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粉屋の大阪to考想

大阪都構想否決を受けて、その辺をだらだらと書いてみます。大阪の政治状況も併せて書いていきたいですね。Twitter: KONAYA @PAN_KOYA

大阪市の総合区を特別区風味で調理してみた <総合区について考えよう 第二回>

総合区

 私が考える理想の大阪市の総合区を考えてみたいと思います。

 総合区は前回で大阪自民風味の総合区を考えてみました。まあ非常にネガティブなものになりました。今回は特別区風味で総合区をポジティブに考えてみたいと思います。まず前提として、維新が「第186回国会 総務委員会 第18号」で、地方自治法の一部を改正する法律案(総合区などを盛り込んだ改正案)の審議に出した修正案をベースにします。この修正案は否決されたので、今回の私の考える総合区では、現行、違法状態になります。よって、この修正案が将来、可決されたとしての仮定の話になります。(でもこの修正案は将来的に採用されると思います。維新ひいきというわけではなく、今回の第30次地方制度調査会でも触れられてましたしね。まあちと早いというニュアンスでしたが)

 維新が提出した修正案は

 

 第一 指定都市は、総合区長公選制を選択することができる

 第二 指定都市の市長は、議会の同意を得て、総合区長を解任するための区民による住民投票を請求することができ、区民の過半数の賛成を得れば、当該総合区長は職を失うこと

 第三 総合区長へのチェック機能としての区常任委員会を必置とし、その委員は当該総合区の区域を選挙区とする議員のうちから選任すること

 

 以上の三つが維新の修正案でした。

 一番目は単純に総合区長の公選制を指定都市は選択で導入できるようにするということです。これを選択した場合、現行法の総合区長は市長に対して、予算意見具申権しかなかったのが独自で予算を編成できる予算編成権を持つ事が可能と考えれます。

 二番目は、総合区長へのリコール請求を制度化するものです。住民からの請求ではなく、市長から住民へという流れになります。これは市長が総合区長へ指揮命令できるというものから来るものと思われます。

 三番目は、区議会の代わりとして、現行法では導入が任意制(法に明文化はされていません)の区常任委員会を必置(設置の義務化)しなければなりません。委員は、市議会議員からその総合区を選挙区とする議員から選ばれます。よって、市議会議員は、市議会と区常任委員会の兼務になります。

 この三つを法制化すれば、総合区長の公選制、リコール、議会が設置されるので、総合区が自治体としての案件をある程度のレベルまで満たしていると考えて差し支えないと判断します。よって、今回の私の総合区案では総合区に対して基礎行政権限を全て譲渡し、大阪市は広域行政のみの形にします。総合区の形としては、特別区での行政形態を模倣した形で作ってみます。というわけで、総合区は特別区風味になります。でないと、一回目でお話したように現在の行政区には、政策立案能力がありませんからね。大阪市から人材を区へ下ろさないといけません。よって区割りは以下の五区案になります。

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大阪市役所及び総合区の権限・仕事の役割は以下のように分担します。

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 上記のように、各総合区は福祉・健康などの基礎行政に特化し、大阪市大阪市域内限定の広域行政にそれぞれ特化します。これにより、大阪市と総合区間での権限が重なることが無いようにし、基礎行政における市と総合区の二重・二元行政を予防します。またこれぐらい総合区に権限を譲っていれば、中核市の仕事をこなせます。

 次に、市役所、各総合区の人数割り及び組織形態を決めます。これも特別区を参考に作ります。

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 現在の大阪市役所の市長部局に務める13,000人は、若干名の雇用を増やしたのちに、大阪市に2100人、残りの一万名弱は各総合区にそれぞれに分かれます。(北区を例にすると2400人が北総合区役所勤めになります)また、各総合区共通の業務は一部事務組合にその業務を移管し、行政効率を高めます。大阪市・総合区協議会(以下、協議会)では、大阪市における一般財源大阪市と総合区全体での割合と各特別区に分配する財源の調整等を行います。これにより、総合区は予算面でも大阪市から独立します。また各総合区の常任委員会は、各総合区の予算の監査などの一般の議会に相当する仕事を行います。この各常任委員会は各総合区の選挙区から選出された市議会議員で構成されます。

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 一般財源ベースでの、お金の流れは上のようになります。全ての財源は一旦、大阪市特別会計に組み入れます。そこから、大阪市へ協議会にて決められた割合を配分し、残りの財源を、協議会での協議により決まった割合で各総合区へ分配されます。分配は各総合区で1.2倍以上の差が開かないように調整し、各総合区での財務格差を生まないようにします。協議会での分配は、基本的には三年ごとの改定とします。また協議会を設置する・特別会計に一回入れる理由としては、大阪市に予算権限を置くと、市長と各総合区長の党派が違うことなどにより、区間格差を生む恐れがあることへの措置です。

 これらの施策により、大阪市長・市役所と総合区区長・総合区役所はそれぞれに権限と予算で独立した自治体として活動が可能になります。市議会は、市と区で仕事が重複する部分が出ますが、仕事の全体量としては変わらない形になります。

 

 以上のような形で、大阪市の総合区導入の理想形を描いてみました。いかかでしょうか?私は、総合区を導入するならここまでやらないと意味がないと考えます。しかし、特別区とほぼ同じ形までにできますが、都構想の特別区には近づけてもやはり総合区では限界があります。 総合区と特別区の大きな違いは、総合区はあくまで大阪に従属する存在ということです。特別区は逆にあらゆる存在から独立しています。これはどういう制度で総合区を組んでも変わりません。制度の根本は変わりませんから。総合区では特別区の代替えにはならない理由としては以下になります。

 

1.総合区間、総合区と他の市や府との協定が総合区単独で結べない 

 あくまで総合区は大阪市の行政区であり、総合区長が公選で選ばれても大阪市長の指揮監督下にある。このため、総合区間での協定は大阪市を通して結ばざるを得ず、特別区のように単独で、協定などは結べない。例えば保育園や小学校の総合区間での協定が総合区長同士の判断では結べない。勿論、大阪市外と他の周辺市は不可能になる。

 

2.総合区は債券を発行できない

 総合区は行政区であり、特別区のように法人格を有さない。よって、総合区債等の債権を発行する権限がない。例えば、総合区で何かの失敗があり、予算が足りなくなった場合、大阪市にお願いせざるを得ない。また、長期的な計画で大きな金額が必要となった場合の調達も大阪市に頼らざるを得ない。総合区では財政的に自立ができない。そして問題は、総合区導入以降の大阪市の市債が、「大阪市役所」と「総合区」の借金の色分けが成されない問題がある。これにより市債が不透明になり、借金が膨れていっても何が原因か、わかりにくくなる恐れがある。

 

3.総合区の存在は条例のみに規定されるので、存在が非常に危うい

 総合区の権限や財源は条例により成立し、法律で縛られる点が非常に少ない。逆に特別区のその権限や財源は多くの法律(地方自治法)により守られている。よって、総合区の権限、財源が大阪市の主導権を握る党ごとに変わる恐れがある。もっといえば、総合区も条例変更だけで廃止が可能になる。特別区を仮に廃止しようとすると、今回のように住民投票が必要なるだろう。そういった障壁は総合区には現時点ではない。

 

4.総合区は条例を制定できない。

 区の常任委員会では条例を制定できない。今回のように、行政権限を完全に分けた状態でも、制定はできない。あくまで、大阪市議会で条例は制定される。大阪市長の権限は広域権限のみになっているのに、基礎行政に係る案件で条例を制定しなくてはならない。大阪市長にとっては全く関係のなくなった仕事もであるのにだ。結局、総合区は大阪市の一部でしかないため、独自政策をしようにも大阪市全体を考えざるを得ず、その政策は抑止されると考えれる。例えば敬老パスを廃止しようとA総合区長が考えても、それは大阪市の条例で規定されているためできない。条例を柔軟に変更すれば可能かもしれないが、他の総合区や大阪市の顔色を見ながらやらざるを得ない。特別区では特別区長とその区議会が決めれば、それは実行される。政策スピードでも総合区は特別区より遅くならざるを得ない。

 

私の結論としては、特別区のように自助・自立できるシステムの方がいいですね。メリットも多いし。

 

 大阪自民や公明の総合区案では今、二区程度の合区をするかしないかなどを議論されていますが、正直、二区程度を合区しても意味はないと思います。人口の問題としては、確かに二区を合わせれば中核市程度(20万人以上)にはなりはします。が、二つ程度の行政区を合わせたとしても予算規模としては小さいし、大した施策も打てません。今ある区長権限を微妙に拡大する為に総合区導入の労力を使うのなら、現行の行政区長の権限拡張をすればほぼ満たせます。実際、それでやってる市が横浜市をはじめとしてあるんですから。もし、総合区を導入するのであれば、総合区長の権限と現行政区長の権限で明確な違いを出さないと意味がありません。それこそ反対派が言っていた「都構想(総合区)に使うエネルギーを政策に使うべきだ」が、そのまま跳ね返る形になります。結局、今回の理想位までやらないと総合区は意味がないから導入を考える市がないというのが実状なんでしょうね。

 総合区の区割りを人口の問題というより、面積としてみた場合、大阪の行政区二つぐらいだと車で5分も走れば、横断できます。まあ五区を一つにしても、同じだろと言われそうですが、逆にいうとそれぐらい大阪市というのは小さな町です。広さというのも行政効率を考える上で重要な指標になりますからね。

 

東京都1区当り面積 23km^2/1区  (東京都23区合計面積 621km^2)
大阪市1区当り面積 9.3km^2/1区 (大阪市24区合計面積 223km^2)

 

 東京と大阪の一区当たりの平均面積です。東京が23平方キロ、大阪が9.3平方キロですね。東京は大阪に比べて一区が2.47≒2.5倍は広いっていうことです。やはり一区辺り、大阪は相当狭い。・・・二区を合区する基準って、単純に面積で決めたとか?いや、まさか・・・。大阪の行政区を二つ合わせたら東京の特別区にはちょっと足りないけど総合区だし、いいんじゃない?とか・・・。ありそうで怖いわ。

 

 次回は、今回考えた総合区案をもとに、大阪府全体で総合区を導入して大阪都構想に総合区案を近づけてみようと思います。