に特別自治区が各区の税収をもって収入格差を是正する というケースになります。

 2つ目のパターンは非常に魅力的で、都道府県 レベルでは地方共有税制度が提起されており、それと似た構造になっています。但し、法的根拠や実例が全くないのが難点です。これの形にしていれば、特別区が主体で財源調整をする形になるので「府にとられる」といった反対派の争点は一つ減っていました。(じゃあやっぱりとられるのか?とか反対派がいいそうですが、法治国家でそれはないんですよね。可能性だけを言ってるのであれば日本がアメリカの新しい州にだってなれます。)また財源も区が全て持つので、「財源が特別区には1/4しかない~」以下略(これについては下に説明を入れておきます)。話を整理すると、メリットとしては財源調整の主体として、大阪都ではなく、特別区が持つ。また財源も特別区が全てを持つので、徴税権という自治体としての要件を手放さなくて済む。デメリットとしては、①実例がない②財源が区に渡されているので、黒字の区は超過分を共同機関に渡さなくてはいけない③国からの交付税の額が不透明になる(都構想では五区全体(旧大阪市全体)として交付税は受けていたが、この形だと、特別区各単体での計算になる可能性がある)④財源(徴税権)を各区に分けるので、それぞれの各区で収税することによる徴税コストが上がる可能性が高いこと(各区でそれぞれ収税することになるので税関系のシステム変更が必要になる。また各特別区ごとに徴収することによる細分化により、人員増も避けられない。都構想では、大阪市から特別北区及び大阪都へ税単位で税関係のシステムがそのまま分けられるため、こういったことは起きない)

 3つ目のパターンは、2に似ているのですが、財源調整を交付税で国が管理する形になります。つまりこれは普通の市町村が交付税を受けるのと同じ形を特別区に適用するということになります。税収の高い北区・中央区などが、超過分を共同機関に入れて、それを他の各特別区に分配。それの足りない財源分を国から直接、特別区交付税を受けて、調整する形になります。2と同じく、メリットとしては、財源(徴税権)は特別区が持つのですが、財政の調整主体は特別区というより、国になります。デメリットの方は①は、同様に前例がない問題はありますが、交付税に関しては一般の市町村と同じ形になるので実例はあります。②~④はそのまま適用です。

 結局、この2・3が採用されなかったのは、財源(市民税など)を区にそれぞれ分けて、区がバラバラに徴収すると徴税コストが上がること、また国からの交付税が不透明になること、この2点だと思います。交付税が不透明になるというのは、交付税という物が基本的に赤字に対する補てんという意味合いがあるためです。国が決めた行政サービスを行う上で、その自治体の歳入が足りない部分に対する補填を交付税で行います。これにより全国一律の行政サービスを行えているという名目になっています。よって、歳入が足りている場合(東京の特別区などの不交付団体)交付税は支払われません。黒字の団体には、交付税は支払われないんですね。よって、今回の特別区を想定すると特別北区・中央区などは不交付団体として交付税は支払われません。よって、交付税の支払い額が不透明になります。端的にいうと、大阪市で貰っていたより2・3のパターンは、交付税額の総額が減る可能性があるということです。あと2については全くの新システムになるので、法律の制定からしないといけなくなるのもハードルが高いですね。類似システムがあればまだ楽ですが現状ありませんし。そういったわけで都構想では東京都の財政調整システムを入れることになりました。

 

  • 特別区に1/4しか財源が残されなかった理由

 反対派が出してきた都構想の争点の「特別区には財源が1/4しかない」ですが、これは見当違いで本当のことを言えば財源は「0」です。財源が1/4残っていますが、これは特別区にそのまま入る予定でした。残っているじゃないかといわれるかもしれませんが、これは財源調整をするうえで1/4をそのまま特別区に入れても、全ての特別区で歳入としては不足する形だから残しています。残りの3/4に当たる財源は区によりばらつきが大きいため、残すと、それぞれの区において格差を生むことになります。よって、そういった3/4の財源を一旦、府に入れました。入れた分は協議会の方から、特別区に分配する形になっており、これにより各特別区ので格差是正・財務調整を行えました。

 結局、1/4の財源を特別区に残していたのは、行政効率上、そうしておいた方が行政コストがかからないからです。イコール、市民の税金を無駄に使わないための措置だったんですね。その為に残しただけで、わかりやすい話にする為だけなら全て大阪都に財源を移して、特別区の財源は0にしてもよかった話です。そういったことを理解しつつ、それを争点にした反対派議員の羞恥心の無さには絶望すら覚えます。単に理解してなかっただけかもしれませんが、それなら猶更、絶望です。

 正直、今回の住民投票で賛成を入れた特別区北区と中央区に住んでいる住人は、今回の住民投票の結果を受けて、大阪市から単体の市か特別区として独立した方がいいかもしれませんね。その方が住民サービスは今よりずっといい形で受けれますから。まあ反対した他の三区の住民はほぼ全てのサービスはカットされますけどね~。残った三区で、大阪市から生活保護市にでも名前を変えてやっていけばいいんじゃないかと思います。

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大阪都構想における財務調整イメージ図